第3回大阪府成長力底上げ戦略推進円卓会議議事概要

  

1 開催日時
   平成20年10月31日(金)午前9時から同11時

 

2 開催場所
   プリムローズ大阪  鳳凰の間

3 出席者
  原内閣府政策統括官付参事官、市谷大阪府商工労働部労働政策監、竹内大阪府教育委員会次長、大竹大阪大学社会経済研究所教授、奥林摂南大学経営情報学部教授、冨田同志社大学社会学部教授、山本関西経営者協会専務理事、岡本大阪府中小企業団体中央会会長、西田大阪商工会議所常務理事事務局長、今村大阪府商工会連合会専務理事、川口日本労働組合総連合会大阪府連合会会長、梅本日本サービス・流通労働組合連合大阪府支部支部長、山脇日本郵政グループ労働組合近畿地方本部執行委員長、高田日本基幹産業労働組合連合会大阪府本部委員長、脇本日本労働組合総連合会大阪府連合会事務局長、梶本社会福祉法人大阪府社会福祉協議会会長、重里社団法人大阪府専修学校各種学校連合会副会長、武田大阪府立工業高等専門学校長、永田独立行政法人雇用・能力開発機構大阪センター統括所長、桑島大阪労働局長、薗近畿経済産業局産業部産業課長、秋田近畿財務局総務課長、堤近畿運輸局企画観光部交通企画課長、西植近畿地方整備局建政部長、藤澤近畿農政局生産経営流通部次長、島田近畿総合通信局情報通信部長

4 議事次第
(1)開 会
(2)議 題
    ア 人材能力戦略について
    イ 就労支援戦略について
    ウ 中小企業底上げ戦略について
    エ 生産性向上に向けた職業能力の開発と人材の確保・育成について
(3)閉 会

 

5 配付資料
  「大阪府成長力底上げ戦略推進円卓会議設置要綱」
   ※ なお、以下の個々の資料内容については省略させていただきますので、ご了承願います。

(全体資料)
  資料 1 ジョブ・カード制度の推進状況について
資料2-1 ジョブ・カード制度「全国推進基本計画」のポイント
資料2-2 「全国推進基本計画」(概要)
資料2-3 ジョブ・カード制度「全国推進基本計画」
資料 3  就労支援戦略について(1)「福祉から雇用へ」推進5か年計画
資料 4  中小企業の生産性向上と最低賃金の中長期的な引上げの基本方針について(円卓合意)
(大阪労働局)
  資料5-1 有期実習型訓練基準の見直し
資料5-2 就労支援戦略関連資料
資料5-3 就業構造等関連資料
(近畿経済産業局)
  資料 6 中小企業生産性向上プロジェクト関連資料
(独立行政法人雇用・能力開発機構大阪センター)
  資料 7 ジョブ・カード、人材能力開発関連資料
(大阪府)
  資料8-1 大阪府工賃倍増5か年計画関連資料
資料8-2 大阪府における職業能力開発と人材育成について
(大阪商工会議所)
  資料 9 ジョブ・カード制度の取組状況について
(その他)
  当日配付資料(略)

 

6 議 事

 

○桑島大阪労働局長
 ただいまから大阪府成長力底上げ戦略推進円卓会議の第3回会議を開会いたします。本日はお忙しい中ご参集いただきまして、誠にありがとうございます。
 私は、本日の会議の事務局を務めさせていただきます大阪労働局の桑島でございます。どうかよろしくお願いいたします。
 この大阪での円卓会議は、昨年の11月30日に第2回会議を開催したところでございますが、その後、中央におきましては、昨年の12月26日に第4回、それから本年の5月15日に第5回、そして6月20日に第6回の円卓会議がそれぞれ開催されたところでございます。
 この間、ジョブ・カード制度がスタートしておりますし、第6回の中央円卓会議におきましては、中小企業の生産性向上と最低賃金の中長期的な引き上げの基本方針について合意されるなど、各戦略も着実に進展しているところでございます。
 本日の会議におきましては、3つの柱でございます人材能力戦略、就労支援戦略及び中小企業底上げ戦略のほか、大阪の独自議題といたしまして、生産性向上に向けた職業能力の開発と人材の確保・育成について、これも議題としておりますので、広くご議論いただきますようよろしくお願い申し上げます。
 それでは、開会に当たりまして、内閣府政策統括官付産業雇用担当参事官・原宏彰からごあいさつを申し上げます。

 

○原内閣府政策統括官付参事官 
 ただいまご紹介賜りました内閣府の原でございます。開催に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げたいと思います。
 本日はお忙しい中、市谷労働政策監をはじめといたしまして、産業界、労働界、福祉関係、あるいは労働組合関係など、府内の各界を代表する方々、また国の地方支分部局の代表にお集まりをいただきまして、第3回の円卓会議を開催いたすことができました。これもひとえにご出席の皆様方、あるいは関係者の皆様方のご努力とご理解の賜だというふうに心よりお礼を申し上げたいと思います。
 さて、皆様ご承知のとおり、この8月から世界経済あるいは日本の経済が変調をきたしてまいりまして、一時、原油が147ドルまで上がりまして、今、60ドルぐらいだそうですので、半分以下に下がっております。また穀物も非常に高くなったということで、福田内閣のときに第1次の対策を取りまとめたわけでございます。その後、リーマンが破綻する等、サブプライムローンの影響に端を発する金融危機ということで、麻生総理のお言葉を借りますと100年に一度というような金融危機であるということでございます。
 我が国でも株価の下落ということで、8月中頃には日経平均が1万3,000円ぐらいでしたが、昨日の終値が9,000円ちょっとでございますので、やはり3割程度下落しているということで、実体経済への影響も非常に懸念をされているところでございます。
 ご存じのとおり、昨日、第2次の経済対策が取りまとめられまして、今後、それを具体化する二次補正の攻防が国会で始まるわけでございますけれども、具体策としましては3つの柱がございます。1番目が生活者の暮らしと安全でございます。それから2番目が金融経済の安定強化でございます。それから3番目が地方の底力の発揮ということで、この3つが大きな柱になってございまして、本日お集まりの皆様方に特に関係があるところを少し紹介いたします。
 まず、生活者の暮らしと安心の中で、例の2兆円までを限度といたします生活支援定額給付金というものの実施が掲げられてございます。それから、経済界に対する賃金引き上げの要請という、なかなかそうはいかないのかもしれませんけれども、要請ということで入ってございます。それから、雇用保険の保険料の引下げの件が入ってございます。それから、非正規労働者の雇用安定対策の強化ということで掲げられてございまして、その中にジョブ・カードの拡充というような項目も上がってございます。それから、中小企業等の雇用維持対策でありますとか、地域における雇用機会の創出でありますとか、あるいは中小企業、これから年末年始を迎えるわけでございますので、貸し渋りの防止等々、金融の部分に関しますかなり大きな政策を打っているということでございます。
 この前お聞きしたところでは、中川財務金融大臣はもともと興銀のご出身でございまして、同期の方々が大体銀行で役員になっておられるそうでございますので、それぞれの銀行の現状等々については、直接そういう方々からご取材をされているという話も聞いてございますので、機動的な対応をしていただいているんだろうなというふうに認識をしているところでございます。
 話はもとに戻りますが、本日の円卓会議でございますけれども、これまでのご議論を踏まえていただきまして、各地域の実情に応じて、経済の活性化あるいは雇用創出の方策など、地域の問題につきましてご議論を深めていただくことをお願いしたいと思いますし、そのことが地域の経済のますますの発展、活性化につながるということを目的としている会議でございますので、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。
 また、各界の方がお集まりでございますので、情報交換でありますとか、いいアイデアでありますとか、そういうものを共有していただく、あるいは改善のヒントとしていただくというようなことが非常に大事であると思っておりまして、その成果が地域経済あるいは府民への成果につながるということをご理解いただきたいと思っておりますし、またここでご議論がありました話は、共有ができればいいなと考えておりますので、ひとつ、ぜひよろしくお願いいたします。
 以上であいさつを終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

 

○桑島大阪労働局長 
 ありがとうございました。
 それでは、本日の参加者についてご紹介をさせていただきます。
 お手元にお配りしております構成メンバー表がございますので、そちらをご覧ください。
 まず、交代された方でございますけれども、労働界から、これまでの馬渕貞美日本私鉄労働組合関西地方連合会執行委員長に代わりまして、梅本友之日本サービス・流通労働組合連合大阪府支部長にご出席いただいております。

 

○梅本日本サービス・流通労連大阪府支部長 
 梅本でございます。

 

○桑島大阪労働局長 
 それから、本日のその他の出席者のご紹介は、お手元にお配りしております出席者名簿で代えさせていただきたいと存じます。
 それでは、本日のこの後の議事の進行につきましては、奥林議長にお任せしたく存じます。よろしくお願い申し上げます。

 

○奥林議長 
 皆さん、おはようございます。
 早朝からお集まりいただき、ありがとうございます。この会議も3回目を迎えまして、議題もより具体的になっておりますし、また参加者の皆さんもお互いに顔見知りになっておりますので、できるだけ深い議論を展開していただければと思います。
 今日の議題は、先ほども紹介がありましたように、4つございますが、一応時間の進行の目安としまして、第1議題で25分ほど、それから第2議題で20分ほど、それから第3議題で25分ほど、最後の第4の議題のところが、3つの議題をまとめたような形になると思いますので、35分ほど取りまして進めてまいりたいと思います。第2議題のところで10時前後を予定しております。
 それでは、まず第1議題ということでありますが、ジョブ・カード制度に関する進捗状況につきまして、大阪労働局から説明していただきたいと思います。
 なお、資料につきましては事前に配付されておりますので、説明は簡単にお願いいたします。よろしくお願いします。

 

○桑島大阪労働局長 
 それでは、ジョブ・カード制度について説明させていただきます。
 まず、ジョブ・カード制度をめぐる全国的な動きでございますけれども、事前にお配りしております全体資料の1で、中央円卓会議でのご議論を踏まえまして、今後のスケジュールも含めて取りまとめておりますので、ご参照いただきたいと存じます。
 それから、ジョブ・カード制度の全国推進基本計画に関しましては、全体資料の2-1から2-3で、制度普及に係る基本的な考え方、具体的な取組等について取りまとめております。
 それではまず、資料の2-1をご覧いただきたいと存じます。
 ジョブ・カード制度の全国推進基本計画のポイントでございますが、まずポイントの1、対象者の拡大ということで、ジョブ・カード制度の趣旨、目的について記述しておりまして、今後はその対象者を拡大していくということとしております。
 それから、ポイントの2でございますけれども、関係者が多いジョブ・カードを地域において活用普及させるために、政府として効果的なPRに努めるほか、地域においても関係者が参画して、地域に根差した推進方法を検討し、実施していく必要があるということでございます。
 それから、ポイントの3、ポイントの4でございますが、企業において訓練生を受け入れていただく必要がありますので、企業に対する支援を行いつつ、協力を得られる企業を増やし、その企業に訓練生を支援していただくことが求められます。
 それから、ポイントの5にございますように、企業ではなく、大学や専門学校等において行われる実践型教育プログラムを普及させていくことも必要であります。
 それから、ポイントの6でございますけれども、ジョブ・カード様式の記入内容が企業の採用担当者に関心を抱かせる程度のものにしていただくためには、キャリア・コンサルタントの確保養成が必要でありまして、その対応を図ることとしております。
 最後に、計画の期間、それから目標、また今後の見直しについては、ポイントの7、8にあるとおりでございます。
 この全国推進基本計画を踏まえまして、大阪におきましても地域推進計画を策定し、ジョブ・カード制度の普及推進を図っていくこととしております。この制度は、本年度から開始した政府を挙げての事業でございまして、今後5年間で、これは全国の数字でございますけれども、ジョブ・カードの取得者を100万人、ジョブ・プログラム修了者を全国で40万人にするということを目標としているわけでございます。
 それで、大阪ではどうなっているのかということでございますけれども、11月に開催される予定でございます大阪府地域ジョブ・カードセンター運営本部第2回委員会で決定される運びというふうに伺っております。
 ジョブ・カード制度を拡充させるということでございまして、今年度におきましては、資料の5-1でございますけれども、有期実習型訓練につきまして、基準を見直すということで、訓練修了後に自社または他社で正社員として登用が予定されている場合は、Off-JT割合の下限を引き下げるとともに、Off-JT指導員、講師などの要件を緩和する。それから、もう1点、フリーター予備軍も対象とするために、新規学卒後「2年以内の者を除く」というのを「6カ月以内の者を除く」に変更するということなどの訓練基準の緩和を行いまして、既に本年の10月から実施しているところでございます。
 それから、平成21年度の概算要求におきましては、キャリア形成促進助成金制度の拡充、訓練期間中の生活保障のための給付をすることができる制度の創設、有期実習型訓練修了者を常用雇用する事業主に対する奨励金の支給拡大、地域ジョブ・カードセンターへのキャリア・コンサルタントの配置、雇用型訓練に係る先導型モデルの構築などを要求しているところでございます。
 それから、この制度を普及促進するためには、これまで制度自体が余り知られていないということがございますので、11月には政府広報でテレビCM放映を予定しているところでございます。
 また 、ジョブ・カード活用への関心、あるいは意欲を高めるための取組として、職業能力形成プログラムの訓練修了者にジョブ・カード推進協議会の名前による修了証を交付することを検討しております。
 さらに、これまでの対象者とは別に、高齢者など職業キャリアが長い方向けのジョブ・カード様式を検討しているところでございます。
 このジョブ・カード制度でございますが、制度の普及推進を図っていくためには、企業での実習による訓練機会を提供していただくことが重要でございますので、経済団体の皆様方には会員企業がジョブ・カード制度に参加していただきますよう声をかけていただくよう、ぜひお願いいたします。
 大阪労働局といたしましても、大阪商工会議所が運営本部の事務局を務めておられます大阪府地域ジョブ・カードセンターや、雇用・能力開発機構大阪センターとも連携を図りながら、その普及促進に全力を傾ける所存でございますので、皆様方におかれましても、側面からのご支援をぜひともお願い申し上げます。
 以上でございます。

 

○奥林議長 
 ありがとうございました。ジョブ・カードの具体的な運営につきましては、大阪における大阪府地域ジョブ・カードセンター運営本部の事務、これを引き受けておられます大阪商工会議所から有期実習型訓練の開拓状況につきまして、ご説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

 

○西田大阪商工会議所常務理事 
 大阪商工会議所の西田と申します。それでは、実施状況についてご報告申し上げます。
 ジョブ・カード事業につきましては、ただいま説明があったとおりでございますけれども、この事業を厚生労働省から日本商工会議所が委託を受けまして、さらに日本商工会議所から全国各地の商工会議所が採択されているという状況でございます。
 大阪では4月に、大阪府の地域ジョブ・カードセンターを開設いたしますとともに、北大阪、豊中、茨木の各商工会議所に設けられましたサポートセンターと協力をいたしまして、この大阪府域内の事業の推進に当たっているところでございます。
 大阪府域におけますジョブ・カード事業を円滑に、かつ効率的に推進していくために、行政、教育訓練機関、経済団体、それから福祉機関等21の機関・団体で構成をいたします大阪府の地域ジョブ・カードセンター運営本部を設置しております。議長には、本日もご出席をされております同志社大学の冨田先生にお願いをしておりまして、7月1日に第1回の委員会を開催いたしまして、大阪府域における普及方法についてご審議をいただいたところでございます。
 大阪商工会議所なり各商工会議所の役割でございますけれども、求職者の職業訓練の受け入れ企業の開拓が主たる目的でございます。とりわけ、職業能力の形成プログラムの中で、有期型の実習訓練に協力していただけます企業の開拓でございます。
 そこで、まず企業にこの事業のPRをさせていただく、よく理解していただくということを目的に、8月21日に第1回のジョブ・カード普及促進フェアを開催いたしまして、その講師に、ジョブ・カード事業の推進役を担っておられます元経済財政担当大臣で現在、政策研究大学院大学教授の大田弘子様をお迎えをしたところでございます。当日は、約400名の参加を得まして、大田教授からジョブ・カード事業の実施の背景でございますとか意義、あるいは政府の取組状況についてご講演をいただきました。また、7月には、大阪商工会議所の会員のうち、3,000社に対しましてアンケート調査を実施いたしました。回答率は少し低かったわけでございますが、276社から回答がございました。このうち117社から、ジョブ・カードの活用を検討したいので、詳細の説明を希望するとの回答を頂戴いたしました。
 業種別に見ますと、製造業が約35%、卸売業が21%ということで、この2業種で半分以上を占めております。従業員規模で見ますと、100人以下の企業が7割弱ということでございました。この117社のうち90社が有期実習型訓練に協力をしてもよいというご意向をお示しになっておられます。
 私共では、このアンケート結果をもとに、センターに配置をしております企業開拓推進員が、ジョブ・カード事業に関心をお持ちの企業様をご訪問いたしまして、同制度活用のメリットでございますとか、具体的な手続などの説明をいたしまして、職業訓練に協力いただく企業を開拓しているところでございます。
 その結果でございますけれども、別添資料9の1枚物ですが、裏に、それぞれ現時点、これ9月の末時点でございますけれども、協力をしようということでご承諾をいただきました59社のリストを掲げてございます。これらの企業に対しまして、順次、センターに配置をいたしております訓練コーディネーターが、それぞれ各社の訓練計画策定を支援させていただいておりますけれども、既にこの内の数社が雇用・能力開発機構の認定を受け、ハローワークを通じて求職者の募集という段階まで来ているところでございます。
 次のステップといたしましては、これは私共の業務を越えるわけでございますけれども、ハローワーク等において、フリーターでございますとか、あるいは子育て終了後の女性たちに対し、適切なキャリア・コンサルティングを行っていただき、訓練実施企業に結びつけていただくことが必要であると考えておりますけれども、聞きますと、求職者の確保におきまして、本事業の認知度が今一つではないかという面を危惧しているところでございます。また、企業がたとえ職業訓練実施を承諾いたしましても、求職者の応募が無かったり、あるいは応募者が求人数を下回るというようなことになりますと、この事業はなかなか所期の成果を上げることはできないというような局面にも至るわけでございます。今後は特に、若年の求職者に対しまして、全国民レベルでの周知、例えばマスコミ媒体を通じての大々的なPR等が必要ではないかと考えております。先ほど11月に、テレビ等を通じてPRしていただけるというようなご説明がございましたので、ぜひそういったことを積極的にしていただければと考えております。
 また、求人企業と求職者の適切なマッチングを行うに当たりましては、キャリア・コンサルティングが重要となりますため、求人企業の具体的な業務内容と求職者の資質の両面をご理解いただいて、うまくマッチングをしていただけるキャリア・コンサルタントをできるだけ多く確保していただき、ハローワークのみならず、若年者の就労支援機関である、例えばJOBカフェOSAKAでございますとか、あるいは民間の職業紹介会社、あるいは人材派遣会社にもキャリア・コンサルタントの配備が必要ではないかと考えております。
 今後、大阪府地域ジョブ・カードセンター及びサポートセンターでは、この事業の普及PRに引き続き努めますとともに、大阪労働局をはじめとする行政、経済団体、福祉関係等と連携し、大阪府域でのこの事業の推進に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

 

○奥林議長
 はい、ありがとうございました。初めての試みですので、いろいろな問題点も出てきていると思います。よろしくお願いします。
 引き続きまして、ジョブ・カード事業の状況につきまして、雇用・能力開発機構大阪センターから説明をお願いいたします。

 

○永田雇用・能力開発機構大阪センター統括所長 
 雇用・能力開発機構大阪センターでございます。私から、ジョブ・カード制度の中で機構が行っております業務の実施状況ということで説明させていただきます。
 資料は7の1ページにありますが、ジョブ・カード制度における私共機構の役割でございますが、まず求職者の方々に対しましてキャリア・コンサルティングを実施するほか、職業能力形成プログラムにおけます支援として有期実習型訓練、それからまた実践型人材養成システムの雇用型訓練に係る訓練計画の作成支援、それからキャリア形成促進助成金の支給、また委託型訓練の業務の実施というようなことになっております。
 キャリア・コンサルティングにつきましては、私共機構の登録、キャリア・コンサルタントであります能力開発支援アドバイザーが、大阪府内16所すべてのハローワーク、あるいは大阪府が運営されておりますジョブカフェ等を巡回いたしまして実施しておりますほか、梅田の新阪急ビル8階に私共の梅田事務所を置いておりますけれども、そこのキャリア形成支援コーナーという窓口においても実施しております。
 このキャリア・コンサルティングの実施に当たって、ジョブ・カードを活用していくということになるわけでございますけれども、2ページにイメージ図を載せております。具体的には、ハローワーク等に来所された求職者の方々に対しまして、まず制度の説明、ジョブ・カード様式への記入、作成指導を行った後に、ジョブ・カードに記載されました本人の職務経歴、学習歴、免許資格などを確認いたしまして、職業能力やキャリア形成上の課題を明確にしていきながら、就業希望や訓練の希望を確認して、職業能力形成プログラム等へ移行するということになります。
 キャリア・コンサルティングの結果につきましては、ジョブ・カードに記載し、本人に交付するということでございます。
 ジョブ・カードの交付件数でございますが、大阪センターの取扱いだけでございますけれども、直近の27日現在で、1,465件になっております。
 次に、職業能力形成プログラムの一つであります有期実習型訓練でございますが、ただいま地域センターを担っておられます大阪商工会議所からご説明がありましたが、機構におきましては、このジョブ・カードセンターと緊密に連携しながら訓練を実施する事業に対しまして、訓練の実施計画の作成、相談、それから訓練の認定を行っております。訓練修了後は、要した経費等につきまして、キャリア形成促進助成金ということで支給するということでございます。
 有期実習型訓練の認定状況でございますが、ジョブ・カードセンターのご努力によりまして、昨日までに8社認定ということになっております。現在検討中、あるいは申請準備中の企業もたくさんあると聞いておりますので、今後、着実に増えていくと見込んでおります。
 委託訓練活用型デュアルシステムにつきましては、概ね35歳未満の若年者、それから子育て終了後の女性、母子家庭の母など、今まで職業能力形成機会に恵まれなかった方々を対象に、民間の教育訓練機関で行います3か月の座学と、1か月間の企業実習を組み合わせて行う訓練でございまして、機構が民間教育訓練機関に委託して実施するということになっております。
 大阪センターといたしましては、今後とも大阪労働局、大阪府、ジョブ・カードセンターなどの関係機関と密接に連携を図りながら、ジョブ・カード制度を推進していくということにしておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

 

○奥林議長 
 はい、ありがとうございました。ただいま、ジョブ・カード制度につきまして、関係者の機関から説明がございました。これにつきましてご質問あるいはご意見等ございましたら、お願いしたいと思います。何かございますでしょうか。
 では、この問題について非常に深くかかわっておられます関西経営者協会から、何かご意見ございませんでしょうか。
 お願いいたします。

 

○山本関西経営者協会専務理事 
 一つ、今さら言っても仕方がないのかなという思いもあるんですが、先ほど局長からのお話で、今後の全国推進基本計画の中で対象者の拡大というのがポイントに一つ入っておりまして、基本的にというか、将来的にそういう方向というのは分からないではないんですが、現在実施されておりますジョブ・カード制度、正直言いまして、まだ余り認知されていないというか、十分利用されていない、これからの問題であるという状況の中で対象を拡大するということになって、かえってその効果、あるいは新たに拡大しようとする対象者について、どのような取組をすることがより効果的であるかという、そういう検証ができないままに進むことになるのではないかなという懸念を私自身は非常に持っております。そういう意味では、今後がどうなるかという問題はあるんでしょうが、今現在やっている中で、こういう課題なり、こういう取組をやらないといかんなということが出てきたものをある程度踏まえた中で対象を拡大することの方が、かえってジョブ・カード制度の有効性、あるいは活用の拡大ということにつながるのではないかなというような思いを非常にしております。今さら言っても仕方がないのかなという気もしつつ、もしそのあたりの若干軌道修正が可能であるならば、お考えいただければありがたいなと思います。
 以上でございます。

 

○奥林議長 
 では、事務局のほうから、何かコメントがございましたら、お願いします。

 

○桑島大阪労働局長 
 対象者の拡大について、本来の制度を使いやすくするということとは別に、先ほど少し申し上げました高齢者など職業キャリアが長い方向けのジョブ・カード云々という話だと思うんですけれども、専務がおっしゃったように、そもそもジョブ・カード制度の認知自体が、大阪商工会議所のご説明にもありましたとおり、まだこれからやろうという段階で、制度の問題点なども認識しないままどんどん拡大しても、なかなか難しいのではないかという、あるいは本来の効果が期待できないのではないかという懸念もございます。
 とは言いながらも、やはりそれだけ逆に、世の中から期待されているということの裏返しでもあろうかと思いますので、ここは進めながらということで、若年フリーターなどの部分と、全然別の高齢者などの部分とともにやっていきたいと考えております。いずれにしても、ニートですとか、フリーターのような職業経歴のほとんどない人と、他方何十年と企業の中で経歴を積んでこられた高齢者の方については、同じジョブ・カードといっても、やはりその内容はかなり違ってしかるべきだろうというふうには考えておりまして、それぞれの目的に合わせて使いやすいものにしなければいけないと思っておりまして、私共は厚生労働省本省とも、そういうふうなやり取りをしてまいりたいと考えているところでございます。

 

○奥林議長 
 ありがとうございます。いずれにしても、制度が始まったばかりでありますので、これからいろいろな経験を踏む中で、調整していただきたいと思います。
 労働組合サイドから、何かご意見ございませんでしょうか。
 特に無いようでしたら、もう一つの関係者であります教育・訓練機関からどなたかご発言いただければと思いますが。
 重里さん、お願いできますか。

 

○重里大阪府専修学校・各種学校連合会副会長 
 大阪府専修学校・各種学校連合会の重里でございます。
 我々教育という、皆様方と少し違う立場からのお話になるかもわかりませんが、専修学校としてこの事業にかかわる大きな柱としては2つあると認識しております。一つは実践型人材システム、もう一つは実践型教育プログラムだと思っております。その中でも実践型教育プログラムが、我々専修学校が主体となって実証する部分ということで認識をいたしております。また、文科省からも、予算の中で再チャレンジ推進事業という形でこの事業の側面的推進が図られているところでございます。
 我々大阪府専修学校各種学校連合会も、文科省の委託予算であります再チャレンジ推進事業を本年度採択を受けまして、実際に大阪の23校の専修学校が社会人向け等のプログラムを組みまして、受講生の募集あるいは実施をいたしておるところでございます。
 その中の問題点とすれば、受講生がそもそも少ないということが基本的な問題点にはなるんですが、これは我々の努力で解決をしていかなければならないと思っております。もう一つのこのジョブ・カード等々に係る問題ということで申し上げますと、最終的に我々、そうした用意をしたプログラムをそのままストレートにジョブ・カード等に書いていただくためには、履修証明を発行しなければいけないというところでございまして、資料で説明をさせていただきますと、ジョブ・カード制度の進捗状況の一番下のところに、今申し上げております実践型教育プログラムの実施がございます。7番目にございますけれども、こうしたプログラムを用意して、修了者に対して履修証明を交付すると。そして、履修証明をそのままジョブ・カードに書いていただくということになると思うんですが、この履修証明というのは平成19年の12月26日から施行され、制度化されて、我々専修学校でも発行できるんですが、この期間が120時間以上という条件が付いておりまして、我々専修学校といたしましては、この120時間を超える訓練というのは非常に厳しいというのが率直なところでございます。大学と一番違うのは、単位制ではなく、ほとんど授業がございますし、時間制で動いております。率直に申し上げますと、専修学校生が9時から17時までずっと授業を受けている中で、例えば別立てで120時間の社会人向けのプログラムを作れるかというと、なかなか厳しいというところがございます。先ほど申し上げましたような文科省の委託でプログラムを用意しても、それがなかなか120時間を超えるものを用意するということ自体が難しいというのが一つの問題点です。ですから、なかなかジョブ・カードに直接的につながるというところが、今現在では厳しいという点がございます。
 それと、もう一つ、厳しいというだけで終わっても仕方がありませんので、我々の現状を申し上げますと、専修学校は工業、医療、農業、文化、服装、あるいは栄養、調理といったような多岐にわたる産業界と、ある意味でつながりながら教育をしている教育機関ですので、120時間は無理でありますけれども、例えば3日間、1週間、あるいは短期でのさまざまな社会人向けのプログラムは現にいろいろ持っておりまして、それが短期の形で修了証を発行するというようなものは、専修学校でもいろんな形で実施をいたしておるところでございます。120時間は無理といたしましても、そういった短期のものをキャリア・コンサルタントの方にご理解をいただいて、それをジョブ・カードの中に反映をしていただくといったようなところをもう少し強化できると、我々としては実施しやすくなるのかなと。そうなってきますと、やはりキャリア・コンサルタントの方の資質と数という辺が解決できれば、我々にとりましてももう少し有効な活用ができるのではないかなというふうに考えております。

 

○奥林議長 
 はい、ありがとうございました。やはり120時間の訓練というのは、ちょっと長いのではないかというご意見であります。
 同じような流れで、武田校長先生、いかがでしょうか。

 

○武田大阪府立工業高等専門学校長 
 私共府立高専では、ご存じのように、中学卒業生を5年間かかって、ものづくりの第一線で活躍できる人材に育成するということでやっております。   その一方で、今年度から我々のところでも、これは経済産業省が3年前からやられております中小企業のものづくり人材育成事業というのがございますが、それにも応募いたしまして、9月から中小企業の中堅あるいは若手の方で、さらに技術を身に付けたいという方をお引き受けしまして、動いているところでございます。現在、70数名の方をお引き受けして、我々の学校と、あと企業の方に一部入っていただき、実践的な事業を行っております。
 この主な目的は、現在、現場に就いておられる方が、さらに新しい技術を身につけるということで、ジョブ・カードとは直接関係はしておりませんけれども、現在、どのような技術が不足しているかということを身近に感じてもらって、例えば新しい上位のパソコン、マイコン、あるいは上位の計算機を使ったコントロールシステム的なものを継続的に見つけてもらうと。そんなことを今現在、我々の高専の先生方の力を借りて、実施しているところでございます。
 今後、立ち上げたものがどのように定着するか推移を見たいと思っておりますけれども、現場で働いておられる方々が対象ということですので、学ぶ意欲は非常に高いということも含めて効果があるのではないかと思っておるところでございます。
 先ほどから話がございましたように、ジョブ・カードの中で高齢者対象とか、若年者対象ということで、幾つかやり方があろうかと思っております。少し感じましたのは、高齢者の方々につきましては、働く意欲はあるんだけれども、新たなスキルがないのかなということで、それに対する取組が重点的になるのかと思います。また、若年者につきましては、もともとフリーター等については、やはり働く意欲そのものが喪失しているので、働くためのモチベーションを上げていくことが重要であると思った次第です。
 以上でございます。

 

○奥林議長 
 ありがとうございました。やはり高齢者の場合とフリーターの場合、対象者によって、教育のやり方が違うということが明らかになりました。
 それでは、第1の議題につきましてはこのぐらいにして、第4の議題のところで、さらに同じような問題が出てまいりますので、議論していただくということにしまして、第2議題に移らせていただきたいと思います。
 第2議題は、就労支援戦略ということであります。大阪労働局から「福祉から雇用へ」推進5か年計画の進捗状況につきましてお話しいただきたいと思います。よろしくお願いします。

 

○桑島大阪労働局長 
 「福祉から雇用へ」推進5か年計画の推進状況につきまして、大阪労働局から説明させていただきます。
 全体資料の3をご覧いただきたいと存じます。
 この計画は、「福祉から雇用へ」、「ウェルフェア・トゥー・ワーク」と英語で言うようですけれども、そういう世界的な潮流を踏まえて、母子家庭、生活保護世帯、障害者など、これまで福祉サービスの対象となっていた方々に、就労による自立や生活水準の向上を目指していただくことを目的とした戦略でございまして、基本的な考え方や重点戦略、及び目標につきましては、資料3の1ページから4ページにかけて記載されているところでございます。
 具体的な数値目標が、資料3の3ページから4ページのところに記載されておりますが、まず障害者関係でございますけれども、平成25年度の障害者雇用実態調査において、雇用障害者数を64万人にする。平成20年度から平成24年度までにハローワークにおいて、24万人の障害者の就職を実現する。それから、平成23年度までに年間9,000人の障害者を福祉施策から一般雇用に移行させると。
 また、生活保護世帯、母子家庭世帯関係でございますが、生活保護被保護者の就労促進、母子家庭世帯の常用雇用の推進を図るということでございます。大阪におけるそれぞれの取組状況でございますが、資料5-2の就労支援戦略関連資料の1ページから2ページのところでお示ししておりますので、それをご参照願いたいと存じます。
 次に、この計画の進捗状況でございますが、大阪労働局に関連する主要な取組について説明させていただきます。資料3の3ページをご覧ください。
 まず、地域の特性を生かした就労支援体制の全国展開でございますが、障害者就業・生活支援センターの設置に関しましては、大阪府内の18の福祉圏域に対しまして、現在までに16のセンターが設置されまして、残る2か所につきましても、今年度中に国委託のセンターが設置されることが決定しております。 障害者就業・生活支援センターの概要につきましては、資料5-2の3ページにお示ししておりますので、ご参照願いたいと存じます。
 次に、各省庁・各自治体に対する障害者に対するチャレンジ雇用の推進・拡大についてでございます。
 19年度中に、私共ハローワークでございますけれども、2か所のハローワークで1名ずつ知的障害者を受け入れております。それから、大阪府でも取り組んでいただいていると存じ上げておりますけれども、府内の他省庁、あるいは各自治体でも取り組んでいただけますように、引き続き働きかけていくこととしております。チャレンジ雇用というのは、それぞれの役所が自ら雇うというようなことでございます。
 次に、資料3の4ページでございます。ハローワークを中心としたチーム支援というのが網かけでございますけれども、大阪局におきましては、チーム支援による就職件数280件を今年度の目標に据えまして、福祉施設と関係機関との調整役としまして、新たに障害者就労支援コーディネーター12名を配置して取り組んでいるところでございます。
 大阪でのこれまでの実績につきましては、資料5-2の4ページのところにございます。
 数字を申し上げますと、今年度の上半期、4月から9月までの間に、チーム支援244名について行い、うち就職に至った方が102名という実績でございます。
 それから、この計画については、関係者の意識改革が重要であるということで、資料3の4ページの下のところでございます。関係者の意識改革というものが数行ございますが、国では平成24年度までに、すべての公的機関で障害者雇用率を達成することを目的としております。未達成となっております機関については、引き続き早期達成を指導してまいります。
 なお、意識改革の一環といたしまして、障害者就労支援基盤整備事業、これは資料5-2の5ページから6ページのところにございます。
 この障害者就労支援基盤整備事業を実施いたしまして、福祉施設関係者や特別支援学校などの生徒、保護者、先生を対象に、一般雇用に関しての理解を深めていただくためのセミナーなどの実施に取り組んでいるところでございます。
 それから、これに関連しまして、大阪府から工賃倍増計画に係る資料のご提供がございましたので、これもあわせて私から説明させていただきます。資料の8-1でございます。
 大阪府では、「福祉から雇用へ」推進5か年計画の一環として、平成19年度から府内の施設で働く障害のある方々の工賃アップに結びつける工賃倍増計画推進事業を実施されておりまして、これを本日の会議に関係資料として提出されているということでございます。
 なお、企業、労働団体、本日ご出席の皆様方におかれましては、授産施設などに対する仕事の発注などにつきまして、格別のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げたいというコメントをちょうだいしておりますので、併せてご紹介させていただきます。
 私からのご説明は以上でございます。

 

○奥林議長 
 はい、どうもありがとうございました。就労支援戦略につきましての説明がありましたけれども、これにつきまして質問あるいはご意見等がありましたら、お願いいたします。
 どなたでも構いませんが。
 それでは、まず大阪府社会福祉協議会からご意見をいただければと思います。
 梶本会長さん、お願いできますでしょうか。

 

○梶本大阪府社会福祉協議会長 
 私の方では、大阪府から受託をして、大阪府福祉人材センターというものに委託しておりまして、社会福祉施設を運営する求人側と福祉介護の仕事を受注する求職者の無料職業紹介事業をやっております。そういう中で、会員企業が1,300社ほどございますので、そういう中でこの趣旨のほうを提供してまいりたいというふうに思っておりますので、また何らかのご協力をよろしくお願い申し上げます。

 

○奥林議長 
 はい、ありがとうございました。現実に事業を着実に推進していただいているということのようでございます。
 ほかにご意見はございませんでしょうか。
 では、これも第4の議題のところで、また立ち返って議論していただいても構いませんので、第2の議題につきましてはこれで終了させていただきたいと思います。
 続きまして、第3の議題ですけれども、中小企業底上げ戦略につきまして議論を進めさせていただきます。
 まず、6月20日に行われました第6回中央円卓会議における合意内容につきまして、大阪労働局から説明をお願いいたします。

 

○桑島大阪労働局長 
 それでは、中央円卓会議における議論、いわゆる円卓合意でございますが、これについて説明させていただきます。資料の4をご覧ください。
 昨年の11月28日に、生活保護基準との整合性の配慮などを内容といたします最低賃金法改正法案が成立いたしまして、中央円卓会議における議論も再開されたところでございますが、率直に言いまして、労使双方の議論の隔たりにはかなり深いものがあるということで、昨年中とされておりました合意スケジュールも延長されまして、本年度に入りまして、第5回の中央円卓会議において議論がなされました。それで、折しも、昨年来の原油また原材料価格の高騰などが続きまして、特に中小企業の経営を取り巻く環境が大変厳しい中で、非常に難しい調整となったというふうに伺っているところでございますが、最終的には労使双方のご理解を得まして、第5回中央円卓会議での議論の内容も踏まえ、本年6月20日の第6回の中央円卓会議で、政労使の合意を取りまとめることができたと伺っているところでございます。 
 この円卓合意におきましては、まず1のところでございますが、中小企業の生産性向上に向けた諸施策の推進を図ること、特に、中小企業にとって大きな問題となっている下請取引の適正化に政府として全力を挙げることとしております。
 それから、2の最低賃金でございますが、目指すべき引上げ水準として、生活保護基準との整合性とともに、高卒初任給という水準を明記した上で、当面5年間程度で引き上げることとしております。
 なお、引上げに当たりましては、経済・企業・雇用の動向、それから、中小企業の生産性向上の進展状況、経営環境の変化なども踏まえることとし、必要に応じ、途中段階での見直しも視野に入れるとの中長期的な方針が示されております。
 なお、ここで言います高卒初任給の水準につきましては、小規模事業所の高卒初任給の最も低位の水準、これについてのとらえ方をめぐって、労使の考え方が必ずしも一致しない点があると伺っておりまして、第6回中央円卓会議で出された意見は、参考として、合意文に添付させていただくことになりました。
 この中長期的な方針でございますが、最低賃金の国全体の水準に係るものでございまして、地域別最低賃金は地域の実情を踏まえ、地域最低賃金審議会の審議において自律的に審議決定されることとされているところでございます。
 以上でございます。

 

○奥林議長 
 はい、ありがとうございました。
 続きまして、中小企業生産性向上プロジェクトの取組状況につきまして、近畿経済産業局から説明をお願いいたします。

 

○薗近畿経済産業局産業部産業課長
 近畿経済産業局の薗でございます。中小企業生産性向上プロジェクトについて簡単にご説明をさせていただきます。お手元の資料6でございます。
 それではまず、2ページでございます。これはプロジェクト全体のポイントということで、もう一度簡単におさらいをさせていただきます。
 社会現象として、人口減少社会の中で経済成長をどう実現していくかということが大きな課題になっております。人口の減少、それからグローバル化の中で中小企業、それから大企業、もしくは地域間の格差、バラつきがございます。経済成長もバラつきがございます。そうした中で、中小企業というのは99.7%以上の数で存在しておりますので、地域にございます中小企業の生産性の向上が、我が国の経済の発展になるということで、大きな課題になっているところでございます。
 その中で大きな対策として、1番目に公正かつ効率的・合理的な事業環境の整備、先ほど労働局長からございました下請適正取引等の推進というのがございます。それから2番目、経営力の向上、3番目、付加価値の創造、それから4番目としてサービス産業の生産性向上ということになっております。
 まずプロジェクトの一つ、資料の3ページの公正かつ効率的な環境整備ということで、大変下請環境が厳しいというような中で、本年の4月1日から相談窓口を設置しております。下請かけこみ寺事業ということで、各府県の下請振興協会にお願いしまして、あらゆる相談に乗っております。また、会議所、それから商工会、中央会等も含めて、相談体制を立て直しているところでございます。リーフレット等を30万部作成いたしまして、会議所等から事業者に配布していただいているというところでございます。相談業務の2番目には、裁判外紛争の解決策(ADR)というような業務、それから3番目にはガイドラインの業務というようなところをお示ししております。
 私共では、独禁法、下請代金法による取締強化ということで、特に原油、原材料高になっておるという状況下で、9月には重点的にそういう取り締まりをしておるということでございます。公正取引委員会と合同で実施しております。
 それから、大店法取締強化の一環でございますが、書面調査ということをやっております。平成19年度は13万社を対象にしておりましたが、本年度は17万社に拡大しておるということでございます。
 それから、今後、取引についての取り決めというようなところで、かけこみ寺に行く前の予備的な対応ということで、10業種につきましては、ガイドラインを設定しております。この10業種の中で、特にこれは下請関係でいいなという事例をベストプラクティス集としてまとめております。関係業界の方は、そういう取り組みにしていただければということで、パンフレットを作成しております。本日、お手元にプラクティス集をお配りしております。また後ほどご覧いただければと思います。
 次に、もう一つの大きな柱ということで、資料5ページの中小企業の金融対策というところでございます。特に、ここのところ、アメリカの経済に不安ありということで、日本の経済もだんだん横ばいから下向きというような感じになってきておるところでございます。そうした中、中小企業金融対策ということで、緊急の相談窓口で相談していただくということが一番大事だということで、9月24日に経済産業局のほか、全国の商工会議所、商工会など900か所を整備しております。特に、9月は原油高ということで、土曜日、それから平日の相談時間延長というようなことで、開庁しておったということでございます。
 それから、10月に入りまして、セーフティネット貸付の拡充としまして、償還期間の延長と対象となる指定業種を170から185業種に拡大しております。
 それから、もう一つ、大きな柱といたしまして、近畿財務局と連携して、各府県で中小企業者を対象に金融についての意見交換もしくは政府等への要望ということで、全国150カ所以上で意見交換会を行っておるということでございます。まだ実施している最中でございますので、その成果等につきましては、次回報告できればと思っております。
 それから、緊急保証制度ということで、本日から実施しておりますが、原材料・仕入れ価格の高騰に対応するため、業種を拡大しております。これまで85業種が対象でございましたが、本日からで154業種ということで、相当拡大しているところでございます。本日机上配付しておりますプレス資料をご覧いただければと思います。原材料価格高騰対応等緊急保証制度が始まりますということで、まさに本日からスタートということでございます。資料にございます対象業種、今、影響を受けているという業種でございますけれども、545業種を指定させていただいております。加えて申し上げますと、これで全国の中小企業者の3分の2がカバーできているのではないかなというふうに思っております。具体的には、545業種の指定で、業種数でいけば61%、企業数でいけば62%、売上高でいけば75%をカバーできているということでございます。なお、資料に指定業種一覧表をつけておりますので、後ほどご覧ください。以上が中小企業金融対策ということでございます。
 それから、次のプロジェクトで申し上げますと、経営力の向上というのがございます。1つは、地域の中で中小企業の方が経営を見させていただく。もしくは地域の発展のために、いろんな活動をされている方を支援していくということで、ワンストップサービスの実現ということをしております。既に商工会議所や商工会には経営指導員の方がおられまして、各企業の指導等を行っていただいておりますけれども、もう少し枠を広げるというんですか、困ったことに何でも対応できるというような制度をつくろうということで、全国に316か所の拠点を整備しております。特に、経験豊かなコーディネーターの方が800名おりますので、その中で例えば販路開拓、意識調査等長期的な支援をしていこうということで、つながりの強化という位置づけで、拠点の整備をしているところでございます。これは当然地域の金融機関等もパートナーとして入っていただいておりますので、ある程度ワンストップで対応ができる形にしていきたいと思っております。今年の5月30日から全国一斉に事業をスタートしている制度でございます。近畿管内、特に大阪では、本日ご出席いただいております商工会連合会、大阪商工会議所等に拠点を整備しておりますので、皆様には、PRをぜひともしていただければありがたいというふうに思っているところでございます。特に、大阪商工会議所には、事業承継支援センターというところも設置しておりますので、ご活用いただくように、企業の方にご紹介いただければありがたいなというふうに思っているところでございます。
 それから、今申し上げました事業承継の円滑化というのが大きな課題になっております。法律が10月1日施行ということで、今月から施行しているんですけれども、特に相続税の課税につきましては、来年度の通常国会で税制の改正案を出すということで、これは10月1日に遡って適用するということでございます。それから、民法の特例や金融支援というものを用意させていただくということでございます。
 それから、プロジェクトの3つ目でございます。付加価値の創造というところでございます。特に、地方経済が疲弊してきている中で、特に地方では農業が基幹産業になっておるということでございます。本日ご出席いただいております近畿農政局とともに、農業と商工業を結びつけて、新たな製品開発、新たな技術開発等々を進めていこうということで、9月19日でございますけれども、第1号認定を行ったところでございます。今後5年で500件、初年度である本年度は100件を目標にということで、事業を進めているところでございます。
 また、地産地消ということで、関経連とともに会員企業に地産地消ができる、食堂等でお使いいただける材料があるのかというようなアンケートを現在実施しているところでございます。農商連携は本年度でございますけれども、昨年度は地域資源を生かした事業展開ということで、地域支援活用プログラムということも進めております。それから、一昨年、技術を持った中小企業が、お互いに技術を持ち寄って、新たな技術開発を目指す新連携事業ということで、ここ数年は連携というのが我々としていいことかなというふうに思っておるところでございます。
 それから、最後になりますけれども、サービス産業の生産性向上ということでございます。サービス産業は効率が悪いということは前から言われておるところでございますが、では、何が悪いのかというのは何となく目に見えないというところも大きいかと思います。そうした中で重点的にしておりますのは、資料10ページのサービスプロセスあるいはプログラム策定というところの中で、これもベストプラクティスということで、「ハイ・サービス日本300選」というものをお示ししまして、サービス産業の生産性向上を図っていこうということでございます。特に21年度末までには300社を決定して、各サービス企業さんの参考になればというふうに考えているところでございます。
 以上、ご報告とさせていただきます。

 

○奥林議長 
 はい、ありがとうございました。中小企業底上げ戦略というのは非常に難しい問題だと思っております。一方では生産性は向上さけないといけない。他方ではやはり賃金の問題もあります。したがいまして、そう簡単にはいかない戦略なんですけれども、一つずつ、コツコツやるしかないのかなというふうに思っています。
 この中小企業底上げ戦略につきまして、労使双方からご意見をいただきたいというふうに思いますが、まず労働界のほうから、どなたかご意見等ございませんでしょうか。賃金、いわゆる高卒の賃金の問題も出ておりました。
 では、高田さん、お願いいたします。

 

○高田日本基幹産業労働組合連合会大阪府本部委員長
 基幹労連の高田です。賃金というよりも、今の説明を受けた中で、特に労働組合側としましても、中小企業の支援、特に働く者の支援ということは、我々労働組合の大きな課題として、それぞれ各労働組合の代表者の皆さんと意見交換しながら取り組んでいるところであります。
 その中で、6月の円卓会議の中小企業の生産性向上の議論で下請の適正取引等の推進に全力を挙げるということの合意が中央でなされたということですが、我々労働組合も中小企業で働いている仲間としますと、どうしてもいろんな適正取引に係る、要するに下請の冷や飯を食べていると言ったら変な表現ですけれども、大変な思いというのはよく聞いておりますので、そういった意味で、この適正取引に向けて全力を傾けるということは、我々も大きな期待をしているところであります。
 そして、その取組の一つとしまして、下請かけこみ寺を整備していくということでありますし、相談業務を充実していくということが言われております。ただ、この相談の体制はとれたとしましても、それをどうフォローしていくのかということが大きな課題であり、形になってあらわれないと意味がないと思っております。例えばADR業務で裁判沙汰の紛争解決を迅速に図っていくという方法もありますけれども、働く者の立場からしますと、環境の変化によって中小企業の人はいきなり、「あっ、今日はもうええわ。」とかいうふうに、環境に応じてすぐ判断される。そして、その相談に際して、それがまた遅れていくということになったら、後手になるということにもなりますので、お願いは相談業務の中の体制を、例えば迅速なフォロー体制をとっていただきたいということを、特にお願いをしておきたいと思います。
 以上です。

 

○奥林議長 
 ありがとうございました。いわゆるかけこみ寺制度の運用を迅速に、あるいは効率的にお願いしたいということのようであります。
 続いて、産業界のほうから、大阪府中小企業団体中央会の岡本会長さん、いかがでしょうか。

 

○岡本大阪府中小企業団体中央会会長 
 大阪は中小企業の町だと言われております。その中で大阪は全国的に見ても、非常に産業界、業績いいとは言えないというのが現状だろうと思います。その一番大きな原因は何かといえば、中小企業の受注が減ってきておるというのが原因だろうと思います。それと、中小企業の受注が減っておるというのは、やはり大企業が、親企業が賃金の安い中国、韓国、東南アジアの方へ下請を発注して、国内への注文が減ってきておるというのが現状ではなかろうかと。
 また、それに対しては、今日もいろいろご配慮をいただいておりますが、中小企業に対する従業員の資質の向上とか、生産性の向上とか、いろいろご配慮はいただいております。しかし、金融一つ取り上げましても、新しく事業を興して、そうしてこれから成長性のあるもの、またたくさん受注があって、売掛金が多いから、支払いができないというところへの支援はしていただけるわけですが、実際、潰れかかっているというんですか、注文がないというところへは支援は到底していただけるものではない。また、望むべきものでもないと思いますので、やっぱり中小企業が栄えるためには、やはり大企業の利益追求を第一義にしていただかなならんことは事実でしょうけれども、日本の中小企業にもでき得る分野の仕事はどんどん出してやっていただきたいと。そうしなければ、日本経済全部がしぼんでしまうというようなことになりかねないと思いますので、その点のご配慮をお願いいたしたいと思っております。
 以上です。

 

○奥林議長 
 はい、ありがとうございました。やはり中小企業の問題というのは、大企業との関係で苦労していると。やはり大企業が中小企業をある程度配慮した行動をしてもらわないと、海外へどんどん注文を回すというようなことでは、中小企業は成り立たないんじゃないかと、日本の経済全体が停滞していくのではないかと、こういうふうなご意見だったと思います。非常にごもっともなご意見なんですが、なかなか市場の競争原理の中からしますと、やはりどうしても安いところということになります。そうしますと、むしろ中小企業の生産性をどういうふうにして上げていくか、あるいはよりすぐれた人材をいかに確保していくか、さらには技術の向上をどう担保していくかと、こういうところが非常に中小企業の経営者自身とすれば、重要な課題になるのかなと。それに対して、行政が一体どういうふうな支援をしていただけるのかということになるのではないかなというふうにも思います。ありがとうございました。
 ほかに、ご意見あるいはご質問等ございませんでしょうか。
 はい、山本さん、お願いします。

 

○山本関西経営者協会専務理事 
 2回目の発言で恐縮でございますが、2点ございまして、1つは、今ご説明いただいた中で、お金のことは私、よくわかりませんので、人の問題で発言させていただきたいんですが、新現役チャレンジプラン等のご説明も頂戴したんですが、基本的に中小企業の場合には、やはりお金の問題、あるいは人の問題等、非常に課題が多いということでよくお伺いするわけです。そういう中で人の問題で大企業から中小企業へということが示されております。ぜひこの辺のところは、どういう人材を中小企業では望んでおるのかということの中身、これを十分精査していただいて、必要な人材を確保できるような、そういう仕組み、あるいは運用をぜひしていただきたいなというふうに思っております。
 私共も、5年ほど前から中小企業研究プロジェクトということで、これは特に人材を紹介するという意味ではなくて、いろんな指導なり相談なりができるような仕組みということで、外はやっておるんですけれども、やはり中小企業さんの場合はニーズが非常に多様化しておりますので、その辺りのところはぜひやっていただけるであろうと思いますけれども、改めてきめ細かな運用ということでお願いをしたいというふうに思います。そういう形で中小企業が元気になっていただかないと、日本経済全体がなかなか良くならないと。こういう構図になっておろうかなというような気がしております。
 それから、もう一つ、最低賃金の問題、これはやはり一言申し上げておかないといけないかなというふうに思っておりまして、先ほど局長からのお話の中で、第6回の円卓会議で一定の合意ができたということで、この合意そのものを私は特にどうというわけではないんですが、やはり賃金という問題について、特に最低賃金という問題について、各都道府県に最低賃金審議会というものが設置をされておるわけですが、その最低賃金審議会の審議を一定の方向にどうも導かれているのではないかなというふうに、私自身は考えておる節がここ2年ほどございまして、本来やはり最低賃金審議会の自主性、あるいはその中で労使が真摯に話をする中で、一定の決着を見ていくということが本来の姿であろうかなというような気がするんですが、若干それ以外の分野からの関与といいましょうか、があるような気がいたします。最後のところに、これは国の全体の問題だから、地方が自律的にと書かれているんですが、ぜひこれが実現できるように中央でも考えていただきたいと思いますし、地方においても、そういう意味では、労使は意見は多分一致するんじゃないかなと思いますが、金額の問題はこれは大きな隔たりがありますけれども、考え方としては一致するのではないかなというふうに思いますので、ぜひ、少なくとも大阪だけでも最低賃金審議会の自律性、自主性が発揮できるような、そういう運用にぜひしていただきたいなということで、最後、ちょっと要望でございますけれども、以上でございます。

 

○奥林議長 
 ありがとうございました。2点につきましてご意見がございました。1つは、中小企業というのは非常に人材が多様化しているので、その多用な人材に対応できるような仕組みをつくっていただきたいと。2番目が、最賃についてはそれぞれの地域で自律的に決定できるような仕組みに一応なっている。ですから、その方向が実現できるように対応していただけないだろうかということですが、事務局のほうから。
 じゃ、脇本委員さん、お願いします。

 

○脇本日本労働組合総連合会大阪府連合会事務局長 
 今の発言にもちょっと関係するんですけれども、2点ほど、私も意見として申し上げたいと思っておりますが、今の最低賃金の話です。逆に言えば、今おっしゃったように、それぞれの都道府県、大阪なら大阪での最低賃金審議会がありますから、そこでの機能を十分発揮するということについては、基本的には反対ではありません。
 しかし、やはり今回の円卓会議の合意なり、それから最低賃金法の改正なりが行われた背景といいますのは、やはり非正規労働者が35%を超えているというような、2,000万人に近づいているというような、このことについても、この円卓会議以降、この期間、非常に経済も冷え込んできている中では、さらに増えていくのではないかと思いますし、期間の定めのある方なんかは、もっと切られていくのではないかという不安はあります。そういう中で、やはり年収200万円に満たないワーキングプアというふうに言われているような人たちも非常に増えていまして、そういう方たちの相談とかも、非常にうちの連合なんかでも増えてきています。この間3か月賃金未払いであるとか、それからその賃金もお聞きしますと、非常に安いという中での問題点もたくさんある中で、やはりますます賃金が安くなるということについては、余計経済も冷え込んでいくのではないかというような問題もありますので、最低賃金を基本的には上げていくということで、働く者の賃金のアップを図って、内需拡大の経済政策に持っていくという一つの方向もあって、これは法律の改正もされ、円卓会議の合意等もされたというふうに私ども思っていますので、その辺の一定の配慮なり、国の政策の方向性として、こういうものが持たれたということについては配慮しつつ、それぞれの府県の審議会も行われるべきではないかというふうに思っているところです。そういう意味で、最低賃金の問題については、やはり円卓会議の合意事項なりも配慮しつつ、議論すべきではないかということは思っているところです。
 それから、もう一点は、やはり今申し上げたように、今年の円卓会議の合意も含めて、それぞれ自主的に大阪府内の審議会等で議論をして、最低賃金法の改正に伴って、生活保護との乖離の問題がやはり言われていまして、生活保護基準との乖離をどういうふうに埋めるかということでの議論がされて、そのことの中で幾らかの、例えば大阪であれば30円の乖離ということが言われまして、それをどういうふうに埋めるかという議論の中で話をされたわけですけれども、これは2年で埋めるということで話がされたわけですけれども、逆に来年の景気の動向とか、やはり中小企業の底上げとかが冷え込む中では、その最低賃金の問題も非常に議論しにくくなったり、最低賃金そのものの底上げが停滞するのではないかということで、非常に危惧を持っていますので、その辺では、中小企業底上げ戦略が出された時期よりも、より以上に中小企業への底上げの戦略を強化いただきたいということを要望として申し上げておきたいというふうに思います。

 

○奥林議長 
 ありがとうございます。それぞれの地域での最賃の問題もあるけれども、基本的な流れとして、非正規労働者も増えていますと、あるいは未払いも増えていますと、さらには生活保護との関係もありますということで、全国的な流れの中で、それぞれの地域の状況が反映できるように、また中小企業の底上げ戦略ともうまく調和できるように進めていただきたいと、こういうご意見だったと思います。
 事務局から特に何かご意見はございませんか。
 はい、分かりました。
 それでは、予定しておりました時間が来ておりますので、第4の議題に移らせていただきたいと思います。
 第4の議題はそれぞれの地域、ここでは大阪地域での特殊性を考慮しながら、問題を設定するということになっております。
 テーマとしましては、生産性向上に向けた職業能力の開発と人材の確保・育成についてということになっております。しかも、先ほどの中小企業底上げ戦略の中でも、中小企業では人材確保を多様化していると同時に、他方では、非正規労働者も増える中で、人材の確保と、他方ではその能力の育成というのが非常に難しくなってきている、いわばそれをうまくマッチングさせるということが非常に困難になってきていると、こういうふうなご意見も出ております。この辺りをもう少し掘り下げて議論できればというふうに思いますし、この問題が今日の議題の1の人材能力戦略についてとか、あるいは3の中小企業底上げ戦略についてというところとも密接に結びついておりますので、ここに少し時間をかけて議論をしたいと思います。
 それでは、まず大阪労働局から、就業構造の現状について説明していただきたいと思います。よろしくお願いします。

 

○桑島大阪労働局長 
 大阪労働局からは、議論の基礎的な資料を提供するという意味で、大阪における就業構造の現状についてご説明させていただきたいと存じます。
 資料5-3というのがございますけれども、これが就業構造等関連資料ということで、ご覧いただきたいと存じます。
 まず、日本の人口の推移ということで、日本の人口は2004年にピーク、これは1億2,779万人を迎えまして、それ以後減少局面に入っております。2055年には9,000万人を割り込みまして、高齢化率は40%を超えると推計されております。そういう中でも若者、女性、高齢者、障害者など、すべての人が意欲と能力に応じて働くことのできる環境を整えることによりまして、将来的な労働力人口の減少を一定程度抑えることが可能であろうという報告がなされているところでございます。
 こういう状況のもとで、政府が6月末に取りまとめました経済財政運営の基本方針、いわゆる骨太方針2008でございますが、全員参加の社会の実現を目指す新雇用戦略というものが盛り込まれたところでございます。この新雇用戦略においては、働く意欲を持つすべての人の就業を実現するために、団塊ジュニア世代が30代後半を迎え、団塊の世代が60歳台となる今後3年間を集中重点期間としました。フリーター等の若者を3年間で100万人を正規雇用化すると。それから、25歳から44歳の女性の雇用を3年間で最大20万人増やすと。それから、60歳から64歳のシニア層の雇用を100万人増やすという、それぞれの目標を目指すということにしております。
 続きまして、大阪府域における現状についてご説明させていただきます。
 まず、有効求人倍率でございますけれども、直近のデータ、ここでは平成20年8月の数字で、0.93倍というものが載っておりますが、昨日発表いたしました9月の数字は、0.90倍でございます。
 それから、完全失業率でございますけれども、平成20年の4-6月期は5.2%と前年同期が5.0でしたので、コンマ2ポイント悪化しておりまして、全国と比べましても、依然として高い水準で推移しているということでございます。
 大阪の完全失業率の内訳でございますが、年齢別で見ますと、15~24歳層で8.3%、25~34歳層で5.4%ということになっております。全国の状況と比べても高い水準にあり、また、全体の他の年齢のところと比べても高いという状況になっております。
 それから、平成20年3月の新規高卒者が就職後1年以内で離職する割合は23.5%ということになっております。全国と比べても高い数字になっております。
 それから、女性の就業状況でございますけれども、毎年、女性の雇用者が増加しているということで、雇用者総数に占める構成比率をとってみますと、41.5%というのが平成19年の数字でございます。
 それから、年齢別の労働力率を見ますと、大阪は全国と比べても低いということがお分かりになろうかと思いますけれども、特に30歳から54歳辺りにかけて低いという数字になっております。
 それから、大阪府における人口の見通しということで、全国と大阪府の人口の推移と予測を示しているものでございますけれども、15歳未満人口の構成比が、昭和55年におきましては大阪府が全国を上回っておりましたけれども、平成17年には同じ率ということになりまして、さらに平成42年には全国平均を下回る見通しとなっております。
 最後に、その他就業構造面の問題でございますが、全国的な動きといたしまして、非正規雇用の拡大が進んでいるという、先ほどの話題にも若干出ましたけれども、雇用者に占めます非正規職員・従業員の割合は20%程度で推移してきたものが、平成7年ぐらいから年々上昇しまして、平成20年には雇用者の34%、3人に1人が非正規職員・従業員となっております。
 それから、平成19年から団塊世代の定年退職が始まっておりまして、企業内の卓越した技能が失われるなどの技能伝承も問題となっているということでございます。
 以上、大阪における就業構造の現状について、全国と比較してご説明させていただきました。

 

○奥林議長 
 はい、ありがとうございます。このデータから分かりますように、全国的なデータからしますと、就業率あるいは失業率等、やはり雇用状況は良くないということになっています。特に、企業の場合は、90年代の不況の中で、いわゆる人材育成ということが非常に困難になってきて、そして比較的得やすい、いわゆる外部労働市場から非正規社員を活用する、その傾向が非常に強くなってきた、この辺りでもやはり大きな問題を残しておりますし、また中小企業の場合には、なかなか人が来てくれないという問題が出てきております。先ほど労働力の多様化が進んだということも言われておりましたけれども、しかし、特に中小企業については人材不足、人はいるんだけれども、必要な人材がなかなか来てくれないと、こういう問題が中小企業の場合には出てきております。
 他方、労働力の供給サイドを見た場合には、いわゆるフリーターや第二新卒、さらには高齢者、こういう人たちがおられるわけですけれども、その就業の機会、あるいはうまくその仕事と能力がマッチしないという問題が出てきております。こういう問題を考えますと、職業能力をいかに開発し、同時に人材を育成していくのか、こういう問題が基本的な問題として出てまいります。
 そこで、大阪府の職業能力の開発と人材育成について説明していただきたいと思います。市谷労働政策監、よろしくお願いします。

 

○市谷大阪府商工労働部労働政策監
 それでは、大阪府における職業能力開発と人材育成ということで、説明させていただきます。
 資料は8-2、この1枚で一応まとめさせていただいております。
 職業能力開発促進法に基づきまして、5年ごとに職業能力開発計画を策定いたしております。労働者の職業能力の開発・向上を促進するための施策を実施しております。この表でございますけれども、平成18年度から22年度までを計画期間としております現在の第8次の計画でございます。その概要、それから今後の主な取組方法をまとめたものでございます。「だれもが等しくいきいきと、働く喜びの中で自己実現が図れる社会の形成」ということ、それから「大阪の産業・経済の発展を支える中小企業の人材育成」の2点を8次計画の基本的な理念として取り組んでおるわけでございます。
 この中の主なものについて説明させていただきます。
 ご覧のとおり、現在の経済情勢、世界的な金融危機、原材料高などによりまして、企業業績の悪化が懸念される状況にあるわけでございます。しかし、大阪の産業・経済の持続的な発展のためには、ものづくりをはじめとする中小企業のさらなる活性化が不可欠でございます。そのための人づくりこそが今求められている課題というふうに、私ども、認識をいたしております。この計画の2の、中小企業で働く人材の育成・確保支援、これを最も重要な施策の一つとして位置付けまして、府立の職業技術専門校がございますけれども、この中で中小企業従業員のスキルアップのための訓練をはじめ、さまざまな支援を行っております。
 その2番のほうから少し右のほうへ矢印が向いておりますが、中小企業の人材ニーズ調査を行いますと、やはり施設や研修メニューなどの公的支援が必要という要望がございます。このため、職業能力開発の拠点となる人材開発センター、これは南大阪の府立の職業技術専門校に併設をいたしまして、ハード面の整備を進めるとともに、情報提供や相談業務などソフト面の充実も図っているところでございます。
 それから、もう一つのテーマでございます職業技術専門校の関係でございますけれども、資料の5の社会経済情勢の変化を踏まえた技術専門校・障害者校のあるべき姿というところで、この計画でまとめておるわけでございます。府立の職業技術専門校は、府内に6か所設置されておりまして、就職困難者に対する職業能力開発をはじめ、それぞれ特色ある職業訓練を実施しております。
 職業技術専門校では、離職者を中心とした求職者に技能を付与して、就職に結びつけると、このための職業訓練の実施、もう一つは、在職労働者のスキルアップのための職業訓練という2つの大きな訓練の柱がございます。その求職者向け訓練の定員は年間約1,500名でございます。それから、在職者向け訓練の定員が約2,000名、こういう規模で毎年職業訓練を実施いたしております。
 急速な社会情勢の変化、あるいは産業界の人材ニーズに的確に対応するために、老朽化・狭隘化している職業技術専門校の再編整備を進めております。資料の右の中ほどに、その再編整備のイメージを書いておりますが、この再編整備をいたしまして、新たに設置いたします職業技術専門校、これにつきましては、産業集積拠点に設置することを目指しておりまして、平成18年4月に南大阪校を和泉市のテクノステージに開校いたしました。今後、現在運営しております守口校と東淀川校、これを再編統合いたしまして、枚方市の津田サイエンスヒルズに北部校、これは仮称でございますけれども、これを設置する予定で、現在取り組んでいるところでございます。
 資料の右下に、訓練分野のイメージを書いておりますが、機械系、電気・電子系、建築系、それぞれにおける基盤技能を中心としたものづくり関連科目をこの北部校では構築したいという考えでございます。
 それから、先ほど中小企業の人材育成支援のところでご説明いたしました人材開発センター、これにつきましては、南大阪校に引き続きまして、この北部校にも併設をいたしまして、ものづくりの基盤技能を担う職業能力開発の拠点として、中小企業における人材育成や能力開発をサポートするコーディネート機能を充実させていきたいと考えております。
 以上、簡単でございますが、説明させていただきました。よろしくお願いします。

 

○奥林議長 
 はい、ありがとうございました。職業訓練学校の再編成等を通じて、新しいニーズに対応していっておられるということであります。
 さらに、より具体的に、特に若者につきまして、若年者職業能力開発支援事業、いわゆる日本版デュアルシステムというふうに呼ばれておりますけれども、雇用・能力開発機構大阪センターからお願いいたします。

 

○永田雇用・能力開発機構大阪センター統括所長
 それでは、若年者職業能力開発支援事業ということで、日本版デュアルシステムの取組についてご説明させていただきます。資料は7の3ページ目にございます。
 デュアルシステムによる職業訓練でございますけれども、訓練施設等におけます座学と企業における実習訓練を組み合わせた働きながら学ぶ、学びながら働くことができる職業訓練制度でございます。35歳未満の若年求職者を対象として実施することになっておりまして、委託訓練活用型、短期課程活用型ということで2種類ございまして、委託訓練活用型でございますが、訓練期間は4か月、座学3か月、職場実習1か月ということで、実績としまして就職率71%となっております。
 それから、私共の施設内で行っております短期課程活用型は、訓練期間は6か月でございまして、施設内は5か月、職場実習は1か月ということで、就職率は約89%ということになっております。
 以上でございますけれども、若干時間をいただきますと、能力開発・人材育成というのは、私共機構が担っておる職業訓練分野すべて該当するんじゃないかなと思っております。今後、人口減少あるいは技能の継承という背景から人材育成は非常に重要な課題になってこようかと思います。本日、資料を配付させていただいておりますが、私共の職業訓練、中核となる業務ということで書いております。離職者に対する職業訓練、在職者に対する職業訓練、これは職業能力開発促進センター、ポリテクセンターと言っておるんですけれども、これは全国61か所で展開しております。特に在職者については、技能・技術のさらなるスキルアップ、向上を図るということで、高度な訓練内容になっております。それから、この中には、企業の要請によりますオーダーメイド型の訓練も実施させていただいております。
 それから、学卒者訓練につきましては、人材確保、あるいは若年技能者の養成ということで、職業能力開発大学校、短期大学校も含めて22か所でやらせていただいております。
 在職者訓練でございますけれども、先ほど申しました技術・技能のさらなる向上ということで書かせていただいておりますけれども、「人材育成が拓く中小企業の未来」というパンフレットをお配りさせていただいております。その中を見ていただくと分かりますように、生涯職業能力開発体系というものも作成しておりまして、この体系に基づいて、計画的な人材育成をしていただくように、活用していただくコースもございます。
 ポイント2のところでございますけれども、体系とはということで書いておりますが、仕事を行うために必要な職業能力である技術・技能・知識を明らかにして、さらにこの職業能力の教育訓練をどのように進めていくかについて、段階的あるいは体系的に整理したものということでございます。
 最後のページに活用例を載せておりまして、常に人材育成データの主な整備分野というものも載せておりますので、参考にしていただきたいなと思っています。こういった訓練機能のご相談をいただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

 

○奥林議長 
 はい、ありがとうございました。雇用・能力開発機構大阪センターでも、新しい人材開発について、いろいろと努力しておられるようであります。その成果も、講習を受けた人たちの就職率という形で具体的に出ているということであります。
 今まで大阪府における人材育成、あるいは就業状況ということにつきまして、いろいろな組織から意見をお伺いいたしました。
 そろそろ時間も来ておりますが、今日の議論を全体的に踏まえていただいて、冨田先生から何かコメントがございましたら、ご発言いただきたいと思います。

 

○冨田同志社大学社会学部教授 
 大阪府の能力開発委員会のほうで何年か委員を務めておりますので、それを踏まえて4点ほどお話ししようと思います。
 第1点は、国の能力開発基本計画等をずっと見てみますと、最近は従業員の方の自己啓発が強調されることが多いように思いますけれども、中小企業の実態を見ますと、やはり企業あるいは経営者がイニシアティブをとって人材育成をするという面が強く感じられますので、今後とも企業に対して精力的な能力開発に関する取組を支援していきたいというふうに考えております。
 それから、2点目は、今、機構の方からもご説明がありましたけれども、高度な技能・知識を身につけるための教育訓練になりますと、一般的な訓練というよりは、かなり個別具体的な訓練内容になろうかと思います。ですから、在職者訓練に関しましても、オーダーメイド的な訓練というものは、有効性がかなりあるのではないかというふうに思っています。あるいは、指導員の方が直接企業に出向いて、企業の実情を見ながら、具体的な技術指導、人材育成のアドバイスをするという形の取組も求められているのではないかというふうに思います。ですから、先ほど経営者協会の山本さんからお話がありました取組も、今後とも重要になってくるのではないかというふうに思います。
 3点目は、長い職業経験を持たれた方の能力評価をどうするかということで、現在のジョブ・カードを中高年の方にも適用できるかどうかということが今後の課題になろうかと思います。そうしますと、それぞれの従業員の方の持っておられる能力をだれが評価するかということが重要になってくると思います。それで、キャリア・コンサルタントの方が評価するのか、あるいはその職業に長く従事されていた方が評価するのかによって、その評価を見る企業の人の受けとめ方が違うかもしれません。ですから、誰が評価をするのかということが非常に重要になってくるのではないかというふうに思います。
 また、中小企業の方の話としては、資格も大切なんだけれども、実際働いてくれれば、その人がどれだけの能力を持っているかわかりますよという話がよく出てくると思います。そうしますと、若い人だけではなくて、中高年の方に関して、本来の試用期間の役割、あるいはトライアル雇用みたいなものの役割が生きてくるのかなという気もいたしております。
 最後、4点目は、最低賃金の話が出たわけなんですけれども、最低賃金というのは、実質的にはパートタイマーの方の賃金にかなり影響するだろうと思います。パートタイマーの方でも、時給が例えば1,000円以上で働いている方も少なくないかもしれません。そうすると、能力開発の面からしますと、パートタイマーの方で時給1,000円以上の方は、具体的にどういう仕事をされているのか、そういう仕事をするためには、能力開発の面でどういうサポートができるのかということを考えることも大切ではないかなと思いますので、最低賃金を引き上げることも非常に重要だと思いますけれども、高い賃金の仕事ができるためには、どういう能力を身につけるかという面でも、もう少し考える必要があるのではないかというふうに思います。

 

○奥林議長 
 はい、ありがとうございました。全体的な、かつ基本的な問題点のご指摘だったと思います。特に中高年のジョブ・カード制度の中では、その技能を誰が、どういうふうに評価するか。いわゆる一般的には目ききというふうに言われていますけれども、そういうところでジョブ・カードの客観性、あるいは他人が見ても、明確にこの能力があるというふうに認識できるような、そういう基準ですね、そういうふうなものもやはり整理しておく必要があるのではないかというご意見だったと思います。
 それでは、ほぼ時間もまいっておりますので、最後に大竹先生のから、今日の議論を踏まえ、同時に経済学者の立場から、全体的なコメントをいただければというふうに思います。よろしくお願いします。

 

○大竹大阪大学社会経済研究所教授 
 大阪大学の大竹でございます。
 今日の議論を振り返るというのが私の仕事なんですが、最初に、この円卓会議の役割というのを原参事官からご説明いただいて、一番のポイントは、情報共有だと。まず情報を共有することが大事で、そして問題点がどこで、成果がどこにあるのかということが分かってくると、全体的に経済状況を高めるという形で成果がつながっていくんだというご指摘があったと思います。
 その次に、ジョブ・カードの議論をしたわけですけれども、ここでは一番最初の問題提起のとおり、ジョブ・カードの現状についての情報共有ができたんだろうというふうに思います。ただ、そこで問題点というのが指摘もありまして、政策評価が本当にまだできていないのに、どんどん進めていいのかというご意見がございました。この点は非常に大事な点ではないかなというふうに私自身も思いました。
 それから、もう一つは、現状のジョブ・カードの方法で、専修学校で認定を受けるために120時間以上が義務付けられているのは、これはかなり難しいという指摘があったと思います。やはり大事なことは、政策評価とかかわりますけれども、やっていることがすべていいというふうな前提でやるんじゃなくて、何がいいか、何が悪いかということについての情報を共有をして、今後の政策について改善していただくというのが一番大事だろうというふうに思った次第です。
 その次に、福祉から雇用へということについての現状説明があったかと思います。その中で一番大事なのは、恐らく関係者の意識改革だということで努力をされているという労働局からのご説明があったんですけれども、関係者というだけじゃなくて、おそらく大阪府民全員も大事だろうなというふうに思います。障害者の雇用について一生懸命やっている企業というのを評価するというふうな、意識全体を府民が持っていることで、そういう企業がより成長していけるという価値観を持っていく、そういうことがおそらく大事で、それが教育全体にかかわってくる問題ではないかなというふうに思います。
 3つ目のところが一番議論があった中小企業底上げ戦略についてのポイントで、一番は最低賃金の議論でした。労働局から最低賃金の引き上げ目標が、高卒初任給を目指すという円卓会議の取りまとめが報告されたんですけれども、これについては私自身ちょっと難しいというか、現状は例えば、高卒初任給が最低賃金に基づいて決められているというところもないことはないので、これを目標にするのもなかなか難しいかなという気もしました。
 ただ、後のほうで労使双方から、最低賃金を引き上げろと言われても、外国との競争の問題もあるとか、あるいは生産性そのものの向上のほうが大事だという議論、あるいは労働側から非正規が増えているとか、あるいは生活保護との乖離が問題になっているという全国の動きというのがあるんだから、両方を考えていく必要があるというふうな議論があったかと思います。
 ただ、これは経済学者にも問題があるんですけれども、こういう議論、やっぱり最後は、実際に数字が大事かなというふうに思いました。最低賃金を上げていったときに、本当に雇用に影響がないのか、あるいは効率が上がっても、雇用が減らないのかどうかという問題ですね。組合側も、じゃ、賃金か雇用かといったときに、一体どっちをとるのかということも必要になってくるかもしれませんが、上げた場合に、一体何が起こるかということについて、数字で議論するということも必要かなというふうに思った次第です。
 最後は、就業構造と人材確保についての議論をしていただいたということだと思います。
 全体的な感想としては、ただ今回の円卓会議、情報共有で問題意識を共有していくということの役割はかなり果たしているかと思うんですけれども、何かの合意をとっていくというところまで行くためには、本当はもう少し何か強いリーダーシップの提案というのがあって、それについて本当は議論するというふうなことも情報共有の次には必要ではないかなというふうに最後に思いました。
 以上です。

 

○奥林議長 
 ありがとうございました。
 予定しておりました11時にほぼ近づいて参りましたので、これで今日の議論を閉じさせていただきたいと思います。
 ただ、前回と比べ、あるいは3回目ということもありまして、かなり突っ込んだ、あるいは具体的な議論になってきているように思います。
 最後、大竹先生からありましたように、何らかの合意をつくる、あるいはコンセンサスを得るというところに行くまでには、さらに細かな議論が必要かとは思いますけれども、しかし、そういう方向に次第に進みつつあるという気もいたします。
 同時に、この会は大阪の経済発展とそれから雇用の創出ということで、さらに議論を深め、その水準を高めていくということになるわけですけれども、この機会は同時に、事務局から本省に伝えていただいて、そしてここでの意見が国全体の政策にも反映していただけるようにご尽力いただければ、ここでの議論の意義があったということになります。よろしくお願いいたします。
 では、本日は長時間ご議論いただきまして、ありがとうございました。

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