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労災保険の特別加入制度(中小事業主等)について【労働保険徴収課】
更新日:令和3年4月19日
目次 (ページ内の詳細項目へジャンプします)
- ≪1≫特別加入の範囲について
- ≪2≫特別加入の手続について
- ≪3≫特別加入時の健康診断
- ≪4≫給付基礎日額及び保険料について
- ≪5≫補償の対象となる範囲について
- ≪6≫保険給付・特別支給金の種類について
- ≪7≫支給制限
- ≪8≫特別加入者としての地位の消滅
≪1≫特別加入の範囲について
※中小事業主等とは
中小事業主等とは、下表に定める数以下の労働者を常時使用する事業主(事業主が法人その他の団体であるときは、その代表者)及び労働者以外で当該事業に従事する方(事業主の家族従事者や、中小事業主が法人その他の団体である場合における代表者以外の役員など)をいいます。
中小事業と認められる規模
業 種 | 労働者数 |
金融業/保険業/不動産業/小売業 | 50人 |
サービス業/卸売業 | 100人 |
上記以外の業種 | 300人 |
※継続して労働者を使用していない場合であっても、1年間に100日以上にわたり労働者を使用している場合には、常時労働者を使用しているものとして取り扱われます。 |
≪2≫特別加入の手続について
(1)新たに特別加入を申請する場合について
中小事業主等に該当する方が特別加入するためには、
①雇用する労働者について労働保険関係が成立していること
②労働保険の事務処理を労働保険事務組合に委託していること
の二つの要件を満たすことが必要です。
◎中小事業主等に該当する方が特別加入したいときには、労働保険事務組合を通じて所轄の労働基準監督署長(以下「署長」といいます。)を経由して都道府県労働局長(以下「局長」といいます。)に対して特別加入申請書(様式第34号の7)を提出します。
◎同一の中小事業主の方が2つ以上の事業の事業主となっている場合、前記の特別加入の要件を満たしているときは、2つ以上の事業について希望の業種ごとに特別加入をする必要があります。
◎中小事業主等に該当する方が特別加入の申請を行うときには、家族従事者など労働者以外で業務に従事している方全員を包括して特別加入させることが必要です。就業実態のない事業主を除外する場合、理由書添付の上、申請を行う必要があります。
◎特別加入の申請を行う際には、作業の具体的な内容、業務歴及び希望する給付基礎日額等を申請書に記入し、労働保険事務組合を通じて署長を経由して局長に対して加入申請を行い、局長の承認を得るという手続が必要となります。
◎特別加入の申請に対する局長の承認は、当該申請の日の翌日から起算して14日の範囲内において特別加入を申請する方が加入を希望する日となります。
(2)既に特別加入を承認されている場合について
◎既に特別加入を承認されている方で氏名、作業内容等に変更があった場合には、「特別加入に関する変更届」(様式第34号の8)を労働保険事務組合を通じて署長を経由して局長に対して提出することが必要です。
◎既に特別加入を行っている事業において、新たに事業主となった方または新たに事業に従事することとなった方が特別加入を申請する場合には、成立している保険関係を基にして特別加入手続を行うため、申請書ではなく変更届を労働保険事務組合を通じて署長を経由して局長に対して提出してください。
また、当該事業の一部の方が特別加入者としての要件に該当しなくなった場合にも変更届を提出することが必要です。就業実態のない事業主を除外する場合、理由書添付の上、変更届を提出する必要があります。
◎特別加入の変更届出に対する効力が生じる日は、当該届出の翌日から14日以内の希望する日となります。
≪3≫特別加入時の健康診断
(1)健康診断が必要な場合
特別加入を希望する中小事業主等のうち、次の表に記載されている「特別加入予定者の業務の種類」の欄に応じて、それぞれの従事期間を超えて当該業務を行ったことがある場合には、特別加入の申請を行う際に健康診断を受ける必要があります。
<健康診断が必要な業務の種類>
特別加入予定者の業務の種類 | 特別加入前に左記の業務に従事した期間 (通算期間) |
実施すべき健康診断 |
粉じん作業を行う業務 | 3年 | じん肺健康診断 |
振動工具使用の業務 | 1年 | 振動障害健康診断 |
鉛業務 | 6カ月 | 鉛中毒健康診断 |
有機溶剤業務 | 6カ月 | 有機溶剤中毒健康診断 |
(2)健康診断が必要な場合の手続について
◎特別加入を申請する中小事業主等で健康診断が必要な場合には、労働保険事務組合を通じて、はじめに「特別加入時健康診断申出書」(特診様式第7号)を署長に提出します。
◎申出書の業務歴から判断して健康診断が必要であると認められる方に対しては、署長から「特別加入健康診断指示書」及び「特別加入時健康診断実施依頼書」が交付されます。
加入時健康診断対象者は、指示書に記載された期間内局長があらかじめ指定した診断実施機関で健康診断を受ける必要があります。また、受診する際には依頼書を当該診断実施機関に提出してください。
なお、この場合の健康診断に要する費用は国が負担しますが、受診のために要した交通費は自己負担となります。
◎健康診断を受けた方は、当該診断実施機関が作成した「健康診断証明書」(特別加入者用)を申請書に添付し、署長に提出してください。
じん肺健康診断を受けた場合には、じん肺の所見がないと認められた場合を除き、エツクス線写真を健康診断証明書に添付することが必要です。
◎申出書は、申請書と同時に署長に提出することもできます。この場合には、健康診断受診後、速やかに健康診断証明書を署長に提出してください。
◎既に特別加入を承認されている事業において、新たに事業主となった方または事業に従事することとなった方のうち健康診断が必要な方は、申出書を署長に提出し、指示書及び依頼書が交付された後、健康診断を受診し、変更届にその健康診断証明書を添付して提出してください。
※ 健康診断証明書の未提出や、業務内容、業務歴等の虚偽申告が判明した場合には、不承認や承認取消となることがあります。
(3)特別加入が制限される場合
加入時健康診断を受けた結果、次の場合には特別加入が制限されます。
◎特別加入予定者が既に疾病にかかっており、その症状または障害の程度が一般的に就労することが困難であって、療養に専念しなければならないと認められる場合には、従事する内容にかかわらず特別加入は認められません。
◎特別加入予定者が既に疾病にかかっており、その症状または障害の程度が当該業務からの転換を必要とすると認められる場合には、当該業務以外の業務についてのみ特別加入が認められることとなります。
≪4≫給付基礎日額及び保険料について
(1)給付基礎日額について
給付基礎日額とは、労災保険の給付額を算定する基礎となるものです。特別加入を行う方の所得水準に見合った適正な額を申請していただき、局長が承認した額が給付基礎日額となります。
なお、決定された給付基礎日額は、前年度の3月2日から3月31日までの間においては「給付基礎日額変更申請書」により、年度更新期間中(令和3年度は6月1日から7月12日まで)においては「保険料申告書内訳」により、変更の申請をすることができます。
(2)保険料について
特別加入者の保険料については、保険料算定基礎額(給付基礎日額に365を乗じたもの)にそれぞれの事業に定められた保険料率を乗じたものとなります。
なお、年度途中において、新たに特別加入者となった場合や特別加入者でなくなった場合には、当該年度内の特別加入月数(1ヵ月未満の端数があるときは、これを1ヵ月とします。)に応じた保険料算定基礎額により保険料を算定することとなります。
給付基礎日額 A | 保険料算定基礎額 B = A × 365日 |
年間保険料=保険料算定基礎額×保険料率 |
(例)建設事業(既設建築物設備工事業)の場合 保険料率 12/1000 |
||
25,000円 | 9.125,000円 | 109,500円 |
24,000円 | 8,760,000円 | 105,120円 |
22,000円 | 8,030,000円 | 96,360円 |
20,000円 | 7,300,000円 | 87,600円 |
18,000円 | 6,570,000円 | 78,840円 |
16,000円 | 5,840,000円 | 70,080円 |
14,000円 | 5,110,000円 | 61,320円 |
12,000円 | 4,380,000円 | 52,560円 |
10,000円 | 3,650,000円 | 43,800円 |
9,000円 | 3,285,000円 | 39,420円 |
8,000円 | 2,920,000円 | 35,040円 |
7,000円 | 2,555,000円 | 30,660円 |
6,000円 | 2,190,000円 | 21,900円 |
5,000円 | 1,825,000円 | 25,550円 |
4,000円 | 1,460,000円 | 17,520円 |
3,500円 | 1,277,500円 | 15,324円 |
≪5≫補償の対象となる範囲について
特別加入している方については、労働者と同様、業務災害又は通勤災害を被った場合に労災保険から給付が行われます。
ただし、同一の中小事業主の方が2つ以上の事業の事業主となっている場合、1つの事業の中小事業主として特別加入の承認を受けていても、特別加入をしていない他の事業の業務により被災した場合は、保険給付を受けることができないことになっています。
(1)業務災害について
業務遂行性が認められる範囲。
◎申請書別紙の「業務の内容」欄に記載された労働者の所定労働時間内に行われる業務及びこれに直接附帯する行為を行う場合(ただし、例えば株主総会に出席している場合のようにその行為が事業主の立場において行われる業務を除きます)。
◎労働者の時間外労働又は休日労働に応じて就業する場合。
◎労働者の就業時間に接続して業務の準備又は後始末を中小事業主等のみで行う場合。
◎労働者の就業時間内における事業場施設の利用中及び事業場施設内で行動中の場合。
◎事業の運営のために直接必要な業務(事業主の立場において行われる業務を除きます。)のために出張する場合。
◎通勤途上で次に掲げる場合。
①事業主が労働者のために用意した通勤用のマイクロバス等を利用している場合。
②台風や火災のような突発事故等による予定外の緊急出勤の途上にある場合。
◎事業の運営に直接必要な運動競技会、その他の行事について労働者を伴って出席する場合。
(2)通勤災害について留意していただきたい事項について
通勤災害については、一般労働者の場合と同様に取り扱われます。
労災保険法上の通勤とは、就業に関して、住居と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により往復することをいい、業務の性質を有するものを除くものをいいます。
往復の経路を逸脱し、又は往復を中断した場合には、逸脱又は中断の間及びその後の往復は「通勤」とはなりません。
ただし、逸脱又は中断が日常生活上必要な行為であって、厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最低限度のものである場合には、逸脱又は中断の間を除き、合理的な経路に復した後は「通勤」となります。
≪6≫保険給付・特別支給金の種類について
特別加入者が業務災害または通勤災害により被災した場合には、所定の保険給付が行われるとともに、これと併せて特別支給金が支給されます。
保険給付及び特別支給金の種類は次の表のとおりです。
保険給付の種類 | 支給事由 | 給付内容 | 特別支給金 | ||||||||||
療養補償給付療養給付 | 業務災害または通勤災害による傷病について、病院等で治療する場合 | 労災病院または指定病院において必要な治療が無料で受けられます。また、労災病院または指定病院以外の病院において治療を受けた場合には、治療に要した費用が支給されます。 | 特別支給金はありません。 | ||||||||||
休業補償給付 休業給付 |
業務災害または通勤災害による傷病による療養のため労働することができない日が4日以上となった場合 | 休業4日目以降、休業1日につき給付基礎日額の60%相当額が支給されます。 | 休業特別支給金は、休業4日目以降、休業1日につき給付基礎日額の20%相当額が支給されます。 | ||||||||||
障害補償給付障害給付 | 障害(補償)年金 業務災害または通勤災害による傷病が治った後に障害等級第1級から第7級までのいずれかの障害が残った場合 障害(補償)一時金 業務災害または通勤災害による傷病が治った後に障害等級第8級から第14級までのいずれかの障害が残った場合 |
障害(補償)年金の場合 第1級は給付基礎日額の313日分~第7級は給付基礎日額の131日分が支給されます。 障害(補償)一時金 第8級は給付基礎日額の503日分~第14級は給付基礎日額の56日分が支給されます。 |
障害特別支給金は、第1級342万円~第14級8万円が一時金として支給されます。 | ||||||||||
傷病補償年金 傷病年金 |
業務災害または通勤災害による傷病が療養開始後1年6カ月を経過した日又は同日後において ①傷病が治っていないこと ②傷病による障害の程度が傷病等級に該当すること のいずれにも該当する場合 |
第1級は給付基礎日額の313日分、第2級は給付基礎日額の277日分、第3級は給付基礎日額の245日分が支給されます。 | 傷病特別支給金は第1級が114万円、第2級は107万円、第3級は100万円が一時金として支給されます。 | ||||||||||
遺族補償給付遺族給付 | 遺族(補償)年金 業務災害または通勤災害により死亡した場合(年金額は遺族の人数に応じて変わります。) 遺族(補償)一時金 ①遺族(補償)年金を受けることができる遺族がいない場合 ②遺族(補償)年金を受けている方が失権し、かつ他に遺族(補償)年金を受けうる方がいない場合において、既に支給された年金の合計額が給付基礎日額の1000日分に満たない場合 |
遺族(補償)年金 遺族の人数によって支給される額が異なります。
遺族(補償)一時金 左欄の1の場合には給付基礎日額の1000日分が支給されます。ただし、2の場合は給付基礎日額の1000日分から既に支給した年金の合計額を差し引いた額が支給されます。 |
遺族特別支給金は300万円が一時金として支給されます。 | ||||||||||
葬祭料葬祭給付 | 業務災害または通勤災害により死亡した方の葬祭を行う場合 | 給付基礎日額の60日分か31万5千円に給付基礎日額の30日分を加えた額のいずれか高い方が支給されます。 | 特別支給金はありません。 | ||||||||||
介護補償給付 介護給付 |
業務災害または通勤災害により、障害(補償)年金または傷病(補償)年金を受給しているある一定の障害を有する方で現に介護を受けている場合 | 常時介護の場合 介護の費用として支出した額(171,650円を上限)が支給されますが、親族等の介護を受けていた方で、介護の費用を支出していない場合または支出した額が73,090円を下回る場合は一律定額として73,090円が支給されます。 随時介護 介護の費用として支出した額(85,780円を上限)が支給されますが、親族等の介護を受けていた方で、介護の費用を支出していない場合または支出した額が36,500円を下回る場合は一律定額として36,500円が支給されます。 |
特別支給金はありません。 |
注1 | 「保険給付の種類」欄の上段は業務災害、下段は通勤災害に対して支給される保険給付です。 |
注2 | 遺族(補償)年金の受給資格者である遺族が1人であり、55歳以上または一定障害の妻である場合には、給付基礎日額の175日分が支給されます。 |
注3 | 休業(補償)給付については、所得喪失の有無にかかわらず、療養のため補償の対象とされている範囲(業務遂行性が認められる範囲)の業務または作業について全部労働不能であることが必要となっています(全部労働不能とは、入院中または自宅就床加療中若しくは通院加療中であって、補償の対象とされている範囲(業務遂行性が認められる範囲)の業務または作業ができない状態をいいます)。 |
注4 | 各種保険給付請求書又は届書を所轄労働基準監督署長に提出するときは、当該請求書又は届書の記載事項のうち事業主の証明を受けなければならないとされている事項を証明できる書類その他資料を、当該請求書又は届書に添付しなければなりません。 |
≪7≫支給制限
特別加入者が業務災害または通勤災害を被った場合には保険給付が行われますが、その災害が 特別加入者の故意 または 重大な過失によって発生した場合及び保険料の滞納期間中に生じた場合 には、支給制限が行われることがあります。
≪8≫特別加入者としての地位の消滅
(1)脱退により消滅する場合
特別加入者は、政府の承認を受けて脱退することができますが、この脱退の申請は、中小事業主と労働者以外の方でその事業に従事する方全員を包括して行わなければなりません。
この場合には、労働保険事務組合を通じて署長を経由して局長に対して「特別加入脱退申請書」を提出し、承認を受けることが必要です。
特別加入の脱退申請に対する局長の承認は、当該脱退申請の日から起算して14日の範囲内において脱退を申請する方が脱退を希望する日となります。
(2)自動的に消滅する場合
◎中小事業主等の特別加入は、その使用する労働者について成立している保険関係を前提として認められるものですから、当該保険関係が消滅したときは、その消滅の日に特別加入者の地位も消滅します。
◎中小事業主が事業を廃止または終了した場合には、その廃止または終了の日の翌日に消滅します。
◎労働保険事務組合に労働保険の事務処理を委託している中小事業主が委託を解除した場合は、その解除の日に特別加入者としての地位が消滅します。
(3)取消により消滅する場合
中小事業主が関係法令の規定に違反した場合には、特別加入の承認が取り消される場合があります。
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