賃金に関する相談

Q1. 賃金の支払日が土曜日(会社の休日)となったときは、前日の金曜日に支払うものではないでしょうか。(労働者)

A1.賃金の支払日について、就業規則の規定を確認する必要があります。「支払日が会社の所定休日の場合は、その前日に支払う。」という定めであれば、金曜日に支払うことになります。また、同様に「・・・・休日の場合は、次の出勤(営業)日に支払う。」という定めであれば、その規定によることになります。

Q2. 「会社の売上げが下がったので、君たちも我慢してもらいたい。」と言って、賃金が一律2万円下げられました。やむを得ないのでしょうか。(労働者)

A2.賃金を一方的に切り下げることは問題があります。やむを得ない事情により賃金を切り下げる場合には、労使同意の上で行うことが必要です。(労働契約法第8・9・10条)

Q3. 労働者が、社用車で事故を起こしました。その修理代を賃金から差し引きたいです。その労働者は過去にも数回事故を起こしているので、今回は修理代8万円のうち半分の4万円を2万円ずつ2回にわたり賃金から引くことを考えているが法的にどうでしょうか。(使用者)

A3.労働基準法の上では、賃金は同法第24条に基づき全額払いが原則ですから、修理代を一方的に差し引く(賃金と相殺する)ことはできません。賃金と相殺することは、労使間で合意の上であるならば、労働者の完全な自由意思によるものである限り、全額払の原則によって禁止されるものではないとした裁判例がありますので参考にしてください。

Q4. 原料仕入れが遅れたため、2日間機械を停止しなければならず、そのため、一部の労働者を休ませることになりそうです。その場合の賃金はどうすればいいですか。(使用者)

A4.会社都合による休業になりますので、1日当たり、平均賃金の6割以上の額を休業手当として、労働者に支払わなければなりません。なお、1日の一部を休業した場合は、労働した時間の割合で賃金が支払われていても、実際に支払われた賃金が平均賃金の6割に不足する場合は不足額を支払わなければなりません。

Q5. 台風が来ていて危ないので従業員を休業させたが無給で問題ないか。(使用者)

A5.「使用者の責に帰すべき事由による休業」の場合は休業手当の支払が必要となりますが、不可抗力によるものはこれに含まれないものとされ、不可抗力によると言えるためには、第一にその原因が事業の外部より発生した事故であること、第二に事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であることの2要件を備えたものである必要があるとされています。台風による休業が不可抗力といえるかどうかについては、例えば、
・会社周辺に避難勧告が出ている場合
・機械設備が台風により故障して操業できない場合
・地域一帯が停電し、業務を行えない場合
などは不可抗力による休業と認められると考えられますが、例えば台風の影響はわずかで業務を行うことは可能な場合には不可抗力によるものとは認められず、休業手当の支払が必要になると考えられます。

Q6. インフルエンザ(季節性のもの)にかかっているのに出勤してくる労働者や、家族がインフルエンザにかかった労働者を休ませたいが休業手当の支払は必要か。(使用者)

A6.病気の労働者に対する休業命令と休業手当の関係は、原則
①法令に基づく休業命令(法令に従うためのもの)→休業手当不要
②使用者の判断による休業命令→休業手当必要
と解されます。
 ①には「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(以下「感染症法」という。)の就業禁止規定に基づくもの、労働安全衛生法第68条の病者の就業禁止規定に基づくものがあります。
 感染症法では、1類から3類の感染症と新型インフルエンザ等感染症が就業制限の対象となっていますが、通常のインフルエンザは5類感染症に該当し、就業制限の対象となっていないため、感染症法等に基づく休業命令を出すことはできません。
 労働安全衛生法第68条の就業禁止の対象には、「病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病にかかった者」(労働安全衛生規則第61条第1項第1号)が含まれますが、季節性インフルエンザにかかった者は通常はこれに該当しないものと解されますので、休業を命じた場合、休業手当が必要となるケースが一般的です。
 労働者本人ではなく家族が感染しているケースについては、保健所等からの休業させるようにとの指導が出ているような事情がない限り、休業手当は必要と解されます。(感染防止のため、年休使用等、本人と検討された方がよいでしょう。)

Q7. 賃金計算事務や取引先からの入金日を考えて、賃金支払日を変更したいのですが、どのような手続きを踏めば良いでしょうか。(使用者)

A7.賃金支払日を遅らせる変更は、労働条件の不利益変更に当たるので、原則として、労働者の個別合意により認められます。また、就業規則の変更手続きも必要です。A1を参照してください。
 ただし、労働契約法10条の要件を満たすことで、就業規則の変更によって労働者の個別合意を得ることなく、労働条件を変更することが出来ます。 なお、変更月において、「毎月1回の支払い」がされなくなる場合(※)には、臨時の支払日を設けなくてはなりません。
(※)月末払い→翌5日とする場合、変更月には支払いがなくなりますので、月末に幾らかを臨時払いする必要があります。
 

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