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※ はじめに注意!
  最高裁判所などでの主要な判決例のポイントとなる部分または要旨だけを記述しています。
  事件の背景等一切が省略されていますので、正確さは欠けています。
  参考にしたい事件等がある場合には、最高裁判所の裁判例集等を直接参照してください。
  また、裁判例は、ひとつひとつの事件について審理した結果であり、そもそもケースバイケースであること、また、次の裁判例とは異なる裁判例も少なからず見られるということに十分に留意してください。

6 損害賠償


【債務不履行】

使用者は被用者に対し、労働契約上の付随義務として信義則上職場環境配慮義務、すなわち被用者にとって働きやすい職場環境を保つように配慮すべき義務を負うものと解される。 被告には従前から日常勤務中特に卑猥な言動が認められたところ、何ら対応策をとらなかった結果、休憩室で男性労働者からお臀を触る、卑猥な言葉をかけられるなどのセクシュアルハラスメントを受けたことが認められる。 なお、被告事業場は、主任らの責任態勢を確立し、毎月定期の勉強会、職員の研修会等を行うなど、職員に対する指導監督を尽くした旨主張するが、職場環境配慮義務を尽くしたとは認められない。 したがって、被告事業場は原告らに対する職場環境配慮義務を怠ったものと認められ、その結果被告の休憩室での前記行為を招いたといえるから、原告らに対し債務不履行責任を負う。   
  参考裁判例;三重セクハラ事件 津地判平9.11.5


【不法行為】

使用者が有する採用、配置、人事考課、異動、昇格、降格、解雇等の人事権の行使は、雇用契約にその根拠を有し、労働者を企業組織の中でどのように活用・統制していくかという使用者に委ねられた経営上の裁量判断に属する事柄であり、人事権の行使は、これが社会通念上著しく妥当を欠き、権利の濫用に当たると認められる場合でない限り、違法とはならないものと解すべきである。しかし、右人事権の行使は、労働者の人格権を侵害する等の違法・不当な目的・態様をもってなされてはならないことはいうまでもなく、経営者に委ねられた右裁量判断を逸脱するものであるかどうかについては、使用者側における業務上・組織上の必要性の有無・程度、労働者がその職務・地位にふさわしい能力・適性を有するかどうか、労働者の受ける不利益の性質・程度等の諸点が考慮されるべきである。 そうすると、原告に対する右総務課(受付)配転は、原告の人格権(名誉)を侵害し、職場内・外で孤立させ、勤労意欲を失わせ、やがて退職に追いやる意図をもってなされたものであり、被告に許された裁量権の範囲を逸脱した違法なものであって不法行為を構成するというべきである。   
  参考裁判例;バンク・オブ・アメリカ・イリノイ事件 東京地判平7.12.4
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