平成24年度第1回大阪地方労働審議会議事録

1 開催日時 

      平成24年11月20日(火)午前10時から正午

2 開催場所

      K K Rホテル大阪 2階 星華の間 

           (大阪市中央区馬場町224

 

3 出席者 

1)委員 

    公益代表 

          奥 林  康 司  委員 

          小 嶌  典 明  委員 

          石 田  信 博  委員 

          岩 本  洋 子  委員 

          永 田  広 道  委員 

          服 部  良 子  委員 

    労働者代表 

          今 宮  正 信  委員 

          稼 勢  一 弘  委員 

          佐 伯  昭 子  委員 

          多 賀  雅 彦  委員 

          中 村  義 男  委員

          平 岡  宣 次  委員

           

    使用者代表 

          小 野  幸 親  委員

重 田  正 年  委員 

          島 岡  秀 和  委員 

          藤 原  幸 則  委員

          堀 田  義 高  委員

2)事務局 

    局長   森 岡  雅 人 

    総務部長   村 松  達 也 

    労働基準部長   辻    知 之 

    職業安定部長   上 谷  博 彦

    需給調整事業部長   名 田    裕 

    雇用均等室長   大 西  ふみ子

    企画室長   鈴 木  博 司

 

4 議題

1)平成24年度労働行政の運営状況 

2)アクションプランに基づく一体的実施について 

3)改正法の施行状況について

5 配布資料

1    大阪地方労働審議会委員名簿

2    平成24年度行政運営方針

3    平成24年度大阪労働局重点対策の運営状況

総-1  個別労働紛争解決制度の運用状況について

基-1  リーフレット:労働契約法改正のポイント

基-2  リーフレット:これってパワハラ?

基-3  「労働時間適正化キャンペーン」の実施について

基-4  NEWS RELEASE 《近畿運輸局及び各府県労働局と合同で、荷主関係団体へ要請》

基-5  リーフレット:大阪府内の事業所で働く方に適用される最低賃金

基-6  リーフレット:ワン・ストップ無料相談

基-7  平成24年度業種別死亡・死傷災害発生状況等(大阪)

基-8  大阪労働局が緊急要請

基-9  第72回全国産業安全衛生大会2013in大阪

安-1  アクション・プラン~出先機関の原則廃止に向けて~

安-2  リーフレット:希望者全員の雇用確保を図るための高齢者雇用安定法が施行されます!

安-3  リーフレット:平成25年4月1日から障害者の法定雇用率が引き上げになります

需―1  需給調整事業関係業務の概要

需―2  労働者派遣等に係る個別/集団指導・啓発指導状況

需―3  1,036事業所に対して指導監督を実施し、延べ678件の文書指導

需―4  派遣元事業主に対する労働者派遣事業停止命令及び労働者派遣事業改善命令について

需-5  労働者派遣法改正法(平成24年度法律第27号)

需-6  派遣会社・派遣先の皆様へ 労働者派遣法が改正されました!

需-7  派遣労働者の皆さまへ 労働者派遣法が改正されました!

均―1  大阪における男女雇用機会均等法等の施行状況等

均―2  女性の活躍促進・企業活動活性化推進営業大作戦目標値

追加資料

資料-1   使用者による障害者虐待をなくそう

資料-2   労働契約法改正のあらまし

資料-3   これってパワハラ?

資料-4   高年齢者等職業安定対策基本方針

資料-5   高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針

資料-6   高年齢者雇用安定法QA

資料-7   改正高齢者雇用安定法の速やかな対応をお願いします!

 

議事

企画室長 おはようございます。開会に先立ちまして、事務局からご案内申し上げます。私は企画室長の鈴木と申します。どうかよろしくお願いいたします。

 資料は事前に送付させていただいたところでありますけれども、本日、次第、配席図とともに、最近作成されましたリーフレットなどを追加資料として配付させていただきました。また事前にお送りいたしました資料3の平成24年度大阪労働局重点対策の運営状況と、右肩に需給-1均-1と書かれた資料につきましては、一部追記、修正させていただきましたので、差し替えいただきたいと思います。

 なお、事前にお配りした委員名簿の中で平岡委員の組織名に誤りがありました。誠に申しわけございませんでした。

 それでは、奥林会長、よろしくお願いいたします。

奥林会長 皆さん、おはようございます。

 朝晩、大分寒くなってきまして、年の瀬を感じるころになりました。お忙しい中、本日お集まりいただきまして、大変ありがとうございます。

 それでは、平成24年度の第1回の大阪地方労働審議会を開催したいと思います。

 まず最初に、森岡局長からごあいさつをお願いいたします。

森岡局長 おはようございます。9月10日付で大阪労働局長を拝命した森岡と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 委員の先生の皆様方におかれましては、本日、大変お忙しい中、この審議会にご出席賜りまして、どうもありがとうございます。

 また、皆様方におかれましては、日ごろより労働行政の推進につきましてご支援、ご協力を賜っておりますこと、この場を借りてお礼申し上げます。

 さて、最近の経済情勢を見ますと、先の月例経済報告におきましても、引き続き底堅さが見られるが、世界景気の減速等を背景として、このところ弱めの動きとなっているとされておりますし、雇用情勢を見ましても、有効求人倍率につきましては前月より0.02ポイント低下となっております。9月につきましては、大阪においては有効求人倍率は37カ月ぶりに低下しまして0.80倍となっており、非常に厳しい状況になってきております。大阪に本社があります大手家電メーカーのリストラの影響等も含めまして、今後の動向について注視していく必要があろうと考えているところでございます。

 当局におきましては、こういった厳しい状況に対応するため、行政運営方針におきまして「誰もが活き活きと安心して働ける元気な大阪」をスローガンに掲げまして、基準行政、安定行政、均等行政の三行政の連携を強化しまして、職員が一丸となってこの情勢を打破するという方向に向けて取り組んでいるところでございます。

 本日の審議会におきましては、議題の1としまして、労働行政の運営状況について各担当部長からご説明させていただきます。24年度の行政運営方針を作成いたしまして、もう半年以上経ったわけですが、中間報告ということでこの運営状況や、業務の進捗状況についてご説明をさせていただきまして、委員の先生方の忌憚のないご意見を頂戴しまして、年度後半に向けて行政運営に役立ててまいりたいと考えているところでございます。

 続きまして、議題の2といたしましては、アクション・プランに基づく一体的実施につきまして、ご説明をさせていただきたいと思います。

 これは、地域主権改革の出先機関改革の一つとしまして、大阪市と共同で実施しているものでございます。後ほど職業安定部長からご説明いたしますので、ぜひご意見を賜りたいと考えているところでございます。

 次に、議題の3といたしまして、最近、労働契約法、高齢者法をはじめとして労働行政関連の法改正が相次いでいるところでございますので、5点、説明させていただきたいと思います。

 簡単でございますが、審議会に当たりましての私からのあいさつとさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。

奥林会長 ありがとうございます。

 それでは、事務局のほうから本日の出席状況につきましてご報告をお願いいたします。

企画室長 本日は、公益代表委員6名、労働者代表委員6名、使用者代表委員5名の計17名の委員の皆様にご出席をいただいておりますので、地方労働審議会令第8条第1項の規定により、本審議会が有効に成立しておりますことをご報告申し上げます。

 次に、会議の公開についてご説明いたします。

 大阪地方労働審議会運営規程第5条の規程に基づき、本審議会は原則として公開することとされており、その具体的手続につきましては大阪地方労働審議会傍聴規程に定められております。

 本日の審議会につきましては、この傍聴規程に基づき開催の周知を行いましたが、傍聴の申し込みがなかったことをご報告いたします。

 また、大阪地方労働審議会運営規程第6条第2項の規定により、議事録についても公開することとされております。議事録には、発言者のお名前を記載させていただきますので、ご了承願います。

 以上でございます。

奥林会長 ありがとうございます。

 それでは、審議に入る前に、前回3月の審議会以降、審議会委員になられました方を紹介したいと思います。

 お配りしております資料の1のところに、大阪地方労働審議会委員の名簿がありますので、確認していただければと思います。

 公益代表委員になられた方を紹介したいと思います。読売新聞大阪本社の永田委員です。

永田委員 読売新聞で編集局次長をしております永田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

奥林会長 よろしくお願いします。

 次に、川島委員の辞任に伴いまして、本審議会の労働災害防止部会委員の指名の件ということになります。

 地方労働審議会第6条第2項におきまして、部会の委員は会長が指名するということになっております。そこで労働災害防止委員会の公益委員としまして永田委員を指名したいと思います。よろしくお願いいたします。

永田委員 委員をさせていただきます。

奥林会長 続きまして、本日の議事録の署名委員を指名したいと思います。署名委員としまして、私のほかに、労働者代表としまして佐伯委員さん、それから使用者代表としまして藤原委員さん、よろしくお願いいたします。

 それでは議事に移りますが、先ほどもご紹介がありましたように、今回3つの大きな議題が出ております。一応の進行の予定ですが、前回の場合も委員の皆さんからいろいろな意見が出て、非常に活発な議論が行われました。それを踏まえまして、既に皆さん資料に事前に目を通しておられると思いますので、できるだけ事務局からの説明につきましては、ある程度時間を少なくしまして、議論を活発にしたいと思います。

 まず、第1の議題、平成24年度の大阪労働行政の運営状況について事務局から説明していただきますが、40分程を予定しておりまして、その後に質疑応答に移りたいと思います。よろしくお願いいたします。

総務部長 総務部長の村松でございます。座らせていただきまして、ご説明申し上げます。

本日は、局長のごあいさつの中にもございましたように、まず各部からそれぞれ平成24年度の労働行政の運営状況についてご説明をさせていただきますが、その前に私から局全体にかかわります行政展開に当たっての基本的対応についてご説明いたします。配付資料の2の行政運営方針の7ページでございます。

 第2の行政展開に当たっての基本的対応という項目につきまして、資料としてまとめておりませんが、私どもの取組について若干、触れさせていただきたいと思います。

 まず、1番目の地域におけます総合労働行政機関としての機能ということでございますが、特に大手家電メーカーのリストラの情報について、局内関係課及び監督署、ハローワーク、これらが連携をとりながら機動的かつ的確な対応を行えるよう情報収集及び必要な指導、要請等を行っておりますとともに、各部の実施する集団指導という場においてその情報を労働局内の各部室間で情報を共有、活用し合同開催をする、さらには必要なリーフレット等をそれぞれ共有するといったような形で、効果的、効率的な実施に取り組んでいるところでございます。

 2つ目の効率的かつ計画的な行政運営の推進ですが、特に(2)の業務運営の効率化、重点化というところに関しましては、私ども局内に行政事務簡素合理化委員会というものを設置しており、今年度も局内全体の検討結果を集約して、事務簡素効率化を検討し、本省に提案要望を行っているところでございます。具体的には、本委員会によって60件の簡素化、合理化事項について検討し、うち52件を本省に要請、提案をしているという状況でございます。さらに、行政事務のコスト削減ということにつきましては、節電を始めとして、着実に実施をしているところでございます。

 次に、広報に関しまして、9ページの(4)ですが、各種施策につきまして適時、報道機関に資料提供を行いますとともに、毎月定例記者会見を開催いたしまして、管内の雇用失業情勢や、当局が展開しております各種施策を特集的、ニュース解説的に取りまとめて、これをトピックスという形で情報発信を行っております。トピックスという形での情報発信につきましては、この上半期、12本発表しておりまして、中にはハローワークにおいて昨年度1年間で15万人の就職者数を達成しましたが、これは全国1位だったといったような事例についても発表したところでございます。さらに、社会的に注目を集める事案について臨時記者会見を行うなど、積極的な広報活動に取り組んでいるところでございます。

 次のページの情報公開制度につきましては、常に日頃より保有する個人情報の厳正な管理を図っているところでございますが、残念ながら、平成24年度上半期で13件の個人情報漏えいを発生させているところでございます。今後におきましては、研修等によりさらなる厳格な管理の徹底を行い、漏えい事案の確実な減少を図ってまいりたいと考えているところでございます。また、6月に他局で発生いたしました非常勤職員による情報漏えい事件に関しまして、大阪労働局内全職員、全相談員に対し法令遵守について臨時個別面談を実施し、綱紀の保持を図っているところでございます。

 非常に雑駁でありますが、第2のところについての取組状況についてご報告を申し上げました。

 続きまして、総務部関係の事業についてご説明申し上げます。まず労働保険適用徴収業務について、資料の3の運営状況の35ページ以降、労働保険適用徴収業務等の課題と重点施策というタイトルであります。

 これにつきましては、まず経済情勢が依然厳しい状況にある中で、大阪局の平成23年度末の労働保険料等の収納率は97.72%ということで、前年度の97.44%を上回ったものの、全国の97.76%を下回る結果となっているところでございます。労働保険制度は労働行政全体を支える財政基盤ですので、費用負担の公平性の観点からも、本年度、収納率の向上を最重点課題に位置づけ、前年度を上回る収納率の維持向上を目指しているところでございます。

 このため、あらゆる機会をとらえて事業主に対する労働保険制度の理解を促し、法令に従った自主申告、自主納付を指導しております。また、法定納付期限までに労働保険料を納付されない事業主に対しては、とりわけ高額滞納事業主や複数年度にわたり滞納を繰り返している事業主に対し、差し押さえなどの強制措置も視野に入れた計画的な滞納整理を実施し、延滞金や追徴金も含めた保険料の積極的かつ実効ある徴収活動に努めているところでございます。

 さらに、雇用保険の被保険者に係る賃金の算入漏れなどによる労働保険料の申告に不足が認められるような事業所に対して、算定基礎調査を実施することにより、適正徴収に努めているところでございます。また、事業主の利便性の向上、行政事務の効率化という観点から、社会保険・労働保険徴収事務センターという日本年金機構と共同で設置しているセンターにおいて共同で事業所調査、いわゆる納付督励というものも行っているところでございます。

 次に、労働保険の未手続事業一掃対策の推進でございます。37ページあたりでございますが、未だ労働保険の手続を行っていない未手続事業が相当数存在すると考えられることから、労働保険制度の健全な運営を図るためにも、未手続事業の解消が重要な課題であると認識しているところであります。このため、平成24年度につきましても、効果的な広報活動を行うとともに強力な手続指導、また職権による成立といったものを数値目標として定めて取り組んでいるところでございまして、把握した未手続事業所に対しては、その解消に向け、積極的に適用促進を行っております。

 このほか、年度更新の的確かつ円滑な実施にあたり、事業主及び労働保険事務組合等に対して啓発指導、法定期限内の自主申告、労働保険料一般拠出金の自主納付の徹底を図っているというところでございます。

 続いて、個別労働紛争解決制度につきましては、その次の総-1と書かれた資料の個別労働紛争解決制度の運用状況をご覧ください。

 今年度上半期現在、企画室及び府内14カ所に設置しております総合労働相談コーナーにおいては、前年同期と比較して2.0%増の6万804件の労働相談が寄せられております。このうちで民事上の個別労働紛争に関する相談は1万1,623件ということで2.6%、わずかながら減少しておりますが、依然高水準であると認識しております。また、労働局長による助言・指導の件数については、上半期現在359件、前年より2.9%増、あっせんについては233件、前年より12.4%減という状況にございます。平成20年度以降、労働局長による助言・指導は増加、あっせん件数は減少という傾向を示しております。

 なお、今年度上半期にあっせんが実際に実施された101件のうち、72件で合意が成立したところでございます。

 総務部関係業務につきましては、以上でございます。

奥林会長 続いてお願いいたします。

労働基準部長 労働基準部長の辻でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私からは、年度前半の労働基準行政に関係する事項につきまして、資料3では1ページから18ページまででございますので、ポイントのみをご説明させていただきます。

 まず、1ページ冒頭に監督実施状況と司法処理状況をお示ししております。

 これらにつきましては、以下に記述をしております労働条件の確保改善等対策や最低賃金制度の運営、さらには労働災害のさらなる減少などの各項目に共通いたします関係法令の履行確保に向けた労働基準行政の根幹部分の取組でございますので、冒頭にまとめて9月末までの実施状況を記述しているものでございます。

 臨検監督は合計で6,178件を実施しております。年度計画に対する進捗率は58.8%ということで、おおむね順調に推移していると考えているところであります。

 司法処理につきましては、年累計で54件、前年比で少し増加しています。この司法処理につきましては1件当たりに相当の時間を要するということになりますので、必要に応じて大阪地方検察庁との事前の綿密な打ち合わせを行いながら進めているところでございます。

 次に、法定労働条件の確保等からが項目別の進捗状況になります。

 1枚、ページをおめくりいただきまして、イの長時間労働の抑制のための監督指導についてでございますけれども、9月末までに206件の監督指導を実施したところです。依然として、労働基準監督署に多数、相談等の情報が寄せられてございます。内容を踏まえながら優先的に実施をしているところでございます。

 また、長時間労働が可能となる三六協定を有している事業場につきましては、資料3の2ページでございますが、自主点検やワークショップを開催することとしています。このワークショップにつきましては、労働者代表にも参加を今年からいただくということで、労使の協力した取組を促進しているところでございます。

 また、今月、11月が労働時間適正化キャンペーン期間でございます。長時間労働、これに伴います労働者の健康障害を防止するため、労使団体への協力要請を行いながら啓発に努めておりますし、また重点的な監督指導も実施しているところです。

 3ページをご覧いただきたいと思いますが、特定分野対策といたしまして自動車、介護労働者、それから外国人技能実習生等を柱立てしておりますが、このうち自動車運転者対策につきましては、本年5月の高速ツアーバス事故を受けまして、ツアーバス事業を行う府内の全事業場について近畿運輸局との合同の監督監査を実施いたしました。35件中34件について何らかの法定違反が認められ、所要の措置を講じたところでございます。

 また、道路貨物運送事業につきましては、監督指導のほか、後ほどご覧いただく資料基-4に資料を入れてございますが、トラック運転者の過労運転防止と荷役作業による労働災害の防止を目的といたしまして、近畿運輸局と共同で府内の荷主団体への要請を行っております。

 資料基-4では、1枚おめくりいただきまして、どういった要請をしたかということを記しておりますが、抜粋していますように、無理のない到着時間の設定、荷受け、荷積み時間の設定、あるいは荷役作業時における労働災害の防止といったことを荷主に対しましても要請したところでございます。

 戻っていただきまして、資料3の5ページのオをご覧いただきたいと思います。

 労働契約ルールの周知・啓発についてでございますが、昨年度に引き続きまして職業安定部と連携をいたしまして、新規学卒者を対象とした「就勝!セミナー」におきまして労働契約締結時の注意点等について周知・啓発を図りましたほか、今年度は特に大学からの要請に応じて学生への説明会を実施し、今後も随時実施していくこととしているところでございます。

 それから、後ほどご説明いたしますが、改正労働契約法、本年8月に成立しております。現在、周知に努めておりまして、11月8日には、午前、午後2回に分けまして、全国に先駆けまして説明会を実施いたしました。合計で900名を超える参加がございました。2回目を12月にまた開催することとしておりますし、そのほかにも監督署において順次、説明会を開催することとしております。

 それから、6ページになりますが、6ページのク、職場のいじめ・嫌がらせ問題の予防解決に向けた取組といたしまして、これは本年3月に出されております職場のパワーハラスメントの予防解決に向けた提言について、7月30日、エル・おおさかにおきまして約600人ほどの参加を得て、パワハラ防止セミナーを開催し、周知を図ったところでございます。

 次の最低賃金制度の適切な運営についてでございますが、大阪府最低賃金につきましては、8月6日に大阪地方最低賃金審議会から14円引上げて、時間額800円との答申をいただきました。8月31日に改正決定(官報公示)を行っております。9月30日から発効したということでございます。平成19年以降、大変大幅な引上げが続いておりまして、引上げの影響が大きくなってきているということで、これまで以上に周知、広報に努めるとともに、今後は最低賃金の遵守を重点とした監督指導を行いまして、履行確保を徹底してまいるということとしております。

 それから、特定最賃につきましても、順調に審議が終了しております。現時点ですべての改正手続が終了したところでございます。

 それから、9ページ、ちょっと飛びますが、医療現場での勤務環境の改善ということについてです。昨年度に引き続きまして看護師等の雇用の質の向上のための取組を進めているところでございます。

 それから、次に10ページ、労働災害の更なる減少を図るための施策の推進についてでございます。

 本年9月末までの労働災害の発生状況につきましては、死亡者数が41名、前年より7名増加しておりますし、死傷災害につきましても5,300人ということで、わずかですが、これも増加に転じているということでございます。

 本年度の労働災害防止対策の柱の一つといたしまして、11ページの中段に記しておりますが、安全の見える化を促進しているところでございます。これは日ごろ企業が取り組んでおられる安全活動や、職場に潜む危険などを目に見える形にすることによって、効果的に企業の実績のある労働災害防止を進めていただくということをねらいとするものでございまして、6月に府内の各事業所から収集いたしました80事例を掲載した事例集を作成して、普及、啓発に対応しているところでございます。

 その他、労働災害防止につきまして、大阪危険ゼロ先取運動といったことで、4つの災害に着目いたしまして、さまざまな取組を推進してまいりました。しかしながら、こうした取組にもかかわらず、府内の死亡災害が今年度、増加傾向にあることから、資料、基-8をご覧いただきたいと思いますが、府内の57の事業所団体に対しまして1016日に局長から緊急要請を実施したところでございます。安全衛生活動の総点検を行いながら、労使が一体となった労働災害の防止に取り組んでいただきたいということで、局長みずから事業所団体を訪問しまして、直接要請を行っております。

 それから、次に12ページからが健康確保の取組についてですが、少し飛びまして15ページをご覧いただきたいと思います。

 (カ)の化学物質の管理対策のところでございます。本年4月に大阪市内の校正印刷会社で多数の労働者、元労働者に胆管がんが発症しているという問題が生じたところでございます。本件につきましての業務との因果関係につきましてはまだ調査中ということでございますが、この問題を契機といたしまして、印刷業に対する有機溶剤中毒予防規則等に関する調査を実施いたしました。その結果、多くの事業場で法令の履行確保に問題が認められたところでございますので、1,800のうち特に周知が必要と認められる府内の約1,000事業所を対象といたしまして、10回に分けまして説明会を順次実施してまいりました。化学物質関連に対する指導を行ったところでございます。今後も、これにつきましては引き続き指導を継続してまいりたいと考えております。

 最後に、労災補償につきまして一言だけご説明いたします。

 労災請求の中で社会的関心が高い脳・心臓疾患事案、精神障害事案、あるいは石綿に関する労災請求と認定の状況について、16ページ、17ページあたりに取りまとめてございます。これらの労災事案につきましては、認定に当たって非常に複雑、困難な事案が多いといったことから、第一線において原処分を行うに当たって大変苦労しているところではございますが、引き続き迅速適正な保険給付の実施に努めているところです。

 私のほうからは、以上でございます。

奥林会長 どうもありがとうございました。

 次、お願いいたします。

職業安定部長 職業安定部長の上谷でございます。どうかよろしくお願いいたします。

 私からは職業安定部所掌の運営状況の主なものにつきましてご説明いたします。

 資料3、大阪労働局重点対策の運営状況、19ページをご覧ください。

 職業安定行政の課題と重点施策の(1)適格な求人・求職のマッチングの推進をご覧ください。

 まず、アの現下の雇用失業情勢を踏まえた職業紹介業務の推進でありますが、大阪局管内のハローワークで紹介した方の4月から9月までの常用就職率は27.6%、対前年同期比で3.5ポイントの上昇となってございます。また、就職件数は総数で8万1,327件、3.8%の増加となってございます。今後とも、各事業の円滑な実施により、一人でも多くの方が就職できますよう努めてまいります。

 続きまして、20ページのキ、若年者雇用対策の推進であります。

 新卒者支援につきましては、平成221115日、雇用対策法第7条及び第9条に基づき、厚生労働大臣が定めた青少年雇用機会確保指針に新卒採用に当たって少なくとも卒業後3年間は応募できるようにすることが追加されましたことから、既卒3年以内の方々を含む雇用対策を実施しております。

 大阪労働局におきましては、21ページにありますように、昨年に引き続き、新卒者就職応援本部を近畿経産局、地方公共団体、労働界、産業界、学校等の関係者の参画を得て立ち上げ、第1回会合は531日に開催し、各機関が連携し、厳しい状況にある新卒者の雇用対策を実施していくことを確認したところでございます。

 今年度は高卒で97.0%以上、大卒95.0%以上の内定率を目標として、協力体制を構築するとともに、新卒者就職応援本部として6月8日と19日に在阪経済団体に対しまして、新規学校卒業者等の採用拡大の要請を行ったところでございます。

 具体的な対策としましては、各ハローワークの学卒ジョブサポーターによる個別支援、求人開拓を積極的に展開し、1人でも多くの新卒者、既卒者の早期就職を図ってまいります。また、梅田に設置しております大阪新卒応援ハローワークにおきましては、大学、短大卒業予定者及び3年以内の既卒者に対しセミナーの開催や個別相談など、きめ細かな支援を行っております。

 加えて、7月10日には、近畿二府四県の労働局が連携して近畿ブロック大学等就職フェア2012を開催し、企業数152社、学生数2,152人の参加があったところでございます。また、当日は東日本大震災の被災新卒者面接会も開催し、21社、46人の参加がございました。これらの施策により、新卒者等の雇用対策を強力に展開しているところであります。

 次に、(ウ)のフリーター等の正規雇用化の推進でありますが、平成23年には全国のフリーター数176万人、25歳から34歳の若者の完全失業率は5.7%と、若者の就職環境は厳しい状況にあり、フリーター等の若年者が一日でも早く正規雇用に結びつくよう、就職支援をさらに充実させる必要がございます。このため、就職ステップアッププラグラムの一環としまして、本年4月、各ハローワークにわかもの支援窓口、わかもの支援コーナーを設置し、担当者制による個別支援を実施しているところでございます。

 また、若年者等トライアル雇用事業につきましては、いわゆる就職氷河期にキャリア形成機会に恵まれなかった方に対する支援を行うため、これまで40歳未満であった対象年齢を45歳未満まで拡大し、正規雇用化を促進しているところでございます。加えて、フリーター支援の拠点の一つとして本年10月1日、阿倍野にあべの・わかものハローワークを新設したところでございます。

 続きまして、21ページ下のク、障害者雇用対策の推進について説明をいたします。

 障害者の雇用の状況につきましては、9月末現在では就職件数2,314件で、対前年同期比では10.2%の増となっていますので、引き続き関係機関との連携や各種助成制度等の活用も図り、就職支援に努めてまいりたいと考えております。

 また、障害者雇用率達成指導につきましては、平成24年6月1日の障害者雇用状況報告の結果をもとに、未達成企業に対しては、企業トップ層への個別指導を中心に集団指導や文書指導を実施するとともに、各種支援制度を活用し、指導に努めてまいります。

 次に、23ページ中ほどのケの高齢者雇用対策の推進でございます。

 高年齢者雇用安定法に定める65歳までの高年齢者雇用確保措置の導入につきましては、現行の義務年齢である64歳までの雇用制度未実施企業に対してはハローワークにおいて企業訪問等による個別指導を行い、早期の改善を図るとともに、希望者全員65歳以上まで雇用する企業の割合の向上、さらには70歳まで働ける企業の普及促進に向け、周知啓発等の取組を進めております。

 また、高年齢者等の再就職の促進を図るため、シニアワークプログラム事業、中高年齢者試行雇用事業等、各種支援制度の活用や関係機関との連携を図り、対策を進めております。

 次に、24ページのコでございます。子育てする女性等に対する雇用対策の推進でございます。

 大阪労働局では、お子様連れでも安心して仕事を探していただけますよう、難波に大阪マザーズハローワークを設置しております。また、地域の拠点として府内5カ所のハローワーク内にマザーズコーナーを設置し、子育て女性の再就職支援に取り組んでおります。

 続いて25ページのサ、外国人雇用対策の推進でございます。

 外国人雇用対策業務に特化した大阪外国人雇用サービスセンターにおきましては、外国人求職者への就職支援のほか、政府の高度外国人材受け入れ施策の一環としまして、外国人留学生に対する就職ガイダンス、ビジネスインターンシップ等、就職支援にも取り組んでおります。

 また、外国人労働者の適正就労の推進につきましては、6月の外国人労働者問題啓発月間で外国人労働者の適正雇用、労働条件の確保と不法就労の防止についてのセミナーを開催するなど周知啓発を行うとともに、入国管理局等の関係行政機関とも連携を図りながら取り組んでいるところでございます。

 続きまして、飛びまして、28ページの(4)成長力を支える人材育成のエ、求職者支援訓練の的確な推進をご覧ください。

 求職者支援訓練は雇用保険制度と生活保護制度の間の第2のセーフティーネットとして昨年10月に開始した訓練制度でございますが、訓練受講中、また訓練終了後におきましても各ハローワークにおいて受講者に対して担当者制によるきめ細かな就職支援を実施しております。4月から9月までの受講者数は7,398人となってございます。就職率につきましては、今年3月までに終了したコースを受講した方の終了後3カ月の就職率となりますが、基礎コースで73.1%、実践コースで72.8%となってございます。

 続きまして29ページの(5)地方公共団体や民間と連携した重層的なセーフティネットの構築等のイ、地方自治体との連携による地域の雇用対策の推進につきましては、地域主権改革のアクション・プランの提案に基づく大阪市との一体的実施を、此花区と西成区にございます大阪市施設、しごと情報ひろば内で4月10日から実施してございます。大阪市の行う就職困難者に対する就労相談と、ハローワーク求人情報提供、職業相談、職業紹介を一体的に実施しております。この一体的実施につきましては後ほど改めて説明をさせていただきます。

 以上が、職業安定部所掌の業務運営状況でございます。

 厳しい雇用失業情勢が続きます中で、我々労働局に課せられている使命は非常に大きいものと考えてございます。円高の長期化や海外経済の失速など、経済の先行きは不透明でございますが、職業安定部としましては今後とも資料に記載しております各種事業を確実に実施することで、大阪府域の雇用失業情勢改善に向け努力してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 職業安定部からは以上でございます。

奥林会長 どうもありがとうございました。

 では、続きましてお願いいたします。

需給調整事業部長 需給調整事業部長の名田でございます。

 私からは、資料3、重点対策の運営状況、31ページから、労働者派遣事業等の適正な運営の確保に係る進捗状況についてご説明を申し上げます。

 まず、管内の労働者派遣事業、職業紹介事業の現状でございますが、新規許可・届出件数は冒頭に出ておりますとおりですが、ほぼ横ばい状態、平成20年度以降、ずっと横ばい傾向が続いておりますが、今年度前半も同じ傾向でございます。その結果、9月末現在の労働者派遣事業所の数は7,562事業所、職業紹介事業所数は1,818事業所となっております。これは資料の需給-1に出ております。

 資料31ページ、まずアでございますが、法制度の周知徹底でございますが、ご承知のとおり、改正労働者派遣法、今年の3月に国会で成立をいたしまして、10月1日から施行されております。このため、今年度の法制度の周知につきましては改正法の周知に全力投球をするということで取り組んでまいりました。

 具体的には、10月の施行の直前、8月から9月にかけまして説明会を集中的に行うということで取り組んできました。改正派遣法に対する関心というのは非常に高いものがございまして、私どもが当初想定をしていた定員をかなり上回る数で参加希望がございまして、最終的には5,000人以上の方にご参加をいただきました。また、近畿二府四県の労働局と日程を調整いたしまして、各労働局が開催する説明会になるべく日程が重ならないように設定をするということと、それから二府四県の開催日を統一的にチラシあるいはウエブサイトで公開いたしまして、参加希望の方は、事業所の所在地あるいはお住まいに関わりなく、どの会場でもお申し込み、ご参加できますよという、いわば相互乗り入れ方式で開催をさせていただきました。

 それから、事業主に対する法制度の周知に関してですが、指導監督を通じての周知はむろんですけれども、入り口段階、新たに派遣事業、職業紹介事業に参入をしようという段階での周知が非常に大事であるという認識をしておりまして、許可申請あるいは新規の届出を考えている方々を対象にした事前の説明会の開催、また許可・届出の受理直後の事業所を対象とした説明会の開催などに取り組んでおります。この直後の説明会につきましては、一般派遣事業の新規許可申請、それから更新の申請、それから特定派遣事業の届出のほぼ全員が受講している現状にございます。

 それから、さすがに理解度を試験するというわけにはいきませんが、理解度をチェックするチェックシートの記入をお願いしておりまして、そのチェックシートを最後に回収いたしまして、どうもこの方は誤解がありそうだという事業主さんにつきましては後日改めまして個別にご指導をするというような形で、正確な理解の徹底に工夫を講じているところでございます。

 それから、労働者派遣セミナーにつきましては、7月から来年の3月にかけまして、今年度は9カ所、延べ10回の予定で開催を予定しております。昨年度の4カ所、延べ6回よりも拡充ということでございます。ハローワークの会場ですとか、講師の調整、内容的に労働基準関係の説明も必要だということで、監督署のほうからも講師の派遣を受けましてやっておりますが、いろいろ制約がございまして、数をふやすとか、そう簡単ではございませんが、なるべく機会を増やしていこうということで、今年度、拡充を図っております。

 それから、一人でも多くの方にということで、私ども需給部を会場に、ミニ版、簡易版ということで、内容を労働者派遣法の関係に限定したものも別途開催をしております。そういったミニ版も合わせますと、9月までに計12回、セミナーの開催をしております。

 続きまして、資料32ページの中段でございますけれども、的確かつ厳正な指導監督の実施の部分でございますが、昨年度の実績につきましては6月にプレス発表をしておりますが、今年度も引き続き計画的な指導監督の実施に努めております。

 具体的には、いわゆる偽装請負に係る請負受託者等、重点的な対象を設定いたしまして定期指導監督の対象先としておりますほか、労働局やハローワークに労働者をはじめ、いろいろ派遣にまつわる苦情、情報提供がございますので、そうしたものを端緒に指導監督を行っております。

 また、以前に是正指導を行って、是正が完了しましたという報告を文書で受けて、その是正状況の点検のための指導監督等もやっておりまして、私ども限られたマンパワーで回しておりますので、様々な形で効果的な指導監督が一定の広がりを持って展開できるように工夫を講じているところであります。今年度9月までの指導監督件数は32ページの中段に出ておりますとおりですが、これは昨年同期の件数を上回る実績となっております。

 それから、今年7月に労働者派遣が禁止されている業務、具体的には医療関係でございますが、労働者派遣を行っておりました事業所に対しまして行政処分、労働者派遣事業停止命令で2カ月、それから労働者派遣事業改善命令を出しております。行政処分につきましては、原則、プレス発表をしておりまして、こういった企業名の公表は法令違反をしている事業所に対する抑止効果にもつながると考えておりますので、今後とも重大な法令違反、繰り返し違反を行う事業主に対しましては行政処分を視野に入れて厳格な指導を行ってまいりたいと考えております。

 それから、ハローワークに寄せられる派遣労働者からの苦情や相談に対しましては、お聞きした相談内容の結果、指導監督が必要と判断されるものにつきましては、迅速かつ的確に対応しているところでございます。

 需給調整事業部関係は以上でございます。

奥林会長 どうもありがとうございます。

 では、均等法関係、お願いします。

雇用均等室長 雇用均等室の大西でございます。私のほうからは平成24年度の雇用均等関係につきましてご説明させていただきます。

 資料の3の33ページのほうをご覧いただけますでしょうか。

 雇用均等行政の課題と重点施策についての(1)の(ア)のところ、男女雇用機会均等法の実効性の確保というところでございますが、まず是正指導制度、これは、各事業所の指導計画に基づきまして訪問させていただき、雇用管理の実情を把握しながら、問題があれば、指導するというものですけれども、これが上半期は269件、前年同期に比べますと減っておりますけれども、本年は配置、昇進のあたりを重点的に指導するということで、そのあたりが少し理由になって指導件数が減少しているかと存じます。

 それから、相談受理件数が851件、これは前年度に比べると若干減っておりますけれども、内容的にはセクシュアルハラスメントに関する相談が一番多いということになっております。

 それから、紛争解決援助につきましては22件で、前年度よりは少し減っているというところでございます。

 これらの指導件数の内訳につきましては、詳細な資料としまして均-1に表でご提供しておりますので、また後ほどご覧いただければと思います。

 それから、その次のイのところのポジティブ・アクションに取り組む事業主に対する支援ということで、均等法に基づく助言自体81件と昨年よりは減っておりますけれども、これは均等関係の資料、均-2に女性の活躍促進・企業活性化推進営業大作戦というものをお届けしておりますけれども、これにありますように、企業訪問についての目標値を定めて、労働局長、雇用均等室長が管内の企業を回って、女性の管理職の状況などの情報開示や、それから企業のポジティブ・アクションに取り組むというトップ宣言などをしていただくようお願いしているという、そういうものでございます。これから後半に向かいまして各企業を回ってお願いしていくということにしておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それから(2)の職業生活と家庭生活の両立支援対策の推進ということですが、今年は7月から改正育児・介護休業法が100人以下の事業所を含む全事業所に全面適用になりました。そのことを受けまして、中小企業における両立支援対策の充実ということを重点にいたしまして進めているところです。制度是正指導の実施件数は688件、前年度より増えております。それから、相談受理件数も3,264件で、前年度より増えております。紛争解決につきましては8件と前年度を下回っております。

 その下のウの両立支援に取り組む事業主に対する支援ということで、ここは各種助成金が幾つかメニューが並んでおりまして、中小企業両立支援助成金、それから一番下の両立支援助成金ということで、いずれも昨年度を上回る件数になっております。このほかに昨年度は21世紀職業財団で支給していたものが雇用均等室に来ているということで、これが大変皆様方の関心を呼んでいるところですが、両立関係の助成金につきましては、特に中小企業の両立支援施策を充実させるためのツールとして今後も引き続き活用していくということと同時に、厳正な審査というのを期してまいりたいと考えているところです。

 それから、1枚めくった34ページの次世代育成支援対策の推進、これは一般事業主行動計画届け出件数は4,447で、昨年よりは増えているんですけれども、この内訳については均等資料1の一番最後のほうに規模別に届け出率などがお示しされております。101人以上の企業につきましては、もう98%を超える届け出率になっていることだけ案内させていただきたいと思います。それから、認定件数は9月30日現在で104件、昨年よりはちょっと増えているということですね。

 それから、(3)のパートタイム労働者の働き・貢献に見合った均等待遇などの推進でございますが、まずパートタイム労働法に基づく指導については、是正指導件数は480件で、昨年よりは減っているということと、それから相談受理件数が98件で、これも昨年よりも大分減ってはいるところでございます。

 それから、ウの均衡待遇等に取り組む事業主の支援等ということで、これは昨年、21世紀で取り扱っていた均衡待遇・正社員化推進奨励金ということで、この前半までに100件を超える支給決定があったということで、こちらにつきましてもパートタイマー、それから、今回、有期契約労働者が含まれておりますが、これらの方たちの均衡待遇あるいは正社員化推進につきまして、重要なツールということで活用してまいりたいと思います。それとあわせて、この奨励金につきましても審査の適正というのを期していこうと考えているところでございます。

 雇用均等室からは以上です。

奥林会長 どうもありがとうございます。

 非常に多岐にわたる実態の報告ですけれども、ただいまの報告に対しましてご意見、質問等がありましたら、ご発言をお願いします。挙手をしていただきますと、マイクをお渡しいたしますので、マイクでご発言いただきたいと思います。どなたでも構いません。よろしくお願いいたします。はい。

堀田委員 新日鐵住金の堀田と申します。先ほど、ご報告の中で若者の就職支援のお話がありまして、若年層の雇用状況の関係について2点質問をさせていただきます。

 まず、1点目は若者の完全失業率の関係ですが、今年度の行政運営方針の2ページに15歳から24歳の完全失業率、これは大阪の状況ですけれども、ほかの年代に比べて高いというデータがありますが、全国と比べてこの数字がどうなのかということと、大阪の何か特徴があるのかどうかというのをお聞きしたいのが1点目であります。

 それから2点目に、それに関しまして、特に新卒者の定着率も関係していると思われますが、先般もマスコミ等で発表されていましたのが、新卒者の3年以内の離職率、これが高卒の場合で約5割ぐらい、大卒で約3割ぐらいというような発表があって、とりわけサービス業の定着率が非常に低いというお話がありました。若年層の就職支援ということで労働局のほうでも一生懸命やっておられると思いますが、一方で、その前に定着率、それを上げるということも非常に重要だと思うんですよね。その関係で、やっぱり職業観が欠如している若者も中にはいるんで、学校においても企業においても今後さらにいろんな育成も含めて努力していくという必要はあると思いますが、一方定着対策について、行政としては直接対応は非常に難しいかもしれませんが、どのような対応を今されているのかということをお聞きしたいと思います。

 以上、2点でございます。

奥林会長 事務局、よろしくお願いいたします。

職業安定部長 今のご質問の中の2点目のまず定着の指導の関係でございます。

 私どもでは、特に若年者の就職支援につきましては、特に新卒者、学校と連携を図っていきながら就職支援につなげていくということを従前やっているわけでございまして、その後の定着でございますが、具体的には、学生等が就職した後に例えば仕事上の悩みがあれば、各所にジョブサポーターを配置し、学校を通じまして、どんどん相談に来ていただくというようなことをやってございます。

 就職した方自身が働く悩みというようなことがあれば、恐らく学校に相談に行くだろうということになりますので、失業を未然に防止するという観点では、日ごろから学校との連携を強めて、そういった情報があれば、ハローワークもどんどん積極的に中に入っていこうという形の中で定着支援を図っていきたいと思っております。

 それから、1点目の若年者の完全失業率でございます。

 完全失業率の関係の資料をご用意しておりませんが、大阪が以前から大変厳しいというふうなことは十分伺ってございます。そういった中で、とにかく厳しいという状況の中で何らかの対策を打っていかなきゃいかんということを十分考えて行政が進めているところでもございます。

 今回の阿倍野に設置いたしました、あべの・わかものハローワークでございますが、これは東京、愛知、大阪に最初に設置されたわけでございます。大阪のわかものハローワークにつきましては、いろんな個別の対応をやっていこうということを前提にしてございますが、あと就活倶楽部という同じような状況で来られている方たちにグループワークをやっていただいて、それぞれの悩みとかいうふうなことを十分共有しながら、私どもの専門的な相談員が十分就職につなげていくような相談をしていくというような形で、全国よりも取り扱い件数等については多いと聞いてございます。

奥林会長 ということでよろしいですか。

堀田委員 はい、ありがとうございました。

 定着率の問題については、受け入れる企業にとって、我慢が足りないという若者も多いので、そういった観点については学校のほうにいろいろとお願いしないといけないと思いますし、企業のほうとしてはきっちり育成するという義務があると思います。その中で行政の対応というのは非常に難しいとは思いますが、こういったレポートを見ても就職支援についてはありますが、一方で定着対策の関係についてはほとんど触れられていないので、ぜひそのあたりもご尽力いただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

奥林会長 ありがとうございます。

 大学のほうとしましても、いわゆるキャリア教育というような形で1年生から必須化して、自分の人生なり、あるいは職業というものを考え直させる機会をつくってはいます。ただ、それが果たして若者の気持ちをどれだけ変えてるかということについてはまだはっきりわかりませんけれども、大学なり、あるいは学校側とすれば、そういうところ、努力はしているということをご理解いただければと思います。

 ほかに。では服部委員さん、お願いします。

○服部委員 いま、会長さんがおっしゃいました論点に関して一つ申し上げます。それは教育に関することであり、また現在、労働局さんがすすめておられる新卒応援ハローワークに関することです。とくに新卒応援ハローワークには、現在私どもの大学の学生が何人かお世話になっていることと関連いたします。

 まず教育についてです。現在すすめておられる労働局、すなわち国と、学校、大学の連携が、若い人を雇用する事業者の方々から一貫して要望されています。それは、働くことに関する意識形成への教育のプロセスや教育の場での取組です。大学としても進めているのですが、日々若い人々と接して痛感するのは、大学からでは遅いということです。もっと早くから、とくに中学校、高等学校に向けて発信、啓発の必要性を痛感します。ぜひ労働局でイニシアチブをおとりいただき、何らかの機会を積極的に設け、働くことに関する子どもや中高生の意識を育んでいただきたいと存じます。

 大学に入ってから、就業意識や働くことの意識を涵養するのは難しいのです。理由は、高校まであまりに進学勉強一辺倒の余裕のない状態であること、また、まず当面大学へ入ることが前提で、保護者、学校が情報提供をしてしまっております。極論すれば、小学校高学年くらいから働くと言うことに関しての意識啓発を行うことが、大学卒業時の就業選択、その後の就業継続へのモチベーション形成のできた人材育成につながると思うからです。

 もうひとつ、新卒応援ハローワークのことです。実は大阪梅田の新卒応援ハローワークに私どもの大学の卒業生また現役学生がお世話になっております。この場を借りてお礼を申し上げるととともに、こうした取組のおかげで進路を決めあぐねている若い人が大変助けられたということをご紹介させていただきます。実際、本学の卒業生で、日本でも指折りの銀行総合職で就職したのですが、就職後半年ほどで適性や心理的な点でトラブルを抱えておりました。幸い、大学へSOSがありましたので、新卒応援ハローワークへ行ってごらんと紹介いたしました。その少し前に見学をさせていただいた際に、すばらしいスタッフの方々と、フレンドリーな雰囲気、あたたかい雰囲気がございましたので、きっと助けていただけると思ったのでした。実際、大変によくしていただき現在次のステップを探るまでになっております。

 見学は講義の一プログラムとしてお邪魔しました。学生たちの感想文によると、「ハローワークは敷居が高い」とか「古い表現ですが職安という暗いイメージを持っていた」という事前の予想は、「全然明るい」とか「本当はこういう所か」という声に変わりました。また、まだ就職が9月時点で決まっていなかった4回生の学生は「見学させてもらったのを機会に、お世話になっています」と書いておりました。また、わざわざ私の所へ来て、「行ってもよいですか」と訪ねて来る学生もありました。結局、何人かがお世話になっているようです。

 実際に、新卒応援ハローワークというすばらしいサービスがあるのですが、知らない方が多いことを実感しました。講義の一環で、ある意味しぶしぶ行って見た結果、大変よい機会になったと喜ぶ学生が少なくなかったわけです。つまり、よいものがあるのですから、特に若い人々に向けてもう少し露出度を高めていただくことを今後の課題にしていただければと思いました。

 それともう一つ、大学のなかでの就職支援のサポートは、総論的なサポートが中心となっております。私ども大学の就活学生に学内のサポートについて尋ねますと、学内スタッフの考え方は全般的なことが中心で具体的なことを知りたいと訴えます。それに対し、新卒応援ハローワークでは、実に就活の実務的、実際的なことをよくご存じのスタッフがおそろいであることが印象深かったです。実際に何千人もの採用を行った方がスタッフとして対応してくださり、その方々のお話は実に説得力がありました。こうした状況をもっと発信していただけると、迷える就活生をもっと導いていただく最善の窓口が、もっと多くの若い人々に知っていただけると思います。

 以上、教育の場にある若い人々への発信や啓発を、小学生などもっと年代の低い時期から始めていただくお願いと、新卒応援ハローワークのサポートのすばらしさを申し上げました。

職業安定部長 ご助言ありがとうございます。

 1点目お話のありました、若い方、高校生であるとか中学生に対する意識の啓発でございますが、これは従前から私どもハローワークのほうのジョブサポーターが各学校を訪問させていただいて、特に高校生ですと、2年生、1年生ぐらいを対象に職業意識啓発のセミナーを職業講話というふうなことでやってございます。それから、高校生に対してはインターンシップ、ジュニアインターンシップと申しますが、これは企業のご賛同を得て、こういったところにも3日程度のインターンシップでございますが、そういったことも体験いただいて、職に対する意識を高めているところでございます。

 中学校は最近、就職する方はすごく少ないですが、中学校におきましてもそういうふうな職業講話を実施してございます。小学生に対してはなかなか行けない部分がございまして、今後、今、先生からご指摘ございましたような、そういったことも踏まえて、さらに拡大してまいりたいと思っております。

 それから、新卒応援ハローワークに高い評価をいただいて、ありがとうございます。確かに新卒応援ハローワークをどれだけの方が知っていらっしゃるかというのは、これはかなり不明なところがございます。私ども、特に今年からは新卒応援ハローワーク、それから各ハローワークのジョブサポーターがすべての大学を訪問させていただこうということで、キャリアセンターに参りまして、特に私どもの新卒応援ハローワークでありますとか行政の支援につきまして、ポスターとかリーフレットを配布して、そういういったところから広報をまず図っていただこうと。

 それから、当然ホームページでありますとか、それから、就職面接会でありますとか、いろんなセミナーのイベントを実施してございますから、そういったセミナーを開催するときには記者提供、プレスのほうに提供させていただいてマスコミに取り上げていただければ、すごく周知が図れるのかなということでもとりあえずやってございますが、冒頭申し上げましたように、なかなかまだまだ知られていない部分ございますから、今後、周知に十分徹底をして、たくさんの方にご利用いただくように努力をしてまいりたいと思っております。

奥林会長 はい、では。

服部委員 ご回答ありがとうございます。

 本来的に就労につながる時期の方々への啓発が中心となることは当然であると思います。しかし、種をまくような気持ちで、小学生や中学生といった直接には就労につながらない時期において「働くこと」を考えたり知ってもらう啓発をすることが重要と思います。その時期は、まず勉強が中心となるので、労働局の方々にこうしたお願いをするのは筋違いであるかもしれません。むしろ本来、教育にかかわる人々や役所がするべきことでしょう。

 しかし、働くことの現場にある方々のお話は非常に印象深いと思いますの、ぜひ種をまくお気持ちでお進めいただければと思います。

奥林会長 では、岩本委員さん、お願いします。

岩本委員 定着率という話が出ましたので、よく似たことを言うんですけれども、企業のほうへの指導もぜひお願いしたいと思うんです。アンケートで定着率のよくない業種というのが出ておりまして、旅行業とか、それから飲食業とかというところは定着率が非常に悪いと、3年以内でもう半分以上の人がやめてしまうというふうな話が出ておりました。飲食業とか旅行業とかいうのは上場企業がかなりたくさんあるんですね。

 上場企業の飲食業で、飲食業もやっているけれどもケアハウスとか老人ホームとか人材派遣もやっている上場企業がいっぱいあるわけでして、そういうところの意識が、上場企業だから幾らでも学生さんがやってくる、どんどん採って、だめな人はポイポイ使い捨てるというような、そういう意識というのか、そういうのをちょっと考え直してほしいと。おたくの会社は新卒採用者の定着率はどれぐらいですかと言って労働局から指導を行っていただければと思います。

 学生で、上場企業だから立派な会社だろうと思って入ったら、実は使い捨てられたという人はたくさんいるわけでして、今、大学に行ってください、高校へ行ってくださいという話が出ましたけれども、会社側のほうへも行っていただきますと、非常に定着率が上がると思うんです。

奥林会長 いかがでしょうか。

職業安定部長 確かにそういう傾向はあろうかと思いまして、現在できているかと言うと、なかなかそこまでできてございませんので、今ちょうどそういうご意見をいただきましたので、私ども企業にどれだけそういった関係で定着のお話、ご指導ができるかということも十分踏まえながら、何とかそういう方向に行けるように検討してまいりたいと思っております。

奥林会長 業界での集まりがあるようなときに、そういう情報を提供していただければ変わるのかなという期待もありますので、よろしくお願いいたします。

 では、多賀委員さん、お願いします。

多賀委員 連合大阪の多賀でございます。

 若年者のところで議論が結構出ておりましたが、やはりキーワードはきめ細かな指導ということだと思いますが、そういう意味ではジョブサポーター制度は非常にいい制度で、機能しているかなと思っております。データを見ると、ジョブサポーターによる就職支援の決定数が4,658人、目標達成率68%という数字ですが、どのような評価をしているかということと、この制度自身を恒久的な制度ということで理解していいのかということが1点目です。

 それと、別件ですが、冒頭に、広報を強化して、どういった労働状況に今あるかということを大阪府域でもアピールしているといった話がありましたが、個別労働紛争の関係で特徴的な相談とか、そういうものを類型化して発信していくということをもう少し強化してほしいなと思います。

 私ども連合大阪でも労働相談をやっていますが、例えば基本給の中に残業代が含まれているといった相談が非常に多くありまして、やはり賃金と残業手当の関係といった基本的な知識に関わる相談が寄せられております。もちろん労働局のほうにも寄せられていると思うんですけれども、そういう基本的な知識に関する発信を強化していただきたいということです。

 そして、最後が、労災が少し増えているという残念な数字を聞いたわけですけども、局長のほうから緊急要請もされたと聞きましたが、労災防止に向けての対策について、労災防止指導員制度から専門家会議に変わりましたが、今後、労災防止のためのシステムについて今後どのように考えておられるかということの3点、教えていただければと思います。

奥林会長 では、よろしくお願いします。

職業安定部長 ジョブサポーターに対する評価でございますが、確かに、今現在、大阪でジョブサポーター104名配置をしていただいております。求人の開拓ですとか個別の支援という形のものをやっております。一定の成果というか、一定以上の成果があると理解をしております。

 今後これが恒久的な制度かどうかということにつきましては、国の予算ということもございますので、私どもとしては恒久的な制度として配置できればいいかなとは思いますが、どうなるかということはこの場ではちょっとお答えできない部分ございますので、ご了解いただきたいと思います。

総務部長 個別労働相談の関係でございますけれども、どういったものが多いかといえば、やはり解雇に関して、その扱いについての争いということですとか、いじめ、嫌がらせ、最近のはやりで言えばパワハラといったものがこのところ増加してきているということで、これらについては年に1度、取りまとめて発表しておりますし、特にパワハラの関係については、今年の前半期、一度特徴的なものを取りまとめて公表しておりますので、またご覧をいただきたいと思います。

 なお、賃金不払い、基本給の中に所定外、残業代も含まれるという場合であれば、それは基準法違反の可能性がありますので、そこは監督署に申告いただくというようなことになろうかと思っております。

労働基準部長 最後、これからの労働災害防止をどのように考えていくかという質問でございます。

 まず、短期的に少し今回増加しているわけですけれども、その要因を考えてみますと、いわゆる東日本大震災の復旧復興需要の高まりによって、関西でも建設業などで大変人手不足感があって、特に経験豊富な専門工事の職人さんが不足するという話もよくお聞きいたします。労働災害の中身を少し分析しますと、そういったことが背景にあって、若年者あるいは経験が少ない方の労働災害が今年は特徴的に増えているということがございます。

 それから、もう一つ、少し中期的に労働災害の動向をみますと、労働災害はずっと減少してきていて、その結果として労働者一人一人の方が労働災害に遭った経験が非常に少なくなってきている、また、機械の本質安全化というのが一定程度進んできていますので、ヒヤリハット体験も非常に少なくってきているといった中で、労働者一人一人が安全管理の重要性というのを少し軽んじているような傾向もあるのかなということも考えられます。そうした中で、企業として安全管理活動を一層進めていってもらうためにはどうしたらいいのかといったことを、今後、以前とは少し違う視点で考えていく必要があるんじゃないかということを思います。

 それから、もう一つは、業種的に見ますと、建設業とか製造業も一定程度災害は発生しているわけですが、商業とか社会福祉施設等の業種での災害が増加している。さらには、運送業での災害というのは、ここずっと、全くと言っていいほど、ほとんど減少していないというような状況にもあります。

 運送業では、先ほど申し上げましたが、もちろん労災防止というのは事業者の責務でありますけれども、一方で、いかんともしがたい部分、つまり荷主先での事故なんかをどうするのかといったことというのは、これまで余り行政としても強力には取り組んでこなかったということがありますし、それから第3次産業、先ほど申し上げました社会福祉施設と小売事業につきましても労働条件の関係は一定程度進めてまいりましたが、労働災害防止という観点からはそこまで進めてきておりませんでした。

 要は、取組が弱かったということですので、これまであまり労働災害防止ということに光を当ててこなかった分野についてもう少ししっかりとやっていきたい。企業の安全管理の活性化ということであったり、それから業種別にもう少し光の当て方を変えて取り組んでいくといったことが重要ではないかと思っておりまして、多賀委員ご指摘の労働災害防止指導員の方々からいろいろ支えていただいたわけですけれども、安全衛生労使専門家会議を設けておりますので、今後どういった取組をしていくべきなのかということも、今のような視点も含めて、率直なご意見も聞きしながら、今後の災害防止対策というのを考えていくこととしております。

奥林会長 ありがとうございます。たくさんの意見ありがとうございます。

 まだ2つ議題が残っておりますので、その2つの議題を済ませて、時間的余裕がありましたら全体についての質疑応答ということに移りたいと思います。

 それでは、第2の議題ですけれども、アクション・プランに基づく一体的実施についてということに移りたいと思います。

 事務局からお願いいたします。

職業安定部長 職業安定部からご説明をさせていただきます。

 アクション・プランに基づく大阪市との一体的実施についてでございます。

 資料の安-1をご覧いただきたいと思います。

 アクション・プランとは、資料、安-1の1ページにございますように、地域主権改革のうちの出先機関改革の一つでございます。ハローワーク利用者である地域の住民の利便性を向上させる観点から、希望する地方自治体において国が行う無料職業紹介等の事務と地方が行う無料職業紹介、職業能力開発、公営住宅、福祉等に関する相談業務等が、地方自治体の主導のもと、運営協議会の設置等により一体的に実施され、利用者のさまざまなニーズにきめ細かくこたえることが可能となるよう措置を講ずるものでございます。

 一体的実施に係る経過でございますが、大阪市におかれましてはこのアクション・プランに基づく提案を平成231013日に内閣府に提出され、厚生労働省職業安定局から231129日、受諾通知が出されたところでございます。

 ご承知のとおり、平成231219日に大阪市におかれては橋下市長が就任されましたが、前市長時代に出されたこの提案については変更されることなく、当局と大阪市市民局の間で協議を進め、平成24年3月28日に協定を締結し、運営協議会を開催して、4月10日に西成区岸里にあります「しごと情報ひろば天下茶屋」と此花区西九条にあります「しごと情報ひろばクレオ大阪西」の2カ所の一体的施設がオープンしたところでございます。提案からオープンまで時間のない中で、大阪市の意向を反映させて大阪市民のお役に立つ施設にすべく協議を重ね、開設に至りました。

 この2カ所の一体的実施施設「しごと情報ひろば」におきましては、大阪市においては民間業者に委託をして就労相談を実施し、労働局はハローワークと同様の求人情報の提供、職業紹介、職業相談を実施してございます。

 なお、大阪市が実施しております就労相談と申しますのは就労意欲の喚起を初めとする就職困難者に対する阻害要因解消のための相談でございまして、2ページの下にございますように、それと我々の職業紹介、職業相談を一体的に実施することにより、就職困難者への就職支援成果を上げようというものでございます。

 3ページに施設の外観の写真を入れてございますが、天下茶屋は地下鉄堺筋線、南海電車の天下茶屋駅1階共用コンコースに設置してございます。クレオ大阪西は地下鉄、阪神の西九条駅近くの男女共同参画センター「クレオ大阪西」の2階にございます。

 続いて、4ページ目と5ページ目にそれぞれのレイアウト図をつけてございます。

 4ページのほうの天下茶屋でございますが、施設の広さは70平米、それから5ページ目のクレオ大阪西が約30平米ということで、両施設とも非常にコンパクトな施設でございまして、市の委託事業者とハローワークの相談員がまさに肩を並べて一体的に業務を行っている状況にございます。レイアウト図のオレンジ色の部分がハローワークの求人検索パソコン及び職業相談窓口となってございます。

 9月までの取り扱い実績でございますが、7ページに実績を書いてございます。

 相談件数につきましては、しごと情報ひろば天下茶屋の事業目標として1万5,000件に対して7,867件、クレオ大阪西におきましては事業目標6,000件に対して1,677件という状況でございます。

 就職件数につきましては、天下茶屋は事業目標1,000件に対して454件、クレオ大阪西は事業目標500件に対して161件という状況になっております。このうちハローワークが行う国事業の目標を設定しておりまして、天下茶屋におきましては、ここには記載してございませんが、就職の目標数800件に対して405件、クレオ大阪西につきましては目標300件に対して147件という実績になってございます。今後も連携を深め、利用者をふやして実績を上げていく必要がございます。

 次に、就職成功例といたしまして、8ページにつけてございますが、生活保護を受給されていた30歳代の男性が市の就労相談により就労意欲を取り戻され、その後、国の就職活動の具体的な助言等によりまして無事就職し、生活保護から脱却されたというものでございます。もちろんこれはほんの一例でございまして、日々就職実績を積み上げているところでございます。

 なお、この一体的実施につきましては、毎年実績を評価し、翌年度の計画を策定するための運営協議会を開催することとされておりますが、現在、大阪市との打ち合わせで年度末に運営協議会を開催するという予定になってございます。

 以上、簡単でございますが、アクション・プランについてのご説明でございます。

奥林会長 ありがとうございます。

 一体的実施というのは、市と国が一体となって実施するということの意味のようであります。具体的な事例が2つ出されております。

 ただいまの説明に対して何かご質問、ご意見等ございましたら、発言をお願いいたします。多賀委員さん、お願いします。

多賀委員 私も天下茶屋の現地に行かせていただきました。基本的には、勤労権は国が保障するとかハローワークは全国一律的に実施すべきという原則はあるにしても、実施主体の問題はありながら、やはり重視すべきは利用者の利便性ということであると考えております。そういうことから考えれば、このように国と自治体が連携するということは非常に利用者にとってはいいことだと考えています。ただ、少し規模が小さいなと現地を見て思いましたので、今後、規模の問題と同時に、取組の強化ということをさらにお願いしたいなと思います。

 それと、大阪府のほうでもこのような取組をなされるやに聞いておりますので、このような取組をぜひ広げていって、雇用情勢の改善に結びつけていただくように改めてお願いをしたいと思っております。

奥林会長 ありがとうございます。

 ほかに、ご意見、何か事務局でご意見がありましたら、どうぞ。

職業安定部長 今、多賀委員のほうで天下茶屋をご覧いただいたということで、規模が小さい、確かに小さいという部分があり、もうちょっと規模を大きくしたらというお話でございます。ただ、これは地方自治体主導で計画している部分でございますから、例えば運営協議会等の開催ございまして、そういった中でまた協議もしていきたいなと。ただ、規模を大きくするかどうかについては、あくまで自治体の主導でありますから、そういう判断になっていくと思っております。

 これを今後広めていくと、先ほど委員のほうからも大阪府との関係のお話もございましたが、大阪府とも十分協議していきたいなと。来年4月からは堺市におきましても一体的実施を実施すべく、現在協議をしているところでございます。

 利用者の利便性に立って、国、地方自治体、それぞれが担う役割を十分果たして、施設をうまく運営できたらなと思っておりますので、今後ともまたいろいろご指導お願いしたいと思います。

奥林会長 では、服部委員さん、お願いします。

服部委員 多賀委員からもご発言がありましたが、利用者の利便性ということが、最終的には就労率の上昇に大きく影響すると思います。今後の枠組みについては、連携先の市や地方自治体に、この点について少し踏み込んだ要望をだしていただければと存じます。というのは、このクレオ大阪西というのは、私自身よく存じ上げているだけに特別に印象がございます。このたびの連携体制が開始される以前から、大阪市が「働きたいお母さん」などへの就労支援職業紹介の窓口が設置されていました。少し残念なのは立地です。駅からの距離がありました。その点が利用率や就職成立の率へ関わっているのではないでしょうか。やはり新卒応援ハローワークが大変利便性の高い場所に立地しているすばらしさがコントラストで印象的です。

今後、新しいプロジェクトを行う際には、ぜひ広さなどに加え利便性を優先いただければと思います。国民、市民の利用しやすい立地選択を、労働局がイニシアチブをおとりいただき自治体へアドバイスいただければと考えます。

奥林会長 何か事務局のほうからありましたら、どうぞ。

職業安定部長 先ほども申し上げましたが、立地の問題でございます。これはあくまで地方自治体主導で考えてございますので、そういうようなことについては意見を申すことはできるんですが、あくまで建物ありきの部分がございますので、十分流行らせていかなきゃいかんと、私ども国の機関の予算を投入するわけでございますから、そういった部分では意見を申し述べていきたいなと思います。ありがとうございます。

奥林会長 ほかに特にございませんでしょうか。

 ないようでしたら、第3の議題に移らせていただきたいと思います。

 第3の議題が改正法の施行内容についてということでございます。

 事務局から説明をお願いいたします。

総務部長 それでは、まず第1に私のほうから障害者虐待防止法について、若干触れさせていただきます。

 資料は追加資料一覧の中に、使用者による障害者虐待をなくそうというリーフレットが入っております。

 障害者虐待防止法につきましては、障害者施設や事業所における障害者虐待が近年、多々発覚していることから、障害者に対する虐待の禁止、予防、早期発見というものを目的として議員立法により成立、本年10月1日から施行されたものでございます。

 この法律においては、国、地方公共団体、障害者福祉施設等の従事者や障害者を雇用する事業主などに虐待防止のための責務を課すということとともに、障害を受けたと思われる障害者を発見した方に通報の義務を課したものでございます。

 幾つか障害者虐待についての類型ございますけれども、このうち都道府県労働局、私どもが関係するものにつきましては使用者による障害者虐待を発見した場合ということで、リーフレットを開いていただいて3ページ目にフロー図がございますけれども、虐待を受けた人、発見した人が市町村を通じ、都道府県を通じて都道府県労働局に報告をいただくという形になっております。この情報を企画室、総務部にございますが、企画室が窓口となって受け付け、その事案の内容に応じて、監督署、ハローワーク、雇用均等室において必要な対応を行うということとされているものでございます。

 ただし、この法律において特に新しい権限が労働局各部署に付与されたというわけではなくて、従前からあります労働基準法、障害者雇用促進法、男女雇用機会均等法など、それぞれの部局が所掌していたこれまでの法令に基づき、権限を必要な情報に対応して適切に行使するとされているところでございます。

 現時点において、まだその事案があるわけではございませんけれども、今後、情報提供を受け次第、必要な措置を講じてまいりたいと考えているところでございます。

奥林会長 ありがとうございます。

 では、続きましてお願いいたします。

労働基準部長 私のほうから労働契約法の改正についてですが、使用いたします資料は、基準の1と振っている資料でございます。

 8月10日に有期労働契約について3つのルールを規定する労働契約法の改正法が公布されたところでございます。このパンフレットの表紙の3つのルールという項目をご覧いただきたいと思います。

 1つ目は無期労働契約への転換です。これは、有期契約が繰り返し更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申し込みによって無期契約に転換できるルールでございます。

 2つ目は「雇止め法理」の法定化ということでございます。これは既に最高裁判例で確立したいわゆる「雇止め法理」というのがございますが、その内容をそのまま法律に規定したものでございます。

 3つ目が不合理な労働条件の禁止ということで、有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の相違を設けることを禁止するというルールでございます。

 この2つ目の「雇止め法理」の法定化については、改正公布されました8月10日から既に施行されておりまして、1つ目と3つ目は25年の、来年の4月から施行されるという内容になってございます。

 1枚おめくりいただきまして、まず1つ目の無期労働契約への転換についてでございます。

 同一の使用者との間で有期契約が5年を超えて反復更新された場合は、労働者が無期契約への転換を申し込みすれば、使用者がその申し込みを承諾したものとみなされることとなりまして、無期労働契約が成立するというルールを定めたものでございます。

 矢印が並んだ一番上の図で、これは1年契約を締結して更新を繰り返す場合を例としたものですが、これによりますと、通算5年を超えた場合、つまり6年目に入っての濃い緑色の矢印の有期契約を更新したときに無期労働契約への転換申し込みができるようになると。この6年目の契約期間中に労働者が使用者に対してその申し込みをすれば、6年目の契約が終わった次の日、つまり7年目、この表でいきますと薄い肌色になりますけれども、から無期労働契約がスタートすると、こういうことになるわけでございます。

 無期労働契約に転換した後の労働条件というのは、原則として直前の労働契約と同じということになります。ただし、別段の定めということで、労働協約あるいは就業規則等によって別の定めをすることによって、転換後の労働条件を変更することが可能ということが下に書いてございます。この5年のカウントというのは、平成25年4月1日以降に締結または更新される有期契約から始まるということになってございます。

 それで、今説明いたしましたのは有期契約をすき間なく更新を続けた場合についてでございまして、契約のない期間が存在する場合のルールについては、3ページの上にございますが、矢印の図のように、次の契約との間に契約がない期間が6カ月以上あるときは、その空白期間より前の有期契約は通算契約期間には含めなくてもいい。これをクーリングと言っておりまして、こういった制度が設けられております。通算期間は、空白期間が6カ月未満の場合にはリセットされずに契約期間を足し上げていくということになるものでございます。

 次に、2つ目のルールとして、「雇止め法理」の法定化についてですが、有期契約は、使用者が更新を拒否したときは、契約期間の満了によって雇用が終了します、これが雇い止めということになるわけですけれども、労働者保護の観点から、過去の最高裁判例によりまして、一定の場合にこれを無効とする法理が確立しているということで、今回の法改正では、この「雇止め法理」の内容を何ら変更することなく労働契約法に条文化したものということでございます。

 3ページの対象となる有期労働契約という項目をご覧いただきますと、規定の対象となるのは、(1)として、過去に反復更新された有期契約で、その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められるものか、あるいは、(2)にあります、労働者において、有期労働契約の契約期間の満了時にその有期契約が更新されたものと期待することについての合理的な理由があると認められたものとなりまして、この(1)、(2)のいずれかに該当する場合には、雇止めをすることが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときとなり雇止めが認められないということになるわけでございます。

 最後、3つ目が、次のページでございますけれども、不合理な労働条件の禁止ということでルールを定めております。

 これは、同一の使用者と労働契約を締結している有期労働契約者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることにより不合理に労働条件を相違させることを禁止するルールということでございまして、有期契約労働者については無期契約労働者と比較して、雇い止めの不安があるということによって合理的な労働条件の決定が行われにくくなること、あるいは処遇に対する不満が多く指摘されているといったことを踏まえて、有期労働契約の労働条件を設定する際のルールを法律で明確にしたものでございます。

 労働条件の相違が不合理と認められるかどうかといったことで、表の上から2つ目の項目、判断の方法といったところで記しておりますが、職務内容つまり業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度、当該職務の内容及び配置の変更の範囲、その他の事情等を考慮して、個々に判断されるということになってございます。

 以上が労働契約法の改正のポイントでございます。

 以上です。

奥林会長 どうもありがとうございました。

 では、続きまして職業安定部長さん、簡潔にお願いいたします。

職業安定部長 職業安定部から2点、説明をさせていただきます。

 まず、1点目は改正高年齢者雇用安定法でございます。

 資料の安-2というカラー刷りのリーフレットをご覧いただきたいと思います。よろしいでしょうか。

 急速な高齢化に対応し、高年齢者が少なくとも年金受給開始年齢までは意欲と能力に応じて働き続けられる環境整備を目的として、高年齢者雇用安定法の一部が改正され、平成25年4月1日から施行されるところでございます。

 改正のポイントの1つ目として、継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みが廃止されます。従来、継続雇用制度を導入している場合は、継続雇用制度の対象者を限定する基準を労使協定で定めることができましたが、今回の改正でこの仕組みが廃止され、希望者全員を継続雇用制度の対象者とすることが必要となります。ただし、リーフレットの下段にありますように、平成25年3月31日までに継続雇用制度の対象者の基準を労使協定で設けている場合、平成25年4月1日から平成37年3月31日までの12年間、基準を利用することができる経過措置が設けられております。

 リーフレットの裏面をご覧ください。

 2つ目のポイントでございますが、継続雇用の対象者を雇用する企業範囲の拡大でございます。定年を迎えた継続雇用先を、自社だけでなく子会社や関連会社など特殊関係事業主まで広げることができるとされております。そのためには、事業主と特殊関係事業主との間で継続雇用の対象となる高年齢者を定年後に引き続き雇用することを約束する契約を結ぶことが要件となってございます。

 3つ目のポイントは、雇用確保措置を実施していない企業に対し、指導を繰り返し行っても改善が見られない場合、企業名を公表するというものでございます。

 4つ目のポイントとして、事業主が講ずべき高年齢者雇用確保措置の実施・運用に関する指針の策定を行います。例えば業務の遂行にたえられない人などを継続雇用制度でどのように取り扱うのかなど、その考え方を指針で定めてございます。

 本日の追加資料として、資料-4から6に高年齢者等職業安定対策基本方針、高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針、高年齢者雇用安定法Q&Aをおつけしてございますので、ご参考にしていただければと思っております。

 なお、これらの資料につきましては、厚生労働省のホームページにも掲載をしているところでございます。

 また、資料-7として事業主用パンフレットをつけてございますので、これにつきましてもご参考にしていただければ思います。

 改正高年齢者雇用安定法については以上でございます。

 2つ目は、障害者の雇用の促進等に関する法律の施行令の改正についてでございます。

 資料の、これもカラー刷りのリーフレット、安-3をご覧いただきたいと思います。

 障害者の雇用対策につきましては、既にご承知のように、障害者の雇用の促進等に関する法律の施行令が改正され、平成25年4月1日から障害者の法定雇用率が民間企業では1.8%から2%に引上げられるところでございます。

 障害者の法定雇用率につきましては、障害者雇用促進法に基づき、少なくとも5年ごとに常用労働者と失業者の総数に対する身体障害者または知的障害者である労働者と失業者の総数の割合の推移を勘案して政令で定められることとなってございます。前回、平成19年の見直しから5年が経過していることから、必要な調査を行った結果、15年ぶりに障害者の法定雇用率が見直されることとなり、6月20日に政令が改正されたところでございます。

 大阪労働局としましては、障害者のより一層の雇用拡大の機会としてとらえ、法定雇用率改正の周知徹底、事業主指導、障害者に対するきめ細かな職業相談、職業紹介を三本柱として、さまざまな取組を実施しているところでございます。今後とも皆様のご協力なども得ながら、障害者の雇用促進に取り組んでまいりたいと考えておりますので、ご協力賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 職業安定部からは以上でございます。

奥林会長 どうもありがとうございました。

 きょうの追加資料の中に細かな説明がありますので、詳細はまたそこで確認していただければと思います。

 では、続きまして需給調整部長さん、お願いいたします。

需給調整事業部長 私からは改正労働者派遣法についてご説明いたします。

 需給-6という見開きの資料をご覧ください。

 ちょっと時間が押しておりますので、ざくっと説明を申し上げたいと思いますが、今回の派遣法の改正につきましては労働者の保護と雇用の安定を図るという観点から行われておりまして、法律の名称と目的規定に派遣労働者の保護が盛り込まれております。大きく分けますと3点、改正の柱がございます。

 1つは、事業規制、事業そのものに対する規制であります。2点目は待遇の改善、また派遣労働者の無期雇用化を促進するという観点のもの、それから3つ目が違法派遣に対する迅速、的確な対処ということで、いわゆる偽装請負などをしながら受け入れていた派遣先への労働契約申し込みみなし制度がこれに該当いたします。

 資料、見開きのところを開いていただきまして、番号1から11まで並んでおりますが、ポイントを幾つかご説明申し上げます。

 まず、事業規制の関係でございますが、日雇い派遣の原則禁止であります。これにつきましては、日々1日単位の雇用契約、または30日以内の雇用契約を結んでいる労働者を派遣労働者として派遣することを禁止するものであります。

 これはちょっと一般のご理解で誤解が生じておりまして、スポットで派遣労働者を受け入れる、例えば棚卸で3日間だけ受け入れる、そういったものができなくなるというように誤解をされておりますが、それは禁止はされておりません。そういった人たちと派遣元との雇用契約がどうなっているか。それが30日以内の契約だと、だめですということでありまして、例えば2カ月契約の労働者を3日ずついろんなところへ次々送り出していくということは、これまでどおり可能だということであります。いろいろ例外規定が設けられておりますが、それにつきましては資料のとおりでございますので、割愛させていただきます。

 2点目、グループ企業派遣の8割規制であります。これは例えば大企業の子会社などの派遣会社がございまして、いわば第二人事部的にグループ企業内だけの派遣をもっぱらやっているという企業がございまして、これは国全体の労働力需給調整機能を果たしていただくという労働者派遣事業制度の趣旨にそぐわないということで、これにつきましては1年間の派遣労働者の総労働時間のうち連結子会社とグループ企業に対する派遣の総労働時間が8割以下になるようにしてくださいと、こういうものであります。

 3つ目、離職後1年以内の人を元の勤務先に派遣することの禁止、これは一部の企業におきまして直接雇用の労働者の労働状況を切り下げる目的で移籍をさせると、派遣労働者に切りかえるというような事例がございましたことから、このような制限を加えるものであります。事業規制に関しましては、おおむねこの3点がこれに該当いたします。

 次に4番、5番、マージン率などの情報提供また派遣料金の明示であります。これは、自分が派遣労働者として賃金をもらっているけれども、派遣先から幾ら払われているのかがわからない、そういったことはこれまで公開されてまいりませんでしたので、そういったところで納得して働けないという派遣労働者が非常に多かったというところで、こういったマージン率、派遣料金として受け取っている中から賃金として労働者に払っている部分を除く部分が何%あるかということを派遣労働者あるいは派遣先に対して情報公開してくださいというものであります。

 これにつきましても一般のご理解にやや誤解がございまして、マージン率って何だ、全部もうけなのかと、これはそうじゃございませんで、例えば派遣元事業主は社会保険の事業主負担を払わないといけませんが、これはマージン率の部分に入ってきます。ですから、マージン率が異常に少ないというところは薄利多売ということではなくて、そういった義務を逃れている可能性もあるということであります。

 あるいは、労働者に対する教育訓練、これを一生懸命やろうとすると、当然コストがかかりますので、マージン率というのはそういうところは高くなるということで、これはマージン率の高い低いというところだけで判断をしてくださいということではありませんで、6番のところ、待遇に関する事項などの説明といったところとも関係してまいりますけれども、なるべくいろんな情報というのを自発的に派遣元事業主さんは情報提供してください。うちの会社は社会保険とかきっちりやっていますよですとか、教育訓練がこんなに充実していますよといったことを立体的に情報提供することによって、マージン率の公開原理というものが活きていくのではないか、そのように考えております。

 7点目、派遣先の都合で派遣契約を解除するときに講ずべき措置、これはリーマンショックのときのいわゆる派遣切りといったところで非常に社会問題化したところでございますが、直接使用者責任、労働者に対する雇用について責任を直接負っているのは派遣元ということでございますが、派遣先がまだ労働者派遣契約が有効であるにもかかわらず、期間満了前に一斉に解雇するといったことが直ちに派遣労働者の大量解雇につながってしまったと、こういうところから出てきました規定でございまして、派遣先の都合により労働契約を解除する場合には、派遣労働者の新たな就業機会の確保について、あらかじめ労働者派遣契約の中で決めておくと。

 また、そういった場合に休業手当を派遣元事業主がきちっと払えるように、例えば損害賠償といったようなものでございますが、その支払いに要する費用の負担をどうするかといったようなことを、これも義務的に労働者派遣契約の中で定めておきなさいという義務づけを行うものであります。

 8点目、これは先ほどの労働契約法の改正とも関係する話ではありますが、有期雇用派遣労働者の無期雇用への転換推進措置の努力義務が設けられております。これは現状、本当は正社員として働きたいんだけれども、やむなく派遣という形で働いているという方が非常に多いという背景もございまして、そういった方たちに無期雇用の労働者として雇用する機会の提供というものを派遣元として提供していく努力を払ってくださいというものであります。

 それから、あと10番目、均衡待遇の確保、これは派遣先のいわゆる正社員の人たち、直接雇用の人たちとの待遇の格差というものが納得のいくようなものにおさまるようにということで、このような規定が設けられております。

 最後、労働契約申し込みみなし制度でありますが、これは派遣先が違法派遣と知りながら派遣労働者を受け入れている場合に、派遣先が派遣労働者に対して労働契約の申し込みをしたものとみなすという制度でございますが、これは3年先、平成2710月からの施行とされております。

 私からは以上です。

奥林会長 ありがとうございます。

 時間の関係で、かなりはしょっていただいたんだと思います。12時までということであれば、5分ほど残っておりますが、3つの議題全体につきまして、この際、ぜひこういう点、確認しておきたい、質問しておきたいと言われる方ありましたら、ご発言をお願いいたします。

 では、稼勢委員さんですね。

稼勢委員 JAM大阪の稼勢です。よろしくお願いします。

高齢者雇用確保措置の実施、運用に関する指針の策定について、質問させていただきます。資料で言いますと、安-2の改正ポイント4になりますが、厚生労働省の諮問機関である労働政策審議会の建議において、「心身の故障のため、業務に堪えられない人」は継続雇用の対象外とすることができるとし、先ほどの資料でも「この場合、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが求められる。」といったグレーな表現になっています。

この言い回しは理解できるのですが、現実問題として、心身の健康状態における解釈や捉え方に関する問い合わせや相談などが、今後、各労働局に対しまして、労使それぞれの立場から結構出てくるのではないかと想定されますが、この点についての現時点の考え方、見通し、指導法などがございましたら、お聞かせください。よろしくお願いします

奥林会長 お願いいたします。

職業安定部長 指針が出されたばかりでございまして、具体的にどういう事例がどういうようになるかというところまでは、まだはっきりできたものはございません。それから、こういう判断をしていくということになりますと、大阪労働局で単独で判断するということにはなりませんので、法律の改正法が施行される来年までには、できるだけ早い段階で、いろんな想定される事例等を収集しながら具体的な話ができるかなというようには考えてございます。

 ですから、もし問い合わせ等がいろいろあれば、その場で恐らくお答えすることは難しいかなと思いますが、私どもがお答えできないことにつきましては、厚生労働省のほうにそういうお問い合わせの内容を伝えまして、一定の典型的な見解を示していただこうかなと。その上で、また皆さん方に、お示ししたいというように考えているところでございます。今の段階では、なかなか具体的なところまでは出てございませんので、ご了解いただきたいと思います。

奥林会長 はい。

稼勢委員 しかし、実施は来年の4月で、既に11月半ばですから、時間に余裕がありませんよね。最終的には、心身の健康状態に関する解釈の仕方は、個別対応にならざるを得ないとは思うのですが・・・。

いずれにしましても、この案件の管轄部署といいますか、厚生労働省もしかり、各地方の労働局もしかりだと思いますが、我々労働者の立場からしまして、今回の高年齢者雇用安定法の改正は非常に大きな法改正でありますので、法の精神に基づき、高年齢者の継続雇用の安定に繋がるように、ご尽力の程、よろしくお願いします。

奥林会長 では、よろしく対応をお願いしたいと思います。

 ほかにございますでしょうか。

 それでは、時間も参りましたし、きょうはたくさんのご意見もいただきました。いろいろ法改正もありまして、状況が変わっております。さらに詳細な点につきましては、資料を見ていただいたり、あるいは労働局のほうに具体的に問い合わせていただきたいと思います。

 それでは、きょうの審議会の議事をすべてこれで終了させていただきます。どうも長時間ありがとうございました。

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