あんぜん塾(第3回)を開催しました

あんぜん塾(第3回)を開講しました

~岡山労働基準監督署・倉敷労働基準監督署~
 
  昨年(平成29年)、岡山県内における労働災害は2,113件発生し、対前年比16%の大幅な増加となりました。
  特に岡山労働基準監督署と倉敷労働基準監督署管内の災害が突出して多く、その災害の多くに安全衛生管理上の問題が認められたことから、3回シリーズの「あんぜん塾」を開催することとし、第1回(7月)及び第2回(9月)に引き続き、岡山労働基準監督署(署長:岡田康浩)は平成30年11月29日におかやま西川原プラザ(岡山市中区西川原)において、倉敷労働基準監督署(署長:山本正晴)は平成30年11月7日にライフパーク倉敷(倉敷市古新田)で、最終回となる「あんぜん塾」(第3回)をそれぞれ開講しました。
 
       
   
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

                
 はじめに「化学物質によるリスクへの対応」と題し、岡山産業保健総合支援センター産業保健相談員の横溝浩氏から、過去に建材等で使用されていた石綿の事例や、近年、国内において癌等の疾病の発症が相次いでいる化学物質の取り扱いに係るリスクについて説明がありました。

 

 また、7月に発生した豪雨災害の被災体験を踏まえた“正常化バイアス”等の説明では、企業運営においても非常に重要なリスクマネジメントの教訓となることから、受講者は真剣に耳を傾けておられました。

 
  続いて、昨年、岡山県内の企業として初の「厚生労働省安全衛生優良企業認定事業場」を取得された株式会社荒木組の安全課長小島正視氏から、優良企業認定事業場の取得に至った経緯の説明に加え、自社における安全衛生管理の問題点やそれに対する改善実施事項について紹介をいただきました。
 建設業はそれぞれ場所の違う有期工事という特性から、多くの協力会社及びその職人の出入りが激しく、安全衛生管理が大変難しい業種ですが、トップの強いリーダーシップをはじめ、企業全員で労働環境の改善に取り組まれていることが、高い安全衛生水準であると認められました。
 
 
 
   

 本日のメインイベントである「今後の安全管理を展望する~さらなるステップアップを目指して~」と題したパネルディスカッションでは、県内で先進的な安全衛生管理及び活動を推進している製造業・建設業・道路貨物運送業の安全衛生担当者をパネリストとしてお招きしました。

テキスト ボックス: ※写真左から
●コーディネーター
日本労働安全衛生コンサルタント会 岡山支部 幹事  大森 俊彦 氏
●パネリスト
日本ゼオン株式会社水島工場 環境安全課長  佐藤 基裕 氏
●パネリスト(前プログラムから引き続きです)
株式会社荒木組 工務本部安全課長  小島 正視 氏
●パネリスト
岡山スイキュウ株式会社 品質管理部長  福森 琢磨 氏
                        順不同
 
 
 
 コーディネーターの大森氏の巧みな進行のもと、各パネリストから冒頭に各社の簡単な紹介をいただいた後、日常の安全衛生管理への取り組み状況やその活動の中での問題点や課題についてディスカッションを行いました。

 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

中でも、安全衛生教育は各社において工夫を凝らした先進的な教育制度を導入されており、受講者は自社でも参考にしようと真剣にメモを取られていました。
また、安全衛生管理活動において、新入社員の離職問題・若年層の経験不足・技術の伝承の難しさ・外国人労働者の増加等各社が直面している問題とその対応について話しがありました。各業界で人手不足は深刻化しており、労働者の安定した定着に向けた、“誰もが安全で働きやすい環境づくり”を推進していくことの重要性を深く感じさせられるディスカッションとなりました。
 
 
 
 
 
なお、パネルディスカッションのまとめを作成しましたので、こちらからダウンロードしていただき、ご参考にしてください。
→ 岡山・倉敷第3回あんぜん塾 パネルディスカッションまとめ
 
 
 
 
 
 
 

 岡山労働基準監督署及び倉敷労働基準監督署として県内初の開催となった全3回シリーズの「あんぜん塾」はこれにて閉講となります。
 期間途中には西日本豪雨により大きな被害を受けられた企業も多く、「あんぜん塾」の開催が危ぶまれましたが、こういった自然災害に係る労働災害等に対応することも企業として必要であるとの判断もあって、無事に各会場計3回開催することができ、延べ600名を超える受講者の方々にご参加いただきました。
 
 しかしながら、労働災害の増加に歯止めをかけるという点においては、残念ながら思わしくない状況にあり、平成30年の県内の労働災害件数は昨年より増加傾向で推移しています。また、死亡災害等重篤な労働災害も撲滅には至っていません。
 また、今回の「あんぜん塾」においても議論された「人手不足」は一段と深刻化していることから、これからは過去にとらわれない安全衛生管理の推進が必要となります。
 
 今回のパネルディスカッションでも議論されたように、
・ 現下の人手不足により、とりあえず人員のみは確保したが、雇い入れ時の安全教育が十分できていない
・ 高度経済成長時代を支えてきた方々の現役リタイヤに際し、安全管理のノウハウがきちんと伝承されていない
・ 「現場力」の低下がおきている
・ 高年齢者の雇用に対応した安全管理がきちんとできていない
などの課題を企業として組織的に対応する必要があります。
参加された皆さまにおかれましては、この一連の講座の受講を契機に、職場の安全管理の一層のレベルアップを図っていただき、安全で働きやすい職場づくりに努めていただきますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 
 
 

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