- 東京労働局 >
- ニュース&トピックス >
- 労働局からのお知らせ >
- 雇用環境・均等部からのお知らせ >
- 東京労働局における「働き方改革」推進の取組 >
- 東京労働局の企業訪問【メタウォーター株式会社】
東京労働局の企業訪問【メタウォーター株式会社】
前田芳延東京労働局長は、平成31年1月18日にメタウォーター株式会社(本社:東京都千代田区)の中村靖代表取締役社長を訪問し、同社の「働き方改革」の取組状況をお聴きするとともに、更なる取組の推進をお願いしました。
【会社情報】
同社の「働き方改革」の意義の一つとして、中村社長から、「近年の新卒採用では、「この会社で自分はどのようなキャリアアップができるのか」という観点で会社を選ぶ学生が増えていると感じている。人材確保の競争が厳しさを増す中、優秀な人材を得るには「会社の成長のためにあなたの能力を生かしてほしい」ではなく、「あなたの成長のために会社を利用してほしいし、我々はその環境を整備している」という視点で会社の制度や組織文化を創っていくことが重要で、「働き方改革」はそのベースとしても必須の取組だと考えている。」とのお話がありました。
訪問の最後に、同社が本社内に整備したサテライトスペース「アイランド」を見学させていただくとともに、前田局長から中村社長に対し、東京労働局の作成したリーフレット『「働き方改革」を進めましょう!』をお渡しし、一層の取組をお願いしました。
メタウォーター株式会社では、次のような「働き方改革」に積極的に取り組んでいます。
1 取組の目的
外国企業等との市場競争の激化や労働力の減少、若年層を中心とした勤労観の変化といった会社を取り巻く環境の変化に適応し、会社と従業員各人がともに成長しながら新たな付加価値を生み出していくため、ワークスタイルの変革に取り組んでいる。
2 現在の取組
○ 週休3日制の試行
慣習的なワークスタイルからの脱却を目指し、2018(平成30)年度から週休3日制トライアルを実施している。開発、技術、設計、コーポレート等の各部門でコアタイムのないフレックスタイム制の適用を受ける従業員を対象に、各人が自身のスケジュールを考慮しつつ平日のうち1日は勤務しないことで、休日を週3日とすることを推奨している。
これにより、従来、午前9時から午後5時半までの7時間45分(休憩を除く)、週5日勤務していたのを、午前9時から午後7時半までの9時間45分(同)、週4日勤務とするといった働き方が可能となった。
フレックスタイム制を活用した取組の一つであって、一律に週3日の休日を強制するものではないが、このような働き方も可能であることを実感してもらうという狙いも持っており、トライアルに参加した従業員からは、「自律的な時間管理の意識が向上した」、「私生活のスケジュールを立てる際の選択肢が増えた」、「平日の1日をボランティア活動に使えるようになった」などの声が聞かれている。
トライアルで抽出した課題等を検討の上、2019(平成31)年度から制度の本格的な運用を開始する予定である。
○ サテライトオフィス「アイランド」の設置
場所に捉われないワークスタイルの実現に向けて、2018(平成30)年度から全国の事業所内外でサテライトオフィス(スペース)の整備を進めている。
日常の環境から離れた場所(島)で新たな発想を生み出すという意味合いから、社内公募により「アイランド」と名付け、通勤時間の効率化を目的に東京都立川市に専用スペースを設けたほか、大阪や名古屋など全国の事業所内にも順次設置しており、計10か所となる予定である。
各地の事業所からの出張者が多い本社にも「万世橋アイランド」が設けられており、出張者が打合せの前後の時間を有効に活用できるようになった。利用目的に応じた複数の形態の机・椅子が用意されているため、本社の従業員も自席を離れて単独で行う業務に集中したいときや、他部署の従業員と気軽な情報交換やコミュニケーションを行うときなどに利用している。
また、従業員の要望があれば「アイランド」に専用PCを備え付ける取組も進めており、「より気軽に利用できる」と従業員から好評である。
週休3日制と「アイランド」勤務の併用により、時間・場所ともに新たな働き方が可能となってきている。例えば、本社に異動となったため名古屋から東京に単身赴任している従業員であっても、平日5日間のうち3日は出張ベースで東京の本社で働くこととしながら、1日は名古屋事業所内の「アイランド」でテレワークを行い、残る1日は休日とすることで、土日を含めた1週間のうち4日間を名古屋の自宅で家族と過ごす、といった働き方が可能となる。
○ 女性の活躍推進
同社は技術職(エンジニア)の割合が高く、工学系の学部・研究科卒業者に女性が少ないこともあって従業員に占める女性の割合は約10%と低い現状にあるが、女性人材の確保と在籍する女性従業員のさらなる活躍を進めるべく、各種の取組を進めている。
例えば、女性応募者の増加策として、入社後のキャリア形成や出産・育児との両立を具体的にイメージしてもらうため、各部門で働く女性従業員の仕事ぶりや各種の両立支援制度を紹介した小冊子を作成し、採用活動で積極的に活用している。
また、キャリア形成に関して、若手の女性従業員を対象とした研修を実施しているほか、女性従業員を部下に持つ管理職を対象に、女性活躍の意義を理解するための研修などを実施しており、女性従業員と管理職双方の意識啓発を図っている。
○ 再雇用制度(ジョブ・リターン制度)の導入
2018(平成30)年度から、育児や介護を理由とした退職に加え、大学院への進学や他社への転職のために退職した元従業員も対象とした再雇用制度(ジョブ・リターン制度)を導入している。
この制度は、一度退職した人材を積極的に受け入れることで、退職後に培った経験や知識を生かしてもらうとともに、異なる価値観やワークスタイルの多様性を受容し尊重する風土づくりを進めることも狙いとしている。
3 今後の取組
○ テレワーク制度の導入
同社では、2011(平成23)年度から育児・介護を行う従業員や長時間通勤の従業員を対象とした在宅勤務制度を導入しているが、これを拡充・改称し、対象者に制限を設けないテレワーク制度を2019(平成31)年度中に導入する予定である。
新しい制度では、利用日数や場所の制限を撤廃するとともに、利用可能な時間を所定就業時間にこだわることなく午前7時から午後10時までに拡大することとした。一方、所定時間外(7.75時間超)や所定休日の勤務は禁止とすることで、自律的な働き方の推進と従業員の健康確保の両立を図ることとしている。
○ 高年齢人材の活躍と兼業・副業の検討
同社では今後65歳を迎える従業員が増加していくことから、高年齢層の従業員がこれまでの経験を生かして活躍できるよう検討を進めている。
また、社外での経験の蓄積による能力向上等の観点から、従業員の兼業・副業についても検討を進めている。
4 取組の効果
・所定時間外労働(月平均、管理職を除く)
2014(平成26)年度 25.8時間 → 2017(平成29)年度 22.9時間
・年次有給休暇取得率(年平均、管理職を除く)
2014(平成26)年度 46.8% → 2017(平成29)年度 57.0%
・新卒採用者に占める女性比率
2014(平成26)年度 8.9% → 2017(平成29)年度 26.3%
※取組内容や実績は訪問時点のものであり、現在とは異なることがあります。
※本記事はPDF形式でもご覧になれます。
【本件担当】 東京労働局 雇用環境・均等部 指導課 03-3512-1611
中村靖代表取締役社長(左)に、リーフレット『「働き方改革」を進めましょう!』をお渡しする前田芳延東京労働局長(右) |
【会社情報】
名称 | メタウォーター株式会社 |
本社所在地 | 東京都千代田区神田須田町1丁目25番地 JR神田万世橋ビル |
創業年月 | 2008(平成20)年4月 |
従業員数 | 連結2,961人(2018(平成30)年3月末時点) |
主な事業内容 | 浄水場・下水処理場・ごみ処理施設向け設備などの設計・建設、 各種機器類の設計・製造・販売、補修工事、運転管理などの 各種サービスの提供 |
URL | http://www.metawater.co.jp |
同社の「働き方改革」の意義の一つとして、中村社長から、「近年の新卒採用では、「この会社で自分はどのようなキャリアアップができるのか」という観点で会社を選ぶ学生が増えていると感じている。人材確保の競争が厳しさを増す中、優秀な人材を得るには「会社の成長のためにあなたの能力を生かしてほしい」ではなく、「あなたの成長のために会社を利用してほしいし、我々はその環境を整備している」という視点で会社の制度や組織文化を創っていくことが重要で、「働き方改革」はそのベースとしても必須の取組だと考えている。」とのお話がありました。
訪問の最後に、同社が本社内に整備したサテライトスペース「アイランド」を見学させていただくとともに、前田局長から中村社長に対し、東京労働局の作成したリーフレット『「働き方改革」を進めましょう!』をお渡しし、一層の取組をお願いしました。
メタウォーター株式会社では、次のような「働き方改革」に積極的に取り組んでいます。
1 取組の目的
外国企業等との市場競争の激化や労働力の減少、若年層を中心とした勤労観の変化といった会社を取り巻く環境の変化に適応し、会社と従業員各人がともに成長しながら新たな付加価値を生み出していくため、ワークスタイルの変革に取り組んでいる。
2 現在の取組
○ 週休3日制の試行
慣習的なワークスタイルからの脱却を目指し、2018(平成30)年度から週休3日制トライアルを実施している。開発、技術、設計、コーポレート等の各部門でコアタイムのないフレックスタイム制の適用を受ける従業員を対象に、各人が自身のスケジュールを考慮しつつ平日のうち1日は勤務しないことで、休日を週3日とすることを推奨している。
これにより、従来、午前9時から午後5時半までの7時間45分(休憩を除く)、週5日勤務していたのを、午前9時から午後7時半までの9時間45分(同)、週4日勤務とするといった働き方が可能となった。
フレックスタイム制を活用した取組の一つであって、一律に週3日の休日を強制するものではないが、このような働き方も可能であることを実感してもらうという狙いも持っており、トライアルに参加した従業員からは、「自律的な時間管理の意識が向上した」、「私生活のスケジュールを立てる際の選択肢が増えた」、「平日の1日をボランティア活動に使えるようになった」などの声が聞かれている。
トライアルで抽出した課題等を検討の上、2019(平成31)年度から制度の本格的な運用を開始する予定である。
○ サテライトオフィス「アイランド」の設置
場所に捉われないワークスタイルの実現に向けて、2018(平成30)年度から全国の事業所内外でサテライトオフィス(スペース)の整備を進めている。
日常の環境から離れた場所(島)で新たな発想を生み出すという意味合いから、社内公募により「アイランド」と名付け、通勤時間の効率化を目的に東京都立川市に専用スペースを設けたほか、大阪や名古屋など全国の事業所内にも順次設置しており、計10か所となる予定である。
各地の事業所からの出張者が多い本社にも「万世橋アイランド」が設けられており、出張者が打合せの前後の時間を有効に活用できるようになった。利用目的に応じた複数の形態の机・椅子が用意されているため、本社の従業員も自席を離れて単独で行う業務に集中したいときや、他部署の従業員と気軽な情報交換やコミュニケーションを行うときなどに利用している。
また、従業員の要望があれば「アイランド」に専用PCを備え付ける取組も進めており、「より気軽に利用できる」と従業員から好評である。
週休3日制と「アイランド」勤務の併用により、時間・場所ともに新たな働き方が可能となってきている。例えば、本社に異動となったため名古屋から東京に単身赴任している従業員であっても、平日5日間のうち3日は出張ベースで東京の本社で働くこととしながら、1日は名古屋事業所内の「アイランド」でテレワークを行い、残る1日は休日とすることで、土日を含めた1週間のうち4日間を名古屋の自宅で家族と過ごす、といった働き方が可能となる。
○ 女性の活躍推進
同社は技術職(エンジニア)の割合が高く、工学系の学部・研究科卒業者に女性が少ないこともあって従業員に占める女性の割合は約10%と低い現状にあるが、女性人材の確保と在籍する女性従業員のさらなる活躍を進めるべく、各種の取組を進めている。
例えば、女性応募者の増加策として、入社後のキャリア形成や出産・育児との両立を具体的にイメージしてもらうため、各部門で働く女性従業員の仕事ぶりや各種の両立支援制度を紹介した小冊子を作成し、採用活動で積極的に活用している。
また、キャリア形成に関して、若手の女性従業員を対象とした研修を実施しているほか、女性従業員を部下に持つ管理職を対象に、女性活躍の意義を理解するための研修などを実施しており、女性従業員と管理職双方の意識啓発を図っている。
○ 再雇用制度(ジョブ・リターン制度)の導入
2018(平成30)年度から、育児や介護を理由とした退職に加え、大学院への進学や他社への転職のために退職した元従業員も対象とした再雇用制度(ジョブ・リターン制度)を導入している。
この制度は、一度退職した人材を積極的に受け入れることで、退職後に培った経験や知識を生かしてもらうとともに、異なる価値観やワークスタイルの多様性を受容し尊重する風土づくりを進めることも狙いとしている。
3 今後の取組
○ テレワーク制度の導入
同社では、2011(平成23)年度から育児・介護を行う従業員や長時間通勤の従業員を対象とした在宅勤務制度を導入しているが、これを拡充・改称し、対象者に制限を設けないテレワーク制度を2019(平成31)年度中に導入する予定である。
新しい制度では、利用日数や場所の制限を撤廃するとともに、利用可能な時間を所定就業時間にこだわることなく午前7時から午後10時までに拡大することとした。一方、所定時間外(7.75時間超)や所定休日の勤務は禁止とすることで、自律的な働き方の推進と従業員の健康確保の両立を図ることとしている。
○ 高年齢人材の活躍と兼業・副業の検討
同社では今後65歳を迎える従業員が増加していくことから、高年齢層の従業員がこれまでの経験を生かして活躍できるよう検討を進めている。
また、社外での経験の蓄積による能力向上等の観点から、従業員の兼業・副業についても検討を進めている。
4 取組の効果
・所定時間外労働(月平均、管理職を除く)
2014(平成26)年度 25.8時間 → 2017(平成29)年度 22.9時間
・年次有給休暇取得率(年平均、管理職を除く)
2014(平成26)年度 46.8% → 2017(平成29)年度 57.0%
・新卒採用者に占める女性比率
2014(平成26)年度 8.9% → 2017(平成29)年度 26.3%
※取組内容や実績は訪問時点のものであり、現在とは異なることがあります。
※本記事はPDF形式でもご覧になれます。
【本件担当】 東京労働局 雇用環境・均等部 指導課 03-3512-1611