建設業の労働災害、大幅増!

―集中的防止対策実施中―
【岡山労働基準監督署】

 岡山労働基準監督署管内(岡山市、玉野市、瀬戸内市、及び吉備中央町の内、旧加茂川町)における、令和3年11月末時点での建設業の休業4日以上の労働災害は99人であり、昨年同時期の73人から+26人、約4割の大幅増になっていることから、岡山監督署(署長 三宅徹)は建設現場への監督指導と併せ、12月2日に木造家屋建築工事岡山地区安全対策委員会(以下、木建委員会といいます。)、12月16日にはマスコミへの公開現場パトロール、12月17日には建設工事関係者連絡会議と、建設業の労働災害防止対策推進のための集中的取組を実施中です。
 岡山監督署では、労働災害増加要因を踏まえた対策として、特に、
① 計画段階での安全作業の十分な検討と、作業ごとのリスクアセスメント及びその低減措置の実施
② 適切な足場の設置、はしご・脚立の適正な使用、保護具の使用の徹底
③ 若年層に対する安全衛生教育の充実
④ 高年齢労働者が、安心して快適に作業を行うことができる環境づくり
について取組むよう、指導しています。

岡山県内、労働災害発生状況

《木建委員会》
 12月2日に開催した木建委員会(岡山県建設労働組合[岡山、西大寺、玉野、児島郡、御津の各支部]、住宅メーカーで構成される住宅安全衛生協議会岡山支部、建設業労働災害防止協会岡山支部ほか、地場建築業者、仮設設備業者で構成)は、岡山監督署管内における木造家屋建築工事現場の労働災害防止対策・取組を推進するため、岡山監督署において毎年協議を行っているものです。
 
木建委員会の開催状況
木建委員会の開催状況


 本年度木建委員会においては、近年の労働災害発生状況から、
① 墜落・転落災害防止措置の徹底、及び低い箇所でも保護帽を着用すること。
② 建設工事現場においては、一人親方等についても労働者と同様の管理が必要であること。
③ 経験の浅い者や外国人労働者などに対する教育の充実や、コミュニケーションを積極的にとること。
④ 高年齢労働者が安心して快適に働ける職場環境づくり(エイジフレンドリーガイドライン)に取り組むこと。
の必要性について、岡山監督署から説明を行いました。
 また、会議のみではなく、木建委員会としての活動ができないか、今後、協議していくこととしました。
 このほか、令和4年4月からの改正石綿則に基づく事前調査結果報告制度、令和4年1月2日から墜落制止用器具(いわゆる「ハーネス型安全帯」)使用の完全施行、建災防が行う一人親方等に対する教育支援事業等についても、説明を行いました。
 
(左)難波木建委員会長(岡山県建設労働組合岡山支部長)
(右)三宅署長


《年末合同パトロール》
 12月16日に行ったパトロールは、岡山県建設業協会岡山東支部及び岡山西支部合同で行ったものです。パトロール員24名を2班に分け、各班1現場ずつパトロールを行いましたが、本年は労働災害増加の状況を鑑み、業界の取組状況等を関係者及び世間に広く周知するため、一つの現場をマスコミへの公開パトロールとしました。公開パトロールとしたのは、県民も注目している岡山城改修工事。もう一現場は、市内で施工中の大規模マンション新築工事としました。また、岡山城改修工事については三宅岡山監督署長が、マンション新築工事については岸本副署長がパトロールを行いました。
 建設業会館で出発式の後、2班に分かれて各現場に赴き、それぞれの現場での安全衛生活動、労働災害防止対策の状況、特に墜落・転落災害防止措置を重点に見て回り、各現場での講評の後、建設会館に戻って全体講評を行いました。
 
◎出発式の状況
  パトロール出発式 出発式で挨拶する三宅署長  
 
パトロール出発式
出発式で挨拶する三宅署長
 
           
◎岡山城改修工事でのパトロール状況
KY(リスクアセスメント)シートを確認する三宅署長 シートで覆われた天守閣に向かうパトロール員 担当者から説明を受ける三宅署長らパトロール員
KY(リスクアセスメント)シートを確認する三宅署長
シートで覆われた天守閣に向かうパトロール員
担当者から説明を受ける三宅署長らパトロール員
           
◎マンション新築工事のパトロール状況
  担当者から説明を受ける岸本副署長  
  担当者から説明を受ける岸本副署長  


《建設工事関係者連絡会議》
 12月17日に開催した建設工事関係者連絡会議は、岡山県備前県民局、岡山市、玉野市、瀬戸内市、吉備中央町の公共工事発注機関、及び岡山県建設業協会(岡山東、岡山西、西大寺、玉野、建部の各支部)を構成員とし、毎年監督署において、発注機関と業界関係者との間で会議を行っているものです。
 この会議で、発注機関からは、週休2日工事や余裕期間の設定、工事時期の平準化などの配慮や、施工業者が行う安全衛生活動に対する取組評価、施工業者に対する研修などの取組状況が報告され、また建設業協会からは、新型コロナウイルスワクチンの職域接種、各種研修会の実施、他団体との連携などの報告があり、労働災害の減少と安全衛生活動の取組強化について、連携して取組んでいくことなどが話し合われました。
 
建設工事関係者連絡会議の状況
建設工事関係者連絡会議の状況


 建設業界は人手不足と叫ばれる中、秋口から年度末にかけては多くの現場が施工され、さらに人と物が不足し、気忙しさにも拍車がかかります。そのような中でトラブルが発生すれば、より一層計画通りに物事が運ばなくなりますし、労働災害ともなれば言わずもがなです。
 忙しい時こそ計画的に、基本に忠実に作業を行っていただき、労働災害などのトラブルが発生しないよう、現場の管理、安全衛生活動の取組をお願いいたします。岡山監督署も引き続き、建設現場への指導を行っていきます。
 

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