ストレスチェック制度に関する検討会報告書の概要
1 ストレスチェックの実施について
実施に当たり、衛生委員会で必要事項を審議・確認し、労働者に周知。
<ストレスチェックの実施方法>
ストレスチェックは、1年以内ごとに1回以上実施(一般健診と同時実施も可能)。 調査票によることを基本とする。
ストレスチェックの実施者となれる者は、医師、保健師のほか、一定の研修を受けた看護師、精神保健福祉士とする。
実施者には、事業場の状況を日頃から把握している産業医等がなることが望ましい。
労働者に対する人事権を有する者は、実施者にはなれない。
<ストレスチェック項目>
3つの領域(「仕事のストレス要因」、「心身のストレス反応」、「周囲のサポート」)を含めることを必須とする。
標準項目は、旧労働省委託研究により開発された、職業性ストレス簡易調査票(57 項目)とする。
なお、中小規模事業場等向けに、より簡易な項目も示す。
標準項目を参考としつつ、各企業が独自に項目を選定できることとする。
<同意の取得>
個人のストレスチェック結果を事業者に提供する際の労働者の同意の取得は、以下の方法に限定
(事前同意やストレスチェック実施時の同意は不適当)。
結果の本人への通知後に、個々人ごとに同意の有無を確認。
本人から面接指導の申出があった場合に、同意があったものとみなす。
<ストレスチェック実施後の対応>
個人のストレスチェック結果の保存は、事業者が、実施者に行わせる(実施者による保存が困難な場合は、
実施事務従事者(実施者を除く)に保存させることも可能)。
高ストレスと評価された者のうち、面接指導の申出を行わない労働者に対して、実施者が面接指導の申出勧奨を行うことを
推奨。
相談窓口を広げ、相談しやすい環境を作り、適切な対応を行うため、産業医と連携した保健師、看護師等による相談対応も
推奨。
医師の面接指導を経ずに、ストレスチェックの結果や保健師、看護師等による相談対応の結果だけで就業上の措置を
講じることは不適当。
事業者が入手した個人のストレスチェック結果については、就業上の措置に必要な範囲に限定せず、そのまま
上司、同僚等に共有することは不適当。
<集団分析と職場環境の改善>
ストレスチェックを職場環境の改善につなげるため、集団的な分析の実施と分析結果に基づく職場環境の改善を
事業者の努力義務とする。
集団分析結果は原則として本人同意なく事業者が把握可能であるが、10人未満の集団では、分析対象となる
労働者全員の同意がない限り不適当。
2 面接指導について
面接指導は、労働者から申出があった後遅滞なく行うことが適当であり、当該事業場の産業医等が実施することが望ましい。
3 派遣労働者の取扱いについて
派遣労働者個人に対するストレスチェックの実施、本人通知、面接指導については、法令上、派遣元が実施義務を負う。
一方、集団的な分析については、派遣先の努力義務とする。
4 労働者に対する不利益取扱いの防止について
面接指導の申出に対する不利益取扱いは法律で禁止。
以下の行為は禁止されるべき。
[1] ストレスチェックを受けないことを理由とした不利益取扱い。
[2] ストレスチェック結果の提供に同意しないことを理由とした不利益取扱い。
[3] 高ストレスと評価された労働者が面接指導の申出を行わないことを理由とした不利益取扱い。
[4] 面接指導の結果を理由とした以下の行為。
解雇
雇用契約の不更新
退職勧奨
不当な動機、目的によると判断される配置転換、職位(役職)変更
労働契約法等の労働関係法令の定めに反する措置を講じること
[5] 医師の意見と著しく内容・程度の異なる措置(労働者の不利益となるもの)を講じること。
5 その他
<外部機関への委託>
事業者はストレスチェックを外部機関に委託する場合は、予めその機関の実施体制や情報管理の適切さなどを
十分に確認することが望ましい(確認事項を国が示す)。
<実施状況の行政への報告>
ストレスチェックや面接指導の実施状況を労働基準監督署に報告させることとする。
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