障害者の雇用管理について

 障害のある社員に対して企業としては、基本的には障害のない社員と同様に接することが大切でありますが、同時に必要な配慮も欠かせません。職場では上司がその社員の障害状況を把握して、日常どのような配慮を必要としているかを理解し、状況に応じて周囲の社員の理解を促すことも大切です。
 特に緊急時の対応については適切な避難誘導ができるよう、日頃から本人と話し合って必要な取り決めをしておくことが不可欠です。また業務遂行上、特に問題点が感じられない場合でも、時間外勤務や休日出勤などが障害に与える影響を確認し、配慮が求められることもあります。
 また、同じ障害の同じ等級でも個々人によって異なりますので、一律に対応することや、この障害にはこの対応というように決めつけてしまうことは避けるべきです。
 むしろ個人の状況に合わせ、必要な対応を検討するという配慮がもっとも重要となります。
 

障害の種類別の配慮事項

1 身体障害者
     身体障害者については、障害の種類及び程度が多岐にわたることをふまえ、職場環境の改善を中心として以下の事項に配慮します。
    (1) 視覚障害者
       視覚障害者については、通勤や職場内における移動ができるだけ容易になるよう配慮します。
 また、個々の視覚障害者に応じて職務の設計、職域の開発を行うと共に、必要に応じて、照明や就労支援機器など施設・設備の整備や、援助者の配置など職場における援助体制の整備をはかります。
    (2) 聴覚・言語障害者
       聴覚・言語障害者については、個々の聴覚・言語障害者に応じて職務の設計を行うとともに、設備の整備等により職場内における情報の伝達や意思疎通を容易にする手段の整備をはかります。
  また、必要に応じて、手話や要約筆記のできる者を配置するなど職場における援助体制の整備を図ります。
    (3) 肢体不自由者
       肢体不自由者については、通勤や職場内における移動ができるだけ容易になるように配慮するとともに、職務内容、勤務条件等が過重なものとならないよう注意します。
 また、障害による影響を補完する設備等の整備をはかります。
    (4) 内部障害
       心臓機能障害者、腎臓機能障害者等の内部障害者については、職務内容、勤務条件等が身体的に過重なものとならないよう配慮するとともに、必要に応じて、医療機関とも連携しつつ職場における健康管理のための体制の整備を図ります。
  2 知的障害者
     知的障害者については、複雑な作業内容や抽象的・婉曲な表現を理解することが困難な場合があること、言葉により意思表示をすることが困難な場合があることをふまえ、障害者本人への指導・援助を中心として以下の事項に配慮します。
 作業工程の単純化、単純作業の抽出等による職域開発を行う。また、施設・設備の表示を平易なものに改善するとともに、作業設備の操作方法を容易にする。
 必要事項の伝達に当たっては、わかりやすい言葉遣い、表現を用いるよう心がけます。日常的な相談の実施により心身の状態を把握するとともに、雇用の継続のためには家族等の生活支援にかかわる者の協力が重要であることから、連絡体制を確立します。
 重度知的障害者については、生活面での配慮も必要とされることを考慮しつつ、職場への適応や職務の遂行が円滑にできるよう、必要な指導および援助を行う者を配置します。
  3 精神障害者
     精神障害者については、たとえば、臨機応変な判断や新しい環境への適応が苦手である、疲れやすい、緊張しやすい、精神症状の変動により作業効率に波がみられることがある等の特徴が指摘されていることに加え、障害の程度、職業能力等の個人差が大きいことをふまえ、労働条件の配慮や障害者本人への指導・援助を中心として以下の事項に配慮します。 
 本人の状況をふまえた根気強くわかりやすい指導を行うとともに、ある程度時間をかけて職務内容や配置を決定します。
 職務の難度を段階的に引き上げる、短時間労働から始めて勤務時間を段階的に延長する、本人の状況に応じ職務内容を軽減する等必要に応じ勤務の弾力化をはかります。
 日常的に心身の状態を確認するとともに、職場での人間関係が円滑に行くよう配慮します。また、通院時間、服薬管理等の便宜を図ることも重要です。
 職場への適応、職務の遂行が円滑にできるよう、必要な指導および援助を行う者を配置します。
 企業に採用された後に精神疾患を有するに至った者については、医療機関や職業リハビリテーション機関との連携により、円滑な職場復帰に努めます。

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