- 兵庫労働局 >
- 誰もが働きやすい職場づくり
誰もが働きやすい職場づくり
安全で健康に働くことができる環境づくり
(1)長時間労働の抑制
① 長時間労働の抑制に向けた監督指導の強化等
長時間労働の抑制を図り、過重労働による健康障害を防止するため、各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり80 時間を超えていると考えられる事業場及び長時間にわたる過重な労働による過労死等の労災請求が行われた事業場全数に対する監督指導を引き続き実施します。
また、11 月には「過労死等防止啓発月間」として長時間労働が疑われる事業場に対する重点監督を集中的に実施するとともに、「しわ寄せ防止キャンペーン月間」として大企業・親企業の働き方改革に伴う下請等中小事業者への「しわ寄せ」防止に向けた周知啓発等の取組を行います。
過労死等防止対策(厚生労働省ホームページ)
しわ寄せ防止キャンペーン月間
② 労働時間の縮減等に取り組む事業者への支援
生産性を高めながら労働時間の短縮等に取り組む中小企業・小規模事業者が抱える様々な課題に広く対応するため、「兵庫働き方改革推進支援センター」において、労務管理の専門家による電話・メール・来所相談による個別相談支援、企業への訪問コンサルティング等の支援サービスの提供を行います。
全ての監督署に編成した「労働時間改善指導・援助チーム」のうち「労働時間相談・支援班」において、説明会の開催や中小規模の事業場への個別訪問により、平成31年4月1日から順次施行された改正労働基準法等の周知や、テレワーク等の新しい働き方に対応した適切な労務管理の支援を中心としたきめ細やかな相談・支援を行います。
また、生産性向上を図りながら労働時間短縮に取り組む中小企業・小規模事業者に対し、就業規則の作成・変更費用、労務管理用機器等の導入経費の一部を助成する「働き方改革推進支援助成金」を支給します。
兵庫働き方改革推進支援センター
働き方改革推進支援助成金
③ 新たに 時間外労働の上限規制が適用となる事業・業種への支援
令和6年4月から時間外労働の上限規制が適用開始される建設業、自動車運転者、医師について、引き続き上限規制や見直し後の改善基準告示等を集中的に周知します。
また、上限規制の円滑な施行に向けて企業・国民等の更なる理解を促すために設置された特設サイト「はたらきかたススメ」の周知・広報に取り組むとともに、荷主等の取引先との取引条件改善などの環境整備を推進します。
医師については、兵庫県医療勤務環境改善支援センターと連携し、医療機関への適正な支援を行います。
トラック運転者については、引き続き、関係省庁とも連携しながら、「荷主特別対策チーム」において、発着荷主等に対して、長時間の恒常的な荷待ち時間を発生させないこと等についての要請と、その改善に向けた働きかけを行うとともに、賃金水準の向上に向けて、賃金の原資となる適正な運賃(標準的な運賃)を支払うことについて周知を行います。
これらの取組とともに、こうした業種において、生産性向上を図りながら労働時間短縮に取り組む事業主に対し、兵庫働き方改革推進支援センターにおいて、窓口相談やコンサルティング、セミナーの実施等、きめ細かな支援を行うとともに、働き方改革推進支援助成金の活用を促進し支援を行います。
はたらきかたススメ(外部サイト)
④ 過労死等防止対策の推進
過労死等防止対策推進法や「過労死等の防止のための対策に関する大綱」等に基づき、11 月の「過労死等防止啓発月間」の取組や、民間団体の活動に対する支援等の対策を効果的に推進します。
(2)法定労働条件の確保等
令和6年4月から労働基準法に基づく労働条件明示事項に、就業場所・業務の変更の範囲等の事項が追加されることや裁量労働制に係る改正が行われることから、監督指導や法令の周知、集団指導など、様々な行政手法を組み合わせながら、法定労働条件の確保が図られるよう取り組みます。
法定労働条件の履行確保のためには、事業場における基本的な労働条件の枠組みや管理体制の確立・定着が重要であることから、監督指導において法違反が認められた場合は、事業主に違反内容や是正の必要性、具体的な是正・改善に向けた取組方法を助言するなどにより、労使の自主的な改善が促進されるよう取り組みます。
また、引き続き、労働時間の適正把握や賃金不払残業の防止、年次有給休暇の年5日以上の取得等、最低基準である労働基準関係法令の遵守徹底を図ります。
一方、重大・悪質な事案に対しては、司法処分を行うなど厳正に対処します。
労働基準・労働契約関係
(3)労働者が安全で健康に働くことができる環境の整備
① 兵庫第14次労働災害防止推進5か年計画の推進
労働災害による被災者を減らし、労働者一人一人が安全で健康に働くことができる職場環境の実現に向け、令和5年度(2023 年度)から、5年間にわたり、国、事業者、労働者等の関係者が目指す目標や重点的に取り組むべき事項を定めた「兵庫第14 次労働災害防止推進5か年計画(以下「14 次防」)」による労働災害防止対策を推進中です。
特に、働く人の生命と健康はかけがえのないものであり、働くことで生命が脅かされたり、健康を損なうことは本来あってはならないものであることを踏まえ、働く人の命を守るという原点に戻り、減少目標を掲げて、労働災害の一層の削減に取り組みます。
14 次防が掲げる目標については、死亡者数は、令和9年(2027 年)までに令和4年(2022 年)比で15%以上減少させ、死傷者数は、令和3年(2021 年)までの増加傾向に歯止めをかけ、令和4年(2022 年)と比較して令和9年(2027 年)までに減少させることとしています。
兵庫第14 次労働災害防止推進5か年計画
②「兵庫リスク低減МS運動(2期)」の推進
兵庫労働局の独自取組である「兵庫リスク低減MS運動(2期)」は、14 次防の目標達成のため、継続して取り組みます。
MS運動※は、働く人の命を脅かすような重篤な災害の撲滅と、万一災害が起きても休業を要しない程度の軽微な被害に抑えられる安全・安心な職場環境の実現を目指して、経営トップが強い決意に基づき安全衛生方針を表明(取組宣言)し、職場の安全衛生に積極的に関わること、PDCA(P(計画)-D(実行)-C(評価)-A(改善))サイクルによる組織的安全衛生管理の運営を図ること、更にリスクアセスメントを継続的に実施し残されたリスク(残留リスク)を明確かつ重点的に管理することで、「許容できないリスクがない職場づくり」につなげるための運動です。
特に、中小企業にもMS運動の取組が浸透するよう、労働災害防止団体、関係業界団体並びに労働者の安全衛生対策の責務を負う事業者及び発注者等、様々な立場の関係者と連携し、展開します。
※「MS運動」のMSとは、Management System(マネジメントシステム)の略語です。
兵庫リスク低減МS運動(2期)
③「兵庫SAFE協議会」による第三次産業対策への取組の推進
第三次産業で発生する「転倒災害」や腰痛等の「動作の反動・無理な動作」といった労働者の作業行動に起因する労働災害(行動災害)は増加傾向にあり、従来の手法だけでは労働災害は減らせないことから、労働災害防止対策の取組として、「小売業」及び「介護施設(社会福祉施設)」について、県内の主要な企業、地方公共団体、関係団体等を構成員とする「兵庫SAFE協議会」を運営します。
今年度も引き続き「兵庫SAFE協議会(小売業)」、「兵庫SAFE協議会(介護施設)」において、安全衛生に関する情報や好事例の提供並びに業界の課題等を共有し、労働災害の減少を図るための支援を行います。
第三次産業の労働災害防止
④ 転倒災害防止対策と高年齢労働者の特性に配慮した安全衛生対策の推進
労働災害のうち最も多く発生する「転倒災害」を減少させるため、労働災害防止団体等と連携を図り、転倒の態様に対応した具体的な転倒災害防止対策を推進します。
近年は、働く高年齢者の増加(65 歳以上の雇用者数は過去10 年間で1.5 倍)に伴い、60 歳以上の労働者が被災する割合は約3割に迫り、なかでも「転倒災害」は、高年齢労働者において多く発生(転倒災害の4割超を占める)している状況にあります。
このため、高年齢労働者が安心して安全に働くことが出来る職場環境の実現に向けた「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)」の普及促進を図ります。また、転倒災害防止対策と併せて関係団体への協力要請や事業場への指導を実施します。
さらに、「中小企業による高年齢労働者の安全・健康確保措置を支援するための補助金(エイジフレンドリー補助金)」制度の周知に努めます。
転倒災害防止対策
高年齢労働者の安全衛生対策
⑤ 外国人労働者の労働災害防止対策の推進
外国人労働者を雇用する事業主に対して、外国人労働者が容易に理解できる外国語の労働安全衛生に関するテキスト、VTR等の視聴覚教材の周知及び活用の促進を図り、外国人労働者の労働災害防止対策を推進するとともに、労働関係法令を周知し、法定労働条件の履行確保を図ります。
また、兵庫労働局に設置する外国人労働者相談コーナー(2言語(ベトナム語、中国語))のほか、全国の労働局や労働基準監督署の相談コーナーとネットワークを構築した外国人労働者向け相談ダイヤル(13 言語)を活用し、引き続き丁寧な労働相談対応を行います。
外国人労働者を雇われている事業場の皆様へ
⑥ 産業保健活動、メンタルヘルス対策の推進
長時間労働やメンタルヘルス不調などにより、健康リスクが高い状況にある労働者を見逃さないため、医師による面接指導や健康相談、ストレスチェック制度をはじめとするメンタルヘルス対策の取組が各事業場で適切に実施されるよう、あらゆる機会を捉え周知・指導を行います。
また、ストレスチェックの集団分析結果に基づく職場環境の改善など、兵庫産業保健総合支援センター及びその地域窓口(地域産業保健センター)の利用勧奨を行うことにより取組の促進を図るほか、中小企業等の産業保健活動の支援を行う団体経由産業保健活動推進助成金の周知を行います。
さらに、健康診断及び事後措置等の徹底を図るため、9月の「職場の健康診断実施強化月間」において、重点的に周知・指導を行うとともに、労働安全衛生規則の改正による「歯科健診」の実施、「高齢者の医療の確保に関する法律」に基づく定期健康診断結果の医療保険者への提供等について周知を図ります。
職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策関係
⑦ 新たな化学物質規制の周知、石綿ばく露防止対策の徹底
労働安全衛生規則等が改正され、これまで法令の対象となっていない化学物質への対策の強化を目的に、事業者自らが、リスクアセスメント結果に基づき、労働者が有害な化学物質にさらされないようにする措置を適切に行うための管理制度が導入され、施行されました。この新たな化学物質規制の措置が円滑に実施されるよう、あらゆる機会を通じて周知啓発を図ります。
また、改正石綿障害予防規則に基づく措置の徹底を図るため、石綿事前調査結果報告システムによる事前調査結果等の報告、令和5年10 月から建築物、船舶(鋼製のものに限る)に義務づけられた建築物石綿含有建材調査者講習等の修了者による調査の徹底など、石綿除去等作業時におけるばく露防止措置の周知・指導を行います。
石綿ばく露防止対策
⑧ 治療をしながら仕事ができる環境の整備(治療と仕事の両立支援)
病気を抱える労働者が治療をしながら仕事ができる環境を整備するため、県内の地方自治体、医療機関、関係団体等を構成員とする「兵庫県地域両立支援推進チーム」を設置し、多方面から関係者のサポートを行います。
現在、推進チームにおいては、設置期間を令和8年度まで延長するとともに、令和4年度を初年度とするアクションプラン!(5か年計画)に基づき、推進チーム内にワーキンググループとして、3つの作業部会(好事例集作成部会、イベント・セミナー作業部会、相談支援機関分科会)を設置・運営し、地域における両立支援の促進を図ります。
また、主治医、企業・産業医と労働者(患者)に寄り添う両立支援コーディネーターのトライアングルサポート体制を推進するため、推進チームの取組を通じて、「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」を周知し、地域の関係者に対して、両立支援についての理解の促進を図ります。
治療と仕事の両立支援について
(4)総合的なハラスメント対策の推進
① 職場におけるハラスメント防止措置の履行確保
パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、 妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント等職場におけるハラスメント防止措置を講じていない事業主に対し、行政指導を確実に実施して法の履行確保を図るとともに、ハラスメント被害を受けた労働者からの相談に丁寧に対応し、紛争解決援助の実施等により迅速な紛争解決を図ります。
また、適切なハラスメント防止措置が講じられるように、事業主に対して、厚生労働省で委託する事業主・ハラスメント相談窓口担当者等向け研修やウェ ブサイト「あかるい職場応援団」の各種ツールの周知を行います。
労働施策総合推進法(パワーハラスメント関係)、ハラスメント総合対策関係
② 就活生等に対するハラスメント・カスタマーハラスメント対策の推進
職場におけるハラスメントの撲滅に向け、例年12 月に実施している「ハラスメント撲滅月間」を中心に、事業主等への周知啓発を実施します。
就職活動中の学生等に対するハラスメントについて、事業主に対して、ハラスメント防止指針に基づく「望ましい取組」の周知徹底を図り、自主的な取組を促します。
学生に対しては、大学への出前講座等の機会に、 相談先等を記載したリーフレットを活用し、学生が一人で悩むことがないよう支援しつつ、学生からの相談等により事案を把握した場合は、事業主に対して適切な対応を求めます。
また、カスタマーハラスメントの防止対策を推進するため、カスタマーハラスメント対策企業マニュアル等を活用して、企業の取組を促します。
職場におけるハラスメントの防止のために(厚生労働省ホームページ)
過労死等事案をはじめとする労災請求事案に係る迅速・公正な処理
過労死等事案をはじめとする労災請求事案については、認定基準等に基づき、迅速・公正な事務処理を一層推進します。また、業務によって新型コロナウイルスに感染した事案については、その罹患後症状も含め、的確に労災保険給付を行います。
労災保険について
障害者・高年齢者の活躍に向けた雇用指導・支援
(1)障害者の雇用率達成に向けた雇用指導・支援
全ての企業において法定雇用率が達成されるよう、全未達成企業に対して事業所訪問を中心とした複数回のアプローチを行い、障害者雇用につながるよう支援・指導を行います。令和6年4月からの法定雇用率の引上げ(民間企業2.3%→ 2.5%等)等により、新たに雇用義務が生じる企業や、障害者の雇用経験や雇用ノウハウが不足している雇用ゼロ企業(障害者を一人も雇用していない企業)については、ハローワークが中心となって各種支援機関と連携し、職場環境の整備から求職者の開拓、定着の支援など企業ニーズに合った企業向けチーム支援を行います。また、「精神・発達しごとサポーター養成講座」を開催し、職場の同僚に障害特性を正しく理解していただくことで職場定着につなげます。
障害者雇用対策について
(2)高年齢者の定年延長・雇用継続の促進等
働く意欲と能力がある限り、年齢にかかわりなく活躍し続けることができる社会の実現に向けて、高年齢者雇用安定法により定められている65 歳までの雇用を確保する措置(高年齢者雇用確保措置)に加えて、令和3年4月から努力義務とされている70 歳までの就業機会を確保する措置(高年齢 者就業確保措置)の導入に向けた、企業への制度周知・啓発指導を行います。
高年齢者雇用対策について
フリーランスの就業環境の整備
令和6年秋頃に予定している「フリーランス・事業者間取引適正化等法」の施行に向けて、 フリーランスや発注事業者等に対し、あらゆる機会を捉え、同法の内容について周知啓発を 行うとともに、フリーランスや発注事業者等からの就業環境整備に関する問合せに適切に対応します。
また、フリーランスから発注者等とのトラブルについての相談があった際には、「フリーラ ンス・トラブル110 番」を紹介するとともに、働き方の実態から労働者に該当すると認めら れる場合は、各労働関係法令に基づき必要な対応を行います。
テレワーク・フリーランス
働き方・休み方改革の促進
(1)多様な働き方の導入支援
適切な労務管理の下で安心して働くことができるテレワークの導入・定着促進を図るため、 様々な機会を捉えて、「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」、「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」及びテレワーク相談センター等を周知し、企業の環境整備を支援します。
また、労働者個々のニーズに基づいて多様な働き方を選択し、活躍できる環境を整備するため、多様な正社員制度、勤務間インターバル制度等柔軟な働き方について周知するとともに、当該制度の導入を促進することにより、ワーク・ライフ・バランスの実現を推進します。
テレワーク・フリーランス
人材確保等支援助成金(テレワークコース)について
(2)年次有給休暇の取得促進
年次有給休暇の取得促進に向けて、年次有給休暇の時期指定義務の周知徹底、計画的付与制度及び時間単位年休の導入促進を行うとともに、例年10 月に実施する「年次有給休暇取 得促進期間」の集中的な広報に取り組みます。 また、病気休暇、ボランティア休暇等特別休暇についても、企業への導入支援を図ります。
年次有給休暇取得促進ページ
民間人材サービス事業者への指導監督の徹底
安心して民間人材サービスを利用できるよう、職業安定法及び労働者派遣法の違反を把握し、またはその疑いのある職業紹介事業者、派遣元事業主等に対する指導監督を引き続き実施します。
また、労働者派遣法の適正な履行確保に向けて、特に派遣労働者の同一労働同一賃金については労働基準監督署による定期監督等における情報提供を受けることにより、効率的な指導監督を行い、是正指導の実効性を高め、派遣元事業主等の自主的な取組を促すことで遵守徹底を図ります。
労働者派遣事業