健康確保・健康診断関係

健康診断を実施しましょう ~労働者の健康確保のために~
 

健康診断の報告義務

 事業者は、労働者に対し、労働安全衛生法で定められた健康診断を実施していただく必要があります。また、健康診断実施結果の記録の保存と一定の健康診断については、所轄労働基準監督署長に報告する必要があります。

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健康診断の種類

一般健康診断

労働安全衛生法第66条第1項に定められた健康診断で、労働者の一般的な健康状態を調べる健康診断です。
この健康診断に際しては、その結果に基づき健康診断個人票を作成し、5年間保存する必要があります。
(労働安全衛生規則(以下、「安衛則」と略します。)第51条)

健康診断個人票や定期健康診断結果報告書等について、医師等の押印等が不要となります。[PDF形式:667KB]

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雇入時の健康診断(安衛則第43条)

常時使用する労働者を雇い入れる時に実施するもので、所轄労働基準監督署への報告は必要ありません。

定期健康診断(安衛則第44条)

常時使用する労働者に対し、1年以内ごとに1回、定期に実施するものです。
常時50人以上の労働者を使用する事業者は、「定期健康診断結果報告書」を所轄労働基準監督署に報告する必要があります。

特定業務従事者の健康診断(安衛則第45条)

安衛則第45条に定められている業務に従事する労働者に対し、当該業務への配置替えの際及び6か月以内ごとに1回、定期に実施するものです。
常時50人以上の労働者を使用する事業者は、「定期健康診断結果報告書」(様式第6号)を所轄労働基準監督署に報告する必要があります。

特定業務従事者とは次の業務に従事する労働者です。(労働安全衛生規則第13条第1項第2号に揚げる業務)
( 1 ) 多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
( 2 ) 多量の低温物体を取り扱い業務及び著しく寒冷な場所における業務
( 3 ) ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされる業務
( 4 ) 土石、獣毛等のじんあいまたは粉末を著しく飛散する場所における業務
( 5 ) 異常気圧下における業務
( 6 ) さく岩機、鋲打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務
( 7 ) 重量物の取扱い等重激な業務
( 8 ) ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
( 9 ) 坑内における業務
(10) 深夜業を含む業務
(11) 水銀、ヒ素、黄リン、フッ化水素酸、塩酸、硫酸、青酸、苛性アルカリ、石炭酸その他これらに準ずる有害物質を取扱う業務
(12) 鉛、水銀、クロム、ヒ素、黄リン、フッ化水素、塩素、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリンその他これらに準ずる有害ガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務
(13) 病原体によって汚染のおそれが著しい業務
(14) その他厚生労働大臣が定める業務

海外派遣労働者の健康診断(安衛則第45条の2)

 6か月以上海外に派遣する労働者に対し、派遣前及び帰国後に実施するもので、所轄労働基準監督署への報告は必要ありません。
 

一般健康診断の検査項目

健康診断項目 雇入時の
健康診断
定期健康診断 特定業務
従事者の
健康診断
海外派遣
労働者の
健康診断
1 問診(既往症及び業務歴の調査)
※喫煙歴及び服薬歴も聴取すること
2 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
3 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
4 胸部エックス線検査及びかくたん検査
(胸部エックス線検査のみ)
5 血圧の測定
6 貧血検査(血色素量,赤血球数)
7 肝機能検査
(GOT、GPT、γ-GTP)
8 血中脂質検査
(LDLコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライ)
9 血糖検査
10 尿検査
(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
11 心電図検査
関係条文 安衛則
第43条
安衛則
第44条
安衛則
第45条
安衛則
第45条の2
健康診断個人票様式 様式第5号(1)
[WORD形式:24KB]
様式第5号(2)
[WORD形式:27KB]
様式第5号(3)
[WORD形式:26KB]
留意事項
雇入れ時の健康診断は、項目の省略はありません。
 
聴力検査は、オージオメーターを使用して1,000Hz及び4,000Hzの純音を用いて実施されます。ただし、45歳未満(35歳及び40歳を除く)の者については、医師が適当と認める検査方法(音叉による検査等) によることができます。(雇入時の健康診断を除く。)
 
血糖検査は、空腹時又は随時血糖の検査を必須とし、ヘモグロビンA1c(HbA1c)のみの検査は認められません。
 
心電図検査は、安静時標準12誘導心電図を記録します。
 
△は、医師が個々の受診者について、健康診断を実施する時点の健康状態、日常の生活状況、作業態様や過去の健診結果等を総合して、医師が必要でないと認めるときは、次の定期健康診断項目を省略することができます。
  (1) 身長:20歳以上の場合
  (2) 腹囲:次のいずれかに該当する場合
  40歳未満(35歳を除く)の者
  妊娠中の女性その他の者であって、その腹囲が内臓脂肪の蓄積を反映していないと診断された者
  BMIが20未満である者 ※MBI=体重(kg)/身長(m)の2乗
  BMIが22未満であって、自ら腹囲を測定し、その値を申告した者
  (3) 胸部エックス線検査:  40歳未満の労働者で、次のいずれにも該当しない場合
  20歳、25歳、30歳及び35歳の者
  感染症法で結核に係る定期の健康診断の対象とされている施設の者
(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行令(平成10年政令第420号)第12条第1項第1号に掲げる者[具体的には、学校(専修学校及び各種学校を含み、幼稚園を除く。)、病院、診療所、助産所、介護老人保健施設又は特定の社会福祉施設において業務に従事する者])
  じん肺法で3年に1回のじん肺健康診断の対象とされている者
(じん肺法(昭和35年法律第30号)第8条第1項第1号又は第3号に掲げる者[具体的には、常時粉じん作業に従事する労働者で、じん肺管理区分が管理1のもの又は常時粉じん作業に従事させたことのある労働者で、現に粉じん作業以外の作業に常時従事しているもののうち、じん肺管理区分が管理2である労働者])
  (4) かくたん検査:胸部エックス線検査により病変の発見されない者、胸部エックス線検査によって結核発病のおそれがないと診断された者又は胸部エックス線検査の項に掲げる者
  (5) 貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査及び心電図検査:40歳未満(35歳 を除く)の場合
 
▲は、特定業務従事者の健康診断において、医師が必要でないと認めるときは次の健康診断項目を省略することができます。胸部エックス線検査及びかくたん検査は、1年以内ごとに1回行えば足りることとされています。
 省略基準については定期健康診断の場合と同様ですが、一部の項目については次の省略基準となっています。
  かくたん検査は、胸部エックス線検査によって病変の発見されない者又は胸部エックス線検査によって結核発病のおそれがないと診断された者。
  貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査及び心電図検査については、40歳未満(35歳を除く)の者又は前回(6月以内)その検査項目について健康診断を受けた者。
  聴力検査については、1,000Hz及び4,000Hzの純音を用いるオージオメーターによる検査を原則としますが、前回(6月以内)このような聴力検査を受けた者については、医師が適当と認める検査方法によることができます。
 
◆は、海外派遣労働者の健康診断において、医師が必要でないと認めるときは次の健康診断項目を省略することができます。
  身長の測定は、20歳以上の者。
  かくたん検査は、胸部エックス線検査により病変の発見されない者又は胸部エックス線検査によって結核発病のおそれがないと診断された者。
 
海外派遣労働者の健康診断において、次の健康診断項目については医師が必要と認めたときには実施しなければなりません。
(1)胃部エックス線検査
(2)腹部超音波検査
(3)血中の尿酸の量の検査
(4)B型肝炎ウイルス抗体検査
(5)ABO式及びRh式の血液型検査(派遣前に限る)
(6)糞便塗沫検査(帰国時に限る)

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一般健康診断の結果に基づいた措置と保健指導について

1. 受診者全員に健康診断結果を文書で通知しなければいけません。
2. 健康診断の結果に基づき、異常所見のある労働者について、労働者の健康を保持するために必要な措置について、医師の意見を聞かなければなりません。
3. 医師の意見を勘案し、必要があると認められるときは、作業の転換、労働時間の短縮等の適切な措置を講じなければなりません。
4. 健康診断の結果に基づく保健指導を受けましょう。
5. 健康教育・健康相談を行いましょう。

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上記以外の一般健康診断について

給食従業員の検便(安衛則第47条)

事業場附属の食堂又は炊事場における給食の業務に従事する労働者に対しては、雇入れの際又は配置替えの際に、検便を行わなければなりません。

自発的健康診断(労働安全衛生法第66条の2)

過去6か月間に平均して1月当たり4回以上、深夜業に従事した労働者が受ける自発的な健康診断のことで、自ら受けた健康診断の結果を証明する書面を事業者に提出することができます。(一定の要件に合った自発的健康診断にかかった費用については、助成金が支給される自発的健康診断受診支援助成金の制度もあります。詳細は高知産業保健推進センターにお問い合わせ下さい。)

パート・アルバイトに対する健康診断

パート・アルバイトについても、次の1~3までのいずれかで、一週間の所定労働時間が、同種の業務に従事する通常の労働者の4分の3以上であるときは、健康診断を実施する必要があります。
また、一週間の所定労働時間が、同種の業務に従事する通常の労働者の概ね2分の1であるときは、実施することが望ましいとされています。
1.雇用期間の定めのない者
2.雇用期間の定めはあるが、契約の更新により1年(注)以上使用される予定の者
3.雇用期間の定めはあるが、契約の更新により1年(注)以上引き続き使用されている者
  (注) 特定業務従事者にあっては6か月

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特殊健康診断

 労働安全衛生法第66条第2項、第3項に定められた健康診断で、じん肺法第3条に定められている健康診断を含めていいます。労働衛生対策上、特に有害であるといわれている業務に従事する労働者等を対象として実施する健康診断で、有害業務に起因する健康障害の状況を調べる健康診断です。
         
  健康診断の名称
(法規名)
概要等 健診項目等
の条文
1 じん肺健康診断
(じん肺法)
常時粉じん作業に従事する労働者を雇い入れる際、又は当該業務への配置換えの際、ならびに常時粉じん作業に従事したことのあるじん肺管理区分2および3の労働者に対し実施するものです。
じん肺管理区分に応じた健康診断の頻度は下の表のとおりです。
健康診断個人票については、エックス線フィルムとともに7年間保存する必要があります。
毎年、12月末現在のじん肺健康管理実施状況報告を、翌年2月末までに、所轄労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長に提出しなければなりません。
   
 
粉じん作業従事との関連 管理
区分
健康診断の頻度
常時粉じん作業に従事 1 3年以内ごとに1回
2・3 1年以内ごとに1回
常時粉じん作業に従事したことがあり、現在は非粉じん作業に従事 2 3年以内ごとに1回
3 1年以内ごとに1回
   
じん肺法
第8条
2 鉛健康診断
(鉛中毒予防規則)
鉛業務に常時従事する労働者を雇い入れる際、または当該業務へ配置換えの際及びその後6ヶ月以内(はんだ付け等の一定の業務については1年以内)に実施するものです。
 
鉛則
第56条
3 特定化学物質健康診断
(特定化学物質障害予防規則)
特定化学物質を製造または取り扱う業務に常時従事する労働者を雇い入れる際、または当該業務へ配置換えの際及びその後6ヶ月以内ごとに実施するものです。 特化則
第39条、
同則別表
第3,4
4 電離放射線健康診断
(電離放射線障害防止規則)
放射線業務に従事する労働者で管理区域に立ち入る者に対し、雇い入れの際または当該業務へ配置換えの際及びその後6ヶ月以内ごとに実施するものです。
 
電離則
第56条
5 有機溶剤健康診断
(有機溶剤中毒予防規則)
有機溶剤の製造または取り扱い業務に常時従事する労働者を雇い入れる際、または当該業務へ配置換えの際及びその後6ヶ月以内ごとに実施するものです。
 
有機則
第29条
6 石綿健康診断
(石綿障害予防規則)
石綿の製造または取り扱い業務に常時従事する労働者を雇い入れる際、または当該業務へ配置換えの際及びその後6ヶ月以内ごとに実施するものです。
 
石綿則
第40条
7 高気圧業務健康診断
(高気圧作業安全衛生規則)
高圧室内業務または潜水業務に従事している労働者に対して、雇い入れ時、配置換えの際及びその後6ヶ月以内ごとに実施するもの。

 
高圧則
第38条
四アルキル鉛健康診断
(四アルキル鉛中毒予防規則)
四アルキル鉛等の業務に従事している労働者に対して、雇い入れ時、配置換えの際及びその後3ヶ月以内ごとに実施するもの。

 
四アルキル則
第22条
歯科健康診断
(労働安全衛生規則)
塩酸、硫酸、硝酸、亜硫酸、フッ酸等のガス、蒸気、粉じんを発散する場所における業務に従事する労働者に対し、雇い入れ時、配置換えの際及びその後6ヶ月以内ごとに実施するもの。
 
安衛則
第48条
       ※ 2から7までの特殊健康診断を実施した後、その結果を所轄労働基準監督署長へ報告しなければなりません。
  (ただし、歯科健康診断は労働者50人以上の事業場のみ)
  各種結果報告書は各労働基準監督署で配布しております。
※ 2から5及び7の特殊健康診断個人票については、5年間保存する必要があります。
  ただし、特定化学物質健康診断のうち一定の物質と、石綿健康診断については30年間保存する必要があります。
 

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通達で示されている健康診断

法令に基づく健康診断以外に、通達で健康診断を実施するよう示されている業務の種類は以下の通りです。
1. 紫外線・赤外線にさらされる業務
2. 著しい騒音を発する屋内作業場などにおける騒音作業
3. マンガン化合物(塩基性酸化マンガンに限る)を取扱う業務、又はガス、蒸気若しくは粉じんを発散する場所における業務
4. 黄燐を取扱う業務、又はりんの化合物のガス、蒸気若しくは粉じんを発散する場所における業務
5. 有機りん剤を取扱う業務またはそのガス、蒸気若しくは粉じんを発散する場所における業務
6. 亜硫酸ガスを発散する場所における業務
7. 二硫化炭素を取扱う業務又はそのガスを発散する場所における業務(有機溶剤業務に係るものを除く)
8. ベンゼンのニトロアミド化合物を取扱う業務又はそれらのガス、蒸気若しくは粉じんを発散する場所における業務
9. 脂肪族の塩化又は臭化化合物(有機溶剤として法規に規定されているものを除く)を取扱う業務又はそれらのガス、蒸気若しくは粉じんを発散する場所における業務
10. 砒素またはその化合物(三酸化砒素は除く)を取扱う業務又はそのガス、蒸気若しくは粉じんを発散する場所における業務
11. フェニル水銀化合物を取扱う業務又はそのガス、蒸気若しくは粉じんを発散する場所における業務
12. アルキル水銀化合物(アルキル基がメチル基またはエチル基であるものを除く)を取り扱う業務又はそのガス、蒸気若しくは粉じんを発散する場所における業務
13. クロルナフタリンを取扱う業務又はそのガス、蒸気若しくは粉じんを発散する場所における業務
14. 沃素を取扱う業務又はそのガス、蒸気若しくは粉じんを発散する場所における業務
15. 米杉、ネズコ、リョウブ又はラワンの粉じんを発散する場所における業務
16. 超音波溶着機を取扱う業務
17. メチレンジフェニルインシアネート(M.D.I)を取扱う業務又はこのガス若しくは蒸気を発散する場所における業務
18. フェザーミル等飼肥料製造工程における業務
19. クロルプロマジン等フェノチアジン系薬剤を取扱う業務
20. キーパンチャーの業務
21. 都市ガス配管工事業務(一酸化炭素)
22. 地下駐車場における業務(排気ガス)
23. チェーンソー使用による身体に著しい振動を与える業務
24. チェーンソー以外の振動工具(さく岩機、ピッチングハンマー、スインググライダー等)の取り扱いの業務
25. 重量物取扱い業務
26. 金銭登録の業務
27. 引金付工具を取扱う業務
28. 肢体不自由児施設、特別養護老人ホーム等重症心身障害者の入所施設における介護業務
29. VDT作業
30. レーザー機器を取扱う業務又はレーザー光線にさらされるおそれのある業務
 

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職場の定期健康診断の実施について


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パンフレット・リーフレット等


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問い合わせ

この記事に関するお問い合わせ先

高知労働局 労働基準部 健康安全課

電話
088-885-6023

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