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東京労働局の企業訪問【株式会社ブリヂストン】
東京労働局の企業訪問【株式会社ブリヂストン】
土田浩史東京労働局長は、令和元年10月25日に株式会社ブリヂストン(本社:東京都中央区)の石井雅之執行役員を訪問し、同社の「働き方改革」の取組状況をお聴きするとともに、引き続きの取組の推進をお願いしました。
※「装い改革」推進中のため、当日もビジネスカジュアルでお話を伺いました。
【会社情報】
「当社が本質的に目指しているのは、生産性向上とイノベーションです。働く人たちのアウトプットを引き上げられるよう、有効と判断したものは積極的に取り入れています。また、組織の変革も行っています。デメリットもありますが、業務プロセスの変革や部門の壁が取り払われるというメリットの効果を狙ってのことです。」
「会社の施策はどんなに良いものであっても指示するだけではだめで、社員が納得して自発的に取り組むことが重要です。上から指示するタイプのリーダーだけでなくリーダーシップの多様化が必要で、権威や権力によらないフラットな組織運営ができるリーダーシップの下で多様な社員が活躍している、そういう姿を経営課題として施策を進めているところです。」
今回は主にスタッフ部門の取り組みを伺いましたが、生産現場においても同じ考え方のもと、現場の実態に合わせて別途取り組みをされているとのことです。
最後に土田局長から石井執行役員に対し、東京労働局の作成したリーフレット『「働き方改革」を進めましょう!』をお渡しし、引き続きの取組をお願いしました。
1 取組の目的
制度を整備するだけでなく働き方の本質を変えていくという思いから、あえて「働き方『変革』」を掲げ、「一人ひとりの仕事の『質』の向上による企業競争力の向上」をテーマに、多様な個人が新しい価値を生み出していくことで、個人の成長とともに企業の競争力につながり、それが個人への投資に戻っていくという好循環を目指して取り組んでいる。この取組を基盤面から支える施策として、人事制度改訂・就業環境整備・デジタル活用等にも取り組んでいる。
2 現在の取組
〇推進体制
様々な会議体を活用し、トップが定期的に社員に会社のビジョンを伝えている。
また、課長層からなる「働き方変革連絡会議」を2017年に設置し、現場の課題や要望を吸い上げて全社の働き方変革に向けた検討を続けている。
更に、小平技術センターに設置した「Culture Change Project」が先行的にイノベーティブな組織風土改革に取り組んでいる。検討・実施した内容はワークショップや全体会議等で共有している。実績としては、モチベーション向上を目的とした部門内表彰制度の拡充、部門内交流活性化のための技術展示会、会議終了予定時間の5分前までに終了するルールの制定、お互いの良いところを褒め合う「いいねカード」など。
○労働時間削減の取組
2017年4月から、スタッフ部門の所定労働時間を8時間から7時間30分に短縮した。併せて所定外労働の削減の取組を進め、短縮した時間分が残業にならないよう生産性向上により吸収することを目指し3か年計画で取り組んでいる。
また、年次有給休暇は6か月継続勤務で20日付与している。そのうち5日は計画年休、更に年5日が年休奨励日で、いずれも事業所ごとの設定で、土曜日や長期休暇期間中に設定し休みが取りやすくなっている。
なお、交代制の現場については、シフトごとの要員数を増やすことで休んでも体制を維持できるようにした。
その他、フレックスタイム制や在宅勤務も含むテレワーク制度、定時退社日の設定等様々な労働時間削減の施策を打っている。
〇働く環境の整備
・オフィス環境の整備
従業員の就業環境改善・仕事の質の向上などを目的に、KTC(横浜・化工品技術センター)の全面リニューアル、福利厚生としての本社食堂リニューアル、小平地区と横浜地区の企業内保育所等、設備面の整備を順次行っている。特に保育所の歴史は古く、徐々に規模や設備を充実させてきた。更に、別の拠点の従業員に対する保育サービスも準備する等、力を入れている分野である。
また、ニーズの高い会議スペースの設置に当たっては、単に会議室を増やすのではなく、例えば「立ったまま短時間で」「2人だけで」「客先と打合せ」等、目的に応じた仕事の質や効率の向上がかなうよう工夫をこらしている。
・オフィスカジュアルの導入
働き方変革連絡会議にて、従業員から服装ルールをシンプルに見直したいと提案があったことから全社で導入。TPOは踏まえつつ服装を自由に選べることで、能率向上や従業員間のコミュニケーションにも好影響が出ている。
〇デジタル機器を活用した多様な働き方の実現
事業改革を行う上でデジタル化・ソリューション化に対応できなければ生き残れないとの考えの下、RPA(※1)、IоT(※2)を進めている。それも、現在の仕事をそのままデジタルに置き換えればよいのかという発想が必要で、部門が生産性向上を自分たちのテーマととらえ、会社が用意したツールを活用するというスタンスで進めている。
・テレワーク
2018年、場所や時間を問わず利用することができるようテレワーク制度を拡充。出張先から帰社せずに途中のカフェ等で勤務する、子供の迎えのために帰宅し、家事等を終えた後、海外との電話会議に自宅から参加をする等の活用がされている。
2020年の東京オリンピックに向けたTDM(※3)の取組として、年休取得促進やオフピーク通勤と併せ、一層の推進を図っている。
執行役員自身も月1回は実施している。テレビ会議システム等を利用し、ほとんどストレスなく仕事ができている。災害時等における事業継続の観点からもテレワークは有効であり、経営メリットは大きい。
(※1)RPA:「ロボティック・プロセス・オートメーション」の略で、定型的なパソコン操作等をソフトウェアのロボットにより自動化するもの。
(※2)IоT:「モノのインターネット」と呼ばれ、身の回りのあらゆるものがインターネットにつながる仕組み。
(※3)TDM:「交通需要マネジメント」を意味し、道路や公共交通機関における交通量の抑制・分散の取組。
・フリーアドレス
本社のうち一部の部門にて実施。導入は部門の判断によるが、導入の結果として紙を減らす必要性に気づき、サーバーへのデータ保存からリモートワークが更に進んだという事例がある。他部門からフリーアドレス導入済みの部署に入っていくこともしやすくなっている。事実上の固定席とならないよう一定のルールの下に運用することで、コミュニケーション向上に役立っている。
〇健康経営
過重労働防止対策としてのワーク・ライフ・バランスセミナーや定時退社の取組、メンタルヘルスケア対策としての社内相談体制整備の他、最近では禁煙活動として2020年4月に社内全面禁煙とする方針を全社に展開し、喫煙室を段階的に撤去している。中高年男性を中心とした一定数の喫煙者がいるが、目に見える形で会社の姿勢を示すことを目的に取り組んでいる。
また、生活習慣病対策として、従業員及び家族も利用可能なスマホアプリを導入。健康診断結果や健康情報に常時アクセスできるようにしている。
〇ダイバーシティの取組
多様性の尊重についての方針を明確に掲げ、ダイバーシティやワークライフバランスに関する講演会を10年前から継続的に実施。女性活躍に関する取組等の他、近年ではLGBTに関する研修や講演会を実施する等、様々な価値観や個性を持つ人が働きやすく、活躍できる職場環境を推進している。
3 取組の効果
・年休平均取得日数
2013(平成25)年 12.3日 → 2018(平成30)年 15.0日
・テレワーク利用者数
2016(平成28)年 83人 → 2018(平成30)年 1,276人
・介護休暇取得者数
2015(平成27)年 16人 → 2018(平成30)年 35人
※取組内容や実績は訪問時点のものであり、現在とは異なることがあります。
※本記事はPDF形式でもご覧になれます。
【本件担当】東京労働局 雇用環境・均等部 指導課 03-3512-1611
土田浩史東京労働局長は、令和元年10月25日に株式会社ブリヂストン(本社:東京都中央区)の石井雅之執行役員を訪問し、同社の「働き方改革」の取組状況をお聴きするとともに、引き続きの取組の推進をお願いしました。
石井雅之執行役員(右)に、リーフレット『「働き方改革」を進めましょう!』をお渡しする土田浩史東京労働局長(左) |
【会社情報】
名称 | 株式会社 ブリヂストン |
本社所在地 | 東京都中央区京橋3-1-1 |
創立年月 | 1931(昭和6)年3月 |
従業員数 | 単体14,705人(2018(平成30)年12月末時点) |
主な事業内容 | 製造業(乗用車用タイヤ、化工品等) |
URL | https://www.bridgestone.co.jp/ |
「当社が本質的に目指しているのは、生産性向上とイノベーションです。働く人たちのアウトプットを引き上げられるよう、有効と判断したものは積極的に取り入れています。また、組織の変革も行っています。デメリットもありますが、業務プロセスの変革や部門の壁が取り払われるというメリットの効果を狙ってのことです。」
「会社の施策はどんなに良いものであっても指示するだけではだめで、社員が納得して自発的に取り組むことが重要です。上から指示するタイプのリーダーだけでなくリーダーシップの多様化が必要で、権威や権力によらないフラットな組織運営ができるリーダーシップの下で多様な社員が活躍している、そういう姿を経営課題として施策を進めているところです。」
今回は主にスタッフ部門の取り組みを伺いましたが、生産現場においても同じ考え方のもと、現場の実態に合わせて別途取り組みをされているとのことです。
最後に土田局長から石井執行役員に対し、東京労働局の作成したリーフレット『「働き方改革」を進めましょう!』をお渡しし、引き続きの取組をお願いしました。
1 取組の目的
制度を整備するだけでなく働き方の本質を変えていくという思いから、あえて「働き方『変革』」を掲げ、「一人ひとりの仕事の『質』の向上による企業競争力の向上」をテーマに、多様な個人が新しい価値を生み出していくことで、個人の成長とともに企業の競争力につながり、それが個人への投資に戻っていくという好循環を目指して取り組んでいる。この取組を基盤面から支える施策として、人事制度改訂・就業環境整備・デジタル活用等にも取り組んでいる。
2 現在の取組
〇推進体制
様々な会議体を活用し、トップが定期的に社員に会社のビジョンを伝えている。
また、課長層からなる「働き方変革連絡会議」を2017年に設置し、現場の課題や要望を吸い上げて全社の働き方変革に向けた検討を続けている。
更に、小平技術センターに設置した「Culture Change Project」が先行的にイノベーティブな組織風土改革に取り組んでいる。検討・実施した内容はワークショップや全体会議等で共有している。実績としては、モチベーション向上を目的とした部門内表彰制度の拡充、部門内交流活性化のための技術展示会、会議終了予定時間の5分前までに終了するルールの制定、お互いの良いところを褒め合う「いいねカード」など。
○労働時間削減の取組
2017年4月から、スタッフ部門の所定労働時間を8時間から7時間30分に短縮した。併せて所定外労働の削減の取組を進め、短縮した時間分が残業にならないよう生産性向上により吸収することを目指し3か年計画で取り組んでいる。
また、年次有給休暇は6か月継続勤務で20日付与している。そのうち5日は計画年休、更に年5日が年休奨励日で、いずれも事業所ごとの設定で、土曜日や長期休暇期間中に設定し休みが取りやすくなっている。
なお、交代制の現場については、シフトごとの要員数を増やすことで休んでも体制を維持できるようにした。
その他、フレックスタイム制や在宅勤務も含むテレワーク制度、定時退社日の設定等様々な労働時間削減の施策を打っている。
〇働く環境の整備
・オフィス環境の整備
従業員の就業環境改善・仕事の質の向上などを目的に、KTC(横浜・化工品技術センター)の全面リニューアル、福利厚生としての本社食堂リニューアル、小平地区と横浜地区の企業内保育所等、設備面の整備を順次行っている。特に保育所の歴史は古く、徐々に規模や設備を充実させてきた。更に、別の拠点の従業員に対する保育サービスも準備する等、力を入れている分野である。
また、ニーズの高い会議スペースの設置に当たっては、単に会議室を増やすのではなく、例えば「立ったまま短時間で」「2人だけで」「客先と打合せ」等、目的に応じた仕事の質や効率の向上がかなうよう工夫をこらしている。
・オフィスカジュアルの導入
働き方変革連絡会議にて、従業員から服装ルールをシンプルに見直したいと提案があったことから全社で導入。TPOは踏まえつつ服装を自由に選べることで、能率向上や従業員間のコミュニケーションにも好影響が出ている。
〇デジタル機器を活用した多様な働き方の実現
事業改革を行う上でデジタル化・ソリューション化に対応できなければ生き残れないとの考えの下、RPA(※1)、IоT(※2)を進めている。それも、現在の仕事をそのままデジタルに置き換えればよいのかという発想が必要で、部門が生産性向上を自分たちのテーマととらえ、会社が用意したツールを活用するというスタンスで進めている。
・テレワーク
2018年、場所や時間を問わず利用することができるようテレワーク制度を拡充。出張先から帰社せずに途中のカフェ等で勤務する、子供の迎えのために帰宅し、家事等を終えた後、海外との電話会議に自宅から参加をする等の活用がされている。
2020年の東京オリンピックに向けたTDM(※3)の取組として、年休取得促進やオフピーク通勤と併せ、一層の推進を図っている。
執行役員自身も月1回は実施している。テレビ会議システム等を利用し、ほとんどストレスなく仕事ができている。災害時等における事業継続の観点からもテレワークは有効であり、経営メリットは大きい。
(※1)RPA:「ロボティック・プロセス・オートメーション」の略で、定型的なパソコン操作等をソフトウェアのロボットにより自動化するもの。
(※2)IоT:「モノのインターネット」と呼ばれ、身の回りのあらゆるものがインターネットにつながる仕組み。
(※3)TDM:「交通需要マネジメント」を意味し、道路や公共交通機関における交通量の抑制・分散の取組。
・フリーアドレス
本社のうち一部の部門にて実施。導入は部門の判断によるが、導入の結果として紙を減らす必要性に気づき、サーバーへのデータ保存からリモートワークが更に進んだという事例がある。他部門からフリーアドレス導入済みの部署に入っていくこともしやすくなっている。事実上の固定席とならないよう一定のルールの下に運用することで、コミュニケーション向上に役立っている。
〇健康経営
過重労働防止対策としてのワーク・ライフ・バランスセミナーや定時退社の取組、メンタルヘルスケア対策としての社内相談体制整備の他、最近では禁煙活動として2020年4月に社内全面禁煙とする方針を全社に展開し、喫煙室を段階的に撤去している。中高年男性を中心とした一定数の喫煙者がいるが、目に見える形で会社の姿勢を示すことを目的に取り組んでいる。
また、生活習慣病対策として、従業員及び家族も利用可能なスマホアプリを導入。健康診断結果や健康情報に常時アクセスできるようにしている。
〇ダイバーシティの取組
多様性の尊重についての方針を明確に掲げ、ダイバーシティやワークライフバランスに関する講演会を10年前から継続的に実施。女性活躍に関する取組等の他、近年ではLGBTに関する研修や講演会を実施する等、様々な価値観や個性を持つ人が働きやすく、活躍できる職場環境を推進している。
3 取組の効果
・年休平均取得日数
2013(平成25)年 12.3日 → 2018(平成30)年 15.0日
・テレワーク利用者数
2016(平成28)年 83人 → 2018(平成30)年 1,276人
・介護休暇取得者数
2015(平成27)年 16人 → 2018(平成30)年 35人
※取組内容や実績は訪問時点のものであり、現在とは異なることがあります。
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【本件担当】東京労働局 雇用環境・均等部 指導課 03-3512-1611