ベストプラクティス企業への局長訪問を実施しました(結果報告)~「過重労働解消キャンペーン」の取組として~

 毎年11月は、「過労死等防止啓発月間」です。秋田労働局では、同月に「過重労働解消キャンペーン」を実施しており、この取組の一環として、秋田労働局長(甲斐(かい) (みつ)(あき))が、令和初の「ベストプラクティス企業」に選ばれた秋田ファイブワン工業株式会社を訪問しました。

 秋田ファイブワン工業(株)は昭和48年(1973年)に秋田県誘致企業として創業。秋田市八橋に本社工場を構え、高級ブランドの紳士服・婦人服の製造を請け負っています。その品質は高く、東京の大手百貨店のバイヤーからも高く評価されているそうです。

   
   秋田運河沿いに建つ本社工場



 まず、
 佐賀 善美(さが よしみ)会長と
 佐賀 善廣(さが よしひろ)社長
 からお話を伺いました。
 従業員の約8割が女性であり、女性が安心して働くことができる職場環境づくりに取り組んでいるとのこと。仕事と子育ての両立支援に取り組み、産前産後の休業の取得率は100%、さらに育児休業後の復帰も推奨しています。
   
   佐賀善美会長(左)と佐賀善廣社長(右) お二人はご兄弟です


   
   真剣に聴き入る甲斐局長



 子育てに影響が出ないよう、生産計画を定め、季節ごとの業務量の平準化を試みています。原則として一日2時間以上の残業は禁止。その結果、一日あたりの残業は多い人で1.5時間程度、約2割の社員は残業ゼロとなっています。
 有給休暇についても、半年単位で取得希望日を聞き取り、取得促進に努めています。
 楽しく、魅力ある職場づくりを推進するという企業風土を確立するため、円滑で健全な労使コミュニケーションを大切にしています。
 月に一度の「小集団活動」として、管理職を除いた社員で職場環境・作業方法の改善について話し合っています。その結果は、ノートに記され、管理職と共有。誰でも見られるよう食堂入口に置かれています。
 管理職が日頃の感謝を込めて「ありがとうカード」を配付する、社員一人ひとりの誕生日を月ごとに掲示しお祝いする、結婚・出産祝い金を贈呈するなど、とてもフレンドリーな雰囲気です。
 掃除には役員も参加。当番制で順番が回ってくるそうです。
 従業員と同じ目線で、積極的にコミュニケーションを図っています。
   
   テーブルにあるのが「ありがとうカード」  管理職が可愛らしいイラストになっています

   

 続いて工場を視察させていただきました。
 「プロジェクト5推進中」、「5S運動実施中」の垂れ幕。
 「プロジェクト5」とは、年110%生産性向上目標、不良率の低減、管理者の育成とその活性化、多能工の育成、5S改善活動のことです。
 「5S」とは、整理、整頓、清掃、清潔、躾。基本中の基本のようですが、これを徹底し、実践し続けるには、相当な覚悟と根気が必要です。結果として、作業コスト・製造コストの削減、作業効率のアップ、納期の短縮につながったとのことです。
   
   天井が高く、開放感があります



 天窓設置、LED照明の採用による省エネ化。開放感あふれる空間設計など、快適で働きやすい職場環境です。
 作業台の高さを低く設定、洗面所・更衣室・休憩室の改修、空調機器の設置など、女性が働きやすい配慮がいたるところに見受けられます。
   
   作業台の高さは低めに設定



 工場の床材には、足腰への負担軽減に配慮したフローリング床材を採用。床暖房も完備されています。
 写真は、女性が一人でも出荷作業が可能なトロリー配送システム。完成品を吊り下げ、移動させる際に使いますが、力を入れずに動かすことができます。
   
   トロリー配送システム。すいすい動きます



 多能工化(一人で複数の異なる作業を遂行する技能を育成すること)により、作業能率の向上、作業の効率化を達成しました。
 誰かが休暇を取得しても、その代わりになる社員がいるので、有給休暇を気兼ねなく取得することができます。
   



 「ヒューマンファクトリー」(社員一人ひとりの人間性を重視した職場)というスローガンを掲げ、「働きやすい自己啓発型工場」を目指して人材育成に取り組んでいます。女性は人生の転機がいくつもありますが、「身につけた技術は生涯役立ててほしい」という観点から、末永く働くことができる職場づくりに努めています。
   
   写真右のノートが小集団活動で使用されるノート。いろいろな提案がびっしりと書き込まれています。



 「職場環境づくりはまだまだ。今後も改善していきたい。環境改善により、モチベーションが上がり、生産性が向上すればそれに越したことはない。」と佐賀会長からご説明をいただきました。
 局長は、「労働時間を減らすだけでなく、生産性の向上につながっている。働き方改革に取り組んでいる企業、取り組もうとしている企業にぜひ周知していきたい。」と応えました。
 秋田労働局では、引き続き、働き方改革の必要性について広く周知するとともに、県内企業の過重労働解消に向けた取組を推進していきます。
   
   佐賀会長、佐賀社長、秋田ファイブワン工業の皆様、ありがとうございました!





 

その他関連情報

情報配信サービス

〒010-0951 秋田県秋田市山王7-1-3秋田合同庁舎4階(総務課、雇用環境・均等室、労働基準部)
〒010-0951 秋田県秋田市山王6-1-24山王セントラルビル6階(労働保険徴収室)
〒010-0951 秋田県秋田市山王3-1-7東カンビル5階(職業安定部)

Copyright(c)2000-2011 Akita Labor Bureau.All rights reserved.