平成18年度第1回大阪地方労働審議会議事録

1 開催日時
  平成18年10月16日(月) 午前10時~12時

2 開催場所
  KKRホテル大阪 14階 オリオンの間
(大阪市中央区馬場町2-24)

3 出席者
  (1) 委 員
    公益代表
  國井 和郎  佐野 久美子  中村 弘  西村 多嘉子
労働者代表
  柴﨑 大輔
  脇本 ちよみ
  中世古 幸治
  吉田 功
  森本 實
使用者代表
  小野 幸親
  宮川 欣一
  小塚 修一郎
  山本 憲治
  谷本 榮子
  (2) 事務局
   
局  長
総務部長
労働基準部長
職業安定部長
需給調整事業部長
雇用均等室長
総務課長
会計課長
企画室長
労働保険徴収課長
労働保険適用課長
労働保険事務組合室長
労働時間課長
安全課長
労働衛生課長
賃金課長
労災補償課長
職業安定課長
職業対策課長
雇用保険課長
需給調整事業第1課長
需給調整事業第2課長
  新島 良夫
  中井 雅之
  藤永 芳樹
  永田 敏明
  浅野 浩美
  峯岸 とも子
  新川 静男
  片岡 伝七
  森下 芳光
  野中 竹千代
  小川 省三
  大谷  隆
  平野 武文
  伊藤 秀一
  山本 正造
  中西 一裕
  村井 完也
  伊藤 浩之
  中西  勉
  黒田 一明
  太田 保男
  上谷 博彦

4 議 題
  (1) 平成18年度労働行政の運営状況について
(2) その他

5 議 事
 
○森下企画室長 
     おはようございます。委員の皆様方には大変ご多忙中のところ、大阪地方労働審議会にご出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 開会に先立ちまして、事務局である大阪労働局企画室から当日配付資料のご案内を申し上げます。
 委員の皆様方には、既に事前に配付させていただきました資料1から5-35のほかに、本日、5-36「派遣労働者の労務管理のポイント」から5-45「平成18年度最低賃金決定一覧表」など10点を追加させていただいております。お確かめをいただきたいと思います。
 それでは、定刻でございますので、國井会長どうぞよろしくお願いいたします。
 
○國井会長 
     おはようございます。定刻になりましたので、平成18年度第1回大阪地方労働審議会を開催いたします。
 それでは、最初に新島局長の方からごあいさつをお願いいたします。
 
○新島局長 
     おはようございます。会議の開催に当たりまして一言ごあいさつ申し上げます。
 平素は、労働行政各般にわたりまして皆様方からいろいろご理解、ご支援を賜っております。
 また、本日は月曜の朝早くからお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 それから、今般、新たに就任いただきました委員の方々におかれましては、労働行政の運営につきまして、改めてご指導、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
 さて、最近の景気の動向について若干申し上げますと、12日に月例経済報告が発表されましたが、先月に引き続き景気は回復しているということでございます。また、9月、少し古いですが、近畿地域の金融経済概況におきましても、やはり近畿地域の景気は拡大を続けているというふうにされているわけでございます。
 こういったことを受けまして、大阪の雇用情勢につきましても、景気の拡大を背景に、完全失業率は若干全国より高いわけでございますけれども、徐々ではありますが、着実に改善をしております。また、有効求人倍率でございますが、これも昨年の6月に1倍台を記録し、それ以降、着実に1倍台で推移をしているということでございまして、直近の8月の有効求人倍率が1.25倍となり、かなり全国より高い水準で推移をしているということでございます。全体的に改善に広がりが見られているという状況でございます。
 ただ、中身を見ますと、正社員の有効求人倍率を見ても、全体の7割程度ということでございますし、新規求人に占める正社員の割合が4割程度という状況でございまして、求人がふえているという中身を見ますと、やはり非正社員の求人がその大部分を占めるということでございます。
 それから、もう一つ、若年者の求人倍率は高いのですが、他の年齢層に比べまして逆に失業率が高いという問題点も抱えているところでございます。
 こういった状況の中で、大阪労働局といたしましては、今年度の行政運営方針ということで、3つの課題を掲げてございます。
 1つ目の課題が、「厳しさの残る雇用情勢下における雇用の安定、労働条件の確保・改善に向けた総合的な対応」ということで、雇用のミスマッチの縮小、あるいは派遣、請負等の多様化する就業形態での問題の対応、あるいは賃金不払の解消というような問題に取り組むことといたしております。
 第2の課題が、「健康で安心して働ける環境の整備」ということで、アスベストによる健康障害の防止であるとか、あるいは、先般改正された男女雇用機会均等法の来年度の施行に向けての周知という課題を掲げてございます。
 それから、第3の課題といたしましては、「少子・高齢化の進行と多様な働き方への対応」ということで、フリーターを中心といたします若年層の常用雇用化、それから少子・高齢化に伴う子育てする女性等に対する再就職の支援、それから高齢者の雇用確保という課題があるわけでございます。
 本日は、この行政運営方針に係る上半期の進捗状況、それから下半期への展望についてご報告を申し上げたいと思います。よろしくご審議をいただきたいと思います。
 非常に厳しい情勢の中での我々行政運営を求められているわけでございますが、委員の皆様方から忌憚のないご意見をちょうだいいたしまして、後半の業務の展開に生かしていきたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 
○國井会長 
     ありがとうございました。
 議事に入る前に、前回、3月の審議会以後に新しく委員となられた方々をご紹介させていただきたいと存じます。
 公益代表委員では、こちらにおられます読売新聞社大阪本社編集局次長の中村委員です。
 使用者代表委員では、住友金属工業株式会社専務執行役員の小塚委員です。
 お手元の資料1に大阪地方労働審議会委員名簿がございますので、ご確認いただきたいと思います。
 それでは、次に本日の委員の出席状況につきまして事務局からご報告をお願いいたします。
 
○森下企画室長 
     報告させていただきます。
 本日は、公益代表委員4名、労働者代表委員6名、使用者代表委員5名の計15名の委員のご出席をいただいております。
 従いまして、地方労働審議会令第8条第1項の規定によりまして、本審議会が有効に成立しておりますことをご報告申し上げます。
 次に、会議の公開についてご説明させていただきます。大阪地方労働審議会運営規程第5条の規定に基づき、本審議会は原則として公開の会議とさせていただき、また運営規程第6条第2項の規定によりまして、その議事録についても公開させていただくこととなっております。ご了承よろしくお願いいたします。
 なお、公開の具体的手続につきましては、大阪地方労働審議会傍聴規程が定められているところでございますが、本日の審議会につきましても、この傍聴規程に基づき開催の周知を行ないましたが、傍聴の申し込みはございませんでしたので、その旨ご報告させていただきます。
 以上でございます。
 
○國井会長 
     ここで、本日の議事録の署名委員を指名させていただきたいと存じます。公益委員といたしましては私、労働者代表委員よりは脇本委員、それから使用者代表委員としては山本委員を指名させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、議事に従いまして審議を行ないます。
 まず、今年度の労働行政の運営状況につきまして事務局から説明していただきます。
 なお、ご質問、ご意見等は説明が終わった後にお願いすることといたします。どうぞよろしくお願いします。
 
○中井総務部長 
     おはようございます。総務部長の中井でございます。この4月から、こちらに参りました。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、私の方からは、平成18年度の行政運営、上半期の状況についてご説明したいと思います。
 お手元の資料でございますが、まず資料2の「平成18年度行政運営方針」の9ページ目から38ページ目までに今年度の大阪労働局の重点施策が示されているわけでございますが、それにつきまして資料3「大阪労働局重点対策の運営状況」という資料がございます。これは上半期の運営状況をお示ししたものになっておりますので、これを中心にご説明したいと思いますのでよろしくお願いします。
 適宜、事前にお配りした資料、それから当日配付の資料についてもご参照いただければと思います。よろしくお願いいたします。

 まず、運営状況の1ページ目をご覧下さい。
 最初に、労働基準行政の重点施策について簡単にご説明させていただきます。
 まず、(1)として労働条件の確保・改善対策というところでございます。
 これについては資料5-1をご参照していただければと思いますが、労働者から監督署に寄せられる賃金不払、解雇等の申告・相談のうち、8月末までの申告受理件数は1,475件になっております。前年と比較して2.4%減となっておりますが、依然として高水準にあるということでございます。
 また、相談の中でも多数を占める賃金不払残業、いわゆるサービス残業でございますけれど、これは単に割増賃金が支払われないということだけでなくて長時間労働や過重労働を伴うことも多くなることから、その解消を図るために、賃金不払残業総合対策要綱に基づいて監督・指導を実施しているわけでございます。この指導結果については資料5-2に入ってございます。
 特に、来月でございますが、賃金不払残業解消キャンペーン月間ということで、こちらの資料の5-3にございますけれど、集中的な周知を行うこととしています。また、11月23日の勤労感謝の日に全国一斉に無料相談ダイヤルを開設するということにしております。当日、近畿2府4県の労働局の担当者が当局に集まりまして、朝9時から夕方5時まで、フリーダイヤルで労使からのご相談に対応させていただくことにしております。
 次に、大阪府内の最低賃金でございます。これは資料の5-5、それから当日配付の5-45でございます。
 この平成18年度の大阪府内の最低賃金につきましては、最低賃金審議会の委員の皆様方のご尽力によりまして、地域別最低賃金、産業別最低賃金ともすべて円滑に審議を終えることができました。
 資料3の1ページ目に出ておりますが、大阪府最低賃金、時間額712円(+4円)ということで9月30日発効となっております。また、産業別最低賃金も掲載させていただいているとおりでございます。これについて改めまして委員の皆様方に感謝申し上げるとともに、今後、改正後の最低賃金について関係方面に広く効率的に周知広報するとともに、その履行確保に万全を期してまいります。
 次に、資料3の2ページでございますが、(2)多様な働き方が可能となる労働環境の整備でございます。
 まず、本年4月に労働時間等の設定の改善に関する特別措置法が施行されたことを受けまして、労働時間等の設定の改善の促進を通じた仕事と生活の調和に係る社会的機運の醸成を図ることを目的とした広報・啓発活動を展開しているところでございます。
 この一環として、資料5-6にもございますけれど、大阪局を初め近畿ブロックの6労働局が事務局になって、近畿の関係労使及び学識経験者を委員とする「近畿ブロック仕事と生活の調和推進会議」を設置したところでございます。この会議は、近畿ブロックにおいて地域の特性を踏まえた労働時間等の設定の改善促進を通じた仕事と生活の調和の進め方について方向を示す地域推進プログラムの作成を目指しているものでございます。第1回会議を9月5日に開催させていただいておりまして、今年度末までに近畿ブロックの企業あるいは労働者の方々が参考にし得る目標またはスローガンを策定することを目指しております。
 続きまして、資料3の3ページに移りまして、(3)労働者の安全と健康を確保するための施策の展開でございます。
 まず、労働者の安全と健康を確保対策の状況でございますが、資料5-8になりますが、これも、ご承知のとおり、当局では15年度から大阪危険ゼロ先取運動を展開しているところでございます。
 そういった中で、資料5-11にもございますが、労働災害による死傷者数、これについて長期的には減少傾向で推移しておりまして、平成17年では9,113人ということになったわけでございます。
 一方で、本年7月時点の死傷災害の状況ですが、全体で3,331人となっておりまして、昨年より46人、率で言いますと1.4%増加しております。
 次に、死亡災害ですが、これは本日お配りしました資料5-39をご覧いただければと思いますが、本年に入りまして4月後半から急増して、5月中旬には昨年同期をかなり上回る状況になりました。
 このため、当局におきましては、全国安全週間の準備月間であります6月を死亡労働災害防止強化月間として位置づけまして、これは資料5-9にございますが、積極的な啓発活動並びに監督・指導の強化を行ったところでございます。啓発するための記者発表であるとか、あるいは5月31日に府内の労働基準監督署長を集めた緊急署長会議におきまして積極的な啓発活動の実施、監督・指導の強化を指示しました。そして、6月に入り、局長建設現場安全パトロールを行うなど、全体で啓発活動を行ったところでございます。
 この結果として、死亡災害は一時期、昨年同期を下回る状況となっていたわけでございますけれど、その後、これも当日配付の資料5-40に出ておりますが、9月末の時点で全産業での死亡災害が77人ということで、前年同期を6人上回っている状況でございます。業種別で見ますと、建設業30人、あるいは製造業24人、そういったところで災害が多く発生しておりまして、特に製造業では昨年の倍以上に増加しているということでございます。昨年、残念ながら死亡災害が102人と3桁に乗ったわけでございますが、今年度はそれを上回る厳しい状況になる可能性が高いということです。
 そういった状況でございますので、本日の資料5-41ですけれど、去る10月12日、労働災害防止団体の長に対して局長から緊急の労働災害防止対策の要請文書を手交して、死亡災害の発生に歯止めをかけるよう改めて努めているところでございます。
 次に、健康確保対策でございますが、これは資料3の4ページに出ておりますが、一般健康診断の結果から、脳・心臓疾患につながる所見を初め何らかの所見を有する労働者が年々増加しているということで、4ページの中ほどからちょっと下に出ていますけれど、平成17年度におきましては47.3%、全国は48.4%ということで若干は下回る状況になっております。
 また、職場で疲労や強いストレスを感じている労働者が6割を超えて、過重労働とともに心の健康確保対策が重点な課題になっているということです。
 一方で、職業性疾病の発生状況、これにつきましては資料の5-13にございますが、最近は微増、微減を繰り返して推移しているという状況で、平成17年は757件、そのうち腰痛が578件ということで、全体の76.4%、約4分の3を占めているという状況でございます。
 また、昨年6月、過去に石綿を取り扱っていた工場周辺で中皮腫などの石綿による疾病の患者の発生が増すという報道がなされ、今後も石綿を吹きつけた建築物の解体などにより石綿曝露の危険が懸念されることから、ご承知のとおり深刻な社会問題となっているわけでございます。
 このような状況に対処するために、石綿粉じんによる健康障害防止対策、加重労働による健康障害防止のための総合対策、職場におけるメンタルヘルス対策、腰痛予防対策、産業保健の活性化など、これらを主な柱にして、関係機関とも連携しながら、研修会の開催であるとかリーフレットによる啓発などによりまして各種の労働衛生対策を進めているところでございます。
 石綿対策としましては、本年の9月1日から石綿をその重量の0.1%を超えて含有するすべての石綿含有製品の製造などを原則全面禁止する改正政省令が施行されましたので、今後この周知にも一層努めてまいりたいということでございます。
 次に、労災補償対策ということで、資料3の5ページ、(4)の真ん中あたりからでございます。
 まず、労災保険給付の中でも社会的に関心の高い過労死などの脳・心臓疾患事案と精神障害事案の労災補償状況についてご説明いたします。
 平成17年度の脳・心臓疾患事案の労災請求は、資料3のところに出ておりますが、107件ということで前年より2件増加、うち認定が27件、これは前年度より10件減少しておりますが、そういった状況でございます。本年度につきましては、資料は8月末までですが、9月末までの数字として請求が54件、それから認定が17件になっております。
 次に、精神障害事案の労災請求でございます。平成17年度は78件で前年度より6件増加、認定が19件で前年度より3件増加ということになっております。本年度、資料では8月末ですが、9月末の数字としまして請求50件、そして認定が8件という形になっております。
 続きまして、クボタ石綿被害として社会的にも大きな問題となりました石綿による中皮腫、肺がんの労災認定でございますけれど、資料3の6ページに出ておりますが、平成16年度の25件に対して、平成17年度は129件と大幅に増加して、本年度は8月末現在で90件に上っております。
 また、本年の3月27日から施行されました石綿救済法による特別遺族年金等の支給状況につきましては、資料は8月となっておりますけど、1か月新しくなっておりまして、9月末現在で請求が213件、そして支給決定が80件となっております。
 今後とも、こうした労災保険給付の迅速・適切な処理に努めたいと考えております。
 次に、労災保険制度の改正について、概要を説明いたします。
 第1点は、通勤災害保護制度の拡大ということで、これは資料の5-15に出てございますけれど、ひとつは、複数就業者の事業間の移動中の災害、2つ目として、単身赴任者の赴任先住居・帰省先住居間の移動中の災害が通勤災害として新たに労災保険給付の対象となっております。これは、この4月に施行されております。
 次に、資料5-16にまいりますが、改正の第2点目としまして、障害等級の認定基準の改正ということで、医療技術の進展等を踏まえまして胸腹部臓器の認定基準を見直しております。
 それから、3点目としまして、資料5-17でございますが、石綿による疾病の認定基準の改正ということで、迅速な労災認定を行うことを目的として認定基準の見直しが行われております。これは、今年の2月9日に改正されております。
 労働基準行政については以上でございまして、続きまして職業安定行政に移らせていただきます。
 資料3の7ページ以降でございます。それから資料5-19も併せてご覧になっていただければと思いますが、最近の雇用失業情勢でございます。
 先ほど局長のあいさつにもございましたが、有効求人倍率は8月で1.25倍ということで、平成17年度平均の1.05倍と比較しましても急速に改善しているということでございます。
 一方、完全失業率につきましては、近畿で見て8月が5.2%、あるいは大阪では4~6月で5.8%ということになっておりまして、全国平均と比較しますと、依然として厳しい状況が続いているということでございます。
 このような状況の中で、職業安定行政重点施策を、大きく9項目ということで取り組んでいるわけでございますが、その状況についてご説明いたします。
 まず、1点目、(1)雇用のミスマッチ縮小のための雇用対策の推進ということでございます。
 これについては、これまで引き続き、その地域の労働市場であるとか求人・求職のニーズ、そういったことを踏まえてハローワークにおいてノウハウを生かして職業相談、紹介を実施することによりまして積極的なマッチングに努めているということでございます。
 とりわけ今年度におきましては、雇用保険受給者の再就職促進について重点的に取り組んでおります。
 また、求人開拓につきましては、多くの求職者が正社員を希望しているということを踏まえ、正社員求人など就職に結びつきやすい求人に重点を置いて開拓をしているということでございます。
 さらに、求人者サービス、これを一層充実させるということで、昨年度設置しましたハローワーク事業主支援コーナーにおいて、職員が求人を受理した翌日に事業所訪問を実施して求人内容の的確な把握に努め、さらに求人者に対して求職者情報を提供するなど求人・求職のマッチングに取り組んでいるところでございます。
 その中で何点か申し上げますと、1つ、求職者個々の状況に的確に対応したハローワークの就職支援ということでございますけれど、資料7ページの真ん中あたりになりますが、府内5か所の就職支援センターにおきまして就職支援ナビゲーターあるいは再就職プランナーによりますマン・ツー・マンの就職支援を実施するということにしております。また、あわせてセミナーであるとか経験交流を組み合わせたカリキュラムを実施している大阪キャリア交流プラザに案内するなど、求職者のニーズに応じた支援を実施しております。8月までの状況としまして、就職支援センターの実績として、就職率74.2%という数字になっております。
 また、資料の5-20を見ていただければと思いますけれど、この4月に大阪の難波に開設しました「大阪マザーズハローワーク」におきましては、子供連れでも安心してお仕事を探していただけるよう、チャイルドスペースや、あるいは授乳室を設けて、子育てしながら特に就職を希望する方々に対しましてセミナーを組み合わせながら担当者制によります就職支援を展開しております。現在の状況として、8月まで就職件数1,348件という形になっております。
 あわせて、子育て女性等に対する総合的な支援を実施していくために、地方公共団体など、子育て女性の就職支援に取り組む関係機関による協議会を6月に開催しております。こういった形で連携の強化を図っているということでございます。
 それから、2点目として、資料3の8ページの(2)民間や地方公共団体との共同・連携による就職支援ということでございまして、民間委託によります長期失業者の就職支援を引き続き行っております。今年度におきましては、ハローワークに求職申し込みしている60歳未満の方のうち離職後1年以上の長期の方を対象として、大阪圏として年間2,172名を委託ということで実施することにしておりまして、第2四半期を終わったところで1,051名支援をしているという状況になっております。
 それから、3点目としまして、資料3の9ページの方に移りますが、(3)良好な雇用機会の創出・確保ということでございます。
 地域における雇用創造の支援につきましては、自ら主体的に地域再生に取り組む市町村等を雇用面から支援するため、市町村等に対してワンストップ相談窓口で相談するなど、ネットワーク事業を推進しています。
 また、地域の雇用創造に自発的に取り組む市町村等の取り組みを促進するために、コンテスト方式により選抜された効果の高い事業に取り組む市町村などに対しまして、その事業の実施を委託する地域提案型雇用創造促進事業を推進しています。現在実施しているのは、八尾市、貝塚市、枚方市、堺市、東大阪市、大東市ということになっております。
 それから、4番目、(4)雇用保険制度の安定的運営ということでございますが、この雇用保険制度につきましても平成14年から失業認定のあり方の見直しを行っておりますけれど、引き続き、それを踏まえまして、的確な失業認定を推進して不正受給の防止に努めているということでございます。
 また、先ほど重点として申し上げましたが、雇用保険受給者の再就職促進につきましては、受給者の個々の就業ニーズに合った就職支援を展開することによりまして、所定給付日数の3分の2以上を残して早期再就職する者の割合を15%以上とすることを目標として取り組んでおります。
 9ページの下の方に出ておりますが、8月末現在におきまして早期再就職者の割合は13.7%ということになっております。ここについて、より一層取り組んでまいりたいと考えております。
 また、私立学校教員の雇用保険加入問題につきましては、この5月19日をもちまして、すべての私立学校教員の加入手続が完了したところでございます。
 続きまして、5番目として、資料3の10ページ、(5)若年者雇用対策の推進でございます。
 若年者雇用対策を政府全体で、若者自立挑戦プラン等に基づいて積極的に実施しているわけでございますけれど、現状を見ますと、フリーターの数は昨年度、全国で201万人ということで減少に転じたわけでございますが、依然として200万人を超える状況であると推計されております。こういった状況に対しまして、さらに減少を確実なものとするために、フリーター25万人常用雇用化プランということで総合的な支援を展開しております。
 具体的には、各ハローワークの若年者専門相談窓口におきまして若年者のニーズに応じた就職支援を実施して常用就職の促進を図るということでございますが、実績として、10ページの一番上の右側に出ていますが、8月末において13,141人の常用就職を達成しておりますので、引き続き取り組んでいきたいと思っております。
 あわせて、大阪ユースハローワークにおきまして登録時相談などによりまして多くの支援メニューがあるわけですが、その中から的確な選択を行って、それぞれの方に見合った就職支援を実施するということで取り組んでいるところでございます。
 また、トライアル雇用制度、若年者試行雇用事業でございますが、引き続き、効果が上がっているということで、積極的に推進していきたいと思います。今年度は、8月までの実績として常用雇用移行率76.3%ということでございます。全体として8割を目標値として頑張っていきたいと思っています。
 また、在学中からの職業体験の充実策としまして、中高生に対する職業意識形成支援事業であるとか大学生に対する職業意識啓発事業を実施しております。具体的な取り組みとして、キャリア探索プログラム、職業セミナーなどに加え、ジュニアインターンシップ等の職業体験もそのプログラムの一環として位置づけて積極的にやっているということでございます。8月までの、このプログラムに参加した生徒は6,981名でございます。
 それから、新規高卒者に対する就職支援策でございますけれど、これにつきましては1月以降の複数応募の円滑な実施に向けまして関係機関との連携、協議を進めるとともに、若年者ジョブサポーターによります一貫した就職支援を展開してまいりたいと考えております。
 ちなみに、資料の5-21にもございますが、今春の卒業者につきましては就職内定率が97.3%ということで、前年度より0.4ポイント上昇したという状況になっております。また、来春卒業予定者につきましては、求人数、一番左の下に出ておりますけれど、8月時点で前年度同月比13.4%増加ということで高卒者の就職環境はかなり改善しておりますので、こういった状況を確実に就職に結びつけていきたいと考えております。
 また、資料3の11ページの上の方に出ておりますけれど、若年者の就職支援策の一環としまして、今年度から新たに臨床心理士等の専門的な人材を活用した就職支援を行うということで、府内4カ所において実施しているところでございます。現時点で8月末相談件数が延べ144名という形になっておりますが、こういったものも活用しながら就職促進に努めてまいりたいと考えています。
 また、若年者雇用対策に係る関係機関の連携ということでございますと、これについては大阪府が設置しているJOBカフェOSAKAにおきまして、併設ハローワークで具体的な職業紹介事業の推進を図っているということでございます。
 この若年者の雇用問題については、最初に申し上げたとおり、政府全体で取り組んでいるわけでございますけど、そういった中で国民各層の関心を喚起するために国民会議が啓発活動等、国民運動ということで展開されておりますので、こういったことについて大阪局としても積極的に推進してまいりたいと考えております。
 続きまして、6番目、(6)高齢者の雇用対策の推進でございます。
 資料3の11ページの中ほどからでございますけれど、これにつきましては、まず本年の4月に施行しました改正高年齢者雇用安定法に基づきます65歳までの高年齢者雇用確保措置の導入、これについて周知徹底を図るとともに、今年度の義務化年限であります62歳までの雇用確保措置が講じられていない企業に対して企業訪問などによりまして適切な個別指導を行っているところでございます。ちなみに、この5月19日現在で300人以上の規模で確保措置を導入している企業は全体の98.6%という形になっているところでございます。
 また、中高年齢者の再就職の援助・推進につきましては、トライアル雇用の活用の促進であるとか、あるいは高齢者のワンストップセンターでありますハローワークシニアプラザ大阪、これは資料3の12ページの最初の方に出ておりますが、職業相談を初めとしまして、年金であるとか健康相談であるとか各種コーナーを設けたり、あるいは各種セミナーを開催したりすることによりまして、こういった世代特有の諸問題を解決しながら再就職を支援するということで展開しているところでございます。
 また、シルバー人材センター事業の推進なども積極的に行っております。
 次に、7番目としまして、12ページの(7)障害者雇用対策の推進というところでございますが、この9月26日に高年齢者・障害者雇用フェスタを大阪府国際交流センターにおいて開催しまして、障害及び障害者の雇用に対する正しい理解を高めるために、障害者雇用優良企業、永年勤続優良障害者等に対する表彰や記念講演を行ったところでございます。
 また、10月3日には、雇用機会の提供の場としまして、マイドームおおさかにおいて就職面接会を開催して、これは資料3の13ページの上の方と資料5-22にもお付けしておりますが、参加企業72社で805名の求職者の方が参加して行われたところでございます。
 一方、障害者全体の就職促進ということで、18年度の就職目標件数、これについて2,844件ということで設定をしているわけでございますけれど、8月末現在の就職件数は1,419件ということで、対前年同期比で17.1%の増加となっております。引き続き積極的に取り組んでまいりたいと思います。
 さらに、法定雇用率未達成企業に対する指導強化や障害者の解雇防止、雇用維持及び職場適応促進の充実等を引き続き図ってまいりたいと考えております。
 それから、8番目としまして、(8)外国人雇用対策の推進ということで、13ページの下の方ですが、外国人雇用サービスセンターあるいは雇用サービスコーナーなどにおいて取り組んでいるところでございますが、6月の啓発月間におきましては外国人労働者雇用啓発セミナーを開催しまして事業主に対して適正な雇用・労働条件の確保、不法就労の防止について効果的な周知啓発を行っております。
 また、9月には法務、警察等、関係行政機関によります不法就労等外国人労働者問題関西地区協議会を開催しております。
 なお、大阪外国人雇用サービスセンターでございますが、この9月11日に大阪駅前第2ビルに移転しまして、そちらの方で引き続き業務を行って、より一層取り組んでまいりたいと思っております。
 最後に9番目として、資料3の14ページの(9)安心して働ける雇用環境の整備というところでございます。
 そのうち、まず公正な採用選考の推進というところでございますけれど、これにつきましては25人以上規模の事業所に公正採用選考人権啓発推進員の設置勧奨を行うとともに、年間2、3回、研修会を開催しております。また、当局のホームページの人権に関するサイト「公正な採用選考について」によりまして事業主、求職者の方に広く周知しているところでございます。
 次に、ホームレスの雇用対策の推進につきましては、大阪港労働公共職業安定所にホームレス自立支援職業相談室を設置して、府内5カ所にございます自立支援センターにおきまして職業相談等のホームレス自立支援業務を一元化して対応しているところでございます。この自立支援事業に基づく就職件数、8月までで290件という形になっております。引き続き関係機関と連携して円滑な運営を図ってまいりたいと考えております。
 また、生活保護受給者に対する雇用対策の推進ということでございますが、これは資料5-23にございますが、昨年6月からハローワークと福祉事務所が連携しまして稼働能力や就労意欲のある生活保護・児童扶養手当受給者に対して就職支援を実施しているところでございます。17年度支援開始者数858名、就職者数389名となっており、本年度につきましては8月末現在で支援開始者582名、就職者数403名となっているところでございます。これについても引き続き福祉事務所等と十分な連携を図って生活保護受給者等の自立促進を図ってまいりたいと考えております。
 また、刑務所出所者等に対する就労支援ということでございますけれど、今年度より、刑務所在所者、少年院在院者、保護観察対象者及び更生緊急保護対象者のうち就労意欲、就労能力を有する方を対象としまして支援するために、矯正施設、法曹機関と連携を図るということで進めているところでございます。
 職業安定行政は以上でございます。

 次に、大きな3番目として、労働力需給調整事業関係ということで、資料3の16ページからでございます。
 また、資料5-24もあわせてご覧になっていただきたいのですが、許可申請・届出関係につきましては、一昨年の3月の法改正の施行後、増加傾向が続いておりますが、本年の4月から8月までの新規の件数は、有料が69件、無料が26件という形になっております。
 それから、労働者派遣事業の方でございますが、一般労働者派遣事業が156件、特定労働者派遣事業301件ということで、前年の同期より伸び率が多少小さくなっていますが、増加傾向がまだまだ続いているということでございます。
 こういった事業所に対しましては、今後とも新規事業説明会を初めとしたあらゆる機会をとらえて法制度の理解や周知徹底に努めてまいりたいと考えております。
 それから、2番目の(2)厳正かつ効果的な指導監督等の実施につきましては、今申し上げたとおり、事業者が全体的に増加する中で指導監督の重要性が増しております。事業者が、法令を遵守してその機能と役割を十分発揮するように、労働基準行政や、あるいは他の労働局と連携を図りつつ、訪問指導、呼び出し指導、集団指導などの手法を活用しまして、計画的かつ効果的に行うこと。これも厳正にやってまいりたいと考えております。
 特に請負事業につきましては、労働基準行政と連携することによりまして、厳正な指導監督を行うとともに、リーフレット等も活用しながら労働者派遣と請負の区分について周知徹底を図ってまいりたいと思っております。
 そういった中で、労働者の派遣・請負適正化キャンペーンでございますが、これにつきましては資料5-25にもお付けしておりますが、昨年度に引き続いて「偽装請負一掃キャンペーンin近畿」ということで今月及び来月をキャンペーン期間と設定して実施しているところでございます。派遣元・派遣先事業主、請負事業主、注文主等に対しまして集中的な指導監督や各種セミナーの開催等によります周知啓発を行っております。実施に当たっては、繰り返しになりますが、労働基準行政及び近畿府県の労働局と連携して行っているところでございます。
 次に、3番目として、(3)労働者からの苦情・相談への適切な対応等ということで、資料3の17ページにありますが、派遣労働者等の苦情相談、これに関して適切に、迅速かつ的確に対応するとともに、先ほど申し上げたキャンペーン中に相談専用のフリーダイヤルを設置しまして、苦情・相談対応に積極的に取り組んでまいりたいと思っています。
 また、派遣労働者等に対しましてリーフレットの配布や定期的なセミナーの開催等によりまして積極的に本制度の周知を行っておりますが、これについてもより積極的に行ってまいりたいと思います。

 次に、大きな4番目としまして、雇用均等行政でございます。
 資料3の18ページからでございますが、まず1点目、(1)雇用の分野における男女の機会の均等な機会及び待遇の確保対策の推進ということでございます。
 均等関係の相談については、資料5-30にも付けておりますが、ほぼ横ばいということで、8月末現在で662件、前年と比較しまして9割強ということでございますが、このうちセクシュアルハラスメントに関する相談が増加傾向にありまして、女性労働者からの相談の7割強を占めているということでございます。
 こういった相談につきまして的確に対応するとともに、妊娠・出産を理由とする解雇、退職勧奨など均等取扱いに関する個別紛争につきましては、労働局長による助言・指導あるいは機会均等調停会議による調停により迅速かつ円満な解決に努めているところでございます。
 また、事業所に対しまして計画的に報告徴収を実施して、法違反が認められる場合には厳正に対処して、助言・指導による是正を図っているということでございます。
 過去の雇用管理の経緯等から、男女労働者間に事実上生じている差を解消するために、企業によるポジティブ・アクションの積極的な取組を促進しています。
 また、先の通常国会において改正男女雇用機会均等法等が成立して、来年の4月1日から施行されることになっております。資料5-31にお付けしておりますが、今回の改正によりまして男性に対する差別の禁止、間接差別の禁止など、性別による差別の禁止の拡大、それから妊娠・出産を理由とする不利益取り扱いに対する規制の強化等が図られることになっております。
 関係省令及び指針についても、本日配付資料の資料5-42から44をお配りしているので参考にしていただければと思いますが、10月11日に公布、告示されたところでございます。
 今後は、改正法等の趣旨、内容について、労働局一体となって、あるいは大阪府を始め関係機関との連携や労使団体等の協力も得て、改正法の円滑な施行に向けて周知徹底に努めてまいりたいと考えております。
 それから、2番目として、(2)職業生活と家庭生活の両立支援対策の推進ということでございます。
 資料3の19ページの上の方でございますが、昨年4月に施行されました改正育児・介護休業法の円滑な施行を図るため、個別指導及び集団指導を組み合わせた行政指導を実施して、改正を踏まえた規程等の整備が適切に行われるよう現在指導を行っているところでございます。
 育児・介護休業に係る相談につきましては、資料5-32に状況が出ておりますが、改正法施行の2年目を迎えて全体として減少しており、8月末現在で1,274件、前年から比較すると63.5%と3分の2弱になっているわけでございますが、労働者からの相談は増加しており、特に期間雇用者への育児休業の適用等の相談が多く寄せられているということでございます。こういった相談に的確に対応して、法の履行確保を図ってまいりたいと考えております。
 また、規定整備につきましては、小規模事業所での整備が遅れていることから、労働基準行政とも連携し、小規模事業所向けの規定例を作成して、説明会あるいは監督署の窓口での配付などによりまして規定整備に努めております。
 さらに、育児休業の取得が立ち遅れている中小企業につきましては、本年度から創設されました中小企業子育て支援助成金の活用により、仕事と家庭の両立しやすい環境整備を図って、育児休業の取得を推進しているところでございます。
 平成17年4月より全面施行されました次世代育成支援対策推進法に基づく、一般事業主行動計画策定届出の状況でございますが、これは資料5-33にもお付けしておりますが、届出が義務付けられています300人を超える規模においては1,296社すべての企業から届出をいただいているところでございます。今後は、届出が努力義務になっています300人以下企業における計画の策定・届出の促進を図るとともに、できるだけ多くの企業が認定を目指した取組を行うよう周知・啓発に努めているところでございます。

 雇用均等行政は以上でございまして、次に大きな5番目として、労働保険適用徴収業務の重点施策というところでございます。
 これについては資料3の20ページ以降ということでございます。
 労働保険につきましても、これまで以上に制度の健全な運営、費用負担の公平性が求められているということで、資料にも出ていますが、労働保険の未手続事業の解消、労働保険料の適正徴収、労働保険事務組合制度の充実、発展などに取り組む必要があるということで、現在、重点的に取り組んでいるところでございます。
 まず、(1)未手続事業一掃対策の推進ということでございますけれど、平成18年度の適用促進計画で新規成立事業目標数が23,000件となっておりますが、8月現在におきまして10,130件成立ということでございますので、いいペースで来ているのかなと思いますが、まだまだ取り組みを強化していかなければならないと思っています。
 あわせて、それに関して大阪府労働保険未手続事業一掃対策協議会を今年度6月に開催しております。この協議会を通じた未手続事業の情報提供、8月末現在で2,334件になっておりますので、こういった協議会もうまく活用して一掃対策に取り組んでまいりたいと思っております。
 次に、(2)労働保険料の適正徴収につきましても、高額滞納事業所に対する滞納整理などを重点にしながら的確、積極的な徴収活動に努めておりますが、その中で特に、資料3の21ページの上にありますが、労働保険及び社会保険の徴収事務の一元化に向けた取り組みということで社会保険事務局と連携して平成15年から社会保険・労働保険徴収事務センターを設置して取組んでいるわけでございますけれど、そこにおける労働保険の関係書類の受け付けであるとか共同調査あるいは滞納整理、こういったものを連携して進めているということでございます。
 3点目の(3)事務組合の活用、育成、指導ということにつきましては、大阪府労働保険事務組合連合会と連携して研修などを初めとして取組んでいますし、また不正事故の未然防止も図るということで定期的な監督指導にも努めているところでございます。
 次に、(4)アスベスト救済法に基づく一般拠出金の徴収等というところでございますけれど、労災保険適用事業主からの一般拠出金につきましては、労働保険適用徴収システムを活用しまして、平成19年、来年の年度更新時におきまして平成18年度の確定分から徴収することになっております。今年度、事業主等に周知してまいりたいと考えております。
 最後に、(5)雇用保険印紙における不適正大量購入防止対策につきましても、積極的に不正防止の一層の徹底ということで取り組んでいるところでございます。

 最後、22ページですが、大きな6番目として、個別労働紛争解決制度の運用ということでございます。これにつきましては大阪府や、あるいは各市町村とも連携を図りまして、労働なんでもフリーダイヤルの周知・広報を行って取組んでおります。
 制度の運用状況につきましては、資料5-34の方にも出ていますが、8月末現在におきまして総合労働相談コーナーに寄せられた相談が約38,000件、このうち民事上の個別労働紛争に関する相談が約8,000件ということで、それぞれ増加している状況でございます。
 一方で、労働局長による助言・指導、あっせんの件数というのが、それぞれ98件、205件ということで、減少している状況でございます。この制度につきましては、簡易、迅速、非公開、任意ということが特徴でありますので、この制度の需要というのはまだまだあると思っていますので、制度の広報と適正な運営に努めてまいりたいと思っております。

 以上、資料3を中心に運営状況についてご説明させていただきましたが、最後に、運用状況には出ていないのですが、行政現場に当たっての基本的対応ということで言いますと、情報公開制度あるいは個人情報保護制度の適切かつ円滑な施行についてということで最後に申し上げておきたいと思います。
 情報公開あるいは個人情報開示請求制度の実施に当たっては一定の件数、請求等がある中でプライバシーに配慮した窓口を設けておりますが、各関係課室とも連携しまして、請求者も含めて情報の特定を円滑に行って速やかな業務に努めているところでございます。
 また、行政機関としての大阪労働局が保有する個人情報の保護につきましては、個人情報管理規程に則り、あるいは個人情報の厳正な管理とその取扱いについて職員研修も行いながら周知徹底を行っております。また、漏えい等の防止対策についても万全を期して取り組んでいるところでございます。
 基本的なことでございますが、重要なことでございますので、最後に申し添えさせていただきました。
 説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○國井会長 
     ありがとうございました。
 ただ今のご説明に対しましてご意見、ご質問等をお受けしたいと思いますが、手を挙げていただきまして、私が指名させていただきますので、マイクをお持ちの上、ご発言をお願いしたいと思います。
 どなたからでも、どの問題からでも結構ですので、忌憚のないご意見をお伺いしたいと思います。はい、どうぞ。
 
○西村委員 
     若年者の雇用問題につきまして意見を申します。
 この問題はいろいろな資料にまたがっております。トータルでまとめて申し上げたいと思いますが、若年者の雇用問題は多面的な問題を持っておりますので、多面的な対策が必要であるというのは当たり前のことです。
 例えば、私が今、大学の現場で苦慮しておりますのは、60%以上の短大・大学入学者があるというこの現状のもとで、卒業をして就職をします。ほぼ、私の把握している範囲内では、正規雇用ということを努力しておりますので、大方は正規雇用で就職いたします。ところが、ご存じのように、3か月、6か月、1年もちます学生がたかだか半分ちょっと超えるぐらいかな、と。大学によって違うかもわかりませんが、そういう現状が毎年続いております。
 どうして離職したのかということを相談に来た卒業生にきちんと聞いてみますと、就職課の方では特に考慮して第二新卒ということで離職者の卒業生を対象にした就職のあっせんもしてくれているのですけれども、結局、原因というか、理由は労働条件の問題で、労働時間とか賃金、特に残業代の不払いと、こういう問題。それから、もう一つは、特に不思議だったのが、腰痛、そして過労。彼らは22、3歳の本当に若い、これからまだ一生懸命働いてもらえるという若年者ですが、彼らがそういう身体的な理由も大きく訴えているんですね。
 結局、第二新卒で入りますと、条件は多くはアパフリー契派遣ということなんですね。アパフリー契派遣っていう範囲っていうのは、これは若年者の労働問題、雇用問題ということにもなるというよりも、一般的な労働問題になってきているわけですね。そういたしますと、結局、彼ら若年者の雇用問題は拡大再生産されて、大きく労働対策問題に全部入っているなと、こういう認識をここずっとしております。
 そこで、まじめな学生、卒業生ほど、この状況に落ち込んでいる。初めからアパフリー契派遣で就職した学生については不思議と何か力があるらしくて、むしろまじめな卒業生にこういう状況が非常に多いということです。労働組合の組織率の低下、それから労働組合自身そういうところがあるのも知らないとか、あるいは労基署に申告するということも余り知っていないという現状から、ますます労働行政というものが非常に重要だということをひしひしと思います。加えて、若年者というとらまえ方では終わらないという現状も認識していただきたくて、今後の労働行政に反映していただけたらと思いまして、口火を切らせていただきました。
 以上でございます。
 
○國井会長 
     ありがとうございました。
 ご意見なのですが、局の方から何かあるでしょうか。はい。
 
○中井総務部長 
     今、西村委員が若年者に関して、労働行政全般の話も含めて重要な点ということで教えていただいたと理解しています。
 今のお話で、やはり労働行政の基本にかかわるのが大きいということでございますので、そういった意味でいろいろ取り組んでいるわけでございますけれど、そういった視点も含めながら、より一層取り組んでいかなければならないと思っています。
 全体的に、これも私が言うまでもないのですが、景気、雇用情勢、そういったものが非常に厳しい状況の中で、やはり労働者の問題というのが後回しにされていた面が非常に大きい。不況期が長く続いたので、私どももまず雇用機会の確保からというところから入った部分もありますし非常に厳しい状況があったわけでございますが、先ほど話が出ました、景気、雇用情勢が全体的によくなっている、あるいは2007年問題ということで今後、人手不足になるんじゃないかということで、就職環境も企業が労働者の確保を大分熱心にされることは、ある意味チャンスだと思っています。
 そういった中で、悪い労働条件で人を使うという企業については、なかなか人を確保できないという状況になっていくのではないかと思いますので、そういった企業に対する意識啓発も含めて、今までより厳正に指導、対処するということも含めて取り組んでいかなければいけないということで、今のご意見に対しての回答ということにさせていただきたいと思います。
 
○國井会長 
     どうもありがとうございました。
 ほかにご質問、ご意見等はございますでしょうか。
 
○佐野委員 
     最近、大阪市の北区で派遣業者の摘発があったかと思うんですが、労働者派遣業者の摘発がありましたですね。まず、その内容を具体的にお聞きしたいということ。
 それから、非常に派遣業者の数が多いことに驚いたんですけれども、率直にお聞きしたいのですけれども、この労働者派遣業というのは労働局としてはどのような存在だとお考えでしょうか。私は要らないじゃないかと思っている、はっきり申し上げて。
 今の2点についてお聞きしたい。
 
○國井会長 
     よろしいですか。はい。
 
○浅野需給調整事業部長 
     まず、最初のご質問ですが、去る10月3日、北区に本社がございますA社という労働者派遣事業者に対して行政処分を行いました。
 具体的には、大阪労働局長から、労働者派遣事業の停止命令と、それから労働者派遣事業の改善命令を発出いたしました。
 どういう中身のものかと言いますと、まず事業停止命令の方ですが、これは営業所によって2種類ありまして、私どもが直接に問題を発見いたしました姫路の営業所につきましては1か月間、それから、それ以外のすべての事業所につきましては2週間、労働者派遣事業を停止することという命令でございます。ただ、いきなり派遣をするなということになると、働いている人が困ってしまいますので、既に行っているものを引き続き行うことについては認めるけれども、新たな契約については認めないというものでございます。
 それから、もう一つの労働者派遣事業改善命令でございますけども、これにつきましては、既にこれまでいろいろな形で指導してきたにもかかわらず改善が見られず、依然として偽装請負を行っていた、また、報告を求めたけれども、それについて事実と異なる報告があったということで、今回処分することとなったわけでございますけれども、これはやはり事業のやり方自体に問題があると言わざるを得ない、であれば、それを直していただく必要がある、ということで、事業のやり方そのものを改善するよう命令したということでございます。
 具体的には、すべての請負事業を総点検して、おかしいところがあれば是正すること、それから、依然として偽装請負を行っていたり、あるいは事実と異なる報告が行われたりしていたのかといったようなことについて原因を調べ、再発防止のための措置を講じなさいということ。それから、さらに、会社全体として遵法体制を整えなさいといったことを命じたということでございます。
 それから、もう一つのご質問ですが、いろいろな見方もあろうかとは思いますが、派遣という働き方があることによって働ける、そういう方もいらっしゃることも事実でございます。そういう意味合いから、労働者派遣制度につきましては、臨時的、一時的な労働力供給システムの一つとしてきちんと機能していくようにすべきであり、それに沿ったような形で、私どもも許認可なり、指導監督なり行っていかなければいけないと考えているところでございます。
 以上でございます。
 
○國井会長 
     ありがとうございました。
 引き続いて、佐野先生に。
 
○佐野委員 
     お答えは予想したとおりですけれども、あるいは、これは小泉行政に対する批判になるのかもしれませんが、派遣事業とか、そういうことを民間に任せてしまえば、こういう問題が頻繁に起こってくることは当然予想できることだと思うんですね。なぜそれを官がしないのですか。それをお聞きしたい。
 
○新島局長 
     派遣事業がなぜルール化されたかというところからお話ししないといけないと思いますが、もともと業務処理に関しては請負という形で実施されていたという歴史的な背景がございます。そうしますと、請負契約ですから、民事の話になりますので、規制が働かないわけです。
 それで具体的にどのようなことが起きたかと言いますと、労働力の使用者責任に関して非常にあいまいな部分が出てまいりました。もう20年、30年前でございますが、これに関してルールをつくろうというので労働者派遣事業というものができたわけでございます。その時は、第3次産業を中心に、いわゆる補助的業務あるいは特殊な専門的な業務、そこの部分だけ切り取って派遣という形で処理したらどうかということで始まったという経緯がございます。
 そういったことでスタートしておりますので、国が直接やるべきだという意見もあるかもしれませんが、出発点が、このように請負契約という民法上の契約から始まったということで、今のような制度になったということです。
 私どもの基本的スタンスとしましては、派遣事業自体はある意味では中性的な制度だというふうに思っていますので、的確にこれが実施されるということが必要であり、そのような考えから、派遣事業の適正化に取り組んでいるわけでございます。
 特に、最近は請負と派遣の区分があいまいではないかという議論がございます。これにつきましては区分明確化のための指針、告示が出ておりまして、それに則って請負事業者、派遣事業者は対応してほしいということで、指導を強めているところでございます。
 昨年から適正化キャンペーンを実施しておりますが、今年はもう少し強めまして、「偽装請負一掃キャンペーン」ということで、近畿ブロック全体で取り組み、適正化を図ってまいりたいと考えております。
 
○佐野委員 
     その点はよくわかるのですが、やはり資料5-24というのを見ますと、本当に雨後の竹の子のように派遣事業所がどんどんできていく。これはよほどうまみのある仕事なんだろうと思うんですね。
 ですから、局としてのお答えはそのとおりで結構ですけれども、やはり派遣事業ということについてのいろんな問題があるということを、これはまさに労働局としてきちんと見直しをして、問題点を洗い出して、それから事業所をもっと絞り込む、それから、おかしな内容についてはきちんとチェックする。先ほど北区の事業所の行政指導をした点が、初めて何か派遣事業に関してしたような気がするんです。もっと全国的にあるのかもしれませんけれども、そういう問題点を抱えた事業所がもっとあるのではないかと思うんですね。
 そこのところを、放置しているとまでは申しませんけれども、もう少しきちんと見ていただかないと、前に出席させていただいた時にも申し上げたかと思いますけれども、労働行政はどんどん悪い方に向かっていると。それで弱い立場の人がどんどん働きにくくなる。非常に低賃金で働かざるを得なくなる。そういう状態が増えていくのではないか。
 先ほど西村先生がおっしゃいましたけれども、若年労働者がなかなか定着できないというような問題についても、逆にこういう派遣事業が定着してきたりすると、本当に仕事に定着する若年者が減っていくのではないか。それから、職業に対する若者の夢を奪っているのではないか。そういうことを非常に恐れます。そういう点について、もっと実態を見て考えていただきたいと。これはお願いです。意見をお聞きする気はございません。
 
○國井会長 
     制度の趣旨とか本来的性格というのは局長がご説明されたとおりだろうし、そういう制度趣旨に従って運用されれば、社会的に有意義であるということは疑いのないことですが、たまたま派生する悪影響といいますか、そういうものも無視できないような状況にあるときに、やはり労働局の方で法律の許す範囲内での権限を行使していただいて適正にというようなことは私も思うのですが。結果的に労働力を安くしてしまうとか労働条件を悪くしてしまうというようなことが起こらないようにしていただければという、そういう願いだろうと思います。
 それに関連して、ないものねだり的な話になるかもしれませんが、ご報告いただいたところで、家族を顧みるような労働行政というような形でのご説明が部長からなされたと思います。これは私の聞き間違いでなければ、こういうような形で問題を提起していただいたのは今回が初めてだと思うのですが、実は最近、民法学者で飯を食いながら雑談しているときに、離婚のありようが、我が国はある意味で特異な傾向をたどっているのですが、それは結婚してそう日にちが経たないというか、年を経ない間に離婚する率が多くて、それから安定して、それから、ぬれ落ち葉のあたりでまた離婚をする。
 これはヨーロッパやアメリカと比べますと、家庭を大事にするという生活態度がだんだん抜けてきたのではないかと。我々は滅私奉公ということがよくて、家庭を顧みずに大学のために働くというのが教師の鏡のようにしてきたんですけど、それはやはりおかしいのではないかというようなことがだんだん出てくると。そうすると、やっぱり労働行政の中でも、労働行政がなし得る範囲の中で家族を大事にするというような施策が今後要るのではないかというようなことを漠然と話した。科学的根拠が十分あるわけじゃありませんので、絵空事を聞いたというぐらいで結構ですけれども、心にとめていただければありがたいなと思います。
 勝手なことを申し上げました。ほかに。
 
○吉田委員 
     佐野先生のお話聞いていますと、労働組合、もう少ししっかりせいよというように、叱られているように毎回、本当に。そういう意味では、請負とか派遣とか、ああいうところの組織化は、徐々には進めていますけど、労働組合をつくることがある意味ではいいかなというふうに。
 それとは関係がございませんが、メンタルヘルスで、研修会を既に5回実施したということで、また対策セミナーが12月に行われるということでありますが、実は連合大阪も初めて9月30日に70名強ほどのメンバー、労使に来ていただきまして研修会を行いました。産業医、それから保健師、大学の先生、連合のこれはドクターの方ですが、そうした顧問の方で基調講演とパネルディスカッションをやりました。皆さん方からのアンケートをとってみますと、本当に関心が高いというか、なぜ今までやらなかったのかというようなことで言われておりました。
 労働局で毎回やられている方々はどういう方々を対象にやられて、後でアンケート等でフォローをしておるのかどうかということと。
 それから、この件については大変いろんなケースがあるということで、実は連合大阪のなんでも相談というところに来るのですが、どうもこちらに来る前までに既にいろいろと本人と会社とで、健康な割には働くのが嫌なのかというところからスタートをしていまして、こちらに来たときには、もう大分がちゃがちゃになっているというのが現状なんで。そういうことからしますと、これは労使ともというんですか、いわゆる初期段階でどれほど、病気は病気ですから、そうした病気を的確にとらまえて対処していくかということが大変重要ではないかなというふうにつくづく感じました。
 この当日もそういう方がいまして、「うちにもおるんだけど、行ったら、家で遊んでいる。全然、病気違うんちゃうか。」という話で、「先生、どう思います。」ということであったんですが、先生の方は、「いや、それは病気なんだ。」と。実は、アンケートをとってみますと、メンタルヘルスにかかった方も参加していたんです。知らなかったのですけどね。そしたら、その方は質問者に対しては、途中で席を立って帰ろうかなと思ったけど、ただ、先生の話聞いて、何とか自分で早く治さないかんなというふうに思ったというようなことが出てたのですが、我々としてもまだ1回目でありまして、これもどこまでできるか。というのは、中身の問題もありますし。
 また、そういう意味では労働局はずっと何回もやられておりますし、先輩でありますので、そうした過去のいろいろな実績等も教えていただきたいなと思いますし、できるだけ多くの方々、特に労使だとか人事だとか職場の中心のメンバー、これは企業においてもしょっちゅう研修はやっているんですが、ただ本当にそれが日々の相談窓口として的確に対応できているか、ということについては甚だこれは疑問だというふうに自分自身も思っております。我々としても、これからも進めていきますが、そうしたノウハウというんですか、いろんな情報をいただきたいなというふうに思います。
 今取り組んでおられる実績だとか特徴だとか、もしございましたら、お話しいただきたいということです。
 以上です。
 
○國井会長 
     どうぞ。
 
○藤永労働基準部長 
     開催ごとの詳細な数字はちょっと持ち合わせておらんのですけども、基本的には、対象はやはり企業の担当者の方を対象に行っております。それから、この資料にもありますように、12月5日に予定しているセミナーでは個別相談ですとか、そういったようなことも考えておりますので、担当者に限らず結構です。それから、地域産業保健センター等々ありますので、そちらでも、これは日々対応しておりますので、担当者の方もしくは担当者の勧め、もしくは産業医の方のお勧めによってセンターを訪れていただければ、そういった対応もいたします。
 おっしゃるとおり、メンタルヘルス、いわゆる精神障害の関係で労災補償の状況を見ましても、健康診断等の際にいろんな調査、アンケート等を見ても、非常に年々増加傾向にあることは間違いないので、これからの本当に重要な課題だろうと思います。そういう意味で、精力的に、まずはいろんな指針がございますので、自殺防止の指針だったり、心の健康の保持・増進の指針とか、そういったものをまずはできるだけ回数をとらまえて、あまねく、セミナーだけに限らず、日常的に労基署の方は事業所に入っておりますので、そういった際にも健康診断の確認ですとか産業医への報告、衛生委員会の報告等々をチェックして、これからの大きい課題として、現在もやっておりますけれども、さらに重要な要素になると思っておりますので、力を入れていきたいと思います。
 詳細な数字等もし必要でしたら、後刻お知らせします。
 
○國井会長 
     よろしいですか。
 それでは、中村先生の方から。
 
○中村委員 
     先ほどのまた派遣の話に戻るんですけども、一つは、派遣労働者の正社員化の問題なんですけども、法律上いろんな、業務によっても違うわけですが、企業に対して正社員化の指導はどういうガイドラインでやっていらっしゃるか。規則的にはあるんでしょうけども、実際にどういう形で、こういうケースでは正社員化が必要であるとか、指導されているのかということを一度お伺いしたい。
 それから、若年層がフリーター化したり、それから就職を一旦しても長続きしなくて、これもまた派遣労働者という形になっていくケースも多いわけですが、その中で今回お聞きした取り組みで、一つは、やっぱり若年層が一旦就職してもミスマッチ、要するに仕事の内容と本人の希望するものとミスマッチというのが恐らくかなり大きいのではないかというふうに思います。
 そういう中で、今取り組まれている試行雇用事業ですか、トライアルですね、ここらあたりはかなり有効な事業ではないかと思いますし、それと臨床心理士さんを取り入れられて就職指導をされている、このあたりも非常にいい試みだというふうに思います。今後、どの程度、力を入れていこうと考えていらっしゃるのか、そのあたりをお聞かせ願えればと思います。
 
○國井会長 
     それでは、局の方、どうぞ。
 
○浅野需給調整事業部長 
     まず、派遣労働者の正社員化というか、直接雇用化に関してどのようなことをやっているかといいますと、大きく分けて2種類ございまして、雇用契約の申し込みをしなければいけないという雇用の申込み義務というものと、それから雇用の努力義務というものがございます。
 そのうちの1つめの雇用契約の申込み義務ですが、これは、派遣の受入れ期間の制限がある業務とない業務によって異なります。
 昔から派遣をやっていいとされてきたいわゆる政令で定められている業務については派遣の受け入れ期間の制限がないんですけれども、そういう制限がない業務については、同一の業務に同一の派遣労働者を3年を超えて受け入れていて、その同一の業務に新たに労働者を雇い入れようとする場合、雇用の契約の申し込みをしなければならないこととなっております。
 それから、派遣の受け入れ期間の制限がある業務については、派遣受け入れ期間制限に抵触する日というのがあるわけですけれども、それ以降も派遣労働者を使おうという場合は雇用契約の申し込みをしなければいけないこととなっております。
 それから、雇用の努力義務の方ですが、派遣先において常用雇用労働者が派遣労働者に代替されることを防止しようというそういう考え方から、あくまでも努力義務ですが、同一の業務について派遣実施期間に継続して仕事をしてもらっていて、その期間が経過した後にその業務に労働者を雇い入れようという場合は優先的に雇用をするように、というものでございます。
 それから、こういった場合だけでなくて、いろいろ不適正な状況がある場合、是正指導を行うわけですけれども、その際には、必ず労働者の雇用の安定の措置を講ずることを前提に是正するようにお願いしております。派遣先との関係等もあるので、必ず正社員というわけでもないんですけれども、是正を行う際にも、雇用の安定の措置を講ずるよう申し上げているところでございます。
 以上です。
 
○國井会長 
     ありがとうございました。はい、どうぞ。
 
○永田職業安定部長 
     若年者の就職支援の話ですけれども、今後とも、そういった動きは出てきますし、学生の時代からキャリア形成の指導とか、高校生にはいろんなセミナーなり講話などを通じて、職業意識の形成を学生時代からしていく。その中で仕事の中身をよく理解していただいて、本人の仕事に対する内容の理解を進めるとか、そういった取り組みも行っておりますし、それからインターンシップ、意識の形成、体験をしていただいて、そういった意識を広げていただくというようなこともやっております。
 それから、トライアル雇用につきましては、今でもかなり活用されておりますし、今後につきましてもそういったトライアル雇用を有効に活用していこうということでございます。
 それから、臨床心理士につきましても、今年度からやり始めた事業ですので、来年度以降、引き続き充実させてやっていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 
○國井会長 
     何か追加の質問は。
 
○中村委員 
     先ほどの正社員化の問題で、趣旨はよくわかるのですが、現実に例えば派遣社員の方から、こういう雇用でもう打ち切られようとしているんだけども、正社員化の権利はないのかとか、そういう具体的な相談があったりして、実際に、企業に対して単にペーパーを配ったりとかということだけではなくて、具体的に個別の企業を指導するというようなケースというのはあるのですか。
 
○浅野需給調整事業部長 
     例えば雇用契約の申し込み義務をきちんと果たさないというような会社に対しては、まず、必要な指導、助言等を行います。
 それでも申込みを行わないところについては、労働局長が雇用の契約の申し込みをするように勧告をし、それでもなおかつ行わないという場合については厚生労働大臣が企業名の公表を行うという制度がございます。
 
○中村委員 
     具体的に例えば大阪で企業名の公表をしたりとか、そういう指導に入ったり、勧告をしたりというケースはあるのですか。
 
○浅野需給調整事業部長 
     これまでのところは、雇用の安定の措置をとることを前提に是正するようにといった指導は行っておりますけども、雇入れ勧告、企業名公表といった行政処分を行ったことはございません。
 
○國井会長 
     それでは、お待たせしました。脇本委員。
 
○脇本委員 
     女性のための大阪マザーズハローワークの就職に結びついた件数が1,348件というふうに先ほどおっしゃいました。これはどれくらいの方がここに来られて、そのうちの就職件数なのかということ、母数をお聞きしたいというのが1点質問です。
 それから、2点目の質問は、こういうハローワークについての周知とか徹底とかですね、その広報をどんなふうにされているかということについても2点目の質問です。
 最後に、意見ですけれども、先ほどからいろいろ出ています派遣の業務とか、それから西村先生がおっしゃった若年者の辞めていく話、それから災害が増えているということが私自身はかなりリンクしているんではないかというふうに思っているんです。
 実は、私も、昔の教え子が一人相談に来て、話を聞きますと、非常にそのあたりがリンクをしていまして、とてもきつい業務である。不払残業手当がなかなか払ってもらえない。辞めたいと思うが、なかなか辞められない。それは中卒であったり、高卒で次の仕事がないんではないかという不安の中で辞められない。多くの人が辞めていってしまいます。辞めていった後に、誰が来るかというと、派遣の人が来ます。その派遣が、最初は日本の方だったのですが、今は、かなりきつい現場ですので、みんな外国人になっている。
 その外国人も、全部中国の方とか一国の言葉であればいいんですが、アフリカの人であったり、アジアの人、タイの方であったり、中国であったりすると、班を組んでやっていて、その相談に来た彼は班長なんですが、各国4カ国語ぐらいの人がいる。危ない、危険だということを言うにも、どう言っていいのかという。危ないという言葉、まず日本語を覚えてもらわないといけないという話をしていましたけれども、そういう中で、いつ事故が起きるかという、冷や冷やするというようなことが何度もあるというような話がありました。
 そういうことを考えてみますと、やっぱり事故が増えていることなんかについても、これはもちろんどういう形で事故が起きたかということは調査をされているでしょうから、そういう部分もあるし、違う場合もあるかもしれませんが、でも、こういう死亡事故や事故に結びつくようなことも、そういう情勢の中からはかなり出てきているんではないかと。特に大手ではないです。本当に小さい、とてもきつい仕事の現場ですし、もちろん労働組合もないところなので、そういうようなことを非常に危惧されるということを思っています。
 その中で、派遣の業者がやはり本当にこれだけ増える中で、私は外国人を派遣するということを初めて聞いて、そういうこともあるのだということで少しそれは調べてみたいというようなことをその彼には言ってたんです。そういうようなことについて言えば、できるだけ派遣の問題、先ほどからいろいろお答えいただいていることも、私どもも法令遵守といいますか、コンプライアンスみたいなことについて徹底をぜひ図っていただきたいし、現実問題、どういうことが起きているかということについても十分行政としては把握をいただいて、対処いただきたいなということを意見として申し上げておきたいと思います。
 以上です。
 
○佐野委員 
     関連で、いいですか。
 マザーズハローワークの話が出まして、これは大変いい試みだろうと思っております。この形になったときに、ママさんたちは安い労働力の供給源になるというようなことを恐れるわけですね。ですから、今、脇本先生のご質問と関連して、そのあたりを労働局としてどの程度チェックされているのかということをお聞きしたいんですね。もちろん、一旦家庭に入って出産した女性がその能力に応じてきちんとした能力を発揮する場面を与えるというハローワークなら結構だと思いますけれども、単にパートの主婦をたくさんあっせんするというような結果にならないことを祈るんですけれども、いかがでしょうか。
 
○國井会長 
     それでは、よろしくお願いします。
 
○永田職業安定部長 
     マザーズハローワークの取り扱いの件ですが、4月から8月で1,300人余りの就職ということで、その対応ということですけども、来所数が4月から8月、新規求職で5,300人余り、延べで約9,000人来られております。そのうちの1,300人ということで約3割程度かなということでございます。
 それから、周知徹底、PRでございますけども、開設当時、新聞発表をさせていただきました。それから、関係機関、大阪府、大阪市の女性支援施設、それから21世紀職業財団とか事業主団体を初め各市町村にパンフレットを配布しまして、PRを徹底させていただいております。最近、またマスコミの方の取材も受けておりまして、一定周知が行き届いた時期が来ているんじゃないかなとは思っております。
 それから、佐野先生がおっしゃいました労働条件の話でございますが、確かにマザーズの方につきましては子育てということで非常に労働条件といいますか、就労条件がかなり厳しいというか、子育てをするために時間が4時までしか就労できないとか朝10時からとか、そういった制約がありまして、非常に安い労働力ということで非常に難しいことなんですけども。私どもとしましては、一定、求人を受けたときに、労働条件をきちっと点検させていただいておりますし、労働条件の明示というようなこともさせていただいておりますし、今後ともきちんとそういった部分につきまして点検しながらやっていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 
○國井会長 
     ありがとうございました。
 今回は大変ご質問、ご意見が多く出まして、時間の都合もございますが、事務局とされましては本日の意見等を踏まえて今後の行政運営に的確に反映するようにお努めいただければありがたいと思いますし、そのようにお願いしたいと存じます。
 議事として2番目にその他というのがあがっておりますが、事務局の方からその他として何か。
 
○山本委員 
     会長、すみません。ちょっといいですか。
 
○國井会長 
     はい。
 
○山本委員 
     余り長く時間をとりませんが、使用者側、全然意見が出ておりませんので、一言申し上げないといかんなと思って、さっきから考えておりましたが、意見と質問、3点ございます。
 一つは、この4月からスタートした労働審判制度、これは個別の紛争解決制度ということで新たにできておりますので、今日の労働局のご説明によりますと、個別の紛争がやはり去年と比べて増えているということですが、このあたりのところは労働審判制度との関連で、どういうふうに影響があるのか、ないのか。あるとすれば、どういうところにあるのかということについて、もしおわかりであれば、教えていただきたいと思います。
 2点目は、先ほどから常用化あるいは正社員化の問題が出ているのですが、現在の多様な働き方ということが非常に定着している中で、正社員化ということについて労働局として進められることは十分理解できるのですが、ただ、その程度の問題ですね。余り正社員化ということを強力に進められますと、それは企業あるいは働き方にとっても決してプラスにならないという状況が出てこようかと思いますので、そのあたりは十分ご注意をいただいてお進めいただきたいなというのが2点目です。
 3点目は、派遣と請負の関係ですが、もちろん法令に基づいて適正に運営するということについて企業側というか、使用者側としてもPRするということで、私どもでも冊子であるとか、あるいは説明会等ともやっているのですけれども、ただ労働局としては啓発のところにやはり重点を置くべきではないかと。どうも指導監督というところは、当然、労働局としての権限等であるわけですけれども、そのあたりは、啓発し、指導したけれども、なかなか改善されないといったようなケースに限定していくような形にしないと、大事なことは啓発をすることによって企業が自主的に改善していく、そういう空気をつくっていくということが、派遣と請負だけの問題ではなくて大変大事ではないかなというような気がいたしましたので、私見として申し上げました。
 以上です。
 
○國井会長 
     はい。
 
○総務部長 
     まず1点目の労働審判制度ですが、公式なデータというのが保存されていない状況なんですが、聞くところによると、例えば7月ぐらいの時点で全国的に数百件ぐらいあるように聞いていますし、大阪地裁においては大体おおむね毎月10件ぐらい申請があるやに伺っているところでございまして、我々の労働相談件数は、先ほど申し上げたとおりで、8月末で約38,000、個別労働紛争約8,000ということでございますので、この労働審判制度が個別の労働紛争にそれほどの影響を与えているとは思っていません。
 ただ、それぞれ特徴があるので、相互補完的にやはり制度を活用させていただくのがいいのではないかというふうに考えております。若干伺うところによりますと、労働審判の処理にかかわった弁護士の方などから、当局のあっせんを実施した結果、不調に終わった事案も結構あるという情報もいただいています。そういう意味で、相互補完的なというのもあるのかなというふうに思っています。我々が先ほど申し上げたとおり、利用しやすいというところが特徴ですので、そういうことを生かしながら、引き続き運営を図っていきたいと考えています。
 それから、正社員化についてでございますけど、多様な働き方というのはご指摘いただいて、それが雇用機会の拡大につながっているという面があるのは、そういうことを希望される方も多いということでありますし、企業の人の活用ということでもあるんだろうと思っています。
 ただ、我々として、当然、求人・求職情報のニーズを踏まえてマッチングということをやっている中で、やはり正社員を望んでいる求職者が正社員になれない状況ということに関して言えば、それは、そういった方々を正社員として再就職させるということを行政レベルとしてやっていかねばならない。量的な話もあるのだとは思いますけれど、そういう面でやっていかなければならないと思っています。また、今日、ここまで話されませんでした、正社員・非正社員の均衡処遇ということも非常に重要でありますので、多様な働き方が単に安い労働力ということではなくて、相互のニーズに合ったものとして適切にやっていくということがやはり重要ではないかと思っています。正社員化については、私どもとしてはそういうことでやっていきたいと思います。
 
○浅野需給調整事業部長 
     最後のご質問については、先だって行政処分をしたところということもあって、指導監督の部分が目立つのかなと思いますが、私どもとしては、この「偽装請負一掃キャンペーン」の中でも派遣先、請負発注者、請負事業者等を対象に、各種セミナーを実施するなど、周知・啓発に努めているところでございます。
 また、派遣元、派遣先の数を考えますと、指導監督をするといっても限度がございまして、そういった意味でも、特に派遣先の方に、しっかりご理解をいただくとともに、自主点検などもしていただくようお願いしているところでございます。
 今ちょっと指導監督が目立つ感じがするかと思いますけれども、私どもとしては、指導することが大事だと考えているわけでなく、法制度を理解し、事業を適正に運営していただくことが大事であると考えているところでございますので、ご理解いただきたいと思います。
 
○國井会長 
     ありがとうございました。
 大事な問題を次々ご指摘いただいて、時間で切るのはいかがかと存じますが、2番目の議題のその他につきまして事務局の方で何かあるでしょうか。
 
○総務部長 
     特にございません。
 
○國井会長 
     それでは、予定していました議題は終了いたしました。
 なお、時間が押しておりますけれども、この際、述べたいというようなご意見等がございましたら、お伺いしたいと思いますが、いかがですか。
 それでは、ないようでしたら、これで本日の審議会を終了させていただきたいと思います。
 大変ご協力いただきまして、活発な討議になりました。先ほど申し上げましたように、厄介なことも申し上げたと思いますけれども、労働局の方で今後の施策に生かしていただければありがたい、そのようにお願いしたいと思います。
 本日はどうもありがとうございました。
 
問合せ:大阪労働局総務部企画室
TEL:06-6949-6050 

 
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