1.最低賃金制とは?
最低賃金制とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとされている制度です。
仮に最低賃金額より低い賃金を労使合意の上で定めても、それは法律により無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとみなされます。
したがって、最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額との差額を支払わなければなりません。また、地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、罰則(罰金額の上限50万円)が定められています。
2.最低賃金の種類には、どのようなものがありますか?
最低賃金には、下記のように地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金の2種類があります。
(1) |
地域別最低賃金
※ |
都道府県ごとに、その都道府県内のすべての労働者と使用者に適用されます。(例)○○県最低賃金 |
|
(2) |
特定(産業別)最低賃金
※ |
都道府県ごとに、その都道府県内の特定の業種の労働者と使用者に適用されます。(例)○○県鉄鋼業最低賃金 |
|
なお、使用者は、地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金の両方の最低賃金が同時に適用される場合には、高い方の最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。
3.最低賃金はすべての人に適用されるのですか?
地域別最低賃金は、事業場で働く常用、臨時、パートタイマー、アルバイト、嘱託など雇用形態や呼称の如何を問わずすべての労働者とその使用者に適用されます。
なお、一般の労働者と労働能力などが異なるため、最低賃金を一律に適用するとかえって雇用機会を狭める可能性がある次の労働者については、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることを条件として個別に最低賃金の減額の特例が認められます。
最低賃金の減額特例を受けられる労働者は
(1) |
精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い方 |
(2) |
試の使用期間中の方 |
(3) |
職業能力開発促進法に基づく認定職業訓練を受ける方のうちの省令で定める方 |
(4) |
軽易な業務に従事する方 |
(5) |
断続的労働に従事する方 |
となっています。
最低賃金の減額の特例許可を受けようとする使用者は、特例許可申請書【所定様式による申請書※下記参照】2通を作成し、所轄の労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長(茨城労働局長)に提出してください。
※ 最低賃金の減額の特例許可申請書様式・記入要領 (厚生労働省のページへ)
4.派遣労働者への適用は?
派遣労働者については、派遣先の事業場に適用されている最低賃金が適用されますので、派遣先事業場に適用される最低賃金を把握しておく必要があります。
いずれも、厚生労働省のホームページにリンクしています。
5.最低賃金はどのようにして決められるのですか?
・最低賃金の決定について
6.最低賃金はどのような賃金を対象としているのですか?
最低賃金の対象となる賃金は、通常の労働時間、労働日に対応する賃金に限られます。
具体的には、実際に支払われる賃金から次の賃金を除外したものが最低賃金の対象になります。
(1) |
臨時に支払われる賃金(結婚手当など) |
(2) |
1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など) |
(3) |
所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など) |
(4) |
所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など) |
(5) |
午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など) |
(6) |
精皆勤手当、通勤手当及び家族手当 |
最低賃金の対象となる賃金の例
7.最低賃金額以上となっているかどうかは、どのようにして調べるのですか?
すべての地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金については、時間額のみの表示となっていますが、一部の特定(産業別)最低賃金については、従前どおり日額と時間額の両方で定められています。
日額と時間額の両方で定められている特定(産業別)最低賃金の適用される労働者の範囲については、従前どおり時間額は時間給制の労働者に、日額は時間給制以外の労働者に適用されますのでご注意ください。
実際の賃金が最低賃金額以上となっているかどうかを調べるには家族手当、精皆勤手当、通勤手当、時間外割増賃金などの除外賃金を差し引いた賃金額(質問5に記載した最低賃金の対象となる賃金の例を参照)と適用される最低賃金額を次の方法で比較します。
賃金の支払方法が
(1) |
時間給の場合 ・・・・・・・・ |
時間給≧最低賃金額(時間額) |
(2) |
日給の場合 ・・・・・・・・・
(ただし、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合)・・ |
日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金(時間額)
日給≧特定(産業別)最低賃金 (日額) |
(3) |
時間給、日給以外(週給、月給等)
の場合・・・
(ただし、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合)・・ |
賃金額を時間当たりの金額に換算し、最低賃金(時間額)と比較します。
賃金額と最低賃金額(日額)のそれぞれを時間当たりの金額に換算して比較します。 |
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月給制の場合の換算方法の例
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