第13.就業規則
就業規則を定めることの意義
就業規則を作成することにより、労働者が就業時間中に勝手に行動したり無断欠勤したりということがないよう職場秩序を確立し、多数の労働者を統合した企業運営ができますし、また、労働者の労働条件を統一的に処理することで、労働条件の安定と経営の安定を図ることができます。また、労働者にとっても守るべきルールが明確になり、安心して働くことができるメリットがあります。
就業規則の作成
常時10人以上の労働者を使用する事業場では必ず就業規則を作成しなければなりません(労基法第89条)。就業規則には、次の事項などを記載しなければなりません。
- 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては、就業時転換に関する事項
- 賃金(臨時の賃金等を除く)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払いの時期並びに昇給に関する事項
- 退職(解雇も含む)に関する事項
- 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法並びに退職手当の支払いの時期に関する事項
- 臨時の賃金等(退職手当を除く)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項
- 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項
- 安全及ぴ衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項
- 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項
- 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項
- 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項
- 以上のほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項
これらのうち、1, ~3, の事項はいかなる場合でも就業規則に必ず記載しなければなりません。4, ~11, の事項は、定めをおく場合には必ず就業規則に記載しなけれぱなりません。
法令及ぴ労働協約との関係
就業規則では、法令や労働協約に反するものを定めてはいけません。これらに反する就業規則の定めは無効となります(労基法第92条)。
就業規則の届出
就業規則を作成し、又は変更した場合には労働者代表の意見を記し、その者の署名又は記名押印のある書面を添付して、その事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長に届け出なければなりません(労基法第89条、第90条)。
就業規則の周知
就業規則は、常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付ける等の方法により労働者に周知させなければなりません(労基法第106条)。