1.家内労働法とは?
家内労働法は、家内労働者の労働条件の向上と生活の安定を図ることを目的として、家内労働者の労働条件の向上を図るうえで基本的な事柄(委託条件の明示、工賃支払の確保、最低工賃制度、安全衛生の措置など)について定めています。
2.家内労働者とは? 委託者とは?
家内労働法では、次のように「家内労働者」を定義しています。
下記の5つの要件をすべて備えたものを「家内労働者」と定義されます。
(1) |
製造・加工業者や販売業者又はこれらの請負業者から委託を受けること。
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近所の家庭から洋服の仕立てを頼まれる場合は、該当しません。 |
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(2) |
物品の提供を受け、その物品を部品、付属品、原材料とする物品の製造、加工等に従事すること。
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(3) |
委託業者の業務の目的である物品の製造加工などを行うこと。 |
(4) |
主として、労働の対象を得るために働くものであること。
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大規模な機械設備を設置して、企業的に仕事を行う場合は、該当しません。 |
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(5) |
自己ひとりで、又は同居の家族と共に仕事をし、常態として他人を使用しないこと。 |
また、下記の4つの要件をすべて備えたものを「委託者」と定義しています。
(1) |
製造・加工業者や販売業者又はこれらの請負業者であること。
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(2) |
その業務の目的物である物品について、物品の製造加工など仕事を委託すること。
・ |
例えば、衣服製造業が婦人服のまとめを委託するときは委託者になるが、職員に配る記念品のメダルの加工の委託は、該当しません。 |
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(3) |
原材料などの物品を提供して、その物品を部品、付属品、原材料とする物品の製造、加工等を委託すること。 |
(4) |
家内労働者に直接仕事を委託すること。
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委託者や下請企業に委託する場合は、該当しません。 |
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3.「家内労働手帳」の交付 ~委託条件の通知~
家内労働法では、委託するにあたっては、トラブルを防止するため、委託者が家内労働者に「家内労働者手帳」を交付することを定めています。
家内労働手帳に記入すべき事項は、下記の事項です。
(1) |
家内労働者の氏名 |
(2) |
委託者の氏名 |
(3) |
委託した業務の内容 |
(4) |
工賃の単価 |
(5) |
工賃の支払方法(支払場所、支払期日、通貨以外のもので支払う場合の方法) |
(6) |
物品の受渡し場所、 |
(7) |
不良品の取扱いに関する定め |
(参考)「伝票式家内労働手帳モデル様式」(Excel::60KB)が決められています。
4.工賃の支払についてはどのような定めがあるのですか?
家内労働法では、工賃の支払について次の事項が定められています。
(1) |
工賃は、原則として、現金で、その全額を支払われなければなりません。
・ |
家内労働者の同意がある場合には、金融機関口座振込みによる支払いもできます。 |
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(2) |
工賃は、家内労働者から製品を受け取ってから1か月以内に支払わなければなりません。
・ |
毎月一定期日を工賃締切日として定めている場合は、その工賃締切日から1か月以内に支払わなければなりません。 |
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(3) |
最低工賃が定められている業種にあっては、最低工賃額以上の工賃を支払わなければなりません。
・ |
茨城県においては、3つの最低工賃が定められています。
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5.その他注意することはありますか?
(1) |
委託状況届
家内労働者に仕事を委託するようになった者は、遅滞なく、それ以後は毎年4月30日までに、4月1日現在における委託業務の内容や、家内労働者数などについて記入した 委託状況届(PDF 312KB)を所轄の労働基準監督署長を経由して茨城労働局長に提出しなければなりません。 |
(2) |
帳簿の備付け
委託者は、家内労働者の氏名や工賃支払額などを記載した帳簿(Word:37KB)を備え付けておかなければなりません。(3年間保存してください。) |
(3) |
家内労働死傷病届の提出
委託者は、家内労働者が委託した業務に関し、負傷・疾病により4日以上仕事を休んだ場合、家内労働死傷病届を所轄の労働基準監督署長を経由して茨城労働局長に提出しなければなりません。 |
(4) |
安全及び衛生に関する措置
委託者は、家内労働者に委託した業務に関し、危害防止のため、安全装置の取り付け、防護措置を講じなければなりません。 |
6.いわゆる「インチキ内職」にご注意!
誰にでもできる簡単な仕事で高収入が得られるというような「うまい話」はありえません。
家内労働を始めるときは、工賃等委託条件をきちんと確認し、いわゆる「インチキ内職」の被害にあわないよう十分注意しましょう。
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