「津山労働基準監督署管内で建設業の労働災害が増加」
建設業一斉安全パトロールを実施!
津山労働基準監督署
津山労働基準監督署管内(津山市、美作市、真庭市、苫田郡、久米郡、勝田郡、真庭郡、英田郡を管轄)では平成28年に入って、建設業全体で23件(6月末時点)の休業4日以上の労働災害が発生し、昨年同時期の15件と比べて8件(53%)と大幅に増加、また死亡災害も1件発生するなどの重大な災害が相次いでいます。
管内の建設業者に労働災害防止対策を徹底させるため、岡山労働局長パトロールが行われた6月16日に、管内の14の工事現場に対して安全パトロールを実施しました。
安全パトロールに先立ち、署長より、
◎墜落・転落災害防止措置を最重点のチェックポイントとすること
◎熱中症の季節となることからその対策の確認と周知を図ること
と指示の上、署長自らを含む6名の職員が津山市近郊、真庭市方面、美作市方面の3班に分かれて安全パトロールを実施しました。
各工事現場においては、手すり先行工法による足場の設置、足場先行工法、足場にかかる墜落防止措置及び物体落下措置、ロープ高所作業におけるライフラインの設置及び使用など、多くの現場で適切な対策が講じられていたものの、
・作業が予定されている足場の一部に墜落防止措置がなされていないもの
・構造物上で墜落防止措置を講じることなく足場の解体作業を行っていたもの
・先行足場の組み立て中に墜落防止措置を講じていなかったもの
・昇降設備は設けられていたが、そこを使用せず足場をよじ登っていたもの
など墜落防止にかかる課題も認められました。
また、同一現場内にクレーン機能付きのドラグショベルがあるにもかかわらず、これを使用せずクレーン機能のないドラグショベルで用途外使用を行っていたもの等重機の使用方法にかかる課題、法面崩壊防止工事を行っている場所の一部に土砂崩壊が生じていた現場等も認められました。
一方で、6月より施行された化学物質リスクアセスメントの実施に関する掲示が行われていた工事現場、熱中症予防対策に併せて現場に温度計や、熱中症の発症時の対処方法を掲示していた工事現場、本年1月より施行されたロープ高所作業のライフラインの設置を適切に行っていた工事現場も認められました。
パトロールを行った工事現場においては、墜落転落対策を中心に各種労働災害防止措置について点検及び指導を行ったほか、熱中症予防対策の推進について、リーフレット(439KB; MS-Wordファイル)を活用し周知を図りました。
津山労働基準監督署管内においては前述の通り、本年に入って建設業の労働災害が大幅増加しており、本年6月末時点での特徴等は次のとおりです。
◎建設業の労働災害23件の内、土木工事業で8件(昨年同期2件 6件の増加)、建築業で13件(昨年同期9件 4件の増加)発生している。
◎同23件の内、「墜落、転落」災害が13件を占めており、昨年1年間に発生した「墜落、転落」災害12件を6月末時点ですでに上回っている。
●本年発生した、「墜落、転落」災害の事例
(1) 業務のため構造物上の手すり等を解体し、手すり等を再設置したところ開口部が生じ、移動していた労働者がその開口部から約5m墜落した。
(2) 構造物の型枠を解体後、構造物上を移動しながら型枠材を集積していた労働者が、型枠の解体によって広くなった足場と構造物の隙間から約5m墜落した。
(3) 高さ1.8メートルの枠組み足場の間(4m)に、脚立を中間支点とし、足場板を掛け渡していたところ、そこを移動中の労働者が墜落した。
(4) 脚立を昇降設備として使用し、高所から降りようと足を乗せたところ脚立がぐらつき墜落した。
(5) トラックの荷台で作業中荷台から墜落した。
(6) 重機上で洗車中、体の向きを入れ替えたところ足を踏み外し墜落した。
(7) 法肩脇で、重機で荷を吊って(用途外使用)旋回したところ、バランスを崩して重機が約4m下に転落し、運転していた被災者がその下敷きになった。【死亡災害】
津山監督署管内における建設業における休業4日以上の労働災害は、10年前の平成18年の80件から平成27年は38件にまで減少し、足場先行方法の普及・定着、手すり先行工法の普及・定着、労働安全衛生法の改正などにより、工事現場における労働災害防止措置が格段に進歩した結果と考えられます。
しかし、平成28年は労働災害が増加している中、(1)、(2)の事例のように、中途半端な措置がなされた場所での災害や、 (3)から(6)の事例においても、「墜落、転落」災害が発生するリスクがあるという意識が十分働かず、安易に作業方法を選択したため発生した災害と思われます。
また(7)の事案は、重機で荷を吊り重機を旋回させたところ遠心力などでバランスを崩し、重機ごと転落したという災害ですが、この事案もクレーン機能付きの重機などの移動式クレーンによる作業を選択することなく、安易に作業方法(用途外使用)を選択したために発生した災害になります。
津山労働基準監督署においては、引き続き建設工事現場のパトロールを行うと共に、「墜落、転落」災害防止に係るリーフレット(261KB; PDFファイル)を作成・配布し、「墜落、転落」対策を中心に様々な労働災害防止対策や自主的安全衛生活動の促進、周知などに努めてまいりますので、各事業場、建設工事現場におかれましても、積極的に労働災害防止措置、安全衛生活動に取り組んでいただきますよう、お願いいたします。