安全衛生研修会「安全衛生と粉じん対策」を開催しました ~粉じん職場劇的改革作戦~ 【和気労働基準監督署】
東備地区(備前市・赤磐市・和気町)においては、耐火煉瓦関連製造業を中心とした粉じん作業を有する事業場が多くを占めており、労働者のじん肺及びその合併症の発症防止が最重要課題となっています。
このたび、岡山セラミックス技術振興財団の呼び掛けにより、粉じんに対する正しい知識の習得、粉じん暴露防止に係る保護具の着用方法及び局所排気装置等の点検等を学んでいただくべく安全衛生研修会を備前市内の岡山セラミックスセンターにおいて、2部構成(午前の部・午後の部)で開催しました。
この日はあいにくの雨模様でしたが、耐火煉瓦関連製造業のほか機械金属製造業や化学工業等の県内外の事業場から総計約150名が受講されました。
(主催)岡山セラミックス技術振興財団
耐火物協会中国四国支部
東備耐火物粉砕工業協同組合
岡山産業保健総合支援センター
(共催)和気労働基準監督署
(後援)岡山県労働基準協会和気支部
会場となった岡山セラミックスセンター 県内外から約150名の方が受講されました
午前の部では、和気労働基準監督署長(三宅徹)の挨拶で開会し、当署担当者より管内の労働災害発生状況の説明、労働災害発生メカニズムから考える“はさまれ巻き込まれ災害”の防止対策及び職場における粉じん対策の現状について説明を行いました。
岡山労働局においては1月から3月の間を「労働災害防止強化期間(岡山労働局HP)」に設定し、職場における「日常の作業」「使用設備」などの安全点検をトップが率先して指示し、現場で確実に実施することを重点事項として、災防活動に取り組んでいただくよう呼びかけています。
挨拶する三宅徹和気労働基準監督署長 粉じん対策の現状を説明する植木一郎産業安全専門官
続いて、岡山産業保健総合支援センターの相談員 西出忠司氏より「保護具の適切な着用方法について」と題し講演をいただきました。西出氏は東備地区の耐火物関連事業場等において“防じんマスク着用時の漏れ“等に関する調査・研究をされた実績があり、それに基づいた防じんマスクの適切な管理方法や着用方法等についてご教授いただきました。
防じんマスクの適切な着用について説明される西出忠司氏 専用の機械を用いて防じんマスクの漏れ率を計測します
引き続き、岡山産業保健総合支援センターの相談員及び岡山ろうさい病院腫瘍内科部長 藤本伸一氏からは「粉じんが及ぼす身体への影響」と題し、じん肺に対する豊富な医療知見から、じん肺を発症する要因や最近問題となっているアスベストに係る内容について講演をいただきました。普段医療に関わることが少ない受講者も多く、健常な肺とじん肺に罹病した肺の比較をレントゲン写真で示していただく等大変参考になりました。
じん肺のメカニズムについて説明される藤本伸一氏 じん肺と健常な肺の比較レントゲン写真は大変参考になりました
研修会の合間には、東備地区で導入を勧奨している電動ファン付マスクの”試着体験コーナー”を設け、従来型の防じんマスクや簡易マスクと比較して電動ファン付マスクの有効性について体感していただきました。
|
午後の部では、当署担当者より管内の粉じん職場における作業環境測定結果の推移及び作業環境改善に向けた説明を行いました。
司会は岡山セラミックス技術振興財団の林靖昌課長 作業環境改善に向けたを説明する植木一郎産業安全専門官
続いて、山陽放送サービス株式会社の横溝浩氏より、「局所排気装置及び除塵装置の定期自主検査及び日常の点検」と題して講演をいただきました。横溝氏は、模型を使って局所排気装置等の定期自主検査を大変わかりやすくご教授いただくとともに、制御風速の計測方法や粉じんが堆積しやすいポイント等を豊富な経験談を交えてご説明くださいました。
動画や写真を交えてわかりやすく説明される横溝浩氏 演習問題に受講者全員で挑戦しました
局所排気装置の模型を使って定期自主検査のポイントを説明していただきました
最後に岡山セラミックス技術振興財団理事長 吉鷹啓氏より挨拶をいただき、閉会しました。
挨拶される岡山セラミックス技術振興財団の吉鷹啓理事長
岡山県は製造業におけるじん肺による療養者が日本で一番多い県です。
これ以上新規のじん肺有所見者を発生させないため、まずは粉じん職場環境の改善を図るとともに、粉じん暴露を防止する最後の砦である保護具の適切な着用及び管理を行っていただくようお願い申し上げます。
この記事に関するお問い合わせ先
労働基準部 健康安全課 TEL : 086-225-2013