3(2)陸上貨物運送事業の安全衛生対策

陸上貨物運送事業における安全衛生対策の推進について


 コロナ禍における外出自粛による宅配便取扱個数の増加等の影響もあって、陸上貨物運送事業(道路貨物運送業と陸上貨物取扱業)における労働災害は全国的に増加しており、特に荷役作業中等の「墜落、転落」による死傷者数が全体の約3割を占め、最多となっております。
 東京労働局の管内における令和4年の労働災害の発生状況は、新型コロナウイルス感染症によるり患を除いても、死亡者数は4人(前年比2人増)休業4日以上の死傷者数は1,077人(前年比2人増)とそれぞれ増加傾向にあります。事故の型別で見ますと、腰痛災害を含んだ「動作の反動、無理な動作」による死傷者数が262人と最多ですが、次いで荷役作業中等の「墜落、転落」による死傷者数が234人であるため、この2つの事故の型による死傷者数で全体の約半数を占めます。
 このような中、東京労働局では、第14次東京労働局労働災害防止計画(2023年度から2027年度まで)を策定し、陸上貨物運送事業における労働災害の減少に向けて、以下の目標と取組事項を掲げ、事業者の皆様とともに取り組むことにより、陸上貨物運送事業の安全衛生対策の推進を図ることとしました。
 
第14次東京労働局労働災害防止計画(陸上貨物運送事業関係)
計画の目標
アウトプット指標
アウトカム指標
「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全作業ガイドライン」(平成25年3月25日付け基発第1号。以下「荷役作業における安全ガイドライン」という。)に基づく措置を実施する陸上貨物運送業等の事業場(荷主となる事業場を含む。)の割合を2027年までに45%以上とする。 ・陸上貨物運送事業における死傷者数を2022年と比較して2027年までに5%以上減少させる。
労働災害防止対策の推進
(ア)労働者の協力を得て、事業者が取り組むこと (イ)(ア)の達成に向けて当局が取り組むこと
「荷役作業における安全ガイドライン」に基づく安全衛生管理体制の確立、墜落・転落災害や転倒災害等の防止措置、保護帽の着用、安全衛生教育の実施等、荷主も含めた荷役作業における安全対策に取り組む。
(1),(2)

・陸上貨物運送事業における死傷災害の約7割荷役作業時に発生しており、トラックからの墜落・転落災害が多数発生していることから、トラックからの荷の積み卸し作業における墜落・転落防止対策の充実強化を内容とする改正労働安全衛生規則の周知・指導を図る。
(3)

「職場における腰痛予防対策指針」(平成25年6月18日付け基発0618第1号)を参考に、作業態様に応じた腰痛予防対策に取り組む。
(5)

・陸上貨物運送業の荷役作業における労働災害の多くが荷主事業者の敷地等において発生している実態等に対応するため、荷主事業者対策に取り組む。
(4)

  ・陸上貨物運送業等の事業場(荷主となる事業場を含む。)に対して、「荷役作業における安全ガイドライン」の周知徹底を図る。
(1),(2),(3)

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(1)労働安全衛生規則の改正について(貨物自動車関係)



 全国的に陸上貨物運送事業における労働災害が増加傾向にある中、荷役作業時における労働災害は休業4日以上の労働災害の7割を占め、また、その多くが荷主等の事業場で発生している状況にあることから、厚生労働省では、貨物自動車を使用した荷役作業における安全対策の強化を目的として、労働安全衛生規則の規定を改正しました。

 改正の内容は、以下の①から③までの事項で、①と③は令和5年10月1日に施行され、②は令和6年2月1日に施行されました。
 ①昇降設備の設置や保護帽の着用を義務付ける貨物自動車の範囲を拡大する
 ②テールゲートリフターの操作の業務について、特別教育の実施を義務化する
  特別教育を実施している団体等をお探しの方はこちら(東京労働局HP)
 ③運転位置を離れる場合の措置を、テールゲートリフター取扱時に一部適用除外とする
 
 改正労働安全衛生規則や荷役作業における安全ガイドラインの改正内容の詳細につきましては、↓のリーフレット等をご確認ください。
 
関係資料等
 
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リーフレット

トラックでの荷役作業時における安全対策が強化されます。[PDF形式:約2.0MB]

資料

陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン[PDF形式:約319.0KB]

施行通達
令和5年3月28日付け基発0328第5号[PDF形式:約47.0KB]
関係問答 令和5年8月1日付け建設安全対策室長事務連絡[PDF形式:約223.0KB]
説明資料 改正労働安全衛生規則等説明会資料(東京労働局作成)[PDF形式:約3.0MB]
質疑応答集
改正労働安全衛生規則等Q&A(東京労働局作成) 準備中

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(2)「荷役作業における安全ガイドライン」の改正について

 厚生労働省では、陸上貨物運送事業の労働災害の状況を踏まえ、荷役作業時の労働災害を減少させるため、「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全作業ガイドライン」(平成25年3月25日付け基発第1号。以下本項において「荷役作業における安全ガイドライン」という。)を策定し、陸上貨物運送事業者及び荷主等(荷主・配送先・元請事業者等)がそれぞれ取り組むべき事項を示しております。
 「荷役作業における安全ガイドライン」は、改正労働安全衛生規則の施行に伴って発出された通達(令和5年3月28日付け基発第0328第5号)により改正され、改正労働安全衛生規則の内容が反映されるとともに、テールゲートリフターやロールボックスパレット等機械器具の取扱い時における留意事項を新設・追加する、「安全帯」の呼称を「墜落制止用器具」とするといった変更点もあります。
 
 「荷役作業における安全ガイドライン」の詳細や改正内容につきましては、↓の関係資料等をご確認ください。
 
関係資料等
 
ダウンロード
関係資料

陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン[PDF形式:約44.0KB]

リーフレット 荷役作業安全ガイドラインのあらまし[令和5年3月改訂版]
(外部サイト:陸上貨物運送事業労働災害防止協会HP)

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(3)改正労働安全衛生規則等説明会について

 「陸上貨物運送事業労働災害防止協会東京都支部会」が開催した「改正労働安全衛生規則等説明会」に、東京労働局労働基準部から講師を派遣しました。
 本説明会は、厚生労働省令和5年度補助事業として、労働安全衛生規則や荷役作業における安全ガイドラインの改正内容を広く周知することを目的に開催され、東京都内に所在する陸上貨物運送事業で安全衛生業務を担当される方々が多数出席されました。
 本説明会では、改正労働安全衛生規則等の内容に加えて、令和6年4月から適用される「自動車運転者の労働時間の上限規制」や「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」の改正に関する内容を説明しました。詳細は以下の説明資料等をご参照ください。
 
改正労働安全衛生規則等説明会(厚生労働省令和5年度補助事業)
日程
会場
説明会の様子
説明資料
第1回
(7/24)  
第2回
(8/3) 
東京都トラック総合会館
7階大会議室
(東京都新宿区四谷3-1-8)          

(第2回の様子)

労働基準部安全課     
 説明資料
[PDF形式:約3.0MB]
労働基準部監督課         
 説明資料      
[PDF形式:約3.0MB]

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(4)荷役作業における総合的な安全衛生対策について

 従前から東京労働局管内の労働基準監督署における監督指導・安全衛生指導等において、労働安全衛生法令に基づく対策の徹底等を図ることにより、陸上貨物運送事業における安全衛生対策を推進してきたところです。
 ところが、近年は荷役作業中における労働災害が増加傾向にあり、労働安全衛生法令等に基づく墜落・転落防止対策等の最低限の安全衛生対策を講じるのみでは、不十分な状況にあると言えます。
 
 つきましては、荷役作業中における労働災害を防止するため、↓のリーフレット等をご活用いただき、一層の安全衛生対策への取組をお願いいたします。
 

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(5)転倒災害防止・腰痛予防について

 近年全国的に業種を問わず、転倒災害腰痛災害のように、人の行動に起因して発生する「行動災害」が多発しておりますが、これは陸上貨物運送事業においても同様の状況で、休業4日以上の死傷者数(新型コロナウイルス感染症による影響を除く。)を事故の型別に見ると、「転倒」では令和4年に2,917人(平成29年比677人・30.2%増)腰痛災害が分類される「動作の反動・無理な動作」では令和4年に2,940人(平成29比737人・33.5%増)となっており、いずれも増加傾向にあります。

 転倒災害は、事務所や作業場等に、転倒のリスクのある場所(転倒危険場所)がないかを総点検し、発見した段差や障害物等は早期に解消して、継続的な4S(整理・整頓・清掃・清潔)に努めましょう。また、梅雨の時期や冬季の積雪、路面凍結にも注意が必要です。
 
 腰痛災害は、重量物取り扱い作業車両運転等の作業で発生しやすいため、腰痛予防対策指針に基づいた3管理(作業管理・作業環境管理・健康管理)を行うとともに、正しい作業姿勢等の知識習得を目的に労働者に対する労働衛生教育を実施しましょう。

 厚生労働省では、転倒災害防止や腰痛予防への取り組みを推進するため、以下のような資料や動画教材を作成しておりますので、是非ご活用ください。  
 
関係資料等
 
ダウンロード・関連リンク
転倒災害防止
転倒予防・腰痛予防の取組(厚生労働省HP)
転倒防止・腰痛予防の啓発動画
(外部サイト:厚生労働省公式YouTubeアカウント)
【事業者向け】
転倒災害(業務中の転倒による重傷)に注意しましょう[PDF形式:約1.0MB]
【労働者向け】
転倒災害(業務中の転倒による重傷)に注意しましょう[PDF形式:約754KB]
転倒災害防止対策の推進について(職場のあんぜんサイト)
腰痛予防
陸上貨物運送事業における腰痛の予防(厚生労働省HP)
職場における腰痛予防対策~陸上貨物運送事業~
(外部サイト:厚生労働省公式YouTubeアカウント)
重量物取扱いや運転業務による腰痛を予防しましょう[PDF形式:約778KB]

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(6)高年齢労働者の安全と健康確保について

 全業種の雇用者全体に占める60歳以上の割合は18.4%(令和4年)である一方で、労働災害による休業4日以上の死傷者数に占める60歳以上の割合は28.7%(令和4年、新型コロナウイルス感染症へのり患によるものを除く。)と、高年齢者は身体機能が低下すること等により、若年齢層に比べて労働災害の発生率は高く、休業日数も長期化しやすいことが分かっています。

 今後高年齢労働者の就労が一層進むと予測される中、厚生労働省では、「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)」(令和2年3月16日付け基安発0316第1号)を策定し、高年齢労働者が安心して安全に働ける職場環境の実現を目指しています
 このガイドラインに基づき、高年齢労働者の就業状況や業務の内容等の実情に応じ、転倒等のリスクが少ない作業環境を構築する、腰等に負担の少ない作業方法に改善する等、高年齢労働者が働きやすい職場を形成することが効果的です。
 また、転倒防止対策や重量物取扱の補助等の措置に掛かった経費に対して、「エイジフレンドリー補助金」をご活用頂ける場合があります。申請期限等にご注意の上、ご活用ください。 
 

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(7)交通労働災害の防止について

 陸上貨物運送事業における死亡災害(新型コロナウイルス感染症り患による影響を除く。)のうち、交通労働災害は4割程度を占める(令和4年)ことから、陸上貨物運送事業における労働災害を防止する上で、交通労働災害防止の取組みは重要な課題となっております。
 厚生労働省では、労働者に自動車等の運転を行わせる事業者が、交通労働災害防止対策の積極的な推進を図ることを目的に、「交通労働災害防止のためのガイドライン」(平成20年4月3日付け基発0403001号、改正:平成30年6月1日)を策定して、事業場における交通労働災害防止のための管理体制の確⽴、適正な労働時間等の管理や⾛⾏管理等の実施を積極的に推進しております。
 また、「交通労働災害防止のためのガイドライン」は、労働安全衛生関係法令や「⾃動⾞運転者の労働時間等の改善のための基準」とともに、交通労働災害の防止を図るための指針となるものです。「交通労働災害防止のためのガイドライン」に基づいた適正な管理等が行えるよう、併せてご確認ください。
 

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(8)健康確保・労働衛生対策について

 陸上貨物運送事業における健康確保・労働衛生対策については、以下の関連リンクをご確認ください。
関連リンク
関連リンク
職場における労働衛生対策(厚生労働省HP)
過重労働による健康障害を防ぐために(厚生労働省HP)

STOP! 熱中症 クールワークキャンペーン
(職場における熱中症予防対策)
(厚生労働省HP)

「職場における熱中症予防対策」e-learning動画
(外部サイト:厚生労働省公式YouTubeアカウント)

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