新しい働き方調査報告書(概要版)

調査の概要

1.調査の目的
 本調査は、中小企業が99.2%を占める埼玉県における就業意識の状況、雇用形態に起因する問題、ワークシェアリングなどについて、県民や事業所を対象としてアンケート調査を行い、多様な働き方を適切に推進する上での基礎データを収集し、今後の労働行政施策に反映させようとするものである。

 
2.調査の概要
項   目 事業所調査
調査対象 埼玉県内の民間事業所
     1,000事業所
抽出方法 平成14年事業所・企業統計調査による事業所名簿より抽出
(従業員規模別、地域別で配分。業種は「建築業」「製造業」「運輸・通信業」「卸売・小売業、飲食業」「金融・保険業」「サービス業」の6業種。)
調査方法 郵送留置・訪問回収(回収の際に一部聞き取りも実施)
調査時期 平成15年8月~10月
回 収 率 60.9%(回収数609件)
 
事業所調査の結果概要
【※事業所調査の調査数(n)は、特記がない限り609事業所】
 

第1.回答者(事業所)の属性について

 

1.事業所の所在地
西部地域(34.6%)、東部地域(25.0%)、中央地域(24.3%)、北部地域(10.7%)、秩父地域(5.4%)。

 

2.業種
「製造業」(29.4%)が最多、「サービス業」(15.1%)、「小売業」(9.7%)、「建設業」(9.0%)の順。

 (%)
建設業 製造業 運輸業 情報通信業 卸売業 小売業 飲食店 金融・保険業 サービス業 不動産業 電気・ガス・
水道業
その他 無回答

9.0

29.4

7.4

0.3

5.7

9.7

6.7

2.6

15.1

0.3

0.7

11.7

1.3

 

3.企業全体の従業員数
「10~29人」(20.0%)が最多、「100~299人」、「30~49人」、「100人以上」の順。100人未満が6割。

【グラフ】企業全体の従業員数

第2.多様な働き方・ワークシェアリングについて

 

1.ワークシェアリングの認知度
『内容を知っている』が6割弱。規模が大きい方が認知度が高い。

 
  • 「内容を多少は知っている」(45.3%)が最多、「内容は知らないが、ことばはしっている」(27.9%)、「内容をよく知っている」(12.3%)、「内容もことばもい知らなかった」(8.7%)の順。
  • 「内容をよく知っている」「内容を多少は知っている」を合計した『内容を知っている』は57.6%。
  • 『内容を知っている』は、金融・保険業で7割台半ば、製造業で7割弱と高率である。また、規模が大きいほどその割合が高く、10人未満では約3割に過ぎないが、300人以上では8割を超えている。

【グラフ】ワークシェアリングの認知度

 

2.ワークシェアリングの導入・検討の状況
(1)ワークシェアリングの導入状況
 ワークシェアリング導入率は約1割、類型別では「中高年対策型」が多い。業種別では運輸・情報通信業の導入率が高く、「中高年対策型」が中心。

 
  • 「導入していない」(85.6%)が最多。導入しているのは、「雇用維持型(中高年対策型)」(4.9%)、「雇用維持型(緊急対応型)」(2.5%)、「多様就業型」(1.8%)、「雇用創出型」(0.2%)となっている。
  • 重複回答を考慮して計算すると、ワークシェアリングが導入されている事業所は9.0%となる。
  • 業種別で導入率が高いのは、運輸・情報通信業(17.0%)、サービス業(10.9%)。
  • ワークシェアリングの類型別に導入が多い業種は、「雇用維持型(中高年対策型)」は運輸・情報通信業(10.6%)、卸売業(8.6%)、「雇用維持型(緊急対応型)」は飲食店(9.8%)。

 (%)

導入していない 「雇用維持型(中高年対策型)」
を導入している
「雇用維持型(緊急対応型)」
を導入している
「多様就業型」を
導入している
「雇用創出型」を
導入している
無回答

85.6

4.9

2.5

1.8

0.2

5.4

 

(2)ワークシェアリングの導入理由
「雇用維持型」「多様な働き方・場の提供」「人件費削減」「人材確保」が多い。

 
  • 「従業員の雇用を守るため」(41.8%)が最多、「多様な働き方・場を提供するため」「人件費の削減のため」「有能な人材を確保するため」(ともに38.2%)の順。

    (n=55, %)

従業員の雇用
を守るため
多様な働き方・場を
提供するため
人件費の削減
のため
有能な人材を
確保するため 
企業として社会的な
責任を果たすため
生産性の向上
のため
他の雇用調整策
より実施しやすいため
会社のイメージ
アップのため
労働組合(従業員)
からの要請に応えるため
その他 無回答

41.8

38.2

38.2

38.2

16.4

16.4

14.5

3.6

0.0

1.8

1.8

 

(3)ワークシェアリングを導入していない理由
「仕事の内容が導入に適さない」が最多で、規模が大きい方が割合が多い。

 
  • 「仕事の内容が導入に適さない」(41.5%)が最多、「ワークシェアリングの内容や仕組み自体がよくわからない」(17.7%)、「賃金が減ることについて、従業員の了解が得られない(得られる見込みがない)」(16.7%)、「当事業所の規模では導入に適さない」(16.1%)の順。

                                                                                                           (n=521, %)

仕事の内容が
導入に適さない
ワークシェアリングの
内容や仕組み自体
がよくわからない
賃金が減ることについて、従業員の
了解が得られない
当事業所の規模
では導入に適さない
世間に広く普及
していないので
時期尚早
生産性が低下する 人事・労務管理
が複雑になる
人件費の削減
効果が少ない
従業員の質や
意欲が低下する
他の雇用対策
を実施済み
特に雇用対策を
実施する必要がない
その他 無回答

41.5

17.7

16.7

16.1

13.2

12.3

11.5

9.2

9.2

2.1

11.7

5.0

3.5

 

(4)ワークシェアリングの検討状況
「今後も実施しない」が約5割、「今後検討したい」は約3割。「検討している」は1割以下。

 
  • 「検討していないし、今後も検討するつもりはない」(49.5%)が最多、次いで「検討はしていないが、今後検討したい」(33.6%)、「雇用維持型(中高年対策型)について検討している」(3.3%)、「どのような型かは絞っていないが、検討している」(2.7%)の順。
  • 「今後検討したい」は300~1000人未満で4割台半ばで最多、規模が小さい方が割合が少ない。

                                                                                                           (n=521, %)

検討していないし、今後も検討するつもりもない 検討していないが、今後検討したい 「雇用維持型(中高年対策型)」について検討している どのような型か絞っていないが、検討している 「多様就業型」について検討している 「雇用維持型(緊急対応型)」について検討している 「雇用創出型」について検討している その他 無回答

49.5

33.6

3.3

2.7

1.2

0.6

0.2

5.8

3.3

 

3.「多様就業型ワークシェアリング」を活用した多様な働き方の推進に対する考え
「どちらともいえない」が6割弱、『推進すべき』は2割台半ば。

 
  • 「どちらともいえない」(57.6%)が最多、「どちらかといえば進めるべき」(17.9%)、「積極的に進めるべき」(6.6%)、「進めるべきではない」(3.0%)の順。
  • 「積極的に進めるべき」及び「どちらかといえば進めるべき」を合計した『推進すべき』24.5%で「どちらともいえない 」の半分以下となっており、事業所の慎重姿勢がうかがえる。
  • 『推進すべき』は、金融・保険業、卸売業では3割台半ば、運輸・通信業では約3割で、他業種よりも多く、飲食店では1割台半ばで少ない。規模ごとの差異はあまりない。

 

【グラフ】「多様就業型ワークシェアリング」を活用した多様な働き方の推進に対する考え

 

4.「多様就業型ワークシェアリング」を活用した多様な働き方のメリット
 「従業員に時間のゆとり、仕事と家庭の両立」が最多、「女性・高齢者の雇用拡大」「人件費低下」の順。

 
  • 「従業員に時間のゆとりができ、仕事と家庭の両立を図ることができる」(18.7%)が最多、「女性や高齢者などの働く場が広がる」(17.1%)、「人件費が低下する」(13.6%)、「雇用慣行や人事制度を変える機会になる」(11.2%)の順。また、「メリットは特にない」が26.6%を占める。

                                                                                                                     (%)

従業員に時間のゆとりができ、仕事と家庭の両立を図れる 女性や高齢者などの働く場が広がる 人件費が低下する 雇用慣行や人事制度を変える機会になる 有能な人材が確保できる 中長期の雇用
の安定につながる
生産性が向上する 会社のイメージアップにつながる 従業員の士気が向上する 従業員能力開発が進む その他 メリットは
特にない
無回答

18.7

17.1

13.6

11.2

10.8

6.9

6.4

5.6

4.6

4.6

3.4

26.6

16.4

 

5.「多様就業型ワークシェアリング」を活用した多様な働き方のデメリット
 「職務の分担・引継、技能・技術の継承が難しい」、「人事・労務管理の複雑化」が多い。

 
  • 「職務の分担・引継、技能や技術の継承が難しくなる」(31.2%)が最多、「人事・労務管理が複雑になる」(28.2%)、「生産性が低下する」「雇用が短期的、不安定になり、人材が定着しない」(ともに19.4%)、「会社への帰属意識や従業員の一体感が薄れる」(13.8%)の順。

                                                                                                                      (%)

職務の分担・引継、技能や技術の継承
が難しくなる
人事・労務管理が複雑になる 生産性が低下 雇用が短期的、不安定になり、
人材が定着しない
会社への帰属意識
や従業員の一体感
が薄れる
従業員の専門能力、技能が低下する 質の高い人材を確保できない 賃金などのコスト削減が進まない その他 デメリットは特にない 無回答

31.2

28.2

19.4

19.4

13.8

11.0

10.7

9.4

3.8

10.3

16.1

 

6.「多様就業型ワークシェアリング」を活用した多様な働き方推進のために重要なこと
 「導入企業への公的な優遇措置」「年金・保険制度改正」「従業員の技能低下防止・生産性向上」が多い。

 
  • 導入した企業にとって負担増にならないよう、公的助成や税制等の優遇措置を講じること」(22.0%)が最多、次いで「年金や保険の制度を改正すること」(20.4%)、「従業員の技能の低下を防ぎ、生産性の向上を図ること」(19.4%)、「賃金や退職金、昇進・昇格などで公正に処遇すること」(17.7%)などとなっており、回答が分散している。
  • 業種別では、建設業、製造業では、「導入企業への公的な優遇措置」、運輸・情報通信業、金融・保険業は「年金・保険制度の改正」、小売業、飲食店は「年齢・性別に関係なく仕事を選べるシステムづくり」、サービス業では「子育・介護をしやすい環境づくり」などが最多。

    ※ 回答の状況は、個人調査の第3の7の表に記載

7.勤労者の職業能力を高める方法で重視すること
「勤労者自らの自己啓発」が最多。

 
  • 「勤労者が、自ら自己啓発すること」(52.9%)が最多、次いで「会社が、従業員の自己啓発を援助すること」(22.7%)、「会社が、従業員を教育訓練すること」(21.7%)の順。

                                                                                                                      (%)

自ら自己啓発すること 会社が、従業員の自己啓発を援助すること 会社が、従業員を教育訓練すること 行政が、職業訓練サービスを提供すること 行政が、勤労者について公的な認定・評価制度を整備すること 行政が、教育訓練給付制度を整備すること 会社が、社内資格制度を整備すること 学校教育が、職業訓練・職業教育を提供すること

民間企業が、職業訓練サービスを提供すること

その他 無回答

52.9

22.7

21.7

18.6

16.6

15.8

11.3

7.2

2.5

4.8

20.4

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