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東京労働局の企業訪問【株式会社東急コミュニティー】
東京労働局の企業訪問【株式会社東急コミュニティー】
土田浩史東京労働局長は、令和2年2月4日に株式会社東急コミュニティー(本社:東京都世田谷区)の速川智行取締役 常務執行役員を訪問し、同社の「働き方改革」の取組状況をお聴きするとともに、引き続きの取組の推進をお願いしました。
【会社情報】
「当社を含む東急グループでは渋谷駅周辺の再開発事業などに取り組んでおり、従来にも増して人材の確保・定着が大きな課題となっています。
当社のマンション管理事業においては、管理員として勤務するシニア層の活躍の場が多く、また全社的に若年層や女性も含めたバランスの取れた社員構成を維持することも重要であり、女性の活躍推進や両立支援にも力を入れています。それも、制度の充実だけではなく仕事の進め方の改革を同時に進めなければ、実質的な働き方改革にはなりませんので、合わせて取り組んでいるところです。
また、以前と変わらない取り組みを続けていると、社会の変化に取り残されてしまいます。常に感度を高く持ってニーズを的確に汲み上げ、それを迅速に実行し着実に繰り返すことで、業界内で常に一歩先を行けるよう意識をしています。」
最後に土田局長から速川取締役 常務執行役員に対し、東京労働局の作成したリーフレット『「働き方改革」を進めましょう!』をお渡しし、引き続きの取組をお願いしました。
1 取組の目的
企業ビジョン「TOKYU COMMUNITY WAY」にて、お客様・ステークホルダー及び社員それぞれに対する責任を宣言している。社員に対してはワーク・ライフ・バランスの実現を掲げており、働き方改革に取り組み、社員がより「活き活き」成長し続けることでお客様へのサービス向上にもつながると考えている。
当社は従業員数が多く、正社員の他にも多くのフルタイムや短時間勤務の契約社員がいる。職種についても技術系、営業系、事務系など多様であり、マンションの管理員やビル管理を担う技術員がいる等現場業務従事者が多く、勤務体制がさまざまであるという特徴があるため、全従業員が働きやすい環境をつくるには画一的ではなく従業員の勤務体制や職場に合わせて制度や環境を整えることが必要であり、働き方に合ったニーズの把握に重点を置いている。
2 現在の取組
〇推進体制
2005年に「女性ワーキングPT」を立ち上げ、継続的に両立支援や女性活躍推進等に関する取組を実施してきた。顧客のニーズが多様化する一方、社員に対しても育児や介護を行う者だけでなく、個人のワークライフバランスを考慮した働き方改革が必要となり、2015年に人事部ダイバーシティ推進PTが発足し、2019年からはより総合的に対策を打てるようPTの機能を人事部の企画部署に移管した。
従業員のニーズの把握には「従業員満足度調査」のほか、現場の声を拾えるようコミュニケーションを密にすべく、事業部門トップと人事部が適宜意見交換をし、迅速に現場に合う働き方を取り入れるようにしている。
〇従業員満足度調査の実施
会社に関する従業員の意識を「見える化」し必要な施策を立てるため、2016年から2年に1回実施している。賃金、福利厚生、教育といった当社の制度や会社に対する意識等の設問に対し、年齢・性別・部門・管理職一般職の別等に区分して集計・分析している。直近の2018年調査では回収率は88%とかなり高く、回答内容も「働きやすい制度が用意されている」「個人のワーク・ライフ・バランスに配慮している」等の項目が大きく伸びており、会社の取組に対する理解も進んでいることがうかがえる。
〇テレワークの拡大等
2015年、外勤が多い営業担当者にモバイルPCの貸与を開始したことから始まり、2016年には在宅勤務を開始した。2018年からはグループ企業のシェアオフィスの利用を開始した。
また、事業所が全国に点在しているため、支店の社員が本社に来たときに本社内で作業ができるスペースの設置や、フリーアドレスの取組を進めている。
在宅勤務制度導入当初には対象を育児や介護など家庭の事情がある者に限定していたが、現在は働き方に合わせた環境整備という視点から順次モバイルPCへの切り替えを進め、モバイルPCを貸与された社員は原則可能とする等、利用しやすい制度にブラッシュアップしている。
テレワークの拡大においては部下の管理という部課長クラスのマネジメントスタイルの変化への対応等の課題もあるが、業務フローをテレワークでも可能なものにするなどの改善を行い、多くの部署でテレワークを活用できるようにしていきたい。
〇仕事と家庭の両立支援の取組
2005年に女性の活躍推進の取組を始めてから、育児・介護等に関する法律より手厚い制度の整備と「ワーク・ライフ・バランス推進ガイドブック」等による制度周知の工夫を継続的に行ってきた。法律を超える制度としては例えば育児休業は、事由を問わず2歳まで取得可能とするとともに、最初の5日間を有給扱い・積立休暇の充当により男性も含めた利用しやすい制度としている。
女性社員の増加や従業員の多様化から仕事と育児・介護との両立は会社にとっても避けて通れない課題である。従業員にとっては自分が必要なときに初めて認識するのが休業等に関する制度であり、スムーズに制度を利用してもらうためにも、制度の周知には気を配っている。
〇年次有給休暇の取得促進
マンション管理員などは顧客との契約にもとづき現場に勤務するが、年5日の年休取得義務化に対応するため、顧客との契約を見直して休務日を設け年休を取得しやすくしたり、その他社員においては飛び石連休の間の日や年末年始に年休取得奨励日を設けるとともに、四半期に1回取得状況等を社内で共有することで、確実に休めるよう工夫している。
また、一部シフト勤務者を除き半日単位及び時間単位の年休取得制度を設けており、正社員の2018年度の年休取得率66.5%という状況については、70%以上を目標にしていきたい。
〇時間外労働の削減
時間外労働の削減は健康経営にも直結する問題であり、全社を挙げて取り組んでいる。始業終業時刻を30分単位で変更できるスライド勤務、土日勤務が多い現場を対象とした公休日の非固定化やテレワーク等の制度面の取組と、PCの稼働記録による勤怠管理や部署別所定外労働時間の全社への開示等による取組を合わせて行っている。
〇健康経営に関する取組
健康問題による生産性低下リスクを抑えてシニア層を中心とした従業員が長く活躍できるよう、特に健康管理や労災防止に力を入れている。マンション管理や工事の現場などでは転倒災害などの事故のリスクが高くなるが、特にシニア層には繰り返しの教育を行うことで未然防止を徹底する必要があり、危険箇所の共有等の情報発信を行っている。
また、健康診断はもちろんのこと、生活習慣病やメンタルヘルスに関する情報発信の他、労働時間の適正化も健康経営につながるとの考えから、働き方・休み方に関する既存の各種施策の徹底も強力に進めている。
3 今後の取組
災害時における事業継続対策や生産性向上の面から、テレワークの在り方について、検討を継続していきたい。そのためにはマネジメント層を含む従業員自身の意識の変化とIT投資が必要と考えている。
また、仕事と治療の両立等、様々な事情を抱えた社員への両立支援策を検討するとともに、男性の中長期の育児休業取得も進めていきたい。
4 取組の効果
〇所定外労働時間数(正社員)
2014(平成27)年度 月28.6時間 → 2018(平成30)年度 25.0時間
(2019(令和1)年度 24.3時間)
〇時間単位年休取得件数
2019(平成31)年4月~11月 延べ4,560件
(2019(令和1)年度 延べ7,406件)
〇男性育児休業取得率
2015(平成27)年度 6.7%(6名)→2018(平成30)年度 32.2%(29名)
(2019(令和1)年度 47.3%(35名))
〇モバイルPC貸与人数
2018(平成30)年度末時点 約1,800名
(2019(令和1)年度末時点 約4,000名)
※取組内容や実績は訪問時点のものであり、現在とは異なることがあります。
(「4 取組の効果」のカッコ内の実績は、掲載時の最新の状況です。)
※本記事はPDF形式でもご覧になれます。
【本件担当】東京労働局 雇用環境・均等部 指導課 03-3512-1611
土田浩史東京労働局長は、令和2年2月4日に株式会社東急コミュニティー(本社:東京都世田谷区)の速川智行取締役 常務執行役員を訪問し、同社の「働き方改革」の取組状況をお聴きするとともに、引き続きの取組の推進をお願いしました。
速川 智行 取締役常務執行役員(左)に、リーフレット『「働き方改革」を進めましょう!』をお渡しする土田浩史東京労働局長(右) |
【会社情報】
名称 | 株式会社 東急コミュニティー |
本社所在地 | 東京都世田谷区用賀4-10-1 世田谷ビジネススクエアタワー |
創立年月 | 1970(昭和45)年4月 |
従業員数 | 単体7,894人、連結14,529人(2019(平成31)年3月末時点) |
主な事業内容 | 総合不動産管理(マンション管理、ビル管理、リフォーム事業等) |
URL | https://www.tokyu-com.co.jp/ |
「当社を含む東急グループでは渋谷駅周辺の再開発事業などに取り組んでおり、従来にも増して人材の確保・定着が大きな課題となっています。
当社のマンション管理事業においては、管理員として勤務するシニア層の活躍の場が多く、また全社的に若年層や女性も含めたバランスの取れた社員構成を維持することも重要であり、女性の活躍推進や両立支援にも力を入れています。それも、制度の充実だけではなく仕事の進め方の改革を同時に進めなければ、実質的な働き方改革にはなりませんので、合わせて取り組んでいるところです。
また、以前と変わらない取り組みを続けていると、社会の変化に取り残されてしまいます。常に感度を高く持ってニーズを的確に汲み上げ、それを迅速に実行し着実に繰り返すことで、業界内で常に一歩先を行けるよう意識をしています。」
最後に土田局長から速川取締役 常務執行役員に対し、東京労働局の作成したリーフレット『「働き方改革」を進めましょう!』をお渡しし、引き続きの取組をお願いしました。
1 取組の目的
企業ビジョン「TOKYU COMMUNITY WAY」にて、お客様・ステークホルダー及び社員それぞれに対する責任を宣言している。社員に対してはワーク・ライフ・バランスの実現を掲げており、働き方改革に取り組み、社員がより「活き活き」成長し続けることでお客様へのサービス向上にもつながると考えている。
当社は従業員数が多く、正社員の他にも多くのフルタイムや短時間勤務の契約社員がいる。職種についても技術系、営業系、事務系など多様であり、マンションの管理員やビル管理を担う技術員がいる等現場業務従事者が多く、勤務体制がさまざまであるという特徴があるため、全従業員が働きやすい環境をつくるには画一的ではなく従業員の勤務体制や職場に合わせて制度や環境を整えることが必要であり、働き方に合ったニーズの把握に重点を置いている。
2 現在の取組
〇推進体制
2005年に「女性ワーキングPT」を立ち上げ、継続的に両立支援や女性活躍推進等に関する取組を実施してきた。顧客のニーズが多様化する一方、社員に対しても育児や介護を行う者だけでなく、個人のワークライフバランスを考慮した働き方改革が必要となり、2015年に人事部ダイバーシティ推進PTが発足し、2019年からはより総合的に対策を打てるようPTの機能を人事部の企画部署に移管した。
従業員のニーズの把握には「従業員満足度調査」のほか、現場の声を拾えるようコミュニケーションを密にすべく、事業部門トップと人事部が適宜意見交換をし、迅速に現場に合う働き方を取り入れるようにしている。
〇従業員満足度調査の実施
会社に関する従業員の意識を「見える化」し必要な施策を立てるため、2016年から2年に1回実施している。賃金、福利厚生、教育といった当社の制度や会社に対する意識等の設問に対し、年齢・性別・部門・管理職一般職の別等に区分して集計・分析している。直近の2018年調査では回収率は88%とかなり高く、回答内容も「働きやすい制度が用意されている」「個人のワーク・ライフ・バランスに配慮している」等の項目が大きく伸びており、会社の取組に対する理解も進んでいることがうかがえる。
〇テレワークの拡大等
2015年、外勤が多い営業担当者にモバイルPCの貸与を開始したことから始まり、2016年には在宅勤務を開始した。2018年からはグループ企業のシェアオフィスの利用を開始した。
また、事業所が全国に点在しているため、支店の社員が本社に来たときに本社内で作業ができるスペースの設置や、フリーアドレスの取組を進めている。
在宅勤務制度導入当初には対象を育児や介護など家庭の事情がある者に限定していたが、現在は働き方に合わせた環境整備という視点から順次モバイルPCへの切り替えを進め、モバイルPCを貸与された社員は原則可能とする等、利用しやすい制度にブラッシュアップしている。
テレワークの拡大においては部下の管理という部課長クラスのマネジメントスタイルの変化への対応等の課題もあるが、業務フローをテレワークでも可能なものにするなどの改善を行い、多くの部署でテレワークを活用できるようにしていきたい。
〇仕事と家庭の両立支援の取組
2005年に女性の活躍推進の取組を始めてから、育児・介護等に関する法律より手厚い制度の整備と「ワーク・ライフ・バランス推進ガイドブック」等による制度周知の工夫を継続的に行ってきた。法律を超える制度としては例えば育児休業は、事由を問わず2歳まで取得可能とするとともに、最初の5日間を有給扱い・積立休暇の充当により男性も含めた利用しやすい制度としている。
女性社員の増加や従業員の多様化から仕事と育児・介護との両立は会社にとっても避けて通れない課題である。従業員にとっては自分が必要なときに初めて認識するのが休業等に関する制度であり、スムーズに制度を利用してもらうためにも、制度の周知には気を配っている。
〇年次有給休暇の取得促進
マンション管理員などは顧客との契約にもとづき現場に勤務するが、年5日の年休取得義務化に対応するため、顧客との契約を見直して休務日を設け年休を取得しやすくしたり、その他社員においては飛び石連休の間の日や年末年始に年休取得奨励日を設けるとともに、四半期に1回取得状況等を社内で共有することで、確実に休めるよう工夫している。
また、一部シフト勤務者を除き半日単位及び時間単位の年休取得制度を設けており、正社員の2018年度の年休取得率66.5%という状況については、70%以上を目標にしていきたい。
〇時間外労働の削減
時間外労働の削減は健康経営にも直結する問題であり、全社を挙げて取り組んでいる。始業終業時刻を30分単位で変更できるスライド勤務、土日勤務が多い現場を対象とした公休日の非固定化やテレワーク等の制度面の取組と、PCの稼働記録による勤怠管理や部署別所定外労働時間の全社への開示等による取組を合わせて行っている。
〇健康経営に関する取組
健康問題による生産性低下リスクを抑えてシニア層を中心とした従業員が長く活躍できるよう、特に健康管理や労災防止に力を入れている。マンション管理や工事の現場などでは転倒災害などの事故のリスクが高くなるが、特にシニア層には繰り返しの教育を行うことで未然防止を徹底する必要があり、危険箇所の共有等の情報発信を行っている。
また、健康診断はもちろんのこと、生活習慣病やメンタルヘルスに関する情報発信の他、労働時間の適正化も健康経営につながるとの考えから、働き方・休み方に関する既存の各種施策の徹底も強力に進めている。
3 今後の取組
災害時における事業継続対策や生産性向上の面から、テレワークの在り方について、検討を継続していきたい。そのためにはマネジメント層を含む従業員自身の意識の変化とIT投資が必要と考えている。
また、仕事と治療の両立等、様々な事情を抱えた社員への両立支援策を検討するとともに、男性の中長期の育児休業取得も進めていきたい。
4 取組の効果
〇所定外労働時間数(正社員)
2014(平成27)年度 月28.6時間 → 2018(平成30)年度 25.0時間
(2019(令和1)年度 24.3時間)
〇時間単位年休取得件数
2019(平成31)年4月~11月 延べ4,560件
(2019(令和1)年度 延べ7,406件)
〇男性育児休業取得率
2015(平成27)年度 6.7%(6名)→2018(平成30)年度 32.2%(29名)
(2019(令和1)年度 47.3%(35名))
〇モバイルPC貸与人数
2018(平成30)年度末時点 約1,800名
(2019(令和1)年度末時点 約4,000名)
※取組内容や実績は訪問時点のものであり、現在とは異なることがあります。
(「4 取組の効果」のカッコ内の実績は、掲載時の最新の状況です。)
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【本件担当】東京労働局 雇用環境・均等部 指導課 03-3512-1611