青森労働局長による職場訪問を実施

~建設業における労働時間縮減等について意見交換~

 青森労働局(局長 井嶋(いじま) (とし)(ゆき))では、「過労死等防止啓発月間」である11月に、過労死等をなくすため、様々な周知・啓発を行っています。
 その一環として、令和6年11月11日(月)に長時間労働の縮減をはじめとする働き方改革を積極的に推進している企業(ベストプラクティス企業)として、十和田市にある田中建設工業株式会社(代表取締役社長 田中(たなか) (すすむ))を井嶋労働局長が訪問し、代表取締役社長田中(たなか)様、常務取締役東大野(ひがしおおの)様、建設部長上野(うえの)様からお話を伺いました。


意見交換の様子


 

 田中建設工業株式会社は、大正2年創業の総合建設業です。
 参加者の田中様からは、建設業は業務が天候に左右されることがあり、また、工期のある仕事なので工期終了前後は残業が多い傾向があり、長時間労働が普通であったことが述べられました。



 田中建設工業会社における長時間労働削減への取り組みの転換点として、

 (1) 20年以上前から施工管理ソフトを導入し、施工計画、測量・図面作成、施工管理、完成検
    査、納品までをシステム化し、現場監督業務を効率化したこと。
 (2) 15年ほど前から自動追尾型のトータルステーション(測量機器)を導入し、1人でも測量が
    可能となったこと。更に測量データを自動記録することにより測量業務の効率化を実現した
    こと。
 (3) 10年ほど前からICT施工を実施し、
    ① ドローンによる測量とアプリケーションソフトによる効率化があり、従来は複数人が数
      日かけて行っていたものが半日程度で測量から図面作成まで完成することができるよう
      になったこと。
    ② 図面も3次元データ化されるため、その後の作業の円滑化につながっていること。
    ③ ICT機能を搭載した建設機械を活用する施工を通じて大幅な生産性の向上が図られたこ
      と。及び、熟練者でなくとも操作が可能となるため経験の浅い若手も作業できるなど、
      人繰りも容易になったこと。
    ④ ICT施工をすることで、従来行っていた丁張作業がなくなるなど、省力化、省人化さ
      れ、効率化とともに安全性も向上したこと。

 以上3点の取り組みの結果、労働時間の短縮や年次有給休暇の取得増加に繋がったことなどが述べられました。

 また、公共工事においては4週8閉所が普及しているが、民間工事では、まだ工期が厳しいものがあること。建設業の現場で人手不足が深刻化する中、人材確保のため新卒者の初任給を引き上げてきているが、それでも若年労働者の採用には苦慮している旨が述べられました。

 最後に、井嶋局長から「建設業の労働時間の縮減には自社だけでなく発注者の理解も必要であること。業務の効率化を図り、生産性を向上させることが重要であることなどを実感しました。他社への周知も含め、国もバックアップしていきたいと思います。」と述べました。
 

 

左から上野様、東大野様、田中様、井嶋労働局長、八木澤監督課長

 

 

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