よくあるご質問(賃金・退職金・賞与関係)

  

Q1. 会社で経理を担当していますが、賃金の支払について5原則があると聞きました。それはどのようなものですか?

A1.
5原則とは次のとおりです。
・ 通貨払い
・ 直接払い
・ 全額払い
・ 毎月払い
・ 一定期日払い (労働基準法第24条)


Q2.労働者に時間外労働や休日労働、深夜労働をさせた場合、いくらの割増賃金を支払わなければなりませんか?

A2.
時間外労働の場合は通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を、休日労働の場合は通常の労働時間の賃金の計算額の3割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。(労働基準法第37条)
原則午後10時から午前5時までの間に労働させた場合は、通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。(労働基準法第37条)
→ 詳しくは「時間外労働・休日労働・深夜労働」へ


Q3.一時帰休など会社の都合で労働者を休業させた場合には、どのような保障をすればよいのですか?

A3.
会社の都合により労働者を所定労働日に休業させた場合には、休業させた日について少なくとも平均賃金の100分の60以上の休業手当を支払わなければなりません。(労働基準法第26条)


Q4.毎月の賃金から従業員の食事代を控除したいのですが、何か手続が必要ですか。

A4.
税金、社会保険料等の法律で控除が認められているもの以外を賃金から控除する場合は、労働者の過半数を組織する労働組合がある場合はその労働組合、無い場合は労働者の過半数を代表する労働者との書面の控除協定が必要です。(労働基準法第24条)


Q5-1.私は製品の配達途中、得意先の店舗に車をぶつけて、得意先の店舗を破損させてしまい、取引にも大きな影響が出ました。これに関する損害について全額を私が負うようにと勤務先の会社から言われました。会社からは、損害賠償分を賃金から控除すると言われていますが、金額が大きいため控除されれば生活にも影響があり困っています。

A5-1.
不注意の内容が、労働者の重大な過失による場合は、民事上の損害賠償の請求も可能なときもあります。
ただし、会社側でその損害を具体的に明らかにする必要がありますし、また、従業員の了解なしに一方的に賃金から損害賠償分を控除することは、賃金の全額払を定めている労働基準法に抵触します。(労働基準法第24条)


Q5-2.5-1.のように従業員が了解しない限りは、賃金から損害賠償金を控除することは許されないことは理解しました。しかし、まだ疑問はあります。私は、取引先の店舗に与えた破損について、損害補償の請求金額を勤務先の会社に対し全額払わなければならないのでしょうか?

A5-2.
これは、第三者に対する損害について責任を負わなければならないかという問題です。
結論から申し上げますと、会社はあなたに求償することはできますが、損害の全額を請求することには問題があると思われます。
民法第715条第1項には、従業員が事業の執行につき第三者に損害を与えた場合使用者がその損害賠償の責めに任ずると定めがあります。いわゆる使用者責任です。
しかしながら、第三者に損害を与えた行為者は、あくまで従業員本人であり、その損害賠償の責任を行為者本人が負うことはいうまでもありません。
民法第715条第3項には、使用者は当該従業員に対して求償権を行使することが出来ると定めがあります。
ただし裁判所は企業と労働者の間で損害を公平に分担するという観点から求償権を一定の範囲で制限する立場をとっており、最高裁の判例では、「使用者はその事業の性格、規模、施設の状況、被用者の業務内容、労働条件、勤務態度、加害行為の態様、加害行為の予防若しくは損失の分散についての使用者の配慮その他諸般の事情に照らし損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度において損害賠償の請求をすることが出来る」と判示し求償を全損害の4分の1に制限しています。


Q5-3.この際、自分が運転していた勤務先の会社の社用車も破損してしまいました。会社から社用車の修理代を全額請求されていますが支払わなければいけないのでしょうか。

A5-3.
これは、5-2.とは異なり、第三者ではなく会社に与えた損害についての問題です
このケースでは、会社はあなたに対し、雇用契約上の義務の不履行を理由とする損害賠償を請求することが出来ます。
つまり、注意散漫で運転するような行為は誠実な業務遂行とはいえず、それにより会社に損害を与えたことを理由に損害賠償を請求できるということです。
ただし裁判所は企業と労働者の間で損害を公平に分担するという観点から求償を一定の範囲で制限する立場をとっており、軽微な過失に基づく事故に対しては、損害賠償請求権を行使できないと判示しています。
しかしながら、居眠り運転等重大な過失が労働者にある場合は、損害賠償額は、使用者の事業の性格、規模、施設の状況、被用者の業務内容、労働条件、勤務態度、加害行為の態様、加害行為の予防若しくは損失の分散についての使用者の配慮、賠償の負担能力等を勘案し決定することとなり、判例では、使用者が労働者に求償できる限度を、おおむね全損害額の4分の1から半額とする傾向にあります。


Q6.労働契約の際に労働者が納得していれば、賃金はいくらにしてもかまいませんか?

A6.
最低賃金以上の金額にする必要があります。大阪府における最低賃金はこちらをご覧ください。(最低賃金法第5条)
この金額以上の賃金を支払わなければなりません。


Q7.従業員Bの勤務態度が悪く、遅刻もしばしばです。制裁として3か月間、給料を10%減らそうと思いますが、注意すべき点について教えて下さい。

A7.
減給の制裁を行う場合は、制裁の内容を就業規則に規定しておく必要がありますし、1回の事案による制裁は平均賃金の2分の1まで、また、一賃金支払期について数事案発生してもその合計額がその支払期賃金総額の10分の1までという制限がありますので、ご質問のような制裁は許されません。(労働基準法第91条


Q8.資金繰りが厳しく手形の不渡りを発生させないために、取引先などへの支払を優先し、賃金の支払を待ってもらおうと考えていますが、問題ないですか。

A8.
賃金は一般の債権に優先される先取特権がありますので、賃金の支払の方を優先させなければなりません。


Q9.私はある会社のパートタイマーとして20年勤務し、先日退職しました。退職金の請求はできるでしょうか。

A9.
退職金については、法律上支払が義務付けされているものではなく、会社に退職金制度がある場合についてそれに従った支払が強制されているものです。
したがって、肝心なことは会社に退職金制度があるのかないのか、そこを確認することです。
制度があるにもかかわらず、それに従った支払をしないということであれば、労働基準法に抵触することになります。(労働基準法第24条)


Q10.当社には、退職金規程がありますが昨今の景気の状況から、退職者に規程に基づく退職金の支払は困難となっています。それでも、やはり全額支払わなければなりませんか。

A10.
退職金規程に基づき、所定支払日に全額支払う必要があります。(労働基準法第24条)


Q11.私は会社を退職して4年になりますが、特に理由はありませんが今まで退職金について会社に請求をしませんでした。これからでも会社に請求できますか。

A11.
会社に退職金制度があるのであれば、請求することは可能です。
ちなみに、毎月の定期賃金については2年、退職金については5年が時効となっています。(労基法第23条、労基法第115条)


Q12.会社の経営が苦しいとのことで、賃金を引き下げると社長から言われました。私としては納得がいかないのですが。

A12.
判例によれば、使用者が恣意的に労働者に不利益な労働条件を一方的に課すことは原則として許されるものではありませんが、就業規則の変更によるものについては、当該規則の条項が合理的なものである限り、個々の労働者の同意までは要しないとされています。
この場合、合理的なものかどうかは、
1. 就業規則変更によって労働者が被る不利益の程度
2. 使用者側の変更の必要性の内容・程度
3. 変更後の就業規則の内容の相当性
4. 代替措置その他関連する他の労働条件の改善状況
5. 従業員との交渉の経緯
6. 同種事項に関する社会的一般的状況
を総合勘案し判断すべきであるとされています。
また、使用者から予めまったく何の説明もなく、賃金支払日に一方的に賃金を差し引くことは、労働基準法第24条に抵触する可能性もあります。
なお大阪労働局では、法律違反とならない労働者個々の個別労働紛争に対して、労働局長の助言・指導やあっせんの場を提供する個別労働関係紛争解決制度を行政サービスとして提供しております。


Q13.社長から突然賞与を減額すると言われました。問題は無いのでしょうか?

A13.
「賞与」が、就業規則等により、予め支給時期、支給金額を定められているものであれば、賞与減額は労働条件の変更になり、原則として、個々の労働者の同意が無ければ、労働条件の変更は有効とされません。
ただし、労働者の同意を得ていないものの、就業規則の変更により労働条件の変更を行う際に、その変更条項が合理的である場合は、その適用を拒否することはできないとした判例があります。
なお、会社の業績により賞与支給金額を決定する、支給計算期間中の勤怠や業績評価等の査定等を経て賞与支給額を決定するなど就業規則等に定められている場合もあり、適正な査定等による減額であれば、問題はないと思われます。

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ic_list.gif労働者と会社間の労働に関する民事上のトラブルについては(各総合労働相談コーナー)へご相談下さい。

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