平成22年度第1回
大 阪 地 方 労 働 審 議 会
議  事  録

1 開催日時 
  平成22年10月26日(火) 午前10時から正午 

2 開催場所 
  KKRホテル大阪 2階 星華の間
(大阪市中央区馬場町2-24) 

3 出席者 
  (1) 委員 
    公益代表
  奥林 康司  
  西村 多嘉子
  足達 新
  石田 信博
  岩本 洋子
  小嶌 典明
  委員  (会長)
  委員  (会長代理)
  委員
  委員
  委員
  委員
労働者代表
  株本 佳子
  高田 修
  多賀 雅彦
  中村 義男
  肥後 道夫
  委員
  委員
  委員
  委員
  委員
使用者代表
  小野 幸親
  重田 正年
  島岡 秀和
  田辺 貞夫
  谷本 榮子
  堀田 義高
  委員
  委員
  委員
  委員
  委員
  委員
  (2) 事務局 
   
局   長
総務部長
労働基準部長
職業安定部長
需給調整事業部長
雇用均等室長
企画室長
  西岸 正人
  荒牧 英雄
  辻   知之
  坪田 秀治
  田中 歩
  荒川 あや子
  窪田 浩和

4 議 題 
  (1) 平成22年度労働行政の運営状況について
(2) その他

5 議 事
 
○窪田企画室長 
     開会時刻より少し早いですが、欠席委員ということをあらかじめ聞いておりますので、予定の委員様におかれましては出席いただいております。
 開会に先立ちまして、事務局からご案内申し上げます。
 私は、企画室の窪田でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 資料は事前に配付させていただいております。
 机の上には会議次第、配席図、それと大阪地方労働審議会の名簿をお配りしております。
 それでは、奥林会長、よろしくお願いいたします。
 
○奥林会長 
     皆さん、おはようございます。早朝からお忙しい中、お集まりいただきまして大変ありがとうございます。
 ことしは記録破りの暑さだったですけれども、今日のニュースを聞いていますと、もう北海道は雪だということで、この変わりの早さというのに驚いておりますが、労働環境のほうも、かなり厳しい状況が出てきているようでありますので、これから大阪の労働行政をどう変えていくか、いろいろご審議していただきたいと思います。
 それでは、平成22年度第1回大阪地方労働審議会を開催したいと思います。
 最初に、西岸局長から、ごあいさつをお願いいたします。
 
○西岸局長 
     この7月30日付で大阪労働局長を拝命いたしました西岸でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、平成22年度の第1回大阪地方労働審議会の開催に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。
 奥林会長をはじめ委員の皆様方には、日ごろから労働行政の運営につきまして格別なご理解、ご協力を賜っておりますことに対しまして、まず厚く御礼申し上げます。また、大変ご多忙中のところ、本日の審議会にご出席いただきましてありがとうございます。
 今、会長からお話がありましたが、経済状況でございますけれども、先般、10月の月例経済報告が発表され、それによりますと、やや下方修正といいますか、景気はここのところ足踏み状態となっていると。また、失業率が高水準にあるなど厳しい状況にあるという指標判断になっておりまして、大阪につきましても求人・求職状況に示しますように、求人倍率は緩やかに回復を続けておりまして、8月で0.52ということでございますけれども、回復続きだといっても2人に1人しか仕事がない、ご提供できないということになっており、非常に低い水準ということでございます。それから、22年度の第1四半期4月から6月の大阪の完全失業率も6.7%ということで、前年同期から0.5ポイント高いということでございます。依然として厳しい状況が続いておりますし、円高の問題もございまして、この先の雇用情勢につきましては、いろいろ注視をしていくというか、注意をしていく必要があると考えております。
 労働行政を取り巻く環境は、そういう経済環境も含めて厳しいですけれども、その中で働く方、あるいは求職の方々、あるいは企業の方々にご期待をいただいておりまして、それにこたえるためにも、大阪労働局ではスローガンといたしまして「誰もが安全で安心して働くことができる元気な大阪」ということを掲げておりまして、労働基準行政、職業安定行政、それから雇用均等行政という3行政が一体となって、労働行政の運営に当たっております。
 本日は大阪労働局の運営方針につきまして、これまでの上半期の運営状況、それから今後の下半期の展望についてご報告いたします。その上で、委員の皆様方からご忌憚のないご意見を賜りまして、そのご意見を踏まえまして、今後における労働行政を効果的に展開してまいりたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願いします。
 簡単でございますけれども、開会に当たりましてごあいさつとさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 
○奥林会長 
     はい、どうもありがとうございました。
 それでは、事務局のほうから定足数についてご報告お願いいたします。
 
○窪田企画室長 
     本日、公益代表委員6名、労働者代表委員5名、使用者代表委員6名の、計17名の委員のご出席をいただいておりますので、地方労働審議会令第8条の第1項の規定により、本審議会が有効に成立しておりますことをご報告申し上げます。
 次に、会議の公開についてご説明申し上げます。
 大阪地方労働審議会運営規程第5条の規定に基づき、本審議会は原則として公開とされており、また同第6条第2号の規定により、その議事録についても公開とすることとされております。議事録につきましては、発言者のお名前も記載させていただいておりますので、ご了承のほど、よろしくお願いいたします。
 なお、公開の具体的手続につきましては、大阪地方労働審議会傍聴規程が定められております。本日、審議会につきましては、この傍聴規程に基づき開催の周知を行いましたが、傍聴の申し込みはございませんでした。この旨ご報告申し上げます。
 以上でございます。よろしくお願いします。
 
○奥林会長 
     はい、ありがとうございました。
 それでは、審議に入る前に、前回3月の審議会以降、新しく審議会委員になられた方をご紹介したいと思います。
 お配りしております資料の第1のところに、大阪地方労働審議会委員の名簿がありますので確認していただければと思いますが、まず、公益代表委員になられました方を紹介させていただきます。
 読売新聞大阪本社の足達委員です。一言、自己紹介をお願いいたします。
 
○足達委員 
     皆さん、おはようございます。読売新聞の足達です。
 大阪の社会部の記者、デスクをした後、京都総局長、写真部長をして、今月から編集局次長でございます。今後ともよろしくお願いいたします。
 
○奥林会長 
     では、続きまして、使用者代表委員になられました方を紹介したいと思います。
 株式会社竹中工務店の常務取締役であります重田委員です。一言、自己紹介をお願いいたします。
 
○重田委員 
     おはようございます。竹中工務店の重田でございます。
 私は建設産業の一員として現場勤務もあるのですが、10年以上にわたりまして、企業の人事担当としてやってまいりました。その経験が、こういった場で、どういった形でお役に立つか、実は自信がないのですが、今、いろいろ私どもも経営環境が非常に厳しい中で、各社さん同じような状況があろうかと思いますけれども、雇用問題というのは非常に大きな問題として、ぜひこういった機会をとらえて、勉強といったら、ちょっと問題があるかもわかりませんけれども、お役に立てればというふうに思います。
 よろしくお願いします。
 
○奥林会長 
     ありがとうございました。
 では、同じく使用者代表委員になられました社団法人関西経済連合会の常務理事であります田辺委員からお願いいたします。
 
○田辺委員 
     関経連の田辺でございます。昨年5月に、私ども関西経済連合会と関西経営者協会が統合されまして、それ以降、前任の山本常務がこちらの委員を務めさせていただきましたが、ことしの5月の総会をもって退任されましたので、私がその後任を拝命することになりました。ひとつよろしくお願いいたします。
 
○奥林会長 
     はい、よろしくお願いいたします。
 それでは、次に、本審議会の労働災害防止部会と家内労働部会の、委員の指名の件に移らせていただきますが、地方労働審議会令第6条第2項において、部会の委員は会長が指名するということになっております。
 そこで、労働災害防止部会委員としまして、公益代表委員からは中村委員にかわりまして足達委員。それから、使用者代表委員からは富田委員にかわり重田委員、同時に山本委員にかわり田辺委員を指名したいと思います。
 また、家内労働部会委員としまして、山本委員にかわりまして田辺委員を指名したいと思います。よろしくお願いいたします。
 続きまして、議事録署名委員の指名に移らせていただきますが、私のほかに労働者代表委員から株本委員、それから使用者代表委員から田辺委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、議事に移りたいと思いますが、議事の第1が、平成22年度大阪労働行政の運営状況についてということになっております。これは事務局から説明していただきます。その後で議論に移りたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
○荒牧総務部長 
     総務部長の荒牧でございます。9月から大阪労働局の総務部長を拝命いたしまして、皆さん方に今後ともお世話になりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。各部から、それぞれ平成22年度の労働行政の運営状況について、ごく簡単に説明したいと思います。
 私からは総務部関係の業務についてでございます。
 大阪労働局の総務部というのは、もちろん総務部でございますから、定員とか人事のこと、あるいは会計のことというのを中心に行っているわけでございますが、それ以外に事業も持っておりまして、1つは個別労働紛争解決制度に係る業務、それから、もう1つは労働保険徴収関係の業務でございまして、これらについては、各部ではなく総務部が所掌しているわけでございます。それに関しまして、現在のその業務の運営状況について、ごく簡単に説明いたします。
 資料3をあけて、資料3の22ページをご覧いただきたいと思います。
 資料3は、平成22年度大阪労働局重点対策の運営状況を示したものでございますが、その22ページをおあけいただきますと、4に総合的労働行政機関としての課題と重点施策ということがございます。これは、基本的に総務部関係の仕事がかなり載っているわけでございますが、そのうち(1)でございますが、労働保険の適正徴収に関する記述でございます。
 経済情勢が非常に厳しい状況にある中で、労働保険料の収納率というのは、これまでも非常に高い数字を事業主の皆様方のご協力を得まして得ていたわけでございますが、平成21年度末の労働保険料等の収納率は97.06%ということで、昨年度の97.72%を下回ることになりました。97.06という数字が高いと見るか、低いと見るかというのはありますが、これまでの数字から見ると非常に低い数字になっておりまして、労働保険制度は言うまでもなく労働行政全体を支える財政基盤でございまして、労災保険あるいは雇用保険とも、その財源となるものでございます。当然、費用負担の公平性の観点からも、この収納率を高めることが必要でございます。
 このため、今年度につきまして、法定納付期限までに労働保険料等を納付されない事業主に対しましては、滞納整理年間業務計画を策定いたしまして、特に高額の滞納事業主、数年度にわたり滞納を繰り返されている事業主に関しまして、強制措置ですね、つまり差し押さえ等も視野に入れながら滞納整理を実施し、延滞金あるいは当然追徴金もかかることもございますので、そういう徴収活動に努めております。
 さらに、雇用保険の加入漏れ、雇ったときに雇用保険の適用になる方がおりますので、労働保険料の申告に不足が認められるような事業場に対しましては、算定基礎調査という、我々が出向いていって、保険料が適正かどうかを調べる調査を行っているわけでございますが、それに基づきまして実施計画を立てながら、効率的・効果的な労働保険料等算定基礎調査を実施して、適正徴収に努めているわけでございます。
 一方で、これまで、社会保険と労働保険の事務の一元化というのをかなり進めてきたわけでございます。同じ厚生労働省の中にある社会保険あるいは労働保険というのは、かねてよりできるだけ一緒に事務手続を進められないかという手続が進められてきておりまして、社会保険・労働保険徴収事務センターを設置しているわけでございますが、これまで一緒にできていた部分もございますが、社会保険庁がご存じのとおり廃止されまして、今年より日本年金機構が新たにスタートしたということによりまして、公務員と公務員以外という立場でございますので、より一層、今まで以上に連携を図る必要が、実は出てきているわけでございまして、我々大阪労働局と日本年金機構近畿ブロック本部との間で十分な協議を行いまして、労働保険の適用に関する届け出の受け付け、共同での事業所調査や納付督励を行っていくこととなりまして、組織は違っても今までどおり、できるだけ事業主の方の利便性を高めて、うまく両者の保険制度の適用徴収に当たれるような体制をとってまいりたいと思っています。
 もう一点、労働保険の関係で申しますと、未手続事業一掃対策というのが極めて重要でございまして、実は、なかなか加入しないという方、先ほどは収納率、加入しているところの未払いの関係ですが、もともと労働保険に入っていただけない、労働者を雇った場合、労働保険の適用があるわけでございますが、それが抜け落ちている部分が相当程度あるのではないかということで、これを一掃していく対策というのが大きな課題でございまして、これにつきましても計画を策定いたしまして、2,800件というのを一つの目標にして、今年度強力な手続指導80件を目標にして、職権成立というふうにして、我々が状況を把握した場合には、職権で労働保険環境を成立させることができるということが法律に定められておりますので、その手続を進めているわけでございます。
 次に、もう一点でございますが、個別労働紛争解決制度の運用でございまして、これにつきましても同様に、これは25ページのところになるわけでございますが、個別労働紛争解決制度の積極的な運用ということでございます。この点につきましては、制度の運用状況につきましては、労働局内の総務部企画室及び府内14カ所に設けられております総合労働相談コーナーでございまして、4月から8月末現在の間に5万件を超える労働相談が寄せられ、21年度の同期と比較して約1割強の増加となっているところでございます。このうち、いわゆる民事上の個別労働紛争に関する相談は9,400件余りということでございまして、同じく前年度同期と比較して4%ほど増加している状況でございます。また、労働局長による助言指導というのができることになっておりますが、これについては4月から8月末現在で273件と、前年同期比約18%の増加となっておりまして、あっせんの受理件数でございますが、これは200件でございまして、前年度比約2割のこれは減少になっておりますが、昨年、一昨年度が高かったこともございまして、依然と高い水準で推移しております。
 このような総務関係については、以上のような業務状況でございます。
 今後ともよろしくお願いいたします。
 
○辻労働基準部長 
     労働基準部長の辻でございます。どうかよろしくお願いいたします。私からは、労働基準行政に係る部分について、ごく簡単にご説明をさせていただきます。
 資料3の1ページからになります。ご覧いただきたいと思います。
 まず、冒頭に、監督実施の状況と司法処理状況について記載をしております。この監督指導、司法処理につきましては、以下に記述をしております、労働条件確保・改善あるいは労働災害防止と、こういった各項目に共通した監督署の基本的な活動実績を示すものでございますので、まず冒頭に実施状況を記載させていただいているものでございます。
 定期監督、これは年度当初に計画をいたしまして、定期的に監督指導を実施したものということで3,741件。災害の発生を端緒として実施いたしました監督指導、それから調査、これが、それぞれ359件と79件でございます。それから、労働者からの申告を端緒といたしまして実施しました監督指導、これが1,422件などとなってございまして、合計で4月から8月、計5,967件ということになってございます。
 また、司法処理、これは刑事事件として検察庁に送検手続をとったものでございますが、これが14件でございました。
 定期監督につきましては、前年同期比で約1,500件程度多く実施できておりまして、これは昨年が大量整理解雇とか雇い止めとか、大変経済が厳しい中に伴う事案への対応ということに業務を集中させておりました。そういう面で、去年は定期監督件数が非常に少なくなったということの結果でございまして、今年度は、逆に申しますと比較的落ちついて業務が推進できているという結果になっているものでございます。
 しかしながら、以下に記してございますように依然として厳しい状況の中で、解雇、雇い止め、あるいは賃金不払い事案、こういったところへの対応ということにつきましては、企業活動の動向を注視しながら、問題が顕示される事案につきましては、監督指導を実施するなどにより対処しているところでございまして、大型倒産あるいは大量整理解雇等の情報を把握いたしました場合は、労働基準関係法令違反などの未然防止を図るということで、速やかに監督指導を実施し必要な指導を行う、さらには解雇、雇い止め、労働条件の切り下げといった問題につきましても、20年3月に施行されております労働契約法や関連法に照らして、適切な取り扱いがなされないということでの啓発指導を行ってまいりました。
 さらに、企業倒産によりまして、賃金の支払いを受けられない労働者の救済を図るということでの未払い賃金の立替払制度の迅速、適切な運用を図るということを努めているところでございます。
 次に、2ページになりますけれども、長時間労働の抑制対策の推進ということの取り組み状況でございます。
 この長時間にわたります時間外労働の実効ある抑制を図るということで、時間外労働の限度に関する基準、いわゆる限度基準告示というものがございまして、これを超えた長時間労働が可能となるような、時間外労働協定届を監督署に届け出られている事業場に対しましては、長時間の実態を自ら確認いただくための自主点検を実施し、改善につなげていただく。あるいは、その自主点検結果から問題が認められる事業場につきましては、お集まりいただきまして、集団指導というようなことで要請をしています。さらに、自主点検とか集団指導に対応いただけないような事業場につきましては、監督指導を実施すると、こういった形で対応してきたところでございます。
 それから、11月になりますけれども、長時間労働の抑制とそれからサービス残業の解消などを目的といたしまして、集中的なキャンペーン活動を予定しているところでございます。
 次に、6ページ(4)をご覧いただきたいと思います。労働災害の取組状況でございます。
 大阪労働局管内で発生をいたしました死亡災害と死傷災害の状況につきまして、ここで記述をしております。昨年の労働災害の死亡者72名ということで、その前の年に比べて、過去最少となりました20年よりも1名増加したという状況でございます。昨年は、経済が低迷したことの影響もありまして、全国的に、死亡災害につきましては大幅に減少をいたしておりました。その結果、大阪の死亡者数72名につきましては、残念ながら都道府県別で見ますと全国ワースト・ワンという状況になったところでございます。そういったことも踏まえまして、今年度は死亡災害の約半数を占めておりますのが墜落、転落災害でございますので、こうしたもの、それから最近の増加傾向にある交通労働災害、それから夏場特有の感電災害と熱中症、この4つの災害に重点を置きまして、時期を定めて集中的な取り組みを、これは大阪危険ゼロ先取運動、この運動の中に位置づけをしまして、取り組みを進めてまいっております。その結果、本年の死亡災害につきましては、資料の基の2ということでインデックスを張ってございますが、そこで現在の発生状況について整理してございますので、ご覧いただきたいと思います。9月20日現在、全産業での死亡災害33名ということで、これは21年に比べまして約4割、大幅な減少を見ています。そのほか各業種別に見ましても、軒並み減少をしてございます。次の、先ほど申し上げました4つの災害に着目してどうかということについて見たのが、次のページでございますけれども、それぞれ墜落・転落災害、交通労働災害、それから感電災害につきましても非常に減少傾向で推移しているという状況でございます。残念ながら、この熱中症につきましては死亡者が1名出てしまったということでございまして、この熱中症については、特別に次の基の4という資料でこの夏の発生状況について整理をいたしてございます。22年の休業4日以上の労働災害が14件発生しておりまして、括弧書きでの1というのは死亡でございますが、ここ20年、21年と減少してきたのが逆に増加いたしました。大変な猛暑ということでございまして、対策を打ったのでこの程度でおさまったのかなとも考えてはいるのですが、いずれにしましても死亡災害を発生させたという結果になってございます。
 今後の取り組みといたしましては、建設業等屋外型の業種におけます熱中症対策、これは相当進んでいると理解しておりますが、まだまだ中小零細の現場、あるいは製造業におきましても熱中症が発生しておりまして、そうしたところへの対策の普及というのが来年以降の課題で、取り組みを進めてまいりたいと考えているところでございます。
 それから、戻りまして、労働者の健康確保の関係でございます。8ページになりますが、アに掲げてございます。
 仕事によるストレスを要因として精神障害になったということでの労災請求事案というのが、このところ大変増加してございまして、平成20年度が大阪府内で105件、21年度がその1.6倍の160件ということで、年々増加している状況にございます。今年度から、個別の事業場に対する指導、あるいは自主点検をしていただく、あるいはメンタルヘルス対策支援センター、これは大阪産業保健推進センターの中に設けてございますが、こうしたところと連携をとりながら対策の強化、周知・啓発といったことに取り組んできたところでございます。
 それから、次に3ページに戻っていただきまして、最低賃金の関係でございます。
 平成22年度の大阪府内の最低賃金につきましては、大阪地方最低賃金審議会への諮問をいたしまして、委員の皆様による熱心なご議論、ご審議をいただきました結果、地域別最低賃金それから特定最低賃金いずれにつきましても審議を終了しておりまして、地域別最低賃金につきましては17円引き上げて779円ということで、10月15日から発効をしたところでございます。当面の課題でございました、大阪府の生活保護費との乖離を解消するということにつきましては、今年度の17円の引き上げによって一応解消をみたということになってございます。特定(産業別)最賃につきましても、各種商品小売業を除きます7業種につきまして、4ページから5ページに記載しておりますとおり、改定をされております。各種商品小売業につきましては、この審議会におきまして「調査審議を行うことについて、必要性ありとすることはできない。」という答申を受けまして、本年度は改定審議には入ってございません。したがいまして、各種商品小売業につきましては、今年度、時間額768円で据え置くことになり、地域最低賃金のほうが高くなりましたので、各種商品小売業については779円が適用されるということになってございます。労使の皆さんの、大変熱心なご議論の中で改定されました最低賃金でございます。今後、関係方面に広く周知を促していき、履行確保に万全を期してまいりたいと考えているところでございます。
 最後になりますけれども、労災補償の関係でございます。10ページの(6)でございますけれども、労災請求の中でも大変社会的な関心が高い脳・心臓疾患、それから先ほど申し上げました精神障害事案、石綿に関する労災請求件数、それから認定の状況について取りまとめてございます。これらの事案につきましては、認定に当たって大変担当職員も苦慮しているところではございますけれども、引き続き、できるだけ早期の的確な処理、早期の認定が行えるよう努めてまいりたいと思っております。
 私からは、以上でございます。
 
○坪田職業安定部長 
     職業安定部の坪田でございます。よろしくお願いをいたします。職業安定部所掌の運営状況の主なものにつきまして、ご説明をさせていただきます。
 まず、インデックスの3でございまして、平成22年度の、大阪労働局重点対策の運営状況の中の11ページをお開きいただきたいですけれども、中段のほうにございます、職業安定行政の課題と重点施策という、その中の(1)の緊急雇用対策の推進をご覧いただきたいと思います。
 ご案内のように、一昨年来の厳しい雇用失業情勢を受けまして、いわゆる第二のセーフティネット施策が実施をされております。このうち職業安定部におきましては、雇用保険を受給できない方々に対するセーフティネットといたしまして、造成した基金を活用いたしまして、ハローワークが中心となり、職業訓練や職業訓練期間中の生活保障を行う訓練・生活支援給付を行っております。資料の11ページの中段右側でございますけれども、そこに進捗状況を記載しております。
 この基金を活用した訓練を基金訓練と呼んでおりますけれども、4月から8月までの受講あっ旋者数が1万618人となっております。当初目標としております受講あっ旋者数が1万1,500人という目標数値でございますので、既に90%を超える進捗状況となっております。今後とも、数多くの職業訓練科目が設定をされると聞いておりますので、求職者の再就職に役立つよう、的確な職業訓練のあっ旋に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
 また、訓練・生活支援給付につきましては、4月から8月の間で7,395人の申請の受付けを行っております。なお、離職に伴い住居を喪失した方に対する住宅入居費用の貸し付けを行う就職安定資金融資は、地方自治体が実施する住宅手当等の制度が整備されたことによりまして利用者が減少してきたために、平成22年9月、今年の9月末で廃止ということになっております。
 次のページ資料12ページをお開き願いたいのですけれども、新卒者の支援の強化でございます。11ページの下のほうから、新卒者支援の強化ということで2行ほどありまして、12ページが主流になってくるのですけれども、新卒者支援の強化でございます。新卒者支援につきましては、先般、9月10日に雇用を基軸とした経済成長を目指した新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策が取りまとめられました。その中に、既卒3年以内の方々を、この新卒者の雇用対策が掲げられております。当局におきましても、政府の決定を受けまして、9月27日、大阪新卒者就職応援本部を地方公共団体、労働界、産業界、学校等、関係者の皆様方の参画を得まして立ち上げました。各機関が連携をいたしまして、この厳しい状況にある、新卒者の雇用対策を実施していくということを確認したところでございます。
 主な対策をご紹介いたしますと、この資料のインデックス、安定の安の5をお開き願いたいのですけれども、大阪労働局が実施をいたします新卒者雇用に関する緊急対策を一覧表にしております。
 新卒者就職実現プロジェクトといたしまして、奨励金が新たに2つ創設をされております。1つは、卒業後3年以内の大学等の既卒者を新卒扱いで雇用する企業に対しまして奨励金を支給する、いわゆる3年以内の既卒者採用拡大奨励金、正規雇用に100万円支給という奨励金ですね。もう一つは、高校・大学等未就職卒業者を採用する企業に対し奨励金を支給する、3年以内既卒者トライアル雇用奨励金、原則3カ月のトライアル雇用期間中は月に10万円、その後の正規雇用に50万円支給という奨励金でございます。両奨励金の詳細につきましては、その前のページの、安定の安の4に記載をしておりますので、後ほどご覧いただけたらと思います。
 また、新卒者応援ハローワークといたしまして、心斎橋にあります大阪学生職業センターに設置をいたしまして、大学生を含めた既卒3年以内の方々に対する支援を行っておるところでございます。以下、新卒者に対する専門相談を行う大卒・高卒ジョブサポーターの倍増や経済団体に対する採用拡大について要請することとしております。大阪労働局といたしましても、国の緊急対策を迅速に確実に実施することで、新卒者に対します雇用対策に万全を期してまいりたいと考えております。
 次に、雇用維持に対する支援でございます。資料はまた戻っていただきまして、インデックス3の12ページをお開き願いたいのですけれども、その中段のカの雇用維持確保に対する支援というところでございます。景気の変動等によりまして、事業活動の縮小を余儀なくされた企業が休業等の雇用調整を行った場合、その雇用維持に対する支援を実施しております。その支給状況につきましては、大企業に対する雇用調整助成金では、4月から8月までの支給決定件数が853件、資料の推進状況の右側を見ていただけたらと思うのですけども853件、中小企業に対する中小企業緊急雇用安定助成金では3万4,547件となってございます。休業等の対象者数は減少しておりますものの、まだまだ高止まりで推移しておるというような状況でございます。
 続きまして、その下の(2)のハローワークにおける適格な求人・求職のマッチングの推進でございます。ハローワークがお世話をいたしまして就職した件数でございますけれども、4月から8月までの総数で6万2,554件となっております。対前年同期比で見ますと、9.3%の増加ということになってございます。厳しい雇用失業情勢のもとで、ハローワークが精いっぱいマッチングに努めた結果であると私ども考えておるところでございます。
 続きまして、障害者雇用対策についてご説明をいたします。15ページの中ほどをご覧いただきたいのですけれども、障害者の雇用状況につきましては、平成22年度の目標といたしまして就職数3,346件を挙げております。8月末現在では就職数1,626件ということで、対前年同期比で11.0%の増ということになっておりますので、引き続き関係機関との連携、あるいは各種助成金等の活用を図りまして、就職支援に努めてまいりたいと考えております。
 また、雇用率達成指導につきましては、平成22年6月1日の障害者雇用状況報告の結果をもとにいたしまして、指導基準を踏まえまして、未達成企業に対しましては企業トップ層への個別指導を中心にいたしまして集団指導、あるいは文書指導を実施するとともに、各種支援制度を活用いたしまして指導に努めているところでございます。あわせまして、改正障害者雇用促進法につきましては、平成22年7月から、段階的施行の一つとしてパートタイマーなどのいわゆる短時間労働者の障害者雇用制度の対象となること、それと常時雇用している労働者数が200人を超える事業主が、新たに障害者雇用納付金制度の対象となることなどが大きく変更となったところでございます。改正内容につきましては、引き続き周知・啓発を積極的に進めてまいりたいと考えております。
 次に、16ページでございますけれども、その中ほどに子育てする女性等に対する雇用対策の推進でございます。
 大阪労働局では、子ども連れでも安心してお仕事を探していただけますよう、難波に大阪マザーズハローワークを設置しております。また、地域の拠点といたしまして、府内5カ所のハローワーク内にマザーズコーナーを設置いたしまして、子育て女性の再就職支援に取り組んでおるところでございます。
 次に、17ページをご覧いただきまして、一番上、高齢者雇用対策の推進というところをご覧いただきたいのですけれども、高年齢者の雇用安定法に定める65歳までの高年齢者雇用確保措置の導入につきましては、平成22年4月からは義務年齢が64歳になったことから、未実施企業に対してはハローワークによる企業訪問など強力な個別指導を行いまして、早期の改善を図るとともに、希望者全員65歳以上まで雇用する企業の割合の向上、さらには70歳まで働ける企業の普及促進に向け、周知・啓発等を進めておるところでございます。
 それから、その同じページの下のほうにまいりまして、外国人雇用対策の推進でございます。
 外国人雇用サービス業務に特化した大阪外国人雇用サービスセンターにおきましては、外国人求職者への就職支援のほか、政府の高度外国人材受入施策の一環といたしまして、外国人留学生に対する就職ガイダンス、ビジネス・インターンシップなどの就職支援にも取り組んでいるところでございます。また、外国人労働者の適正就労の推進につきましては、6月の外国人労働者問題啓発月間では、昨年7月の入管法の改正を含め外国人労働者の適正雇用、労働条件の確保と不法就労の防止についてのセミナーの開催など周知・啓発を行うとともに、関係行政機関とも連携を図りながら取り組んでいるところでございます。
 以上、職業安定部の所掌業務、簡単に運営状況についてご説明をさせていただきました。今般の緊急経済対策でも、雇用を基軸とした経済成長の実現が基本支点となっておりまして、我々労働局に課せられている使命は非常に大きいものと考えておるところでございます。今後の経済の先行きは不透明ではありますけれども、職業安定部といたしましては、今後とも、この資料に掲載のありますとおり、各種事業を確実に実施するということで、この厳しい状況にある大阪府域の雇用失業情勢の改善に向けて努力をしてまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
 職業安定部からは、以上でございます。
 
○田中需給調整事業部長 
     需給調整事業部長、田中でございます。私からは、資料3の19ページの下にあります(5)の、労働者派遣事業等の適正な運営の確保に係る部分についてご説明いたします。
 今年度も法制度の周知徹底ということと、的確かつ厳格な指導監督の実施、この二本柱で業務を推進しております。
 まず、法制度の周知徹底でございますけれども、20ページの上のほうになりますけれども、新たに派遣事業などを始めたい方々を対象といたします新規事業説明会や、労働者向けのセミナーの開催などを計画的に進めているところでございます。特に労働者向けセミナーにつきましては、10月から12月にかけまして、府内のハローワークを会場としまして、監督署、ハローワークの協力を得ながら開催を予定しているところでございます。
 次に、指導監督の実施ですが、まず最初に、指導監督の対象となります府内の労働者派遣事業者数、直近の数字でご紹介しますと、7,413事業所ということになっておりまして、リーマンショック以降、増加の割合は大幅に減っているものの、今年度前半までは、ほぼ横ばいで推移しているところでございます。このような中で、今年度の指導監督の重点であります専門26業務派遣につきましては、前回の審議会でもご紹介させていただきましたけれども、3月と4月を集中指導監督期間としまして実施いたしまして、5月末には本省におきまして全国の実施結果を発表いたしました。そういったところですが、その後も年度内、引き続き、毎月一定数の事業所訪問を続けております。この26業務派遣につきましては、人材派遣会社や派遣先企業の皆様からの当部への問い合わせも多く、自主的に契約内容を見直す動きも見られているところです。
 指導監督のもう一つの重点であります製造業の請負事業に係る指導監督というのがあるのですが、これは以前と比べますと、工場などにおきまして請負を発注する規模が縮小しているという状況も影響しまして、指導監督件数が減少傾向になってはいるのですが、引き続き、この(イ)にもありますように、ガイドラインやチェックシートを使いました自主的な業者の雇用管理の改善を助言したり、あるいは労働基準監督署と私どもで合同で指導監督を行うということなど、効果的な指導監督の仕方というのを工夫しながら進めているところでございます。このほか、指導監督につきましては、ことし4月に多重派遣を行っておりました派遣元事業主2社に対しまして行政処分を行いました。行政処分につきましては、これを公表することによりまして、該当する派遣会社が業務の改善に向けて真剣に取り組むきっかけとなるということと、また、ほかの派遣会社に対します法令違反の抑止効果にもつながるものであると考えておりますので、今後とも、重大な法令違反、あるいは繰り返し違反を行う派遣元事業主に対しましては、行政処分も視野においた厳格な指導を行ってまいりたいと思っております。
 最後に、(ウ)でございます。
 派遣労働者に対する積極的な支援についてですが、今年度も私どもには、派遣労働者の方々からさまざまな相談や苦情が寄せられているところでございまして、これらいただいた苦情、相談には懇切、丁寧な対応を心がけておりまして、お話を伺った結果、指導監督が必要だと考えられる事案につきましては、緊急度を勘案しながらすべての事案に対応しているという状況でございます。
 以上でございます。
 
○荒川雇用均等室長 
     雇用均等室長の荒川でございます。雇用均等行政でございますが、ご説明の資料といたしましては、均等のインデックスがつきました1から7、こちらをご覧いただきながらご説明を申し上げたいと存じます。
 均等行政でございますが、今年度につきましては、労働局の行政運営方針の最重点の取り組みの一つといたしまして、職業生活と家庭生活の両立支援対策の推進を掲げております。本年6月に全面施行されました改正育児・介護休業法、さらに来年の4月からは義務化の対象の拡大となります改正次世代育成支援対策推進法に関する周知・啓発、また的確かつ厳正な指導に取り組んでいるところでございます。
 まず、均等の資料の、均の1というものでございますが、育児・介護休業法の施行状況をまとめさせていただいております。法律改正がありましたので、表1のとおり相談件数は4月から8月で約6,000件、前年度1年間を大幅に上回ってございます。また、その下の、表の2のとおり、紛争解決援助に関する申し立てでありますが、今年度は13件となっておりまして、均等室では法律の周知を徹底するとともに、個別の相談事案に対しては的確に対応し、法律の履行確保を図っているところでございます。
 次に、均等の2の資料をご覧くださいませ。
 こちらは、次世代育成支援対策推進法の取り組み状況をまとめたものでございます。この次世代法に基づく一般事業主行動計画の策定、届け出でありますが、表の2の(1)にありますとおり、301人以上の義務企業では100%に近い届け出をいただいているところであります。また、行動計画を達成するなど一定の要件を満たした企業に対する労働局長の認定につきましては、表の3にありますとおり、府内に本社を持つ84社を認定いたしているところであります。引き続き、より多くの企業が認定を目指して取り組みを行えますよう、制度の周知に努めてまいりたいと考えております。
 また、次世代法の改正によりまして、来年の4月からは新たに取り組みが義務づけられる101人から300人以下の事業主につきましては、現在の大阪労働局への届け出率でありますが、その上、表2に戻っていただきまして(2)のところ、5.7%でありまして、これは極めて低い水準でございます。来年4月の義務化まで5カ月ということで、早期の行動計画の策定、届け出を促すために、均等の6におつけしてありますような個別相談会、あるいは均等の7の資料でおつけしてございますような行動計画のモデル、これは大阪独自で作成したものでありますが、こういったものを対象となる企業にご提供することによりまして、今年度下半期は、新たな対象となる企業への支援を積極的に進めているところでございます。
 次に、均等の資料の3で、均等法の施行の状況についてご説明を申し上げます。表1にありますように相談の状況でありますが、4月から8月で800件余りということで、若干増加傾向にございます。内容的にはセクシュアルハラスメント、妊娠・出産などを理由とする不利益取り扱い、母性の健康管理に係る相談ということが多くなっておりまして、この二、三年同様の傾向でございます。
 表2で紛争の解決援助の状況でありますが、労働局長による援助が、今年8月までに32件申し立てがございました。既に昨年1年間の39件に迫る件数となっておりまして、こちらのほうは確実な利用が図られているということでございます。内容的にはセクハラに関するものが多くなっております。
 表3の調停でございますが、今年度につきましては、現在、セクシュアルハラスメントに関する調停が1件、申請がございました。
 また、企業における均等取り扱いの徹底を図るための、これは法に基づいて報告徴収という業務を実施してございますけれども、こちらはその結果、性別による差別的取り扱いが認められる企業に対しましては、表4のとおりの是正指導を実施しているところでございます。
 続きまして、均等の4の資料で、パートタイム労働法の施行状況でございますが、こちらにつきましては表1のとおり相談件数、こちらは改正法が施行されて3年目となりまして、相談件数自体は減少傾向にございます。内容といたしましては、通常の労働者への転換に係る相談、これが比較的多く寄せられているという状況でございます。是正指導につきましては、1番下の4のところでございますが、労働条件の文書明示、さらにその正社員への転換の措置などにつきまして取り組みが遅れている企業が見られることから、指導を行っているところでございます。
 均等関係につきましては以上でございます。
 
 
○奥林会長 
     はい、ありがとうございました。
 以上で、事務局からの平成22年度の状況についての説明は終了いたしました。ご意見、それからご質問等ございましたら、発言をお願いしたいと思います。
 挙手をしていただきまして、こちらで指名させていただきますので、マイクを持って発言をお願いいたします。どなたからでも結構ですので、ご自由にお願いいたします。
 はい、肥後委員、お願いします。
 
○肥後委員 
     肥後でございます。
 先ほどの職業安定という部分で、お伺いしたいのですが、確かに今、好転されたとはいえ、私どもJAM、多くの中小企業をいっぱい抱えていますので、業種によっては本当にひどい状況にあるわけです。そんな中で、雇調金がさっきかなりの数と発表されていました。世の中には悪いやつがいまして、制度の悪用といいますか搾取という部分も、かなりあるように聞いておりまして、そちらのほうも対策を講じていらっしゃるのも承知しておるんですが、その影響というわけでもないんでしょうが、かなり私どものほうで申請なり継続の際に非常に難しくなっていると。
 もう一点は、所内での連絡というんですか、例えばこういうこともあったんですが、残業を減らすために年間の稼働日数をふやしましたと。結果的にそれによって残業が減ったわけなんですが、当時の対峙された職員の方は、これなら大丈夫ですということをおっしゃったらしいですが、6月だか7月だか存じませんが、異動の際、次にいらした方は、これはだめだから今までの金全部持ってこいというふうな指導があったと。そういうことをされますと、お役人様にちゃんと名刺とって一筆書いてもらってなんて、ばかなこと出来ませんし、そこらあたりも含めて、悪用の部分、裏の部分なんでしょうけれども、そこらの状況と、また、本当に困っている連中はまだいっぱいおりますので、きちっと分けて対応願いたいなと。すべて搾取するやつがいるとは言いませんけれども、それも必死に生きるために、担当者はやりくりしていますので、そこらをきちっと見分けて対応していただきたいなと、私ども思っております。
 
○奥林会長 
     では、事務局のほうからお願いいたします。
 
○坪田職業安定部長 
     確かに、今、肥後委員からお聞かせをいただいた、現実として、大変不正絡みといいますか、それについては、私どもも非常に神経をとがらせておりまして、それについていろいろ情報が入りますと、やっぱり即、早急に私ども動いておりまして、現に今、ちょっと大きな案件を抱えておりまして、詳しくはちょっとここではまだ申し上げられないんですけれども、非常に大きな案件がございまして、それについても、やはり不正は不正ということで毅然とした態度でやっていきたいし、本当にこの助成金を必要とされる企業さんに、やはり行政として、しっかりとした取り扱いをしていかないと、本当に今後もこれが続きますので、そこのところはしっかりとまたやっていきたいと思いますし、先ほども申しましたように、そういう情報なり事案が発生するとか、あるいはそういう情報が入ってきますと、すぐに動いて対処しているというような状況でございます。
 それから、残業日数の話で、その当時の職員、事案はどういう事案とかはちょっとわからないのですけれども、そういう当時の職員が、これは大丈夫ですよと言われて、異動後に来た職員が、いやこれはちょっとだめですよって、180度違うわけですけれども、その辺について、もし、どういう事案だったか詳しく後ほど教えていただければありがたいなと思うのですけれども。もし、そういうような対応をしておるのであれば、私どもも、どういう状況なのかなと、しっかりと窓口業務をやらせていく必要もございますので、また後ほどお教え願えたらな、どんな事案だったのかなと思うんですけれど。
 
○肥後委員 
     ただ、代わられても、ちゃんとこう、言われるんですよね、大丈夫よ、ちゃんと私から言っとくからって。それ以上、企業の側からしたらお役人様に言えませんので。そこらあたりの何か連携というかな、そこらあたり、もちろん法律が変わったとかいう部分もあるんでしょうが。法律というのは大体、解釈非常に微妙な部分も多いんでしょうけれども、そこらあたりも、よろしくお願いしたいと思います。
 
○坪田職業安定部長 
     確かに申しわけなかったんですけれども、雇調金につきましては非常に失業予防というか、失業者を出さないという意味では、非常に大きな効果というか、効力出ておりますので、やはりそういう意味でも、こうした助成金を大いに、利用していただいて、失業者を出さないということ、これが一番大きな目的でございますので、ご指摘のございましたように、その辺はしっかりとまた引き締めていきたいと考えておりますので、よろしくお願いします。
 
○奥林会長 
     制度ができますと、それを悪用する人も出てまいりますし、またそれを運用する上でも、かなりの引き継ぎ等の問題もあるようですので、よく調査していただいて、是正していただきたいと思います。
 ほかに、どなたかありますでしょうか。
 はい、では、田辺委員、お願いします。
 
○田辺委員 
     先ほどご説明がありました、新卒者の雇用奨励金等の制度、実は私ども関経連でも、会員企業対象に10月の前半に2回説明会を、労働局のご協力のもとやらせていただきました。2回とも、もう会場が入りきれないぐらいの参加者がございまして、非常に関心が強かったと思っています。ついてはお願いですけれども、この奨励金を知っている企業はまだほんの一部ですので、いろんな機会をとらえてPRしていただきたいということ。それと参加者は、もちろんお金が出るから来られたという方もいらっしゃると思いますけれども、むしろ幾つか聞いていますと、特に中堅中小企業の方は、なかなか求人を出してもミスマッチ等があって人が来てもらえないという実態も聞いています。ハローワークでいろんな職業紹介されるときに、学生はどうしても大企業志向の人が多いらしいですけれども、そうじゃないんだということで、本当に人が必要なところにも勧めていただくような指導をお願いしたいということがもう一点です。
 最後に一つだけお願いなんですけれども、この雇用に関する数字で、ご存じのとおり完全失業率とか有効求人倍率というのは、中身はいろんな意見があるんでしょうけれども、ずっと長い間使われていて、それなりの統一された数字としていろんな指標になっています。けれども、特に大学卒なり、あるいは新卒の方の就職の率に関しましては、ご承知のとおり8月に文部科学省が就職決定率といって、ことしの3月に卒業された大卒の就職決定率が60.8%という数字が出まして、大体私が見る限りマスコミ等はこの数字を使っています。つまり、10人のうち約4人は就職できていないと、大変な事態やという報道がされていますし、いろんなテレビの報道見ましても、それが本当のように言われているところがあります。ところが、厚生労働省あるいは労働行政が使われている内定率という見方でいきますと、時点によりますけれども、94とか5という数字でして、これでいきますと未就職は20人のうち1人ぐらいで、19人は決まっていると、こういう数字になります。しかし、一般的に受けとめられているのは、マスコミの力が大きいと思いますけれども、60.8%のほうが流布しているわけです。ところが、この60.8%というのは、ご承知のとおり実はうそでして、残りの約4割のうち、中には進学する人、あるいは留学する人、あるいは就職せずに司法試験の準備に備えるとか、働く気のない人も入っていまして、本当に就職したくてもできない人というのは、最大で見ても13%ぐらいしかないというのが正しい数字です。私がお願いしたいのは、やっぱり行政として同じ数字、統一した数字でいろんな指標にしてほしいということです。そうでないと、何か労働局がおっしゃる数字と文部省が言う数字と、テレビが言う数字とみんなが思っている数字が余りにも違い過ぎるために、ちょっと混乱するというところがあるので、せめて一つの数字でお願いしたいというのが希望です。
 
○奥林会長 
     はい、事務局お願いします。
 
○坪田職業安定部長 
     田辺委員さんからの第1点目ですけれども、この奨励金については、私どももいわゆる新しい施策でございますし、目玉な施策でございますので、これをどんどんやはりPRをしていきたいと思っておりますし、またそういう事業主の方が集まる場所に、こういった奨励金を強くPRをしていって、雇用につなげていっていただきたいなと、こういう思いを持っております。
 それから、求職者の方が中小企業になかなか目を向かない、求人を出してもなかなか来ていただけないというお話ですけれども、私どもも、このマッチングというのは非常に大事にしておりまして、中小企業のそういった方のよさもPRしながら、中小企業の方へもどんどん紹介を積極的にやっていきたいなと思っております。
 それでは、新卒の関係の2点目でございますけれども、局長のほうから。
 
○西岸局長 
     1点目も補足いたしますと、今回の対策の1つの目玉は中小企業のところのマッチングができていないのを改善することで、もちろん、中小企業事業者の中にも求人を出しているのが実はあるのですが、中小企業のほうに求人があるのに、大学と特に大学生と結びついていないのですけれども、そこについて、これをどうやってマッチングしていくかというのは、今回の新卒者対策のもう一つの大きな柱でございますので、ここについてはいろんなほかの助成制度というか、試行雇用と並んで重要だということでもありますので、このあたりは、またさらに田辺委員のおっしゃったことを頭に置きながらやってまいりたいと思います。
 2点目、これにつきまして、文科省と厚労省で共同で出している数字は、基本的には90何%という数字なんですが、これは広報資料の発表の仕方も含めてきちんとすべきことは、さっき田辺委員がおっしゃったとおりで、数字そのものの60点幾つというのは卒業者100人のうち何人の方が就職したかというだけの数字ですので、そのあたりもよく整理をして、本省でも発表していただくようにすると、あるいは使い方についてもきちんと仕分けてやっていただくように、改めて本省のほうにも話をしておきたいと思います。我々も、その点について、もし外部から問われた場合はきちんと説明できるように、窓口も含めてやってまいりたいと思いますし、全体の数字の使い方ということについては、本省のほうにもまた話をしてまいりたいと思います。
 
○奥林会長 
     はい、ありがとうございました。
 特に数字というのはひとり歩きしたり、あるいは宣伝に使われたりする危険がありますので、厳密に使えるようにお互いに気をつけたいと思います。
 ほかに、どなたか。
 はい、では多賀委員、お願いいたします。
 
○多賀委員 
     はい、失礼します。
 細かいことも含めて4点あります。1つは個別労働紛争の件でありまして、私ども連合大阪でも労働相談をやっていますが、その中で最近多いのは個人請負業者の労働者性に絡む相談です。この件については、かなり見解が分かれているというか、定着してない部分もありますので、この部分について、見解を分かりやすく整理をしていただいて、丁寧な窓口指導をお願いしたいというのが1点です。
 2点目が労災防止の関係で、大阪はかなり厳しい状況にある中で、労災防止指導員制度の廃止ということが国で決まってきているということですが、特に大阪の厳しい状況下の中でその制度を廃止していって、次に新たな協議会がつくられるということも聞いておるわけですけれども、どのように安全行政の実効性を担保させていくのかという視点で、この協議会との関係について、お考えあれば教えていただきたいというのが2点目であります。
 3点目が基金訓練についてでありまして、第2のセーフティネットということで、私ども評価をしているわけですけれども、ここの資料で指導を受けられた方の数は出ているわけなんですけれども、その後、どのように就職に結びついていってるかについて、加えて、その後のフォローアップの状況について、教えていただければと思います。
 最後ですけれども、均等行政の関係であります。幾つか相談事例というようなことも表で見せていただいたんですけれども、労働者側の相談が非常に少ないということがありますよね。育児・介護休業法の関係でも労働者の相談が少ないと思いまして、このあたりが労働者側の問題ないのか、そういう制度を知らないのか、そのあたりの周知がきちっとされているかどうかということについてお聞きしたいと思います。特に、紛争解決とか、調停とか、局長による解決援助というのはゼロという数字がいっぱい並んでいるんですね。このことについて、どのようにお考えになっておられるかということについても、見解があれば教えていただきたいと思います。
 
○奥林会長 
     では、事務局、お願いいたします。
 
○荒牧総務部長 
     では、4点ほどいただきましたので、担当わかれますので1点ずつお答えしたいと。
 1点目の、個別紛争の関係でございまして、ただいまご指摘がありましたように、請負を中心とした労働者性の見解、確かに難しい面もありまして、いろいろそのお問い合わせがあるというのは、今お聞かせいただいたとおりでございますので、我々のほうとしても、やはり、それに対する見解というか整理したものを、できるだけ打ち合わせをしながらお示しして、誤解のないように、労働者がきちっと保護されていくような形で工夫してまいりたいと思いますので、その分、努力してまいりたいと思っています。
 
○辻労働基準部長 
     労働災害防止指導員の関係でございますけれども、大阪におきましては、特にこれまで労災防止指導員制度、非常に定着しているというか活発に活動してきていただいておりました。労側の指導員の方、それから使用者側の指導員の方も、非常に労働災害防止指導員であることの意義を十分踏まえていただいて、これまで活動していただいてきておりましたので、特に今回、事業仕分けの中でああいう結果になってきたというのは、私の立場からいたしまして大変残念だなと思っております。
 労働災害防止というのは、やはり法令でもって決められているので、こうやりなさい、ということだけではなかなか進まないわけで、やはり自主的な労使の取り組みといったことがなければ進んでまいりません。そういった意味でも、これまで労災防止指導員の方々の活動が、労働災害防止へ非常に大きく寄与していただいてきたものと思っております。今後、これはもう決まりましたので、今後どういうふうにしていくかということにつきまして、まだこれからでございます。協議会を設けていろんなご意見をお伺いした中で、自主的な活動が効果的に進むような形での運営といったものにつきまして、また、労・使それぞれこれまで指導員を出していただいていた団体の方々とも、よくご相談をさせていただきまして、いい方向で進めてまいりたいと思っております。
 
○坪田職業安定部長 
     3点目の基金訓練の関係でございます。この基金訓練につきましては、制度につきましては、職業横断的ITスキルだとか、基礎研修コースだとか、実践演習コースだとか、社会的事業者コース、こういったコースがございまして、毎月毎月こうしたコースが認定をされて、ハローワークからそれぞれのコースに求職者を送り込んでいくと、そういうシステムになっておりまして、3カ月訓練を受けていただいて、それで修了後3カ月の間に就職をしていただくということですけれども、その就職が一応私どもの目標として、修了後3カ月後の就職率が60%以上ということが掲げられておりまして、現在のところ、22年度総じて、これ10月15日現在ですけれども、22年度4月以降、そういった訓練を受けて就職された率が61.1%ということで60%はクリアはしているんですけれども、これをやはり、もう少し、もっと上げていきたいなという思いで今やっています。
 それで、一応、修了したちょっと前に、そういうアンケートをとるようにしておりまして、そのアンケートに基づいてハローワークを利用して就職を希望するだとか、そういった動向の把握をしております。それによって、ハローワークにお越しいただいて、担当者制というか個別に支援をしながら就職していただくと、そういうシステムにしております。
 先ほど申しましたように6割、これは目標でございますので、これを目指して就職相談なり職業相談をやっているところでございます。直近では、今申し上げましたように、10月15日現在で61.1%の就職率となってございます。これが23年度に行政に恒久化されるということでございまして、そういった基金訓練の充足、そういったコースの課題としては、そのコースに対する充足、それと修了者に対する就職対策、先ほど申しましたけれども60%以上、修了時点の3カ月後の就職率ですので、ですから、そこのところが非常に、修了してハローワークにすぐ出てきてくれたらいいんですけれども、ひと月たって出てくるとかということになりますと、支援期間が2カ月なり、あるいは1カ月になってしまうと、非常に短くなってしまう。その辺が一つ大きな課題になっているのですけれども、恒久化に向けて、私どもも、さらにそういう問題点を把握しながらやっていきたいと考えておりますので、よろしくお願いします。
 
○多賀委員 
     すいません、61.1%の就職された方の雇用形態は把握されているのですか。
 
○坪田職業安定部長 
     雇用形態までは、把握はできていないです。
 
○荒川雇用均等室長 
     4つ目、均等行政ということでご質問をいただきました。
 まず、1点目は、相談者の内訳として、働く方々からのご相談が少ないのではないかという点と、それから紛争解決援助の仕組みの利用が少ないのではないかというご指摘でございました。
 相談につきましては、育児・介護休業法に関しましては、今年度は法改正がございました関係で法整備に関する内容についてのお問い合わせ、これは企業からのお問い合わせを中心に、非常に数が膨らんだという状況がございます。それから、均等法につきましては、概ね年間、今相談件数が1,800件前後のところで推移をしてございまして、そのうち働く皆様からのご相談は大体1,000件弱位というところで、今、この2、3年はそういった状況でございます。
 そうした中で、私ども、働いていらっしゃる方々に対する法律の浸透というのは、もう少し努力をして、工夫していかなければならないのではないかと認識をしているところでございまして、また委員様のご協力を賜ればありがたいと思っているところでございます。
 それから、紛争解決援助でございますが、労働者の方々からご相談をいただきまして、その内容によって、実際に企業の中でトラブルが生じているというような場合には、この紛争解決援助の仕組みにつきまして、丁寧に説明をさせていただいているつもりでございます。ただ、この制度を利用するかどうかというのは相談者のご希望によるものでありますので、相談の数に比べて紛争解決援助の仕組みを全ての方が利用される状況ではないのが現実でございます。今回は、改正育児・介護休業法の中にも紛争解決援助の仕組みができましたので、この辺につきましては、まだまだ周知が不十分だと思っております。さらに仕組みが浸透するように、努力をしてまいりたいと思っているところでございます。
 以上でございます。
 
○奥林会長 
     ありがとうございます。論点が非常に多岐にわたっていますが、多賀委員、それでよろしいでしょうか。
 
○多賀委員 
     はい、ありがとうございました。
 
○奥林会長 
     それでは、ほかに。
 はい、岩本委員、お願いいたします。
 
○岩本委員 
     大きなところをちょっと教えてほしいんですけれども、定年延長をして、高齢になっても働けるようにしようという施策があって、それと大学卒業した人にも雇用の機会を確保しなくちゃいけないというのがありまして、何かこう両すくみみたいな、上があかないから下が入れないみたいなのがありまして、日本国の労働市場がこれからどんどんふえていくようには見えないわけですけれども、そういうときに、上も延ばして下も応援しようという国の施策は可能かどうかということなんです。私、弁護士で、奨学金を返してくださいという裁判をやっているわけですけれども、奨学金を返さない人を見ますと、学校を卒業した後で、あまりいい仕事先が見つからなくて、派遣業に登録するのが精いっぱいで、そこで雇い止めになりまして、奨学金を返せなくなりましたなんていう答弁が、ほぼ全部の相手方から出るのです。定年を延長して、若年者の労働市場を確保するという、そういう大きな国の方策というのは、今後も続くというふうに考えておられるわけでしょうか。
 
○奥林会長 
     はい、お願いいたします。
 
○荒牧総務部長 
     今ご指摘のあったとおり、ヨーロッパ等では非常に高い若年の失業率がありまして、例えばオランダモデルだとか、ドイツなんかも最近そうしていますけれども、いわゆるワークシェアリングの導入です。若年者の不満、若年失業率が2割近くになる国もヨーロッパは多数ありまして、若年者に職をよこせというデモが頻繁にヨーロッパでも起きていたりする中で、若年者の仕事をよこすために高齢者の仕事を若年に分けろという議論は、もう盛んにヨーロッパで行われています。
 一方で、我が国の状況を見ますと、若年状況について非常に厳しい状況にあるものの、ヨーロッパと比較すれば、そこまでの社会的不安に至るような状況に今はなってない、今後どうなるかというのはございますけれども、そういう中で、一方で我が国の日本の労働者、高齢者も含めて、これは非常にいいことだと思うんですけれども、欧米先進国に比べて非常に就業に対する意欲が高いと、高齢に至ってもやはり労働というのを生きがいにして働きたいという、例えば前々大臣の舛添大臣のもとでも、70歳まで働ける、70歳に向けてやっぱり生涯現役で働きたいというような舛添ビジョンを出したことがございますように、やっぱり高齢期の就業というか現役で働く、特に現役でいるということに対しては、ヨーロッパ諸国というか、例えばボランティアだったり、自治体の活動だったり、さまざまなある中で、日本においては、やはり就業していたいという、働いていたいという意欲が多々あるわけです。
 もちろん、一方では、社会保障の年金制度の支給開始年齢引き上げに伴いまして、実はそこに向けて持続的にずっと働けていける社会を目指さなければいけないという両方の側面がある中で、ここがやはり、今後我々としてはいわゆる今やっている政治主導の中で、どう判断されていくのかということでございます。特に今は若年の問題が非常にクローズアップされて、若年者対策が大きな政府課題となっており、岩本先生からご質問がありましたように、それで若年者のところが、定年延長していって職が確保できるのかというところは大きなところなんですけれども、これは雇用政策研究会で今年研究会報告が出されていますけれども、全体で見れば、やはり日本は労働力人口はこれから減っていくわけでございまして、労働力自体の部分でございますと、やっぱり高齢者も含めて労働力を確保しなければいけないという状況にはあると思うんですね。ただ、その研究会報告にあった前提が、ある程度の経済成長を見込んでいるものですから、この経済成長が見込んだ率よりも低くなりますと、そういう高齢、若年のような問題がより顕在化していくことになるのではないかと思っています。
 そういうこともありまして、その定年延長の時代、これは不可欠だと私は思っておりますけれども、それに向けて、いわゆるワークシェアリング的な考え方をとるのか、あるいはどういう形で雇用施策を打っていくのかというのは大きな問題だと思っておりまして、この点については今後数年の経済発展を踏まえながら、雇用対策がどういうかじ取りで現政権のもとでとられていくか等を注視しながら、それをうまく実行に移していくのが大阪労働局の役割だと思っております。今の答えとして、お前どうなんだというのが答えていないような気がいたしますけれども、どちらかといえば両方やりたいということでございまして、それがどう矛盾するのかどうかというのはいろいろ考えてまいりたいと思いますが、そういうことで勘弁していただければと思います。
 
○西岸局長 
     すごくマクロ的には、明らかに労働力減少社会になってきますので、当然、国として一定の経済成長というのはあるだろうという基でいくと、女性であるとか高齢者だとか、あるいは障害者だとか、要するに労働力の参加というのを促していかないと、日本としては一定の社会の形成ができないということがあると思います。ただ、今非常に短期的に見ますと、今、荒牧が申し上げましたように、非常に経済成長が伸びていない中で、明らかにぶつかっている状況はあると思います。ただ、我々としてはトレードオフになってはいけないとは思っているので、高齢者にしても、個人ベースというか労働者ベースで参加したいという方は参加させていきたいし、社会構造の仕組みとしては高齢者が就業に参加して、あるいは若者がきちんと就業に参加できる仕組みというのは、景気悪いからちょっとやりましょうとはいかないので、その動きというのはきちんと動かしていきつつ、今言われたような調整をどうするかというのは非常にミクロな場面で非常に出てくるのですが、そこは、はっきり言って悩ましいところはありますけれども、やはり仕組みとして進めていくのは、今後とも進めていかないと、日本という社会、労働の部分もそうですし、あるいは社会保障の担い手も含めてきちんとやっていかなければいけないということです。実際、現実起こる問題等をどう調整するかということでいくと、若者というものに対して、かつて日本は、そこはほとんど問題はなかったということですので、それがここ5年、10年が非常に顕在化しているという中で、どうするかという意味ではやや重点といいますか、当面の話としては、若者のところというのをかなり力を入れていることは事実でございますが、だからといって、高齢者とか、そういう社会構造の変化というものを、どうやってとらえていくかについては継続してやっていくというふうに、労働局としては、そういう形で何とか両立させていきたいと思っているところでございます。
 
○奥林会長 
     はい、ありがとうございます。非常に根本的な問題ですし、社会のあり方の哲学にかかわるような問題だと思います。ただ、研究者の間での議論としましては、社会負担による雇用、それから社会保障等の世代間の公平性をいかに担保していくかという世代間の公平性という、こういう問題設定で議論がなされています。
 ただ、社会全体から見ますと、高齢者も若者も、あるいは女性もすべて社会の構成員でありますので、したがって社会の構成員の、すべての構成員がハッピーに生活できるようにという、そういう一つの理想を求めながら、経済的な負担の公平性というところで、現実の政策をどういうふうに出していくかということになるのではないかなと思いますが、このあたりは、かなり最終的には政治的なレベルで決定されるのかもしれませんけれども、今後、議論する必要はあるのではないかというふうに私自身も感じております。
 以上です。
 では、株本委員、お願いします。それから、もう一人、谷本委員ですね。
 
○株本委員 
     長時間労働の抑制ということについて、実効ある効果的な方法をというお話もございましたけれども、やはり長時間労働についてはワークライフバランスの観点からも、それから自殺者ということで命にかかわる問題ということでも、地道にずっと言い続けて取り組まなければいけない課題だというふうに思っております。また、最近では労使合意された中で、例えば欧州で実施されている勤務間インターバル規制につきましては、昨年には数社、今年度に至っても数社が導入されているようです。これは、労使合意の中での取り組みの一つかと思っておりますが、実態として情報通信とかIT関係の企業が中心になっていると聞いております。ただそれは欧州で導入されている11時間規制には届かないものでございまして、7時間だとか6時間だとかというところでは、まだまだ届かないなというふうに思っているところであります。
 とはいえ、こういった制度を導入するということは、働く我々にとっては、もちろん就業時間を過ぎても、規制にかかっている部分においては賃金カットがないということが決められるというのはありがたいものではございますが、これには両面ございまして、そもそもそれぐらいのインターバルはとって当たり前だというふうに思っております。今、法規制を望む声なんていうのも出ているというふうに聞いておりますので、労使でやる以外に、やはり法律という観点でとらえた場合に、行政としてどのように今お考えなのかお聞きしたいと思います。また、先ほどご説明にありましたが、11月にはキャンペーンを打つとおっしゃっておりましたけれども、実効ある取り組みとして今年度は例年と違って具体的にどのように働きかけようとなさっているのか、あるいは今申し上げたようなことなんかは検討の段階にあってどのようにお考えなのかなというのを、お聞きしたいと思います。長時間労働の問題は、何度言っても、どんなに取り組んでも、なかなか一気に解決できないという厳しい状況がございますのでそのあたりのお考えをお聞かせいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
 
○奥林会長 
     長時間労働の問題です。
 
○辻労働基準部長 
     長時間労働の抑制ということは、健康確保の面とそれから仕事と生活の調和を図ると、こういう両面からいろいろと進めていかなければならないというふうに思っております。先般、時間外労働協定、三六協定の関係で調査をいたしましたところ、やはり月80時間を超えるような時間外労働が可能となるような三六協定、これがいわゆる特別条項付の協定ということですけれども、そういったものを結ばれているところというのがかなりございまして、実際に特別条項に基づいて時間外労働が行われている。さらに、それを超えた時間外労働も見られるというふうな状況でございますもので、11月の取り組みといたしましては、一つはそういった長時間労働を抑制していくということについては、やはり労使の主体的な自主的な取り組みということが非常に重要になってくると思いますので、これは経営者の方とともに組合の方々にもお願いをして、どういうふうに短縮を図っていくのかといったことについて企業内で十分に話し合ってもらうように、そういった要請をしていきたいというふうに思っております。
 それから、健康確保という観点から申しましても重要ですので、その面では健康確保対策というのをあわせてやってもらうということも、要請をしていきたいと思っています。
 よろしいでしょうか。以上でございます。
 
○奥林会長 
     ということですけれども、よろしいでしょうか。
 
○株本委員 
     取り組みについては承知いたしました。先ほど申し上げました中では、1993年にEUから勤務間インターバル規制という指令が出ておりまして、そこから日本についてはなかなか動きがないままで、先ほど申し上げたように、昨年からIT情報通信関連などから数社導入しているという経緯があります。ただし、そんなにインターバルをとらないといけない働き方をしなければいけないのかという、そもそものところについていかがお考えかなというところなどもお聞かせいただけたらなと思います。
 
○辻労働基準部長 
     勤務と勤務の間にどれぐらいの休息期間をおくか、逆に言えば労働時間ではなくて、1日の勤務の拘束時間をどうするかという話にもなってくると思うんですが、現在、インターバル規制を設けておりますのは、法令規制ではないんですけれども、告示で自動車運転者、これにつきましては勤務と次の勤務の間に一定期間を置きましょうと。それは、要するに過労による交通事故の防止とか、そういう観点が入ってきております。
 労働時間規制について、現在、今委員がおっしゃったような考え方というのは、私が今知り得る限りでおそらくそうだと思うんですけれども、自動車運転者の改善基準告示に似たような規制をしておりますけれども、そういった考え方を広げていくような動きというのは今のところ、問題意識としては本省のほうでも持っているかと思うんですけれども、今後の課題というところになるのではないかなと思っております。
 
○奥林会長 
     そういうことでよろしいでしょうか。
 はい、ありがとうございました。
 では、続きまして谷本委員、お願いします。
 
○谷本委員 
     谷本です。質問ではなくて、ご報告をさせていただきたいなと思います。大学卒業と同時に、就職浪人とか、就職先がないとなるとなると、夢も希望もなくなってしまいます。
 それで、私ども随分、キャリア教育に力は入れているんですけれども、一大学だけではなかなか拡大というか、拡充というか、それもできにくい状況でございまして、今年、大阪学生職業センターにご相談をさせていただき、センターとタイアップして、大学の方で学生を集めますから、就職のいろんなことについてご指導いただけないかということを企画し、大変好評でございました。
 中小企業には目を向けない学生たちが割と多いんですね。でも、そうじゃない学生もちゃんと出てきて、希望する職種の、いろんなところにご紹介をいただきました。大学のキャリアセンターのスタッフの申しますには、大変違う見方で指導いただいたことが非常によかった、ということでございます。
 付け加えさせていただければ、就職のためにキャリアセンターとかで指導を受ける学生は、何とか就職したいということで大変頑張ってくるんですけれども、もう10回も、20回も企業さんから落ちてしまうと、エネルギーがなくなってしまうんですね。ですから、そこら辺を、何か取り組みをしていかないと、もうちょっと数字を上げるのは難しいかなという気がいたします。
 就職したいという希望、意欲を持つ学生は、それだけ前向きに取り組んでくるんですけれども、今の学生の中には、ちょっと気が弱い者もいますものですから、何か工夫がいるのかなと思ったりもしています。また、そういうところで、ご指導いただけたら、ありがたいと思います。
 
○西岸局長 
     ありがとうございます。従来から、高校卒業者の場合、実は学校は全数を把握して、また、一人一人どうした希望があるかなどの相談もやってきており、学校側として体制ができていますし、ハローワークとの関係もうまくつながっているのですが、大学生というのは従来は、基本的には自分でやれという形になっている。それは、あと個別に学生職業センターで対応する、ということもございますが、必ずしも、従来、個々の方を行政としても把握する形になっていなかったものですから、今回、外大を含めて出かける学生就業センター事業といって、出かけまして学生さんと直接お話をするという形で、学校を通じてやっておりますし、あるいは場合によっては直接ハローワークとかに学生を連れてきていただいて、ご相談していただく形もやっております。そんな中で精神的なこと、メンタル的なこともございますので、何回か定期的にそういう精神面の相談を行う体制をつくっておりますので、もしよろしければセンターに来ていただければと思っており、なかなかご本人たちが来られるかどうかありますけれども、また学校に行ったときに、そういうこともご紹介いたしますので、もし機会がありましたら学生さんにも、こういうのがあるから、センターに行ってみればということを言っていただければ、専門の者を置いておりますので。これは大体学生に限らず、一般の方もいろいろと精神的なことで、就職というのは非常に大事なことで、どうしてもうまくいかないと悩んでしまうので、今年は大学生等についても丁寧にやっていこうと思いますので、ぜひご活用いただければと思いますので、よろしくお願いします。
 
○奥林会長 
     ありがとうございます。
 いわゆる就活をしている学生に対するメンタルケアというのは非常に重要な面ですけれども、各大学ではやっておりますけれども、同時に行政のほうも援助をいただければ、なお、ありがたいということだろうと思います。
 予定しておりました時間がほぼ来てはいるんですが、もし、ぜひと言われる方がありましたら。
 では、肥後委員、お願いします。
 
○肥後委員 
     1点だけ、さっきの長時間労働の部分ですけれども、ちょっと本質からずれているのかなと。労働行政の限界の部分なんでしょうけれども、どうして長時間労働しなきゃなんないの、どうして長時間労働を強いているのという部分もあるわけで、株本さんおっしゃったようにインターバルも結構でしょうけれども、そういう現実があるということは、この審議会になじまないでしょうけれども、それも大事な部分じゃないかなということ。
 それと、もう一つ、さっきの老と青の部分、老と青というのは若い人と年寄りの部分も含めて、やっぱりシェアリング、分けるということ、どこかでそっちへ入って行かないと、さっきおっしゃったように高齢者の勤労意欲なんてきれいな情緒的な部分だけじゃなくて、みんなでこう、私ども労働組合も本当は考えなくちゃいけないんでしょうけれども、仕事も、賃金も、利益も、みんなで分けるということ、シェアリングということを、本当にどこか違うところで考えていかないと、とんでもないところへ進んでいくんじゃないのかなというふうに思っています。それだけです。
 
○奥林会長 
     はい、ありがとうございました。
 労働の問題というのは経済の問題、さらに社会全体の問題と非常に結びついておりますので、労働の次元だけの問題で解決できない問題があります。それを、こういうところで、どういうふうに対応すればいいでしょうかというのが一つの問題提起だったと思いますが、これは今後、また事務局で考えていただくということにさせていただきたいと思います。
 非常にたくさんの意見をいただきました。ありがとうございました。事務局は、この意見等を踏まえて、今後の行政運営に生かせていただきたいと思います。
 それでは、本日予定しておりました議題は、ほぼ終了いたしましたので、これをもちまして本日の議事をすべて終了させていただきたいと思います。
 どうも長時間ありがとうございました。

 
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