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(4)リスクの概念
● | 国際的な「安全」の定義は、『許容できないリスクがないこと』です。つまり「安全」は、「リスク」を経由して定義されており、「リスク」の概念を理解することが不可欠です。ここでは、「リスク」の概念を理解する上で知っておきたい点を挙げます。 |
全ての危なさをなくすことはできない | |||
災害が絶対に起きないと保証することは、誰にもできません。このことからも「絶対安全」と呼べる状態が、あり得ないことは明らかです。 |
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また、この世の物事は、単純に「危険」と「安全」の2段階に割り切れるものではなく、その中間がほとんどです。ですから「危険」、「安全」と2段階で区別するのでなく、どのくらいの「度合い」であるかを考えることが最も合理的です。 |
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「リスク」は、危なさの度合い | |||
「リスク」とは、負傷や疾病の「発生確率」と「ひどさ」の度合いを組み合わせたものです。「危なさの度合い」と言い換えてもいいでしょう。 リスクアセスメントで、リスクを見積り、評点を付けるのは「度合い」の考え方そのものです。評点を付けると、重要なものとそうでないものとを層別でき、管理しやすくなります。危なさの度合いが高いものには注意を払い、低いものと区別するといったメリハリを付けることができるようになるからです。 |
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リスクに応じた対応を取る | |||
高リスクのものには対策を講じ、必ず評点を下げねばならないと考えている方がいますが、必ずしもそうではありません。実際には、技術的に解決できない問題があり、対策を講じても評点が下がらないものもあります。例えば放射性物質による疾病の重篤度は、低減することができないので、リスクも一定以上には下がりません。動力の大きい機械設備等も基本的に同じで、ある程度のリスクは必ず残ります。 |
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よく、「リスク○以上は撲滅」といった目標の立て方を目にしますが、あまり正しいやり方ではありません。このような目標を立てると、現場は、高リスクのものを隠し、低リスクあるいはリスクゼロと見せかける方向に動いてしまいます。 是が非でもリスクの評点を下げることが目的でなく、可能な対策を講じた上で、なお残る高リスクのものは、それを承知し、重点として管理すべきでしょう。むしろ高リスクを事前に把握し管理できるようにしたのであれば、それは、リスクアセスメントの大きな成果と評価すべきです。 |
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◀(3) 本来の「安全」との矛盾 (5) 本来の「リスクアセスメント」▶ |