災害復旧工事における労働災害防止について【新見労働基準監督署】

~作業者の安全確保はできていますか?~
 
 近年、全国的に、局地的大雨や集中豪雨が観測され、河川の急な増水・氾濫、がけ崩れ・落石等にて甚大な被害が発生しています。
 災害復旧工事については、崩壊等による地盤の緩みや落石が生じたり、施工が困難な箇所での作業を余技なくされるなど、通常の建設工事と比べても、作業の安全を確保することが難しい面があります。
 これから台風シーズンを迎えますが、土石流災害の発生や地盤の緩み等による土砂崩壊災害、落石災害の発生が懸念されます。
 今後の労働災害防止対策のより一層の徹底を図るとともに、次にお示しする事項を踏まえた災害復旧工事における労働災害防止対策を徹底していただきますようお願いします。
 



管内における災害事例
【概要】令和4年6月発生。休業災害。
 落石防護施設復旧工事において、工事箇所上部の地山から落石があり、斜面にて作業中の作業者の首に激突した。
 作業箇所上部に配置した見張りが落石の気配を感じて、身構えるよう指示したが、周辺は草木が茂り、落石を目で確認することができず、退避することができなかった。

 
【関連法令】
 労働安全衛生規則第534条(地山の崩壊等による危険の防止)
 事業者は、地山の崩壊又は土石の落下により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、当該危険を防止するため、次の措置を講じなければならない。
一 地山を安全なこう配とし、落下のおそれのある土石を取り除き、又は擁壁、土止め支保工等を設けること。
二 地山の崩壊又は土石の落下の原因となる雨水、地下水等を排除すること。
 

【新見署からのお願い】
 落石災害を防ぐ工事ということは、落石が発生する危険性が非常に高い場所となりますので、工事施工にあたっては、現場の落石履歴や発注者が保有する点検記録等の確認や、更なる落石の危険性の有無等の現地調査を行った上で、落石災害防止を重点対策とした作業計画を策定した上で作業を行うことが必要となります。また、現場の状況は変化しますので、日常点検、変状時の点検を確実に行い、変状に対応して作業計画の見直しを行うことも必要です。
 

【斜面崩壊による労働災害の防止対策に関するガイドライン】
 地山の掘削を伴わない工事についても、斜面の近傍で工事を実施する場合には、斜面崩壊による労働災害の防止対策に関するガイドラインを参考に、事前調査及び点検、土砂崩壊のおそれがある場合における措置の徹底を図りましょう。
 
  【厚生労働省HP】斜面崩壊による労働災害の防止対策に関するガイドライン
 
【ロープ高所作業を行う場合】
 「ロープ高所作業」※を行う場合、ライフライン設置、作業計画の策定、特別教育の実施などが必要です。
※高さが2メートル以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところにおいて、昇降器具を用いて、労働者が当該昇降器具により身体を保持しつつ行う作業(40度未満の斜面における作業を除く。)
 
  【厚生労働省HP職場のあんぜんサイト】ロープ高所作業
 
災害防止対策
【土砂崩壊災害防止対策】
1.地山の掘削時、安衛則 355 条に基づき、作業箇所や地山状況の事前調査を確実に行うこと。
2.1の調査結果を踏まえ、 調査に基づき作業計画を策定し、 当該計画に基づき作業を行うこと。
3.安衛則 358 条の点検者を指名し、頻繁に点検を行うこと。 地山の監視者を配置する こと。
4.土砂崩壊のおそれがあるときは、 安衛則 361 条に基づき 土止め支保工を設けること。
5.「斜面崩壊による労働災害の防止対策に関するガイドライン( 上記参照 )」の順守を図ること。
6.掘削を伴わない場合でも、1~5に準じた調査、点検、土砂崩壊防止措置を講じること。
 
【土石流災害防止対策】
1. 安衛則 575 条の9に基づき、上流の河川の状況を十分調査すること。
2.土石流早期発見のため、必要に応じて警戒雨量基準や作業中止降雨基準の見直すこと 。
3.安衛則 575 条の 14及び15に基づき、警報・避難設備の点検ほか、その方法を周知すること 。
 
【がれき処理作業時の安全確保及び石綿粉じん等のばく露防止対策】
1. 短期作業となるものの、当日の作業内容、安全上のルールについて綿密な打合せを行うこと。
2. 保護帽、安全靴(踏抜き防止)、手袋(切創防止)など、作業に適したものを選定すること。
3. がれき等への石綿含有確認を行い、その結果に基づき適正な呼吸用保護具を使用すること。
 
【車両系建設機械を用いて作業を行う場合における安全の確保】
1.安衛則 155 条に基づき、確実に作業計画を作成し、当該計画に基づく作業の徹底を図ること。
2.安衛則 157 条に基づき、路肩の崩壊防止や幅員の保持等、重機の転倒防止措置を図ること。
3.安衛則 158 条に基づき、危険範囲への立入禁止、誘導者の配置等、重機と作業員との接触防止
措置を図ること。
4.車両系建設機械の運転については、必ず必要な運転資格を有する者に行わせること。
※当該項目は、車両系建設機械を使用する全ての作業において準用する。
 
【建設現場における熱中症予防と新型コロナウイルス感染防止】
1. STOP!熱中症 クールワークキャンペーンを展開し、WBGT値の把握と管理を行うこと。
2. 厚生労働省が示す「 建設現場における熱中症予防と新型コロナウイルス感染防止」に基づき、
マスクの正しい選び方と使い方の徹底を図ること。
 
リーフレット「建設現場における熱中症予防と新型コロナウイルス感染防止」(PDF:532KB)
  
 
【新見労働基準監督署独自作成リーフレット】
「災害復旧工事における労働災害防止について
~作業者の安全確保はできていますか?~」( PDF 488KB )

 
 
       
   

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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