安全衛生に関する相談

Q1. 安全衛生教育に要する時間は、労働時間にしなければならないのでしょうか。(使用者)

A1.労働安全衛生法で実施が義務付けられている安全衛生教育は、労働者をその業務に従事させる場合に労働災害等の防止を図るため、事業者の責任において実施しなければならないものです。したがって所定労働時間に行うのが原則ですが、都合により法定労働時間外に行う場合は、36協定の協定時間内で、かつ所定の割増賃金を支払わなければなりません。

Q2. 法令で定められている安全衛生教育とは別に、独自の安全衛生教育を自主的に行っています。自主的に行う安全衛生教育でも労働時間にしなければならないのでしょうか。(使用者)

A2.労働者にどのように指示(又は通知など)されているのか、参加することが労働者の自由意思に任されているのか否か、さらに不参加によって何らかの不利益がもたらされるのか否か等総合的に勘案し、使用者の指揮命令下におかれた時間であれば労働時間になります。

Q3. 健康診断の費用は会社負担なのでしょうか。(使用者)

A3.労働安全衛生法及びじん肺法等に規定されている健康診断は、事業者に健康診断実施の義務を課していますので、事業者が負担すべきものです。

Q4. 健康診断に要した時間は、賃金を払わなければならないのでしょうか。 (使用者)

A4.一般健康診断は、労働者の一般的な健康確保を図ることを目的として事業者にその実施義務を課しており、業務遂行との関連で行われるものではありませんので、受診に要した時間の賃金は、労使で協議するものです。しかしながら、「労働者の健康確保は、事業の円滑な運営には必要不可欠のもの」から考えると、使用者が要した時間の賃金を支払うことが望ましいといえます。
 なお、じん肺健康診断も含めた特殊健康診断については、事業の遂行に伴い、当然実施しなければならない性格のものですから、受診に要する時間は労働時間になりますし、時間外に行われた場合は、割増賃金を支払わなければなりません。

Q5. パートタイマーでも、定期健康診断を実施しなければいけませんか。(使用者)

A5.「雇用期間の定めのない者」・「雇用期間の定めはあるが、契約更新により1年以上使用される予定の者」・「雇用期間の定めはあるが、契約更新により1年以上引き続き使用されている者」のいずれかに該当し、かつ、その者の1週間の労働時間数(所定労働時間)が、その事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の4分の3以上である者は、実施しなければなりません。なお、労働時間数が4分の3未満であっても、概ね2分の1以上であれば実施することが望ましいものです。
 なお、じん肺健康診断も含めた特殊健康診断について、当該業務に常時従事している場合は、実施しなければなりません。

Q6. 時間給で雇われているパートタイマーです。前年までは勤務時間中に健康診断が行われ、その時間は賃金が支払われていたのですが、今年はたまたま休日と健康診断の実施日が重なり、会社側から、「できれば出てきて受診してほしい。」と言われました。受診に要する時間分の賃金はもらえるのでしょうか。(労働者)

A6.「できれば出てきて受診してほしい。」という言い方だけで、明確な業務命令(使用者の指揮命令の下におかれた労働時間)と認めることは難しいです。「勤務日になっている他の日に受診することはできないか。」などと会社と話し合ってみてください。
 その結果、休日出勤による受診を強く指示された場合は、受診時間も決められていることですから、具体的な指示があったものとして労働時間とみるべきと思われます。いずれにしても、前年まで健康診断に要した時間の賃金が支払われていたのですから、今年に限り労働日以外に受診させることを理由に、その受診に要した時間分の賃金が支払われないという取扱いは、難しいと思われます。

Q7. 健康診断結果個人票について、個人のプライバシーが含まれるため、会社で保管することを避けたいのですが。(使用者)

A7.労働安全衛生法により、保管が義務付けられています。
 個人のプライバシーを理由とするならば、履歴書や社会保険関係書類などを含めて、労働者に関する殆どの書類を会社が保管できなくなります。
 なお、健康診断結果個人票の保管は、労働者が就業するための健康確保措置を経年的に行うための資料とする目的もあります。

Q8. 労働災害が発生した場合、どんな手続きをとり、どの報告書を提出しなければならないのでしょうか。(使用者)

A8.労災保険による補償等の手続きとは別に、労働者死傷病報告書を所轄の労働基準監督署へ提出してください。労働者死傷病報告書は、休業見込み日数が4日以上の場合と4日未満の場合で様式が異なりますから、留意してください。

Q9. 労働災害があった時に提出する労働者死傷病報告書は、いつまでに提出しなければならないのでしょうか。(使用者)

A9.休業見込み日数が4日以上の場合、労働安全衛生規則第97条第1項で「…遅延なく…提出しなければならない。」と規定されています。「遅延なく」とは、法令で具体的な定めはありませんが、法律学上一般に「正当な又は合法的な理由による遅延と認められる場合を除き、直ちに」の意味と解されています。つまり特段の事情がない限り、休業が4日以上となることが判明し次第直ちにということになり、一般的には1週間以内、遅くても2週間以内に提出すべきです。
 なお、それ以上遅れて提出すると遅延理由書の添付を求めることもありますので、できる限り早めに提出するよう注意してください。休業4日未満の災害の場合は,四半期ごとの報告(1~3月発生分は4月末まで、4~6月発生分は7月末まで、7~9月発生分10月末まで、10~12月発生分は1月末まで)で差し支えありません。

Q10. 労働災害を発生させた場合、労災保険を使わない限り、監督署への報告は不要でしょうか。(使用者)

A10.労災保険を使うか否かに関わらず、労働者が以下の原因で死亡または1日以上休業した場合には、労働者死傷病報告書を提出しなくてはなりません(②については労働災害かどうかにかかわらず必要です。)。
①労働災害
②就業中又は事業場内(附属建設物内を含む)における負傷、窒息又は急性中毒

Q11. 作業開始前の点検や定期自主検査など、法令では点検と検査を使い分けています。どのような違いがあるのでしょうか。 (使用者)

A11.厳格な区別はありませんが、点検は主に機械装置の運転操作者が異常の有無を確認するために、機械装置の表面や作動状態を対象に、主に目視により点検します。それに対して検査は、機械装置の主要部分を必要に応じ分解し、検査器具等を使用して時間をかけて行うもので、保全担当者など専門的知識や技術を有する者が行うのが一般的です。
 

問い合わせ

ご相談は、最寄りの労働基準監督署または最寄りの総合労働相談コーナーまでお願いいたします。

その他関連情報

情報配信サービス

〒380-8572 長野市中御所1-22-1

Copyrightc Nagano Labor Bureau.All rights reserved.