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安心して働くための「無期転換ルール」
無期転換ルールとは
無期転換ルールとは、2以上の有期労働契約が同一の使用者との間で通算5年を超えて更新された場合、有期労働契約者(契約社員やアルバイトなどの名称を問わず、雇用期間が定められた労働者)の申込みにより、無期転換前と同一の労働条件で、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルールです。
無期転換申込権が発生しても、実際に申込みをするかは労働者の自由です。
労働者が申込みをすると、使用者が申込みを承諾したものとみなされ、無期労働契約がその時点で成立します。無期労働契約に転換されるのは、申込み時の有期労働契約が終了する翌日からです。
なお、この申込みは口頭でも有効ですが、トラブル防止のためにも書面での申込みが推奨されています。
無期転換ルールの適用を免れる意図をもって、無期転換申込権が発生する前の雇止めや契約期間中の解雇等を行うことは、「有期労働契約の濫用的な利用を抑制し労働者の雇用の安定を図る」という労働契約法第18条の趣旨に照らして望ましいものではありません。
⇨有期労働契約の満了前に使用者が更新年限や更新回数の上限などを一方的に設けたとしても、不当な雇止めとして許されない場合もありますので、慎重な対応が必要となります。
⇨契約更新上限を設けた上で、無契約期間(空白期間)を設定し、期間経過後に再雇用を約束した上で雇止めを行うことは、法の趣旨に照らして望ましいものではありません。
⇨契約期間の途中で解雇することは、やむを得ない事由がある場合でなければ認められません。
無期転換ルールのメリット
〇意欲と能力のある労働力を安定的に確保しやすくなります!
(企業にとってのメリット)
御社の実務や事情等に精通する無期労働契約の労働者を比較的容易に獲得できます。
(労働者にとってのメリット)
雇用の安定性に欠ける有期労働契約から無期労働契約に転換することで、安定的かつ意欲的に働くことができます。
〇長期的な人材活用戦略を立てやすくなります!
(企業にとってのメリット)
有期労働契約から無期労働契約に転換することで、長期的な視野に立って社員育成を実施することが可能になります。
(労働者にとってのメリット)
雇止めの不安がなくなるため、長期的なキャリア形成を図ることができます。
【無期転換ルールに関するパンフレット】
・無期転換ルールハンドブック
・無期転換ルールのよくある質問(Q&A)
無期転換ルールの特例について
□ 高度な専門的知識を有する有期契約労働者の特例(第一種計画認定)
特例を受けるための要件
① 高収入(※)で、専門的知識を有する有期契約労働者であること。
② 当該専門的知識等を必要とする業務に就いていること。なお、5年を超える一定の期間内に完了することが予定されているものに限られます。
③ 適切な雇用管理に関する計画を作成し、都道府県労働局の認定を受けること。
(※)事業主との間で締結された有期労働契約の契約期間に、その事業主から支払われると見込まれる賃金の額を、1年間当たりの賃金の額に換算した額が、1,075万円以上であることが必要です。
特例の効果
当該業務に就いている期間に限り、無期転換申込権が発生しません。ただし、無期転換申込権が発生しない期間の上限は10年です。
□ 定年後引き続いて雇用される有期契約労働者の特例(第二種計画認定)
特例を受けるための要件
① 定年に達した後、引き続き当該事業主に雇用されている有期契約労働者であること。
② 適切な雇用管理に関する計画申請書※を作成し、都道府県労働局の認定を受けること。
特例の効果
定年後引き続き雇用されている期間、無期転換申込権が発生しません。
(※)適切な雇用管理に関する計画申請書の様式や記入例については愛媛労働局HPをチェック! → 「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」について
【無期転換ルールに関するパンフレット】
・高度専門職・継続雇用の高齢者に関する無期転換ルールの特例について
労働条件明示のルール
「労働基準法施行規則」と「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」の改正に伴い、労働条件の明示事項等が変更されることとなりました(2024年(令和6年)4月1日施行)。
今回の改正により、無期転換に関する事項も労働条件への明示事項として追加されました。
① 有期契約労働者に対する無期転換申込機会の書面明示
対象となる労働者
無期転換申込権が発生する有期契約労働者が対象です。
改正の内容
「無期転換申込権」が発生する契約更新のタイミングごとに、該当する有期労働契約の契約期間の初日から満了する日までの間、無期転換を申し込むことができる旨を書面(※)により明示することが必要になります。
初めて無期転換申込権が発生する有期労働契約が満了した後も、有期労働契約を更新する場合は、更新の都度、上記の明示が必要になります。
(※)労働者の希望によりメール等で明示することも可能です。
留意点(相談体制の整備)
事業主は、「有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する事項」に関し、その雇用する有期契約労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備しなければならないこととされています(パート・有期雇用労働法16条)。
無期転換申込権についても、「有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する事項」に当たりますので、企業内で無期転換についても相談できる体制を構築してください。
② 無期転換後の労働条件の明示
対象となる労働者
無期転換申込権が発生する有期契約労働者が対象です。
改正の内容
「無期転換申込権」が発生する契約更新のタイミングごとに、無期転換後の労働条件を書面(※)により明示することが必要になります。
(※)労働者の希望によりメール等で明示することも可能です。
留意点(無期転換後「別段の定め」を設ける場合)
無期転換後の無期労働契約の労働条件は、労働協約、就業規則、個々の労働契約で「別段の定め」をしない限り、無期転換前と同一の労働条件が適用されます。
なお、職務の内容などが変更されないのに無期転換後の労働条件を従前よりも低下させることは、無期転換を円滑に進める観点からも望ましいものではありません。
③均等を考慮した事項の説明に努めること
「無期転換申込権」が発生する契約更新のタイミングごとに、対象となる労働者に無期転換後の労働条件に関する定めをするに当たって、労働契約法第3条第2項の規定の趣旨を踏まえ、就業の実態に応じ、他の通常の労働者(正社員等やいわゆる正規型の労働者及び、無期雇用フルタイム労働者)との均衡を考慮した事項(例:業務の内容、責任の程度、異動の有無・範囲など)について説明するよう努めることになります。
具体的な説明例
Aさんは無期転換後も以前と変わらず、レジや接客が主な業務で、店舗の運営に責任は負いません。一方、正社員は、レジや接客、発注に加えて店舗運営に責任があり、クレーム処理などの業務も行います。こうした「業務の内容と責任の程度」の違いを考慮し、Aさんの給与水準を定めています。
【労働条件明示のルール変更に関するパンフレット】
・2024年4月からの労働条件明示のルール変更の備えは大丈夫ですか?
無期転換に関する助成金(キャリアアップ助成金)
無期転換の導入にあたり、一定の要件を満たせばキャリアアップ助成金の支援を受けることができます。
有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者、正規雇用労働者以外の無期雇用労働者(以下「有期雇用労働者」といいます。)といった、いわゆる非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成する制度です。
次の6コースがあります。
①正社員化コース
有期雇用労働者等を正規雇用労働者に転換または直接雇用した場合に助成
②障害者正社員化コース
障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等へ転換した場合に助成
③賃金規程等改訂コース
有期雇用労働者等の基本給に賃金規程等を3%以上増額改訂し、昇給した場合に助成
④賃金規程等共通化コース
有期雇用労働者等に関して正規雇用労働者との共通の職務等に応じた賃金規程等を新たに作成し、適用した場合に助成
⑤賞与・退職金制度導入コース
有期雇用労働者等に関して賞与・退職金制度を新たに設け、支給又は積立てを実施した場合に助成
⑥社会保険適用時処遇改善コース
短時間労働者が新たに社会保険の被保険者となる際に、労働者の収入を増加させる取組(手当支給・賃上げ・労働時間延長)を行った場合に助成(令和8年3月までの時限措置となります。)
【参考資料】
・キャリアアップ助成金(厚生労働省ホームページ)
お問合せ先
愛媛労働局 雇用環境・均等室
住所 :〒790‐8538 愛媛県松山市若草町4‐3 松山若草合同庁舎6階
電話番号:089‐935-5222
【キャリアアップ助成金に関するお問合せ先】
愛媛労働局職業対策課分室(助成金センター)
住所 :〒790-0878 愛媛県松山市勝山町2-6-3 FJ松山ビル2階
電話番号:089-987-6370