調停会議による解決事例

男女雇用機会均等法に基づく場合

事例:妊娠したことを理由に退職を強要されたとする事例

     

【概要】

 申請人が会社に妊娠を報告したところ、執拗な退職の強要を受けたとして、会社に対し、金銭的解決を求める調停申請を行った。

 

【労働者の主張】

・退職の強要は、妊娠の報告直後から始まったものであり、明らかに妊娠したことが退職強要の理由である。
・強要により修行継続が困難となり、退職せざるを得なくなったため、本来働き続ければ得られたはずの期間の賃金補償を求める。

 

【事業主の主張】

・退職勧奨の理由は、妊娠の報告を受ける以前からの申請人の資質や協調性について改善の見込みがないt判断したためである。

・妊娠を理由とする退職の強要ではない。

 

【結果】

 調停委員は、申請人が妊娠の報告した時期と、会社が退職勧奨を行った時期が近接していることなどの事情を総合的に勘案した。その結果、妊娠を理由とした退職強要があったと推測されることから、紛争の解決のため、申請人に対する解決金の支払いについての調停案を作成し、受諾を勧告。双方が受諾し、調停は終了した。

 

 

 

育児・介護休業法に基づく場合

事例:会社の説明が不足していたために育児休業を取得できなかったとする事例

     

【概要】

 本来であれば育児休業を取得できたが、会社の解釈の誤りにより取得できず、産休後すぐに復帰せざるを得なかったため、保育園の費用などについて補償を求める調停申請を行った。

 

【労働者の主張】

・会社に対し、出産予定日を伝え、育児休業が取得できるか確認したところ、勤続年数が短く取得できないと言われたが、本来は産休中に適切な申出を行えば取得可能であった。
・会社の対応が間違っていたことを謝罪するとともに、本来育児休業ができた機関の子の保育園にかかった費用、家族にかけた負担などを換算し、金銭的な補償を求める。

 

【事業主の主張】

 育児休業の取得について、説明不足であったことは認め謝罪は行いたいが、金銭的な補償は受け入れがたい

 

【結果】

 調停員は、育児休業が取得できなかったことについて、会社の説明不足があったことを指摘し、申請人に対して謝罪すること、また解決金を支払うことについての調停案を作成し、受諾を勧告。双方が受諾し、調停は終了した。

 

 

 

パートタイム・有期雇用労働法に基づく場合

事例1:正社員と同じ仕事だが賃金に著しい差があるとする事例

     

【概要】

 申請人は、1年前から正社員と同視すべき状態となっているが、賃金が正社員に比べ著しく低いとして、正社員の賃金との差額分を請求する調停申請を行った。

 

【労働者の主張】

・正社員と職務の内容、人材活用の仕組み・運用が同じであり、正社員と同等の賃金が支払われるべきである。
・正社員と同視すべき状態となった以降の、1年分の賃金差額の支払いを求める。

 

【事業主の主張】

・正社員とパートタイム労働者では職務の内容が異なっている。
・現在支払っている賃金は労働契約で双方合意したものであり、問題ない。

 

【結果】

 調停員は、申請人について、正社員と同視すべき状態であると判断したが、その状態の始期は、申請人が主張する1年前ではなく半年前であると判断し、半年間の賃金差額の支払いに関する調停案を作成し、受諾を勧告。双方が受諾し、調停は終了した。

 

 


事例2:賞与の支給に正社員と不合理な待遇差があるとする事例

     

【概要】

 申請人は、正社員に対して支給される賞与が契約社員に支給されないことは、有期雇用労働者であることを理由とする不合理な待遇差であるとして、賞与の支給を求める調停申請を行った。

 

【労働者の主張】

・上司に対し賞与が支払われない理由の説明を求めても、「契約社員だから」との回答しか得られず、納得できない。
・賞与の支給を求める。

 

【事業主の主張】

 賞与は業績にに対する功労報償のために支給しており、正社員と契約社員とでは業績への貢献度が異なるため、契約社員に賞与を支給しないことは不合理な待遇ではない。

 

【結果】

 調停員は、賞与の性質・目的と支給基準を踏まえると、契約社員も業績に対し一定の貢献をしているものと考えられることから、賞与を支給しないことは不合理な待遇と認められ得ると判断した。賞与の支給に関する調停案を作成し、受諾を勧告。双方が受諾し、調停は終了した。

 

 

 

労働施策総合推進法に基づく場合

事例:職場におけるパワーハラスメントにより退職に追い込まれたとする事例

     

【概要】

 上司から同僚の前で大声で繰り返し叱責される日々に耐えられなくなり、会社の相談窓口に相談したところ、上司からの叱責がさらに激しくなり、精神的に就業継続が困難となり辞めざるを得なくなったため、会社に対し慰謝料を求める調停申請を行った。

 

【労働者の主張】

・会社に相談したが、業務上の指導として事実確認が不十分であった。
・パワーハラスメントを受け辞めざるを得なくなったのは、会社のパワーハラスメント対策が不十分であるために上司にパワーハラスメントを行ってはならないものであるとの認識がなかったものであり、精神的ダメージによる慰謝料を求める。

 

【事業主の主張】

 上司に対し事実確認を行ったところ、業務上の指導の一環であると本人は主張したが、誤解を招く言動について厳しく注意し、十分に対応しており、慰謝料を支払うつもりはない。

 

【結果】

 調停員は、今回の紛争の生じた原因に会社の対応不足があったことを指摘し、紛争解決を図るため、申請人に対する慰謝料の支払いと意識啓発などの再発防止対策を含め、法に沿ったパワーハラスメント対策を講ずべきとする調停案を作成し、受諾を勧告。双方が受諾し、調停は終了した。

 

 

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