青森労働局長による職場訪問を実施

~地場製造業における働き方改革への取り組みについて意見交換~

 青森労働局(局長 角井 伸一)では、「過労死等防止啓発月間」である11月に、過労死等をなくすため、様々な周知・啓発を行っています。
 その一環として、令和7年11月17日(月)に長時間労働の縮減をはじめとする働き方改革を積極的に推進している企業(ベストプラクティス企業)として、青森市にあります青森オフセット印刷株式会社(代表取締役社長 三上 伸)を角井労働局長が訪問し、代表取締役社長三上伸様、同副社長三上大岳様、同社労働組合執行委員長佐藤様からお話を伺いました。
 
 青森オフセット印刷株式会社は、1950年創業の印刷業者で、各種印刷物の企画・製造を行っています。従前は拘束時間の長い勤務がありましたが、いち早くデジタル化に取り組むなどにより、労働時間の削減や休暇取得促進等の働き方改革に取り組んでいます。
 

意見交換の様子

(左奥:三上伸社長、左中:三上大岳副社長、左手前:佐藤執行委員長)
​(右手前:角井労働局長、右奥:加藤監督課長)



1 きっかけは男女雇用機会均等法

 現在、わが社の労働者の人員配置に、性別・年齢による差はありません。
 もともと、印刷・製本などの現場作業は男性が主で、女性が補助業務という暗黙の役割分担があったが、男女雇用機会均等法の施行のタイミングで、「作業の適材適所は性別にかかわらないのでは」と考え、性別にかかわらず個人のスキル・センスで様々な作業に従事してもらうことになったのが、働き方を見直すきっかけとなりました。

2 一人ひとりの事情に着目

​ 育児・介護・病気の治療など、社員それぞれが様々な事情を抱え、その事情のために退職することがあっては当社にとっても痛手となる。一人ひとりが抱える事情を把握した上で、仕事と両立し、長く働いてもらうためにどのような働き方がいいのか、一人ひとりについて考えることとして、以下の取り組みを行っています。


1 マルチタスク・マルチワークの実現

 二人一組のセル方式を導入し、他業務の経験のある者を複数置く柔軟性を持ったバックアップ体制を構築した。併せて、業務のデジタル化及びソフトウェアの統一に取り組み、前工程から印刷工程までを部門の誰もが担当できる体制を構築した結果、急な欠員にも対応が可能となり、休暇の取得促進と時間外労働の削減につながっています。
 労働者側も「困ったときはお互い様」という意識があり、労使双方が同じ方向を向いてマルチタスク・マルチワークを進めることができています。

 【平均年次有給休暇取得日数 平成26年:12.4日 → 令和6年:17.7日】
 

 前工程の作業を見学している様子

2 高年齢労働者の所定労働時間選択制の導入

​ 当社の所定労働時間は7時間としていますが、65歳を超える労働者には個人の事情に応じて5時間勤務を選択可能とし、75歳を超える労働者には5時間勤務を基本としています。
 また、治療や介護等個人の事情によるやむを得ない退職を避けるため、個人の事情を踏まえて所定労働時間を決められるようにしています。
 今では、育児・介護等の事情により退職する労働者は極めて少なくなり、75歳を迎えても現役で働いている労働者がいるなど、経験のある社員の技術を活用・継承できています。

3 機器更新による生産性向上の実現

 後加工付きデジタル印刷機や、インクジェット印刷機の導入により、工程短縮、多目的使用、印刷時間の大幅短縮を実現しています。
 また、工程の一部を夜間に無人で稼働させることにより、短納期での対応が可能になったことに加え、直近10年の月の時間外労働時間数を平均5時間前後に収められているなど、時間外労働削減に継続的な効果を発揮しています。
 

稼働中の印刷機を見学している様子

 角井労働局長からは、「個人の事情に着眼し、それぞれが抱える事情と仕事を両立し、長く働き続けられるかという観点での取り組みを行った結果、今があるということがわかりました。当局としても、模範となる取り組みを行っている企業については、今後とも積極的に周知したいと考えています。」と述べました。


(左:角井労働局長、右:三上伸社長)











 
過去のベストプラクティス企業
年度 企業名 所在地 取組の概要
2024年 田中建設工業株式会社 十和田市 施工管理ソフトの導入
ICT機器の導入による測量等の省力化
2023年 三八五流通株式会社 八戸市 荷役作業と配送の分担
2022年 共立設備工業株式会社 弘前市 CAD専用ソフトの導入
男性の育児休業取得促進
2021年 社会福祉法人スプリング
特別養護老人ホーム福寿草
八戸市 タブレット導入による記録の電子化

 

 

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