採用選考時の健康診断について

  

新規学校卒業者の採用選考時に、労働安全衛生規則第43条に「雇い入れ時の健康診断」が規定されていることを理由に、いわゆる「血液検査」等の健康診断を一律に実施している事例が見受けられます。

しかし、この「雇い入れ時の健康診断」は常時使用する労働者を雇い入れた際における適正配置、入職後健康管理に役立てるために実施するものであって、採用選考時に実施することを義務づけたものではなく、また、応募者の採否を決定するために実施するものではありません。

また、健康診断の必要性を慎重に検討することなく、採用選考時に健康診断を実施することは、応募者の適性と能力を判断するうえで必要のない事項を把握する可能性があり、結果として、就職差別につながるおそれがあります。

したがって、採用選考時にいわゆる「血液検査」等の健康診断を実施する場合には、健康診断が応募者の適性と職務遂行能力を判断するうえで、合理的かつ客観的にその必要性が認められる範囲に限定して行われるべきものであります。


血液検査について
HIV感染の有無それ自体は、応募者の能力及び適性とは一般的には無関係であることから、採用選考を目的としたHIV検査は行わないようにしてください。

また、厚生労働省では、B型、C型肝炎ウイルス感染者に対する差別は、偏見を基礎にしたものであり、職場においてこれらの偏見を排するよう、正しい知識の普及・周知徹底に取り組んでいます。ウイルス性肝炎は、通常の業務において、労働者が感染したり、感染者が他の労働者に感染させることは考えられず、また、多くの場合、肝機能が正常である状態が続くことから、基本的に就業にあたっての問題はありません。

採用選考時に「血液検査」等の健康診断を実施することは、結果としてこれらの方々に対する就職差別につながるおそれがあり、職務内容との関連でその必要性を慎重に検討することが求められます。


色覚検査について
色覚検査において異常と判別された方であっても、大半は支障なく業務を行うことが可能であることが明らかになってきています。しかしながら、このような方が業務に特別の支障がない場合であっても、事業主が採用を制限する事例が見受けられることから、労働安全衛生規則等の改正により、平成13年10月より「雇入時健康診断」の診断項目として色覚検査が廃止されました。

労働者を雇い入れる際には、「色覚異常は不可」などの求人条件をつけるのではなく、色を使う仕事の内容を詳細に記述するようにするとともに、採用選考時の色覚検査を含む健康診断については、職務内容との関連でその必要性を慎重に検討し、就職差別につながらないよう注意してください。
 

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