中皮腫や肺がんなどの石綿ばく露を原因とする疾病は、石綿ばく露から疾病の発症までの潜伏期間が非常に長期にわたるものです。このため、労働者に発症したこれらの疾病について、業務により石綿にばく露したことと当該疾病との関連性に、これまで医師も労働者本人も気づきにくいといった特質がありました。この結果、労働者災害補償保険法(以下「労災保険法」といいます。)に基づく労災保険給付を請求する機会を逸し、時効により所定の労災保険給付を受ける権利を失っている方が存在している状況にあります。
このような状況にかんがみ、平成18年3月に施行された「石綿による健康被害の救済に関する法律」(以下「石綿救済法」といいます。)により、石綿ばく露を原因とする疾病により死亡した労働者のご遺族で労災保険法の遺族補償給付を受ける権利が時効により消滅した方に対し特別遺族給付金が支給されます。
この特別遺族給付金の請求にあたりましては、以下の事項に特にご注意いただきますようお知らせいたします。
なお、制度の詳細な内容につきましては、最寄りの都道府県労働局又は労働基準監督署までお問い合わせください。
特別遺族給付金は、石綿救済法により平成18年3月26日以前に石綿ばく露を原因とする疾病により死亡した労働者のご遺族で時効により労災保険法に基づく遺族補償給付の支給を受ける権利が消滅した方を支給の対象としています。
年金として支給される特別遺族給付金(特別遺族年金)は、請求があった日の属する月の翌月分からの支給になりますので、請求が遅くなると受給総額が減少することとなります。また、特別遺族給付金の支給決定に係る調査では、エックス線フィルムやカルテといった医学的資料に基づき、石綿ばく露と当該疾病との因果関係を判断することがありますが、これらの医学的資料は法令により保存期間が定められているため、期間を経過した場合は、医療機関に医学的資料が保管されていないことも想定されますので、早めに請求されることをお勧めします。
平成15年12月1日以降に、業務よる石綿ばく露を原因とする疾病により死亡した労働者のご遺族は、労災保険法に基づく遺族補償給付が支給されます。
但し、遺族補償給付を受ける権利は、時効により労働者が死亡した日の翌日から起算して5年で消滅します。時効完成後は、遺族補償給付は受給できなくなりますので、お心当たりのある方は早急に、最寄りの都道府県労働局又は労働基準監督署までご相談ください。
また、石綿ばく露を原因とする疾病にり患して、現在療養している労働者の方は、労災保険法に基づく療養補償給付・休業補償給付の支給対象となります。
石綿ばく露を原因とする疾病について、石綿ばく露の原因が業務によるものなのか、業務以外の原因によるものなのか明らかでない場合には、労災保険給付の請求と救済給付の申請、あるいは特別遺族給付金の請求と救済給付の申請を同時に行うことも可能です。
なお、「特別遺族給付金について」、「よくあるご質問」等は 厚生労働省のホームページにまとめてありますので、ご参照ください。
特別遺族給付金や労災保険制度については、都道府県労働局又は労働基準監督署、労災保険給付の対象とならない方への救済給付については、独立行政法人環境再生保全機構(0120-389-931)までお問い合わせください。
|