平成15年度第2回大阪地方労働審議会議事録


1 日 時
  平成16年3月9日(火) 午前10時~午前11時55分

2 場 所
  プリムローズ大阪 鳳凰の間
(大阪市中央区大手前3丁目1-43)

3 出席者
  (1) 委 員
    公益代表
  國井委員  江﨑委員  佐野委員  西村委員  綿貫委員
労働者代表
  伊東委員  瀬戸川委員  高石委員  吉田委員  脇本委員
使用者代表
  金谷委員  谷本委員  津田委員  松元委員  山本委員
  (2) 事務局
   
浅野労働局長
峯労働基準部長
河村雇用均等室長
永田会計課長
辻監督課長
井上労働保険徴収課長
石田労働保険事務組合室長
豊村労働衛生課長
中松労災補償課長
足立職業対策課長
  荒木総務部長
  浅利職業安定部長
  佐野総務課長
  平野企画室長
  高橋労働時間課長 
  川根労働保険適用課長
  坂本安全課長 
  川村賃金課長
  安山職業安定課長
  西口雇用保険課長

4 議 題 
  (1) 平成16年度大阪労働局行政運営方針(案)について
(2) その他

5 議 事
 
(会長)
     定刻となりましたので、平成15年度第2回大阪地方労働審議会を開催いたします。
 それでは、最初に、本日の委員の出席状況等について、事務局から報告してください。
 
(事務局)
     本日は、公益代表委員5名、労働者代表委員5名、使用者代表委員5名の計15名の委員のご出席をいただいております。 
 したがいまして、地方労働審議会令第8条第1項の規定により、本審議会が有効に成立しておりますことをご報告申し上げます。
 
(会長)
     続いて、局長に挨拶をお願いします。
 
(局長)
     おはようございます。大阪労働局長の浅野でございます。
 会議の開催にあたりまして、一言ご挨拶を申し上げます。
 各委員の皆様方におかれましては、年度末の何かと忙しい中、本日の審議会にご出席を賜りましたことに対し、厚く御礼を申し上げます。
 また平素、労働行政の運営に格別のご理解、ご協力を賜っていることに対しましても重ねて御礼を申し上げます。
 まず、最近の経済情勢につきましてでございますが、2月の月例経済報告では、景気は着実に回復しているということで、景気は全体として回復の動きがみられるところです。
 こうした経済の動きが、労働市場にどう現れているかということですが、雇用情勢についてみますと、大阪の有効求人倍率は、12月、1月ともに、0.77倍ということで、1年前の14年12月が0.50倍、15年1月が0.52倍でありまして、これと比較しましてもかなり改善してきております。
 この0.77倍という直近の数値は、バブル末期の平成4年末の数字と同じということで、かなりの回復をしてきたと思っております。
 一方、完全失業率を見ますとこちらも徐々に減っては来ているのですが、16年1月、全国の完全失業率は5.0%、近畿ブロックが5.5%でございますが、大阪府が推計した昨年10~12月にかけての大阪の完全失業率は6.8%ということで、依然全国平均を大きく上回る水準にあります。
 さらに、解雇、賃金不払いといった労働相談や妊娠、出産を理由とする解雇などの不利益取扱い、育児休業、介護休業に関する相談といったものが局、労働基準監督署に多数寄せられているというのが現状でございます。
 このような状況のもとで、現在、大阪における労働行政の大きな課題はいろいろあると思われます。
 雇用対策では、
  1点目は、雇用のミスマッチの問題
  2点目としては、長期失業者の問題
  3点目は、若年者問題
 があろうかと思っております。
 また、労働基準行政の方で見ますと、法定労働条件の履行確保が一番の大きな課題であろうと思いますし、続いては、労働災害の防止、それから健康確保対策があろうかと思っております。
 均等行政について言うと、次世代育成支援対策が重要な課題であろうと思っております。
 具体的な内容は、後ほど事務局の方からご説明いたす予定にしておりますが、まずその中で、雇用のミスマッチの問題でございますが、ただ今申し上げましたとおり、大阪で雇用の改善の動きがみられるわけですけれども、つぶさに見ますと、有効求人倍率の回復を押し上げている原動力になっているのは、いわゆる一般常用求人ではなくて請負求人だとか派遣労働の求人、こういったものが全体の4割ぐらいを占めています。
 こういった中で求職者の方は、全体の8割くらいは常用求人を希望する求職者となっております。
 こういった状況のもとで、求人、求職の間のミスマッチがかなり顕在化してきているのではないかと思っておりまして、今後こういった雇用のミスマッチを解消していくことが、私どもの雇用対策上の大きな課題であると思っております。
 次に、長期失業者対策でありますけれども、長引く景気低迷の中で失業者の失業期間が長期化する傾向にあります。
 もともと求職者が再就職するにあたっては、離職直後の1か月間くらいに就職するか、あるいは、雇用保険の失業給付の受給期間満了後1か月間くらいに就職するか、これくらいで就職しないと、かなり就職しにくいという状況がこれまでもあったところですけれども、今の状況で見ますと、失業期間がさらに長期化するといった傾向が見られております。
 こういった長期失業者に対する再就職支援については、新年度の最大の課題のひとつとして、新たな工夫をした取組みを大阪でも実施して行こうと今、検討中でございます。
 それから、3点目は若年者問題です。
 若年者の問題については、かねて指摘されているところでございます。政府全体でも、昨年の6月に厚生労働省、経済産業省、文部科学省それから内閣府等関係府省が連携しまして、若者自立・挑戦プランというものを作って、今この若年失業者の増加傾向に歯止めをかけて、むしろこれを反転させるんだという意気込みで取組んできていて、これを具体化するのが、この新年度になるわけですけど、大阪においては、大阪府独自に集計した完全失業率を見ますと、若年者15歳から24歳の失業率が、昨年10月~12月にかけて10.6%という非常に高い水準にあります。
 また、新規の高卒の就職内定状況は、16年1月末現在77.8%と昨年と比べるとやや改善してきていますけれども、依然厳しい状況にあります。
 ただ、一方で若者に対する求人といいますのは意欲旺盛でして、求人倍率も1倍を超えるという状況になっております。 こういう中でどうやって若者の就職促進を果たしていくかということが、私どもの抱えている大きな課題だというふうに理解しております。
 それから、労働基準行政でございますが、ひとつは法定労働条件の履行確保でございます。これは改めて申すわけでもなくて、どういう経済情勢のもとでも、たとえば働いたものに対する対価というものはきちんと支払われなければならないなど、労働基準法というのは絶対守られなければならない。これは私どもとしては、当然のことなんですけれども、まだまだ、いろんな形で法違反あるいは是正しなければいけないような状態が発生しているということでございまして、この点については、引き続き地道な取組みをしていく必要があるだろうと思っております。
 それから、労働基準行政の2点目は、労働災害の防止なんですけれども、大阪では労災事故の発生件数が全国1位でございます。年間1万人以上の労働者の方が被災しておりまして、その中で死亡者数は平成11年が86人。これが過去最少数値でございまして、昨年は94人ということで若干増えてきております。
 私どもとしては、この労災で亡くなる方々を前年よりとにかく低くしようという事を目標に取組んでおります。
 それから、基準行政の3点目は健康確保対策でございます。
 これも社会的な問題になっている過労死、自殺、あるいはメンタルへルスに関する問題が、大阪でも大きな問題となっております。
 こういった問題については、大阪では、昨年はメンタルへルスに対して、労働局独自に府内の主だった企業を対象にどのような取組みをしているかということについての調査をさせていただいた訳ですけれども、そういった調査をもとに、より効果的な対策をしていきたいと思っております。
 雇用均等行政については、次世代育成支援対策が大きな課題だと思っております。これもご案内のとおり、非常に早いスピードで少子化が進んでおります。この少子化が社会全体に与える影響というものは皆様方よくご承知のとおりでございます。
 大阪におきましても、合計特殊出生率が1.22ということで、全国が1.32でございますので、全国平均と比べまして非常に低い状況にございます。
 こういった動きに歯止めをかけるという意味で、昨年の通常国会で次世代育成支援対策推進法という法律ができまして、これが平成17年4月から全面施行されるわけですが、地方自治体や各企業におかれまして具体的な対応策を採ってもらうとういうことで、行動計画なるものを作ってもらうことにしております。
 その中で、とくに301人以上の企業からは、義務的に届出をしてもらうということになるわけですけれども、この301人以上の企業というのが大阪では、約1,200社あります。
 この1,200社すべての企業から届出を出してもらうというのが、私どもの目標でありますけれども、それに向けて一年間、地道な取組みをしていかなければならないと思っております。
 こういった労働行政の課題に応えるための基本的な姿勢として、大阪労働局では、府内における行政ニーズを的確に把握し、それを反映した行政を進めるということを基本に据えたいと思っておりまして、具体的には4点ほどありますけれども、
 第1点目は、地域の経済情勢あるいはその他の実情、これを逐次、的確に把握することに心掛けたいと思っております。
 第2点目は、地方自治体、労使団体との連携、これはこれまでも積極的に行ってきたわけですけれども、より一層その連携を密にして、地域の実情に即した行政運営を心掛けていきたいと思っております。
 第3点目は、昨今の行政事情の中で、労働局の定員あるいは予算といったものも限りがございます。こういった限りある人的物的資源を行政運営上効率的あるいは重点的、集中的に活用することによって、施策の効果を上げていきたいと考えております。
 第4点目は、大阪労働局として行います重要施策については、積極的な広報を実施し、これを府民に十分周知させていただくことを最大限心掛けていきたいと思っております。
 こういったことを行政運営の基本として、今後一年間取組んで参りたいと思っておりますが、引き続き委員の先生方には忌憚のないご意見を賜り、また行政に対するご指導をよろしくお願い申し上げましてご挨拶とさせていただきます。
 
(会長)
     どうもありがとうございました。
 審議に入ります前に、本日の議事録の署名委員を指名したいと存じます。
 公益代表委員は私、労働者代表委員といたしましては脇本委員、使用者代表委員といたしましては松元委員をそれぞれを指名させていただきますのでよろしくお願いします。
 
(会長)
     それでは、議事に従いまして、審議を行います。
 まず、「平成16年度 大阪労働局行政運営方針(案)について」事務局から説明していただきます。
 なお、ご質問、ご意見は、説明が終わった後でお願いしますのでご協力をお願いいたします。
 
(事務局)
     それでは、平成16年度の行政運営方針につきまして、私から説明させていただきます。
 局長が申し上げましたように、現在大阪労働局が当面している課題につきましては非常に多くのものがあるわけですが、労働局発足5年目を迎え、総合労働行政機関としての役割を発揮して、統合による効果を示していきたいと考えています。
 そして、平成16年度は、
・ 厳しい雇用情勢下における雇用の安定、労働条件の確保・改善に向けた総合的な対応
・ 健康で安心して働ける環境の整備
・ 少子・高齢化の進行と多様な働き方への対応
 という三つの柱を重点に、取組んで行くこととしています。
 最近の雇用失業情勢は、かなり回復の傾向が見られるところです。大阪府内の雇用失業情勢を見ますと、新規求人数は平成15年10月には30年ぶりに月間6万人を超えたという状況であり、大幅に改善しています。その一方で、求職者数は最近7ヶ月連続で減少しているという状況です。
  こういう状況を受けまして、求人倍率は昨年の9月には0.63倍、昨年の11月には11年ぶりに0.7倍台と回復しています。
 しかしながら、完全失業率を見ると、平成15年10~12月期で全国平均は4.9%に対して、近畿は5.9%、さらに大阪は6.8% であり、求人倍率は改善してきてはおりますが、失業率は依然として高い状況にあります。
 次に、労働条件を巡る状況についてですが、景気回復、あるいは雇用の持ち直しという状況を受けましても、労働者を取巻く環境は依然として厳しいものがあります。
 府内の労働基準監督署に寄せられている申告・相談を見ますと、解雇、賃金不払に関するものが依然として多いという状況です。
 15年の1年間の申告処理件数は4,511件であり、過去最高でありました昨年が4,399件ですので、さらに2.6%増ということで、過去最高をまた更新したという状況です。
 こういう状況の中で長時間労働、あるいは賃金不払残業、いわゆるサービス残業ですが、こういう労働時間の適正管理に関する相談も増えてきています。
 それから、未払賃金立替払事業に基づく認定件数につきましては、平成15年は146件であり、一昨年と比較すると10件ほど減少しています。
 このほか、雇用均等室には、妊娠・出産を理由とする解雇等の不利益取扱い、育児休業、介護休業に関する相談等が寄せられているところです。
 次に、労働時間・賃金の状況ですが、昨年の大阪の年間実労働時間は、未確定値ですが1,815時間であり、政府目標である17年度末までに1,800時間という目標にはかなり近づいてきてはいますが、まだ未達成という状況です。
 そのような状況に加えて、昨年の年休の取得率は41.8%で、一昨年に比べさらに下がっているという状況です。
 続きまして労働災害、労災補償の状況です。労働災害による死傷者数は、平成元年が2万人、平成15年は1万人と長期的には減少傾向にあります。昨年、第10次労働災害防止計画を策定したところでは、死傷者数を4ケタ台にすることを目標に掲げたところですが、残念ながら昨年はこの目標は達成できなかったということです。
 またこの状況は、依然、全国でワーストワンということで、このままでいくと、23年連続となります。
 労働者の健康状況については、14年の一般定期健康診断の有所見率が45.4%であり、13年が44.5%ということですので、0.9ポイント悪化しております。またストレスや過重労働による健康障害の問題なども生じています。
 続きまして、大阪における労働行政の課題と重点施策について説明します。
 労働行政の課題については、先程申し上げましたように、三つの課題にまとめています。
 そして、これらの課題を受けて、どういう施策を講じて行くかということについて、労働基準行政の重点施策から説明します。
 まず、労働条件の確保・改善等についてですが、労使のトラブルを未然に防止して、労働者の抱える不安感を払拭していくことが求められているところです。
 労働基準法が今年の1月から改正施行されています。解雇、あるいは雇止めについてのルールが明確化されたところですので、本社機能を有する事業場に対しては自主的な取組みを促すという対策を講じていきたいと考えています。
 また、過重労働の一因でもあり、長時間労働の原因にもなっています賃金不払残業、いわゆるサービス残業が依然としておきています。このため、賃金不払残業の解消を図るための指針の周知に努めていきたいと思っておりますし、賃金不払残業をなくすという意味からは、労使の主体的取組みを促すことも重要であり、そういう面も強化していきたいと思います。
 さらに、悪質な事案については、引き続いて司法処分を含めた厳正な対処を講じていきたいと考えています。
 労働時間対策におきましては、時間外労働の実効ある抑制を図って行く必要があると考えておりまして、特別条項付きの三六協定について、特別な事情については臨時的なものに限るという時間外労働の限度基準の告示の改正がこの4月から施行されるところであり、その周知に努めます。
 次に特定の労働分野における労働条件確保対策の推進についてですが、改正された労働者派遣法が3月1日に施行されています。今回の改正によりまして、いわゆる物の製造の分野への労働者派遣が可能になりましたので、職業安定行政とも連携しつつ、労働条件の確保対策を講じていきます。
 労働者の安全と健康を確保するための対策の推進については、労働災害発生全国ワーストワンという現状を踏まえ、その解消を図るために、大阪危険ゼロ先取運動を展開していますが、特に、墜落・転落災害、はさまれ・巻き込まれ災害、交通労働災害といった三大死亡災害を中心に集中的な対策を講じていきたいと思います。
  昨年は、全国的に大規模な製造業において、重大な災害が多発したところです。今回アンケート調査を実施しましたが、企業の安全管理に問題があると思われる事業場については、指導に入っていきたいと考えています。 
 健康確保対策については、過重労働による健康障害の防止対策、及びメンタルヘルス対策等を中心に対策を講じていきます。
 特に平成16年度は、昨年実施したメンタルヘルスに関する実態調査結果を踏まえ、第2四半期に心の健康づくりフェアを開催し、メンタルヘルス対策の充実に努めます。
 今年の10月27日から29日まで、大阪におきましては12年ぶりに、第63回全国産業安全衛生大会が開かれます。本大会においては、安全衛生意識の高揚を図り、安全文化を定着させる、あるいは自主的な安全衛生活動を促進させる絶好の機会であると考えていますので、事業者の皆様、あるいは労働者の方々に積極的に参加していただけるよう勧奨する等、全面的な支援協力をしていきたいと思います。
  労災補償対策の推進についてですが、社会的に関心の高い過労死や自殺にかかる事案は増えておりまして、審査にも時間がかかっていますが、認定基準や判断指針に沿い、迅速・適正な労災保険補償給付に努めることとしています。
 次に、職業安定行政の重点施策についてです。
 職業安定行政に関しましては、今年度、新たな試みとして数値目標を盛り込みました。
 まず、早期再就職の促進のための支援策の強化として、ハローワークにおいてマッチング機能、再就職支援機能の強化を図り、その結果として就職件数を15万件以上とすることを数値目標としています。今年度の就職件数の実績見込みが14万3千件で、これは14年度と比較して約4%のアップとなりますが、16年度はこれをも上回る約5%のアップを目指すこととなります。
 またこの15万件という数字は、過去最高の数値でして、ハローワーク一丸となって進めて行きたいと考えています。
 具体的な取組みとしては、求職者個々のニーズの的確な把握に努め、個々人に合った職業相談、能力開発機関への案内や職業紹介、就職に至るまでの一貫した支援策を体系的に行っていきます。
 また、新たな試みとして、現在難波1ヶ所にある就職支援センターについて、交通の便等を勘案して5ヶ所に再編整備し、業務の拡充を図っていきます。
 この支援センターへ各ハローワークから送り込んでいく目標数を1万件、送り込んだ求職者の方々について、就職数を8割程度とします。
 事業主に対し、未充足求人に対する条件緩和指導等のフォローアップ、特に求人受理後3週間を経過しても紹介のない求人に対するフォローアップを強化していきます。
 さらには、能力本意の採用選考の促進の観点から、求人年齢制限の緩和促進にも努めます。その目標値として年齢不問求人の割合を、17年度の最終目標を35%、16年度は25%以上としています。
 また、今年の3月から、職業安定法、労働者派遣法が改正されましたので、これについての周知にも力を注いでいきます。
 派遣事業制度の改正を踏まえ、民間の需給調整機関への指導監督を着実に実施するとともに、労働基準行政と連携して苦情、相談への適切な対応をしていきます。
 次に、失業者の特性に応じたきめ細かな就職支援についてです。
 1年以上にわたって失業している長期失業者の安定した就職を促進するため、ハローワークにおいて長期失業者の就職支援を体系的に実施します。
 16年度からは、民間委託による長期失業者の就職支援事業がスタートしますので、ハローワークも民間委託事業者と連携して長期失業者の再就職に結びつけていきたいと考えます。
 また、地域のニーズを的確に把握することが大事なことであると考えています。16年度新規事業として、市町村等を雇用面から支援する地域再生雇用支援ネットワーク事業がはじまりますので、関係機関と連携して、この事業の円滑な推進に努めたいと考えています。
 さらに、無料職業紹介事業が今年の3月1日から地方公共団体に解禁になりました。
 これによりまして、すでに和泉市などが届出を行っておりまして、職業紹介事業にも取組むということになっています。
 そのような積極的な取組みを行う地方公共団体とは、緊密に連携を図り、求人者が公開に同意している求人情報については、積極的に提供して行きます。
 大阪府地域労使就職支援機構が実施する地域の雇用改善に資する各種取組みについても、支援を行います。
 また、大阪雇用対策会議においてとりまとめられた12万人緊急雇用創出プラン(案)の最終年度ですので、その実現に向けた各種施策を講じていきたいと思います。
 昨年の9月からワンストップサービスとして実施しています失業者向けの、税金、住宅ローン、あるいはメンタルケア等の生活関連情報の提供についても、相談コーナーの活用に努めます。
 次に、雇用保険制度の安定的運営の確保についてです。
 昨年の5月に改正されました改正雇用保険法の円滑な施行を図り、適正給付を一層推進します。
 また、16年4月に国立大学法人が設立されます。これまでの国家公務員型ではなく、いわゆる非国家公務員型ということで、国家公務員法の適用がなくなり労働関係諸法令が適用になります。
 このため、国立大学法人の教職員に雇用保険制度に着実に入っていただける様に取組んで行きます。
 併せまして、私立学校教員の加入促進にも努めます。
 次に、若年者雇用対策の推進についてです。
 若年者の失業率が10.6%という状況ですが、これを何とかしなければならないということで、若者自立挑戦プランに掲げられた当面3ヶ年で若年失業者の増加傾向に歯止めをかけるという目標を踏まえた若年者雇用対策を推進します。
 新規高卒者の内定率については、15年度は14年度に比べると5ポイントほど改善しています。しかしながら、依然として厳しい状況であり、16年度も15年度以上の水準を確保していきたいと思います。
 職業セミナー、あるいは職業体験講座等について、15年度の実績を見ますとまだ2,400人ということですので、生徒、保護者に対する積極的な実施を進め、受講者数2万人を確保したいと考えています。
 また、新規学卒者に対する就職支援として、あらゆる事業所訪問の機会において中学、高校新卒者の採用についての理解を促していきたいと思います。
 さらに、未就職の卒業者の就職支援を図るため、早い段階からの生徒に対するきめ細かな就職相談、職業指導を行っていきます。延べ相談件数年12,000件程度を目指します。
 若年の失業者対策の強化として、若年者を短期間雇用していただいて常用雇用に結びつけていくという、若年者トライアル雇用事業についても、試行雇用が終了した後に常用雇用へ移行する割合を8割程度としていきたいと思います。
 そのほか、昨年の3月にオープンした大阪ユースハローワークや、京都にある私のしごと館とも連携を図り、就職活動を支援していきます。
  16年度新たな事業として、大阪府が夏ごろ、エル・おおさかに開設を予定しているジョブ・カフェ大阪というものありますが、これも、若年者向けの施設ですが、そこにハローワークを併設し、大阪府と連携した事業展開を実施していきます。 
 続いて高齢者対策についてです。
 年金支給開始年齢の引き上げ等を踏まえ、少なくとも65歳までは働ける環境を作っていく必要があるのではないかと考えます。
 この通常国会に、定年の引き上げ、あるいは継続雇用制度導入による65歳までの雇用確保を目指した高年齢者雇用安定法の改正が提案されています。
 法が成立した場合には、事業主セミナーの開催等により、改正内容の周知を図っていきます。
 大阪キャリア交流プラザという、中高年のホワイトカラー離職者に対する再就職セミナー、経験交流会等を行っている施設があります。ここでの就職率を7割程度確保していきたいと考えます。
 また、シニアプラザ大阪においては、高年齢者向けの再就職にかかるいろんな相談、特に年金の相談や健康相談も併せてワンストップサービスで行っておりますが、この施設の活用により、高年齢者の再就職促進を支援していきます。
 続きまして、障害者の雇用対策の推進についてです。
 雇用率未達成企業に対する指導強化に努めます。
 障害者の就職促進については、障害者の基本計画に基づいて策定された「重点施策実施5ヶ年計画」(新障害者プラン)を踏まえ、16年度は15年度を上回る就職件数を確保することを目指します。
 また、トライアル雇用の終了者の8割程度が常用雇用に結びつくよう努めます。
 続いて、外国人雇用対策についてです。
 梅田にある大阪外国人雇用サービスセンターにおいて、外国人向けの職業相談、職業紹介に努めます。
 ここでは、専用のパソコンの活用や、通訳の配置による円滑な職業紹介の推進を図ります。
 安心して働ける雇用環境の整備については、公正な採用選考等の確立のため、引き続き企業啓発に努めます。
 ホームレスの雇用対策の推進については、国の基本方針、あるいは地方公共団体の実施計画に基づいて、就業支援施策の推進を図るとともに、職業相談、あるいは職業紹介を行い就労による自立を促していきたいと考えます。
 母子家庭の母等の雇用対策については、家庭環境に配慮した職業相談、職業紹介を実施します。
 日雇労働者の雇用対策の推進については、募集活動の適正化、関係法令の周知を行います。
 建設労働者の推進については、11月の建設雇用改善推進月間を中心に、雇用改善取組みの機運を醸成していきます。
 港湾労働対策の推進については、同じく11月にある港湾労働法遵守強化旬間に、遵法意識の一層の高揚を図るため、関係機関と連携して、港湾運送事業主団体、事業主に対する指導を強化していきます。
 次に、雇用均等行政の重点施策について説明します。
 雇用均等行政としましては、17年4月に全面的に施行される次世代育成支援対策法の円滑な施行のための取組みを最重点課題と捉えて行政を展開します。
 1つ目が職業生活と家庭生活の両立支援対策の推進です。
 次世代法に基づいて一般事業主行動計画の策定届出が、来年の4月から、300人を超える事業主については義務化されますので、16年度は、その周知を集中的に行います。
 行動計画についての相談業務を行う次世代育成支援対策推進センターとの連携を強化して行きます。
 また、次世代対策の要でもある、育児介護休業法の着実な履行を図ります。
 2つ目が男女の均等な機会及び待遇の確保対策の推進です。
 均等法に基づき、雇用管理の実態を把握するとともに、男女の差別的な取扱いを実施している企業に対しては、厳正に対処し法違反の是正を図っていきます。
 また、関西経営者協会等と連携し、引き続き、大阪女性の活躍推進協議会を開催し、女性の能力発揮のためのいわゆるポジティブアクションの取組みを推進します。
 さらに、依然として相談件数が多いセクハラの防止対策にも努めます。
 3つ目がパートタイム労働対策です。
 パートタイム労働者は女性の割合が多いということで、雇用均等室が担当しているわけですが、労働基準の分野、職業安定の分野もありますので、局内の各部と連携して、パートタイム労働法やパートタイム労働指針についての幅広い周知、特に、パートタイム労働者と通常の労働者との均衡を考慮した処遇の考え方についての浸透、定着を図ります。
 次に労働保険適用徴収業務の重点施策についてです。
 労働保険の未手続事業の的確な把握を行い、効果的な適用、徴収を行います。
 社会保険と労働保険の徴収事務の一元化が昨年の10月にスタートし、事業主の利便性の向上と行政事務の効率化を図るという観点で、社会保険労働保険徴収事務センターが各社会保険事務所に設けられているところですが、引き続き社会保険事務局との連携に努めたいと考えます。
 次に、個別労働紛争解決制度についてです。
 労働紛争解決制度が創設されて、2年余りが経過しています。
 この間相談件数が非常に伸びていますが、相談体制の充実のため、昨年の9月から、労働なんでも相談ダイヤルという名称で、フリーダイヤルで相談を受付けていますが、引き続きこの広報にも努めます。
 また、あっせんの合意率の向上にも努めていきます。
 これまで3行政それぞれの施策について説明しましたが、ワークシェアリング、次世代育成支援対策、パートタイム労働対策、在宅勤務と在宅ワーク対策等については、特に3行政が連携して推進していきます。
 最後に、行政の展開にあたっては、地域の行政ニーズの的確な把握、府、あるいは労使団体との連携に努めます。
 情報公開制度については、国民からの開示請求に対して、適切かつ円滑な実施に努めます。
 以上、簡単ではありますが、来年度の運営方針についての説明を終わらせていただきます。
 
(会長)
     ただ今の説明でご意見、ご質問がありましたら、挙手をしていただき、私が指名させていただきますので、マイクをお持ちのうえ、ご発言をお願いします。
 
(委員)
     毎回申し上げておりますが、横文字の言葉でわからないことがありまして、あちこちのページに出てきておりますので、ページは指摘いたしませんけれども、この資料の中で使われておりますポジティブアクションとファミリーフレンドリー企業の意味、特に気になったのはこの2つです。
 ポジティブアクションはいろんなところで使われております。特に行政の場面で使われておりますことは認識しておりますけれども。
 ここで、企業がポジティブアクションを云々と書いてあるんですけど、ポジティブアクションの推進とはどういう意味なのか、私はどうしても理解できません。ご説明ください。
 
(委員)
    全く同じ内容なんですが、もうひとつ、ミスマッチという言葉、特にこれは労働行政を考える際に必要な現状把握で、問題点がどこにあるのかとか、対策対応施策につながって行くために具体的に理解していく必要があるかと思いますので、付け加えてお願いしたいと思います。
 
(事務局)
     今、ポジティブアクションとファミリーフレンドリー企業、こういうカタカナの言葉が多用されていることについて、どういう意味かというお尋ねをいただきました。おっしゃるとおり、このポジティブアクションにつきましては、いろんな方々から、どういう意味であるのかわかりにくいとのご指摘がありまして、なるべく日本語に言い直すようにしておりますが、その意味合いとしましては、意欲・能力ある女性が職場でその力を発揮できるような取組みをしていただくことということでございます。
 それからファミリーフレンドリー企業でございますが、これにつきましては、適切な訳語がないということでこのファミリーフレンドリーという言葉を使っておりますが、女性・男性を問わず仕事と家庭を両立しやすい、そういう職場環境を持った企業という意味で、使っているところでございます。
 
(事務局)
     ミスマッチの関係でございますが、例えば求人の関係で申し上げますと、新規求人に占めるパートタイムの求人というのがだいたい30%強あるんですが、それに伴います求職者が15%くらいという状況です。また、請負、派遣の求人が都会の場合は特に多いんですが、大阪の場合、全求人に占める割合がだいたい2割くらいございまして、その請負の求人の就業場所が大阪府外が7割という状況で、その求人の充足は1.3%くらいといった状況です。
 それと、ミスマッチの関係で、昨年12月に求職者の方からアンケートを取ったんですが、例えば、応募しなかった理由が何なのかと言いますと、希望する職種の求人がないというのが一番、そのあと能力・資格・経験と合わない、こういうのが非常に多くございまして、今度は求人者側から採用しなかった理由を聞きますと、1つは経験不足が圧倒的に多い、次いで能力・資格がない、あと基本的な問題ですが、積極性なり協調性、この辺が選考にあたって重視してるんだがなかなかない。
 職種にあう求人が少ないということについては、求人開拓推進員を配置して求人確保に努力していたんですが、やみくもに求人開拓するのではなしに、例えば求人の少ない職種について重点的に実施するとか、また企業は即戦力ということを重視しておりますので、それに見合った人材情報を持って企業に求人開拓に行く、そのような形で今、ミスマッチを解消しようとしています。
 
(会長)
     よろしいですか。ミスマッチというのはどういう状態をいうのか、どこが不都合なのでどう改善するのか、そういう方向を定めるためにもミスマッチという言葉では何を表しているのか、というのがご質問の趣旨であったかと思いますので、求職者と求人者との不具合なんでしょうけれども、ご発言者はどのようにお考えですか。
 
(委員)
     労働市場も当然求めるものと受け入れるものと言いましょうか、いわば労働力の売買ですから。あたりまえのことですので、現状をおっしゃられましたが、説明は十分わかっているつもりです。現状をお聞きしたのではなくて、現在の日本の労働市場、とりわけ大阪の労働市場のミスマッチという状況をもたらしている理由が明確でないと、施策のほうに手が出ないんじゃないかと、ちょっと隔靴掻痒という感じでお聞きしてたんです。ミスマッチは英語でしょうか。
 
(事務局)
     ミスマッチというのは、労働行政、職安行政ではおそらく昭和40年代に使い始めた言葉で、直訳すれば求人者と求職者の不適合ということだと思いますけれども、内容的には今、委員の言われたとおり量的に言えば、全求人の4割近くがパート、派遣、請負で、一方、求職者の8割が常用求人を希望しているという、量的な適合状態でないという状態であるわけですけれども、それ以外に、個別の求人求職の内容を見れば、希望する職種がないという求人と求職のミスマッチや、そのほか年齢等色々あるわけですね。そういうものをひっくるめて、ミスマッチと言ってるんですけれども、それぞれどのくらいのミスマッチ、不適合があるかというのは、今資料がないのでお示しすることはできませんけれども、そういう状態にあるということですね。
 それに最近ではミスマッチがどういう使われ方をしているかというと、単なる職安行政上の求人求職の不適合だけではなくて、今、委員もおっしゃられた市場の中での均衡を欠いているような状態をミスマッチと言われるようなことが時々出てきますね。だからかなり一般化してきた言葉であるような気がします。
 それから委員がおっしゃられたポジティブアクション、ファミリーフレンドリーこれも非常に抽象的でわかりにくい言葉だと思います。私ども第一線機関ですので自分達が作った言葉ではないわけですけれども、これは厚生労働省の均等行政がかねて使ってる言葉ですので、どういう意味で使ってるのかと疑念があったということは本省に報告しておきたいと思っております。
 
(委員)
     本来中身について議論すべきことなんでしょうけども、入り口で色々申し上げるのも非常に心苦しいと思うんですが、用語を余りにも安易に使っていると、それは中身についても安易なのではないだろうかと思いたくなるわけですね。私、毎回必ず申し上げてることなんですけれども、横文字の言葉は正確に使っていただきたい。例えば、ニーズという言葉、要求とか希望とか必要性とか、そういう意味で使ってるんだろうと思いますが、これは英語ではないですね。ニーズというのは、文法的に言えばニーズというのは必要であるという動詞に、3人称単数のSをつけた状態がニーズですね。正確に言えばニードというDであるはずなんです。そのへんの言葉についても非常に安易であると、これは何もニーズという言葉を使う必要はないです。非常に簡単に、希望であるとか要望であるとか要求であるとか必要性であるとか、そういう日本語でいくらでも置き換えられるわけですね。あと、ポジティブアクションについてもご説明いただきましたけれども、その意味だとしますと、他の行政機関が使っているものと多少違う気がするんです。たくさんの意味を持ったものを、これを使うとわかったような気になるからというので、横文字の言葉を使う、それで今事務局も本省が使ってるからとおっしゃいましたけれども、本省が使ってるからそのまま使っていいということではないと思うんですね。やはりそのあたりの、用語に対する神経質さというのを行政のトップを担う方々にもっと持っていただくべきではないかと思うんです。それで、ファミリーフレンドリー企業というと、まるでファミリーレストランのような感じを受けるんですけれども、英語の文法で言ってもめちゃくちゃな文法だと思うんです。こういうことについてもやはりもう少し中身を吟味して、それに沿う日本語をまず使おうと、考えるべきではないかと、そのようなことを思うもんですからあえて冒頭に申し上げました。その点は、毎回申し上げていて大変気になるところです。で、これはこの資料全体の格調を私は下げていると思います。その点はお考えいただきたいと。
 
(委員)
     私も、ファミリーフレンドリーについては、やはり均等法に対して優良で、協力している会社だということがわかる方がいいのかなという気がするんですが。
 ミスマッチという言葉は企業としてよく使っていて、ですから一般名詞化しているんですが、ひとつ気になるのは、これは大きな間違いの使い方なんですよね。例えば給料50万円欲しいという人に、求人側は20万円しか払えない。これはミスマッチとは言わないです。条件が合わないだけ。常用で働きたいという人に対して、パートでしか働けないというのは本来ミスマッチとは言わないと思うんですよ。例えば、企業のほうはコンピュータもわかる労働者が欲しい。ところが、労働側は非常に建築に経験のある人が多い、そういう人に対してはまさに社会が要求している人との間に不適合だから、トレーニングをして、コンピュータの講習をして、そのマッチを合わせるというような、そういうことができるわけですよね。この常用を求めている人とパートしか仕事がないよというのはミスマッチというのかなと、さっきの給料格差も同じで余りにも安易に使って混乱をしているきらいがあると思うんですよ。
 
(事務局)
     用語の問題に余り時間を割くのはいかがと思いますけれども、委員のおっしゃられたのは全くそのとおりのところもあるんですけれども、まず常用就職希望者とそれ以外のミスマッチがあると言ったのは、これは市場全体としての話で、個々人の話ではございません。個々の個人がどういう労働条件で働きたいと希望しているのか、われわれは職種であったり性であったり年齢であったりあるいはおっしゃってました賃金であったり、そういったところで市場に出てくる求人の中身とそれぞれの求職者が持っている希望とが合致しない、こういうのを個々人レベルでのミスマッチ、不適合と言っているわけです。だからそれに対する対応策としては労働条件を引き下げるなり、あるいは引き上げるなり、あるいは求職の希望を緩和するといったような条件の緩和指導をやるわけでございます。市場全体の方は出てくる求人は全て受付ける、出てくる求職者は全て受付けるのが建前になってるんで、市場としてトータルで見ればそういう状態が発生しているということでございます。
 
(事務局)
     先程来ポジティブアクションとファミリーフレンドリーにつきましてご指摘をいただきましたけれども、今回これを全部書き直すのはちょっと難しいかと存じますが、いずれかの場所でポジティブアクションあるいはファミリーフレンドリーをどういう意味合いで使っているかということをわかるような形で補うことを検討させていただきたいと思います。
 
(会長)
     要するに、問題点がどこにあってその問題についてどう議論するかということが明らかになればいいわけですので、その点を明らかにするよう、日本語で表せるものは日本語を使用するように、今後、事務局の方でもご検討いただければありがたいと思います。
 
(委員)
     若年者失業対策の強化についてご質問したいと思います。
 色々若い方のために、対策を練っていただいているのは大変ありがたいんですけれども、ユースハローワークでも私のしごと館でも、そこへ行かない学生がいるわけです。それで、そういう学生のために大学や高校に指導に出向く等の掘り起こしをしなかったならば、若年者の失業率が高いという問題はなかなか解決できないのではないかと思うんです。行きたくても行けないとか、ちょっと気後れする学生もいるんじゃないかなと思うんですね。ですから、行政の方でそういう学校に指導に行くとか、大学の就職課やキャリアセンターに行って、学生に対する指導方法についてプロとしてのアドバイスをすることもできるんじゃないかなと思うんですね。そういうことについてどうお考えか、お聞きしたいと思います。
 
(委員)
     若年者雇用の問題に関連しまして、先週の日曜日、NHKがフリーターの問題を470万人の脅威と言って取り上げていたんですが、この問題は非常に難しい問題ですし、日本の社会の将来に非常に大きな問題を投げかけることだろうと思います。
 先ほどのご説明の中に厚労省としての対策というのがあったんですけれども、これはなかなか厚労省だけの問題ではなくて社会全体の問題じゃないかという感じがいたしました。ひとつは学校における職業教育というか、自分の将来に対して仕事をするということはどういうことであるかという意味を学校教育を通じて自覚させるということ、これも非常に重要なことだと思いますし、それからもうひとつ、やっぱり家庭ですね、親の問題もございまして、フリーターで好きなことやって働いていると収入も非常に低い。将来ともに収入の伸びが期待できない中で、若い人がやってるという背景には、80%は家から通っていて、食費もあまり入れず、それから住居費も光熱費も何にも負担していないという状態の中でやってるわけです。しかし、今の高齢化社会の中で、果たして親がどこまで面倒見られるのかといったらそれはもう限界があると思うんですね。また、そういうことに対する本人の自覚もあまりなく、親の方もそれを甘やかして、側面的にそういう状態を支えているんじゃないかという感じがいたします。
 それから、社会全体がこの問題は非常に深刻な問題であり、何とかしなきゃいけないんだっていう意識がないと解決されない問題だろうと思いますね。
 企業の立場から言いますと、一方で年金との関連で、高齢者雇用の問題、特に65歳までの高齢者の雇用という問題があるわけです。この問題も本当に能力があり意欲がある人、それからその本人の発揮する労働の市場価値といいますか、それに見合った処遇ができるんであればこれは何とか対応できると思うんですが、しかし一方では、それをやりますと、従業員の数を増やすわけにはいかないんで、そうすると若年者の求人が減るという問題に絡んでくると思うんですね。非常に総合的な問題だろうと思います。ですから厚労省だけの問題ということではなしに、やっぱり政府全体あらゆる関連の省庁が協力して、全体的なキャンペーンはらないと解決しない問題じゃないかと思います。
 お答えはしにくいかも知れませんが。私はそのように感じております。
 
(会長)
     どうもありがとうございました。お答えいただけますか。
 
(事務局)
     はじめにハローワークにも来れないという若者の関係なんですけど、今、雇用能力開発機構大阪センターでは、例えばミナミのアメリカ村に1ヶ所と、梅田のユースハローワークの中にジョブスポットという、まだ本当に仕事をやろうという意識に至っていない若者に気楽に入ってもらい、仕事を考えてもらおうという施設を作っています。ここでコーディネーターやカウンセラーと話す中で、仕事に興味を持って働こうという意識になればハローワークへ誘導するようにしています。
 また、学校の中に入って行って実施する施策につきましては、高校生に対する職業意識形成支援事業の実施ということで、ジュニア・インターンシップや、職業セミナー、職業体験講座を実施しています。職業体験講座といいますのは、専門学校を利用しての職場での模擬体験で、例えば自動車整備、介護福祉、ホテル業等の講座があります。これは高校の1、2年生を対象としています。
 保護者に対しては、学校に出向いてもらってそこで職業セミナーを実施し、若年者を取巻く環境等をしっかり認識してもらおうとしております。来年度はこの受講者2万人を目指して行くこととしております。
 
(会長)
     この問題はここの場だけでできる問題ではなくて、全体で連携をとってその中で何ができるかということを考えていただいて、最大限のご努力で知恵を出していただくことが必要なのだろうと思います。
 
(委員)
     3つほど質問があります。一点は次世代法に関連してですけれども、来年、平成17年の4月までに行動計画を立てることになってると思います。それで、私達労働組合としましては企業といっしょになって、働く人のニーズを調査して、働く人にとってできるだけいい行動計画を立ててもらうように一緒に委員会なりを立ち上げてやりましょうといろいろ話をしているところですけれども、企業の方にこの次世代法について十分な認識がないという指摘をいくつか受けているところであります。それで、この次世代法についてどういう形で説明をされているかという点をお聞きしたいと思います。
 それからもう1つですけれども、派遣労働の問題が先ほども出ておりました。派遣法の改正がありまして、製造の側にもそれが広がったという点もありますけれども、この間、労働相談を連合の方でも受付けておりますけれども、ちょうど2月3月という時期にですね、契約更新時期であるからだとも思うんですけれども、非常に大量の方から派遣の労働相談が続いていまして、初めの約束と違う形での解雇が言い渡されたりといった解雇に関する相談がかなり多く出てきています。
 もう1つ問題なのが登録型です。登録型派遣そのものが、働く人にとっては、権利そのものに関わる問題となっています。働く側の要求と取る側の要求がまるで違っていることについて、どういう風にしてミスマッチがあるからという意味ではなく、なぜこの齟齬ができるのかという部分での問題点について、労働局としてもう少し考え方を整理していただきたい。派遣労働の相談に来る人は非常に若年者が多いです。若い方が、結局正規雇用を求めているのですけれども、正規雇用に就けない、求人がない、というところで派遣にたくさん就いておられて、結局その派遣労働も半年なり3か月という形であったり、登録型ですから仕事がある時はそれでいいけれども、仕事がなければずっと待機をするというような形の中での相談もたくさんあります。その辺について労働局はどうお考えで、どうされているかという点についてお聞かせいただきたいと思います。
 それともう1点は、若年者の問題です。要望なんですけれども、若年の問題は先ほどの委員も言われたように、国を挙げての問題だと私も思っているんですけれども、それについて、例えば大阪府であるとか、大阪市とかの市町村であるとか、そのほかいろんなところが問題点だと思っている。文部科学省もそう思っているし近畿経産局とか、いろんな所が問題だと思われているんですが、それぞれがちょっとずつの施策にしかなっていない。いろんな所でいろんな委員会、若年者の雇用を考える委員会とかが立ち上がっているのが実態だと思うんですね。そういう意味ではもう少し統合する等して、総合的な施策が打てないのかと思うんですが。その辺についてももしご意見があればお聞かせいただきたいと思います。
 
(会長)
      3つくらいのご質問ですけど、ご担当の方からよろしく。
 
(事務局)
     まず最初に次世代法についての取組みについてご説明をさせていただきます。まず今までどのような取組みを行ってきたかということでございます。次世代育成支援事業対策推進法と事業主の行動計画の策定指針でございますが、昨年の8月に告示をされたところでございますので、15年度中はこれについてできるだけ多くの方々に知っていただくということから、今までに説明会を約50回開催いたしまして、説明をして参りました。約5,000社ほどの事業場にご参加をいただきまして、10,000部を超えるリーフレットを配付して参ったところでございます。
 先程来ご説明しておりますように、私どもこれに対する取組みは、16年度の行政の最重点課題と考えておりますので、16年度におきましては、これをさらにきめ細かく重点を定めながら取組んで参りたいと思っておりまして、まず301人以上の事業所に対しましては、この4月から5月にかけまして、説明会を開催する予定にいたしております。その中で事業主の行動計画の策定マニュアルによりまして、どのような形で行動計画を作っていただいたらいいのか、それから認定を取るためにはどのようにすればいいのか、そのようなことも含めまして、時間をかけてご説明をさせていただきたいと思っております。これについての周知は、近々始める予定にしておりまして、具体的に300人以上と思われる各企業に個別にご案内をさせていただきまして、徹底をして参りたいと思っております。
 これにつきましては、300人以下の企業におきましても、努力義務となっているところでございますので、できるだけ幅広くの企業でお取組みがいただけますように、年度前半には色々な機会を活用いたしまして、集中的に周知啓発を行って参りたいというふうに考えているところでございます。
 
(会長)
     はい、ありがとうございました。では2点目についてお願いします。
 
(事務局)
     派遣の関係ですが、ハローワークにも派遣業者からの求人というのは出て参ります。
 そういう場合には、就業場所等の労働条件がはっきりと明示されていて、すぐに働くということでなければ求人の受理は行っておりません。また労働者から局の民間需給調整室に相談があったときにはすぐ指導に行っています。
 また、特に若年者が派遣とはどういうものか、中身を知らずに行って、すぐに辞めてしまうようなケースが非常に多くございます。このため、派遣とはどういうものかということをきっちり知ってもらおうということで、昨年12月にユースハローワークでセミナーを開催しましたが、今後ともそれをしっかりと続けていきたいなと思っています。
 それと、JOBカフェOSAKAというものがあります。これは都道府県が主体的になって、若者の就職支援をいろんな相談も含めてワンストップでやっていこうというファーストサービスを行う施設なんですが、ここには文部科学省、経済産業省、厚生労働省の3省の事業を委託しまして、例えば経済産業省であれば即戦力に耐えられるような人材の育成・訓練、我々のところで見ますと若年失業者の就職支援ということでジュニアインターンシップの関係でありますとか、そういったことを総合的に行う施設として、大阪府が今年の7月1日に立ち上げるということになっています。
 
(会長)
     ありがとうございました。それで労働相談はいろんなところでなされるわけですが、大阪労働局でも労働条件をめぐる紛争に関して対策を講じておられると思いますが、充実する方向だと聞いておりますけれども、その辺のご説明は。
 
(事務局)
     個別労働関係の相談につきましては、労働局の総務部で行っています。たとえば解雇についての問題も、今回労働基準法が改正されまして解雇に関するルールも法定化されたわけですが、これに関わる具体的な問題の処理も労働局の総務部で行っています。かなり周知が進んできておりまして、件数も上がってきております。事業主の方にいろんな法令のお話をして、助言指導することによって解決していきたいと思っております。
 あっせんにつきましては、事業主が応じてこないケースもありますが、何とか解決に向けた努力をして行きたいと思っております。先ほど委員の方からいろいろご提案がございましたけれども、そういう相談を受けられた場合には、できればこちらの労働相談コーナーの周知も図っていただければと思います。あるいはフリーダイヤルでの相談も行っておりますので、労使の方々に周知していただければと思っております。
 
(会長)
     ありがとうございました。どうぞ。 
 
(事務局)
     付け加えまして、一点だけ説明をさせていただきたいと思います。労働基準監督署に対する申告が大変増えています。その防止を図るといった観点からは、企業において就業規則というものをきちんと定めていただきまして、それに基づいた労務管理をやっていただくことが非常に重要なことだと認識をいたしております。そこで、16年度から労務管理に精通した企業のOB、あるいは社会保険労務士等の方を就業規則等点検指導員として委嘱いたしまして、府内の大規模署を中心に全員で10名を配置し、就業規則の点検等の指導をして参りたいと思っています。
 
(会長)
     どうもありがとうございました。はい、どうぞ。
 
(事務局)
     先程来、若年者対策というのは社会全体、あるいは政府全体の取組みが必要じゃないかと、数人の委員の先生方からご指摘があったんですけれども、全くそのとおりでして、今日お手元の資料にありますが、昨年の6月に厚生労働省、経済産業省、文部科学省、内閣府の4大臣が一緒の会議で策定した「若者自立・挑戦プラン」のポイントというものがございます。そこに、現状と、今後具体的な政策はどうやって展開していくかということが書いてあります。各委員の先生方が言われたのと全く認識は共通です。政府全体あるいは社会全体で取組まなければいけないということや、目標は何かというようなことはここに書いてあるとおりでございます。
 また、先日のNHKのフリーター417万人という数が話題に出ましたけれども、あれは取り方の違いがあります。どこが違うかというと、この資料にはフリーター200万人と書いてあるのですけど、ひとつは年齢の取り方が違ってまして、この200万人は30歳未満の人です。我々関係4省ではフリーターというのは30歳未満にしようと、その先のことはもう自分の人生選択の生き方の問題だからというようなことで、30歳という年齢で区切ったものです。一方417万人の方はおそらく30歳以上、35歳くらいまで取ってるんじゃないかと思います。その年齢の取り方が一番大きいのと、もうひとつはフリーターと言っても全員が失業者ではないわけでして、もちろん派遣労働に従事しているとか、アルバイトで働いているとかという人がいるわけですけれども、そういうものの一部がはずれているということがあります。
 その結果が200万人ということでございます。
 そして、家庭から段階的にやっていかなければならないというのはそのとおりでございます。とにかく具体的な施策の展開、労働市場の問題、能力開発の問題、最後には企業での雇入れの問題、そういった点が大事であるということです。
 またJOBカフェについては先ほど事務局が言ったとおりでございまして、大阪府が設置するけれども、私ども厚生労働省、それから近畿経産局、それぞれの持っている行政資源を関係行政が持ち寄りまして、1ヶ所で、若者が仕事する意欲を出して、能力開発ができて、職業紹介を受けて就職ができるというところまでの一元的なサービスをしようという趣旨で作るということでございます。経産省の方は全国10ヶ所程度でやるということですので、大阪府もかなり積極的にその実施に向けて動いていると承知しております。 
 
 
(会長)
     ありがとうございました。どうぞ。
 
(委員)
     私ども常日頃基準行政の強化ということについては要請をさせていただいているところでございますけれども、とりわけ、課題の中でも触れられてますし、局長の冒頭のご挨拶にもあったわけですが、申告相談件数なり個別紛争が非常に増えているという大きな問題が存在していると思うんですね。そういう意味では、より基準行政を監督強化といいますか、臨検も含めて強化をしていただくということが非常に重要だと思っているわけでありまして、そういう立場で見ますと、単純な疑問がありまして、労働基準行政の重点施策の8ページのところで、特に解雇、雇止めについてはルールの明確化、そのために本社機能を有する事業場を中心にという表現をされておりますよね。で、類推すると、この労働条件の明示なりあるいは就業規則の作成といったものは、本社の機能と言いますか、そういうところに該当するという判断で、こういう表現をされておるのかなということに思いを致すわけでありますが、今関西の企業でも本社機能を首都圏に移転をするところがどんどん増えていますよね。したがって、本社機能を有するとか有しないとかいうことをことさら問題視して、対象について区分するべきではないんじゃないかという気がするわけです。と言いますのは現にこの大阪府域で経営なり事業をやられてるわけですから、そういう事業所において、就業規則が定められていない等の問題が発生すればそういう事業場に出動するとか、あるいはその事業場でいかんともしがたい場合は、その事業所から本社へ言わせるとか、あるいは労働局間のネットワークを通じてやらせるとかですね、いかようにもやり方というのはあると思うんですよね。しかも、その解雇あるいは雇止めという以外の労働債権の問題なり労働時間の問題については一切その表現がないですよね。本社機能であろうとなかろうと、ここに書かれていることをやられるわけでしょ。そういう意味でいけば、解雇雇止めだけにこういう項目を入れられるんではなくて、あくまでも労働債権なり、あるいは労働時間管理と同じような対象に、同じようなスタンスでやるべきではないかと思うわけであります。なぜ、あえてこのところだけこういう対象の事業所に絞られたのかお聞かせ願いたい。
 
(事務局)
     広く労働条件につきましては、いわゆる本社機能を有するところで支店の分も含めて決められているというような面もございますところから、このような本社機能を有する事業場に着目して、そこに対して労働条件一般に関する自主点検を実施することによって、全社的な労働条件の明確化を図り、また改善すべき点があれば自主的に改善を図っていただくことを目的として実施するものであります。
 
(委員)
     それはわかるんですが、問題は、本社機能を有してない事業場が大阪府にたくさんあるわけで、そこで同じような問題が起こったときに、救われないということでは問題だと思うんですよ。だからその支店なら支店を通じて本社に対する指導をするとか、あるいはその本社がある所在地でも労働局はあるわけですから。あなたのところの会社は就業規則作ってないよと、したがってきちっと指導してくれとかですね、横の連携を取ればね、簡単だと思うんですね。そういうことを通じて、本社機能があるとかないとかいうことを対象事業場の考え方として入れるべきではないんじゃないかと、やり方によってはいくらでもできるわけですから。現にこの大阪府で問題起こしてる場合もあるわけですからね。そういうことをいかにやるかという視点で、方針を立てていただきたいという意味ですから。
 
(事務局)
     委員がおっしゃられるように、いわゆる本社機能を有しない支店、あるいは工場といったようなところにつきましても監督指導という方法で労働条件の履行確保を図っていくことにしておりますし、またそこにおいてですね、本社において解決すべき事項が認められればですね、本社の所在する労働局あるいはその労働基準監督署の方に通知をして、そこにおいて広く全社的な改善を図ってもらうような指導をしてもらうようにしていきたいと思っております。
 
(会長)
     よろしゅうございますか。
 
(委員)
     これ以上言いませんけど、この文章が一人歩きしますからね。これは文字面を捉えて言うのではないのですが、例えばこれを見て、私の会社は大阪に本社機能がないから指導の対象にならなくていいと思われてしまうのではないかということです。先程お答えの立場でおられるのでしたら、この「本社機能を有する事業場中心に」という文言は入れる必要がないと思うんですよ。今の事務局の回答のように、本社機能があるとかないとかいうことでなくて、すべからく平等にやるんだというお考えのようですから、あえてこんな文章を入れる必要がないのではないかという意見を申し上げて、これ以上のお答えは結構です。
 
(会長)
     他にご意見は。
 
(委員)
     これは、特にお答えをいただきたいことではありませんが、ひとつの意見として、どこかに付記していただければ大変嬉しいと思います。
 先ほどから若年者の就職問題について議論されておりまして、小学校段階からの職業体験を云々とあるんですが、これは現在の教育システムというか教育に関する価値観の問題が非常に大きな影響をしているんじゃないかと思うんです。私の経験を申し上げますが、私は住んでおりますマンションの生協の共同購入に参加しております。そこに行きますと、2、3歳の子がお母さんについて来るんです。皆さんは共同購入のシステムがどういうものかご存知ないかも知れませんが、荷おろしをする時に荷物を一定の場所に運んで行って、そこでみんなそれぞれ自分の注文したものを取って行くんですけれども、その2~3歳の子が、その荷おろしをした品物をそこに運ぶ作業にとっても参加したがる。それぞれお母さん達が運んで行く時に、そのお母さん達の前に座って手を上げて「持たせて、持たせて。」という感じで。私は「ああ、この子ども達ももう労働の喜びを知ってるのね。」と言いながら見てるんですけれども。そういう価値観が小学校・中学校・高校と行くにつれて、子ども達は失っているんじゃないかと思うんですよね。
 それは教育の中で、そんなことよりも、ペーパーを、いい点を取れるようにやりなさいという教育を受ける。これは、手仕事をしたりそういうことをすることに余り価値がないのよということを親が押し付けているのではないか。あるいは、教育の中でそういうものが見えているのではないか。それがやっぱり、やがては若年労働者といわれる年齢の人が何か仕事をすることに喜びを求めるという価値観までも失わせているんじゃないかと、そういう気がして仕方がないんですね。その小さな子が本当に生き生きと荷運びをしている、あんまり重そうだからって言っても、いいよって言って一生懸命持って行くんですね。そういう姿っていうのはどこで消されてるんだろうかって気がして仕方がない。やはりその辺の価値観なり教育システムなりということが、若年労働者に労働意欲を失わせているひとつの原因にもなっているのではないかと、非常に身近な体験から思っております。これは文部科学省との問題、あるいは国全体の行政の問題かもしれないと思うんですが。少しそういうことを考えております。これは全くもう感想でございます。お答えは結構でございます。
 
(会長)
     はい、それでは。
 
(委員)
     先ほど、ワースト1という話が出たんですが、あれは死亡者ですか。それとも労災全体の率ですか。
 
(事務局)
     休業4日以上の死傷者数。いわゆる死亡災害と、休業4日以上の労働災害の総計でございます。
 
(委員)
     そうですか。死亡者を見てみると、墜落・転落が23、はさまれが13で、交通が36で、片方は建設業関係が30で、と出てるんですけどね、実際東京と大阪を比べてみると、東京のほうがビルの新築が圧倒的に多くて、大阪は非常に少ない。そういった中で、建設業が結構これだけの事故があるということで非常に驚いているんですが、ただ、労災全体となると、その認定数ですよね。不思議なことに生活保護法の対象というのは大阪はそう全国より突出してないんだけれども、一例を言いますと、府立高校授業料の免除率というのは非常に高いんですよ。要するに、申告してくると認めざるを得ないような風土がありましてね、どうしても認定がやや甘くなっているところが、別にこれは役所が悪いとかそういうのじゃなしに、まぁ風土みたいなのがあって、そういう意味で労災の認定率という点で、ワースト1になっているのではないかと。また、今は名古屋の方が産業も非常に活発だから、活発であれば労災事故は増えるはずなんだけれども、大阪がなぜワースト1に20何年もなってるのか教えていただきたい。
 
(事務局)
     ワースト1は大阪ですが、ワースト2は東京です。ワースト2の東京と比べてみますと、いわゆる金属製品製造業を中心とする金属関連製造業関係の労働災害が、東京に比べて非常に多く発生しています。そして、それが全体の労働災害の件数を押し上げているという状況にございます。適用事業場数、適用労働者数を見ますと、いずれも金属関連製造業は東京に比べて圧倒的に多いんです。そして、金属関連製造業関係の事業場では、労働災害に結びつきやすい危険な機械や設備を使っているということがあります。
 このため災害発生の度数率が高いといったことが、東京と比べたときの比較として挙げられるところでございます。もちろん、そういったところについては重点業種として従来から監督指導を行っているのですが、規模の小さい事業場が多く、法違反の状態を指摘して一旦是正を図らせても、また後戻りしてしまうといった面も見受けられるところです。
 
(委員)
     対象がはっきりしているのであれば重点的にそこを締めてもらえば。刑法犯もずっと最悪だったんですけど東京に抜かれましたからね。2位になるくらいはできるんじゃないですか。
 
(事務局)
     16年度はぜひそれを目指して頑張りたいと思います。労使の先生方の絶大なるご協力をお願いしたいと思う次第でございます。
 
(委員)
     今でも思い出すんですが、私が25年前に英国にいた時も、英国というのは年功序列型の賃金じゃないんで、新卒者がみな失業して、本当に社会問題になって、若年者が街角でタバコ吸って、治安が荒れる一方になって行ってということがありました。そういう意味では先ほどの若年労働者の失業という問題は、本当に何とかしてもらいたいのですが、もっと攻める労働行政をして欲しいと思っています。どういうことかと言いますと、今の高校生について言えば、先生方は子どもと親の希望ばっかり聞いているんですよ。例えば50分授業を子どもがしんどいと言ったら授業時間を短くしようかって言うんですよね。しかし高校から社会に出ると9時から5時まで働くんですからね。そこで子どもにサイズを合わせているわけだから、社会に出たときのギャップがものすごく大きくてもう働けない。それと同時に企業にとっては高校卒あるいは大学卒という一つの能力を評価して採用するんだけれども、全くその評価に合っていない。要するに資格だけ取るために籍を置いていて、それでも卒業させてしまうというところがあると思うんです。その意味では就職率が低いのはあたり前でもあるわけですよ。私の会社の工場でも高校卒は採用しなくなり、専門工業卒しか取らなくなってもう十数年経っています。だからそういう意味で、高校へ積極的に行かれて、高校2年生くらいを対象に、社会が求めてる人がどういうものか、辛抱して働けとか、それだけの勉強はして来いとかいうことを、積極的に攻めてもらう必要があるんじゃないか。残念ながら教育現場は親の言いなりの方にずんずん流れてますからね。そこへ突如として9時から5時までっていう時間が出てくるわけですからね。このことはそちら側からしか言えないんですよ。ぜひ、そういう風潮になるよう、そちら側から攻撃して欲しいと思います。
 
(事務局)
     今、委員のおっしゃったことは全くそのとおりだと思いますので、そのようにして行きたいと思います。若者、特に高卒が採用されない大きな原因として能力の問題がありますが、その前に社会人としての基本的なマナーができてないということを挙げる企業人がすごく多いんですね。そういったところの教育が必要だと思います。このため、いろんな取組みを積極的にやって行かないといけないと思うのですが、日本版デュアルシステムを新年度から実施しようとしております。これは能力開発行政の関係ですので、いずれ大阪府や雇用・能力開発機構大阪センターの方が中心になって進めて行くと思います。これが成功するかどうかの鍵は企業と学校がどう連携して、働きながら学びたいという人を企業が受け入れるかどうかということにかかっているんですね。ですからそのあたりをぜひ、企業の方にも協力をお願いしたいと思っております。
 
(会長)
     どうもありがとうございました。先ほど事務局の方から積極的にやるぞという強い意見が表明されましたので、これは大阪労働局全体の意欲として、盛り上げていただきたいと思います。
 
(会長)
     色々とご意見が出されたところですが、これらの意見を踏まえ、事務局の方では修正すべき点は修正し、大阪労働局行政運営方針を策定していただき、皆様にお示しいただけたら大変ありがたいし、今後ともよろしく行政を運営して行っていただきたいと願う次第です。
 
(会長)
     これで議題は終了しました。
 他に何かご意見やご質問がありましたら、ご発言をお願いします。
 ほかにご質問等もないようでしたら、これで、本日の審議会を終了いたします。どうもありがとうございました。
 
照会先 : 大阪労働局総務部企画室
TEL : 06-6949-6050

 
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