【新見監督署Web講習会シリーズ】石綿ばく露防止対策(受注者・実施者)~改正石綿則のポイントと石綿事前調査結果報告システムの使い方について~

 
はじめに
 新見労働基準監督署では、事業主、安全衛生担当者、働く方々がいつでもご都合がいい時にご覧いただけるように、改正石綿則のポイントと石綿事前調査結果報告システムの使い方についての説明動画等を下記のとおりまとめましたので、是非一度ご覧いただき、措置状況の点検等をお願いします。
 
改正石綿則について
 石綿による健康障害の予防対策の一層の推進を図るため、平成17年に石綿障害予防規則(石綿則)が制定され、これに基づく措置が事業者等に義務付けられています。
 しかしながら、石綿則で義務付けられている作業開始前の石綿含有の有無の事前調査等、建築物等の解体・改修工事を行う際に必要な措置が実施されていない事例が散見されたことから、解体・改修工事における石綿ばく露による健康障害を防止するため、令和2年7月に石綿則が改正されました。
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

石綿則の改正ポイントについて
【1】工事開始前の石綿の有無の調査  ≪方法の明確化≫
 
 ■建築物や工作物の解体・改修工事を行う際には、その規模の大小にかかわらず、工事対象となる全ての部材について、石綿が含まれているかを事前に設計図書などの文書と目視で調査し(事前調査)、調査結果の記録を3年間保存する必要があります。(令和3年4月~)
◆ポイント
〇 「目視」とは、単に目で見て判断することではなく、現地で部材の製品情報などを確認することをいう
〇 目視ができない部分は、目視が可能となった時点で調査
〇 石綿が使用されていないと判断するためには、製品を特定した上で、以下のいずれかの方法によらなければならない
・その製品のメーカーによる証明や成分情報などと照合する方法
・その製造年月日が平成18年9月1日以降であることを確認する方法
〇 以下の確認ができる場合は、目視等によらなくてもよい
・過去に行われた事前調査に相当する調査の結果の確認
・インベントリ確認証書が交付されている船舶のインベントリの確認
・着工日が平成18年9月1日以降であることの確認
〇 以下に該当する場合は、石綿の飛散リスクはないと判断できるので調査不要
・木材、金属、石、ガラス、畳、電球などの石綿が含まれていないことが明らかなものの工事で、切断等、除去または取り外し時に周囲の材料を損傷させるおそれのない作業
・工事対象に極めて軽微な損傷しか及ぼさない作業
・現存する材料等の除去は行わず、新たな材料を追加するのみの作業
・石綿が使用されていないことが確認されている特定の工作物の解体・改修の作業
  
■事前調査で石綿の使用の有無が明らかにならなかった場合には、分析調査を行う必要があります(「石綿含有有り」とみなす場合には分析調査は不要。)。(令和3年4月~)
 
■建築物の事前調査は、厚生労働大臣が定める講習※を修了した者等に行わせる必要があります。(令和5年10月~)
( 工作物に係る事前調査については、調査者等による事前調査は義務付けられていません。)
◆事前調査を実施することができる者
〇 特定建築物石綿含有建材調査者
〇 一般建築物石綿含有建材調査者
〇 一戸建て等石綿含有建材調査者(一戸建て住宅・共同住宅の住戸の内部に限定)
〇 令和5年9月までに日本アスベスト調査診断協会に登録された者

 ※ 建築物石綿含有建材調査者講習会情報 (石綿総合情報ポータルサイト)
 
■分析調査は、適切に分析調査を実施するために必要な知識及び技能を有する者として厚生労働大臣が定める者に行わせることが必要となります。(令和5年10月~)
◆分析調査を実施することができる者
〇 厚生労働大臣が定める分析調査講習を受講し、修了考査に合格した者
〇 公益社団法人日本作業環境測定協会が実施する「石綿分析技術の評価事業」により認定されるAランク又はBランクの認定分析技術者
〇 一般社団法人日本環境測定分析協会が実施する「アスベスト偏光顕微鏡実技研修(建材定性分析エキスパートコース)」の修了者
〇 一般社団法人日本環境測定分析協会に登録されている「建材中のアスベスト定性分析技能試験(技術者対象)合格者」
〇 一般社団法人日本環境測定分析協会に登録されている「アスベスト分析法委員会認定JEMCAインストラクター」
 
■調査結果の記録は、3年間保存する必要があります。調査結果の写しを工事現場に備え付け、概要を見やすい箇所に掲示することも義務となります。(令和3年4月~)
◆調査結果の記録項目
〇 事業者の名称・住所・電話番号、現場の住所、工事の名称・概要
〇 事前調査の終了年月日
〇 工事対象の建築物・工作物・船舶の着工日、構造
〇 事前調査の実施部分、調査方法、調査結果(石綿の使用の有無とその判断根拠)

 
【2】工事開始前の労働基準監督署への届出
 
 計画届の対象がレベル2まで拡大
吹付石綿に加え石綿が含まれる保温材などの除去等の工事は14日前までに労働基準監督署に届け出る必要があります。(令和3年4月~)
 
■ 一定規模以上の工事の事前調査の報告義務付け
一定規模以上の建築物や特定の工作物の解体・改修工事は、事前調査の結果等を電子システムで届け出る必要があります。(令和4年4月~)
 
◆ 報告対象工事
〇 解体部分の床面積が80m2以上の建築物の解体工事
〇 請負金額が税込100万円以上の建築物の改修工事
〇 請負金額が税込100万円以上の特定の工作物の解体または改修工事
 #対象となる工作物…反応槽、加熱炉、ボイラー及び圧力容器、配管設備(建築物に設ける給水設備、排水設備、換気設備、暖房設備、冷房設備、排煙設備等の建築設備を除く)、焼却設備、煙突(建築物に設ける排煙設備等の建築設備を除く)、貯蔵設備(穀物を貯蔵するための設備を除く)、発電設備(太陽光発電設備及び風力発電設備を除く)、変電設備、配電設備、送電設備(ケーブルを含む)、トンネルの天井板、プラットホームの上家、鉄道の駅の地下式構造部分の壁及び天井板、遮音壁、軽量盛土保護パネル
〇 総トン数が 20トン以上の船舶(鋼製のものに限る)の解体又は改修工事
 
◆ 電子システムで報告が必要な内容
〇 事業者の名称・住所・電話番号・労働保険番号、現場の住所、工事の名称・概要・工事期間
〇 事前調査の終了年月日、事前調査を実施した者の氏名等
〇 工事対象の建築物・工作物の着工日、構造の概要
〇 床面積(建築物の解体工事)または請負金額(その他の工事)
〇 石綿作業主任者の氏名
〇 事前調査結果の概要(材料ごとの石綿使用の有無、判断根拠)
〇 作業の種類・切断等の作業の有無・作業時の措置
 
◆ 報告の方法
〇 複数の事業者が同一の工事を請け負っている場合は、元請事業者が請負事業者に関する内容も含めて報告する必要
〇 平成18年9月1日以降に着工した工作物について、同一の部分を定期的に改修する場合は、一度報告を行えば、同一部分の改修工事については、その後の報告は不要

 
【3】吹付石綿・石綿含有保温材等の除去工事に対する規制
≪集じん・排気装置の点検の強化≫
■隔離場所の集じん・排気装置に、設置場所など何らかの変更を加えたときにも、排気口からの石綿等の粉じんの漏洩の有無を点検する必要があります。(令和3年4月~)
 
■作業中断時にも隔離場所の前室が負圧に保たれているか点検する必要があります。(令和3年4月~)
◆ ポイント
〇 負圧の点検は、作業開始前に加えて、作業中断時に作業者が集中して前室から退出するタイミングで実施する必要
※  作業中断時とは、休憩等で作業を中断した時や何日間か継続する作業において最終日以外の日の作業を終了した時をいう
 
■除去作業終了後に隔離を解く前に、資格者による取り残しがないことの目視による確認が必要となります。(令和3年4月~)
◆ 取り残しがないことの確認ができる資格者
〇 除去作業の石綿作業主任者
〇 事前調査を実施する資格を有する者(建築物に限る)
 
◆ 取り残しがないことの確認は、分析等は不要

 
【4】石綿含有成形板等・仕上塗材の除去工事に対する規制
 
■石綿含有仕上塗材をディスクグラインダーまたはディスクサンダーを用いて除去するときは、ビニルシートなどにより作業場所を隔離し、湿潤な状態に保ちながら作業をする必要があります。(令和3年4月~)
◆ 作業場所の隔離は、負圧に保つ必要はない
 
◆ 高圧水洗工法、超音波ケレン工法等は作業場所の隔離不要
 
■石綿含有成形品(スレート、ボード、タイル、シートなど)の除去は、切断、破砕等以外の方法で行う必要があります(技術上困難な場合を除く)。(令和2年10月~)
◆ 技術上困難な場合とは:
材料が下地材などと接着材で固定されており、切断等を行わずに除去することが困難な場合や、材料が大きく切断等を行わずに手作業で取り外すことが困難な場合など
 
◆ 切断・破砕等以外の方法とは:
ボルトや釘等を撤去し、手作業で取り外すことなどをいう

■けい酸カルシウム板第1種をやむを得ず切断・破砕等するときは、ビニルシートなどにより作業場所を隔離し、湿潤な状態に保ちながら作業をする必要があります。(令和2年10月~)
◆ 作業場所の隔離は、負圧に保つ必要はない 

 
【5】建材を湿潤な状態にすることが困難な場合の措置
 
■石綿含有建材の除去等作業時に、湿潤な状態にすることが著しく困難なときは、除じん性能付き電動工具の使用など、石綿粉じんの発散防止措置に努める必要があります。(令和3年4月~)
◆ 湿潤な状態にする方法には:
散水による方法、固化剤を吹き付ける方法のほか、剥離剤を使用する方法も含まれる
 
◆ 発散防止措置には:
除じん性能付き電動工具の使用以外に、作業場所を隔離することが含まれる
 
 
【6】写真等による作業の実施状況の記録
 
■石綿が含まれている建築物、工作物又は船舶の解体・改修工事は、作業の実施状況を写真等で記録し、3年間保存する必要があります。(令和3年4月~)
◆ 以下の内容が確認できるよう写真等により記録し、3年間保存する必要(⑥は文書等に
よる記録で可)
①事前調査結果等の掲示、立入禁止表示、喫煙・飲食禁止の掲示、石綿作業場である旨等の掲示状況
②隔離の状況、集じん・排気装置の設置状況、前室・洗身室・更衣室の設置状況
③集じん・排気装置からの石綿等の粉じんの漏洩点検結果、負圧の点検結果、隔離解除前の除去完了確認の状況
④作業計画に基づく作業の実施状況(湿潤化の状況、マスク等の使用状況も含む)
※同様の作業を行う場合も、作業を行う部屋や階が変わるごとに記録する必要
⑤除去した石綿の運搬または貯蔵を行う際の容器など、必要な事項の表示状況、保管の状況
⑥作業従事者および周辺作業従事者の氏名および作業従事期間
 
◆ 記録は、写真のほか、動画による記録も可能
撮影場所、撮影日時等が特定できるように記録する必要あり
 
 
【7】労働者ごとの作業の記録項目の追加
 
■40年の保存義務がある労働者ごとの作業の記録に追加が必要な項目があります。(令和3年4月~)
◆ 事前調査結果の概要
前記【2】の「電子システムで報告が必要な内容」と同様
 
◆ 作業の実施状況の記録の概要
写真等をそのまま保存する必要はなく、保護具の使用状況も含めた措置の実施状況についての文章等による簡潔な記載による記録
 
 
改正石綿則リーフレット
 

 

説明動画
 
  各タイトルをクリックすると、説明動画が視聴できます。
 

  •  クリックすると、厚生労働省、石綿総合情報ポータルサイト、厚生労働省公式チャンネル等、外部サイトに移動します。
  •  ご利用時にかかる通信料等は受講者様のご負担となりますのでご留意をお願いします。
改正石綿則の概要について
   
石綿事前調査結果報告システムについて
   ・ 石綿事前調査結果報告システム 動画マニュアル 

システムへのログイン、①元方(元請)事業者の入力 編 (06:40)
②請負事業者の入力、③事前調査の入力 編             (03:54)
④申請内容の確認、⑤登録完了 編                        (04:10) 
登録済み申請情報の検索・変更 編                               (06:32) 
                              (厚生労働省公式YouTubeチャンネルへリンク)
 

≪参考≫
■建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び石綿飛散漏えい防止対策徹底マニュアル
  ・石綿含有成形板等や石綿含有仕上塗材の除去等作業におけるマニュアル活用の手引き(1:19:34)
                (環境省大気環境課公式チャンネルへリンク)
 ※説明資料として使用されている「建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び石綿飛散漏えい防止対策徹底 マニュアル」は下記の「関連情報等」にてご紹介しています。
■事前調査について
  ・実践!! 事前調査の方法と注意点 (1:18:16)
                (環境省大気環境課公式チャンネルへリンク)

 

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