建設業、農業、ゴルフ場等も伐木作業における災害に注意!【新見労働基準監督署】~伐木作業等における安全管理セミナーを開催しました~

 
 伐木作業等については、木材伐出業等の林業事業場だけでなく、支障木の撤去等で、建設業、農業、ゴルフ場等の事業場においても行われていますが、労働災害が発生する頻度が高く、災害が発生した場合には被災の程度が重篤になりやすい傾向があります。
 新見労働基準監督署管内(新見市、高梁市及び吉備中央町の旧賀陽町地区)では、伐木作業等における労働災害は、長期的にみると減少傾向にはありますが、ここ数年は一桁台で増減を繰り返しており、今年(令和4年)は、発生件数としては少ないものの、2月に死亡災害(木材伐出業)、3月に重篤災害(土木工事業)が立て続けに発生しています。
 伐木作業における労働災害を防止するためには、日頃からの作業者への安全指導・安全教育の徹底、それから、作業開始前の現場責任者からの具体的な作業指示・安全指示の徹底、また、作業中、作業後の安全措置の実施状況の確認、問題点に対する安全指導などが大変重要となりますが、実施されていない事業場も散見されます。
 こうした状況を踏まえ、新見労働基準監督署では、令和4年12月6日に、伐木作業を行っている林業、建設業、農業、ゴルフ場などの事業者を対象に、安全管理や労働災害防止に関する意識の高揚を目的としたセミナーを開催しました。
 


 
       
   
     
 
伐木作業等を行う際は、労働安全衛生法等に基づく危険防止措置を徹底させるとともに、雇入時の安全衛生教育の充実や「チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン」等による安全作業に関する指導、木材伐出機械等に係る労働災害防止に努めてください。

新見労働基準監督署からの説明
 新見労働基準監督署からは、労働災害発生状況、管内災害事例、労働災害防止対策などについて説明を行いました。
 
説明資料(PDF:2.89 MB)
周知資料(PDF:15.2 MB)
 
【新見労働基準監督署独自作成リーフレット】
「伐木作業中の死亡災害・重篤災害が発生しています」( PDF  372 KB )
 
 
【特別講演】
林業・木材製造業労働災害防止協会 山本安全管理士
「林業の労働災害防止のために必要なこと」
 
 特別講演として、林業・木材製造業労働災害防止協会から、山本正晴 安全管理士及び山下勤 林材業労災防止特定専門調査員をお招きして、災害の調査結果、現場の安全パトロールの結果などから見える問題点、会社の安全担当者・現場の責任者が安全管理を行う上での留意すべき点などについてご講演いただきました。
 管理面で留意すべき点の要旨を下記に取りまとめましたので、現場責任者・班長クラスの方にも情報共有していただき、今後の管理活動の参考にしてください。
 なお、災害事例から見る問題点、林業現場パトロール等で見る問題点については、下記の説明資料をご確認ください。
 
【講演の要旨(管理面で留意すべき点)】
☑ 災害防止に必要なこと
・人間は間違いを犯す動物であるので、災害防止は一つの対策では足らない場合が多い。
・二つ、三つの対策が必要で初めて効果がある。
・手間を省くのではなく、必要な手間をかけることが重要。
 
☑ 特に林業の現場には、人の目が届かないことで基本的事項が守られない傾向が強いことから、
①作業者自身
②現場責任者
③林業事業者の幹部
④外部(労基署、森林管理署などの発注者)
の4つの眼が必要である。
 
☑ 現場の班長クラスの方にしてもらいたいこと
  林業現場で作業者に基本的事項を守ってもらうためには、作業者の方々の意識も重要だが、同時に現場を厳しく見る目が必要。
  現場の班長には、現場を厳しく見る目になってもらいたい。
  そうすることで作業者の意識を高めることとなる。
 
【具体的な実施事項】
①作業計画を作成してください。
 作業計画は掲示するだけではなく、必要な個所は作業者に具体的に説明をしてください。
②伐根等の状況を適宜確認してください。つるのないものなどが見つけたときは、作業者に注意してください。
③伐倒の合図、退避の状況を確認してください。
④かかり木の処理については、簡単な作業方法ではなく、安全な作業方法を優先するように指導してください。
⑤林業機械が走行する作業道の幅が狭いなど危険個所の表示・注意点などを周知してください。
 フェリングレバーなど、必要な道具を現場に準備していることを確認してください。
⑥熱中症を含めた被災時の救護が遅れないために、作業者の状況を定期的に確認してください。
 また、連絡体制を事前に確認しておいてください。
⑦基本的事項を遵守していただき、例外の作業を常態化しないように努めてください。
 
☑ 最後に
 災害防止のためには、安全な環境と安全な方法で作業する必要があります。
 しかし、自然環境の中で行う林業は、環境を安全にすることは難しいこともあり、より安全な方法で作業する必要があります。
 そのためにも、法律を含め安全な方法で作業しているか、常にセルフチェック(自己確認)を行いましょう。
 
◆説明資料
   「林業の労働災害防止のために必要なこと」(PDF:1.39 MB)
  「作業別の災害事例」(PDF:2.90 MB)
  ※作業別の災害事例については、各職場においてKY活動等にご活用ください。
 
 
関連サイト
 
【伐木作業・林業における安全対策等】
安全対策等については下記のWEBサイト等をご参照ください。
・ 労働省HP「伐木作業・林業における安全対策」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000207439_00003.html
労働安全衛生法令(伐木作業・林業安全)の改正関連情報、労働安全衛生法令(伐木作業・林業安全)の通達・事務連絡等を掲載しています。
「チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン」「林業の作業現場における緊急連絡体制の整備等のためのガイドライン」等をご確認ください。
 
 
【その他の参考事項等】
 ・林野庁HP「森林で働く人たちの安全で快適な職場づくり」
https://www.rinya.maff.go.jp/j/routai/anzen/index.html
 チェーンソーの操作技能基本トレーニングテキストがダウンロードできます。
 
林野庁HP「蜂刺され災害を防ごう」
https://www.rinya.maff.go.jp/j/routai/anzen/yonn.html
 夏場の林業作業で留意すべきものに蜂刺されがあります。
刺す蜂の中で怖いのはスズメバチとアシナガバチです。特にスズメバチは攻撃性も強く、刺された場合危険な状態に陥ることもあり、注意が必要です。

 ・林野庁HP「森林内等の作業におけるダニ刺咬予防対策」
https://www.rinya.maff.go.jp/j/routai/anzen/daniyoboutaisaku.html
 マダニが媒介する感染症には重症熱性血小板減少症候群(SFTS)・ダニ媒介脳炎・日本紅斑熱・つつが虫病・ライム病などがあります。マダニは全国に分布しており、森林内等で作業を行う場合は注意が必要です。
 
広島県HP「林業での安全衛生管理に関するお役立ちまとめ」
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/86/ringyo-anzen-yakudachi.html
 年間安全衛生計画・作業手順書・作業計画の見本、安全衛生管理チェックシート等が掲載されています。
 
 

 

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