☆ 改正雇用対策法 第10条
「事業主は、労働者がその有する能力を有効に発揮するために必要であると認められるときとして厚生労働省令で定めるときは、労働者の募集及び採用について、厚生労働省令で定めるところにより、その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。」 |
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● 改正の背景
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これまでは、募集及び採用に係る年齢制限は「努力義務」でしたが、依然として年齢制限を行う求人が相当数有り、高年齢者や年長フリーターなど、一部の労働者の応募機会が閉ざされている状況にありました。
このため、この状況を改善し、労働者一人一人に、より均等な働く機会が与えられるよう、雇用対策法を改正し、募集及び採用における年齢制限を禁止としました。
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● 改正の内容
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労働者の募集及び採用の際には、原則として年齢を不問としなければなりません。 |
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この年齢制限の禁止は、ハローワークを利用する場合をはじめ、民間の職業紹介事業者、求人情報提供者などを通じて募集・採用する場合や事業主が自ら募集・採用する場合(文書募集など)を含め、幅広く適用されます。 |
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● 改正の留意点
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年齢不問として募集・採用を行うためには職務に適合する労働者であるか否かを個々人の適正、能力等によって判断することが重要です。
このためには、職務の内容、職務を遂行するために必要とされる労働者の適性、能力、経験、技能の程度など労働者が応募するにあたり求められる事項をできるだけ詳細に明示していただく必要があります。
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◇ 事業主の皆様へ
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年齢制限に固執する求人者等に対しては、ハローワークから改正法に基づき、資料の提出や説明を求められることがあります。
また、雇用対策法第10条に違反するときには、助言、指導、勧告等の措置を受ける場合があるとともに、職業安定法第5条の5ただし書に基づき、ハローワークや職業紹介事業者において求人の受理を拒否される場合があります。
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● 例外的に年齢制限を行うことが認められる場合
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募集・採用における年齢制限の禁止にあたっては、合理的な理由があって例外的に年齢制限が認められる場合を厚生労働省令で定めており、次のいずれかの例外事由に該当する場合は、年齢制限を行うことができます。
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【例外事由の6項目】 雇用対策法施行規則第1条の3第1項
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各例外事由をクリックしますと、詳細をご覧になることができます。 |
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また、こちらをクリックしますと、年齢禁止制限の例外事由の新旧対照表をご覧いただけます。 |
● 次のような募集は認められません
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例外事由に該当する場合でなければ、年齢制限をすることはできません。年齢不問としたうえで、以下の【求人票の記載例】のように職務内容や職務の遂行に必要な労働者の適性、能力、経験、技能などをできる限り具体的に明示して下さい。これにより、求める人材を雇用することが可能となります。
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× |
「若者向けの洋服の販売職として、30歳以下の方を募集」 |
【求人票の記載例】
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(業務内容を明示して下さい) |
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○ |
「10歳代後半から20歳代前半までの若者向けの洋服の販売であり、宣伝を兼ねてその商品を着用して店舗に出て接客する業務である。」 |
× |
「長距離トラックの運転手として、45歳未満の方を募集」 |
【求人票の記載例】
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(業務内容と必要な能力等を明示して下さい) |
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○ |
「長時間トラックを運転して、札幌から大阪までを定期的に往復し、重い荷物(□□kg以上)を上げ下ろしする業務であり、当該業務を継続していくためには持久力と筋力が必要である。」 |
× |
「高所作業を行う業務のため、55歳以下の方を募集」 |
【求人票の記載例】
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(業務内容と必要な能力等を明示して下さい) |
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○ |
「建設現場における高所(10m以上)で行う作業であり、この業務を継続していくためには、持久力と筋力が必要である。」 |
● 年齢制限を設ける場合における理由の提示について
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例外的に年齢制限を設ける場合(例外事由のいずれかに該当する場合)において、上限(65歳未満のものに限る。)を定める場合には、求職者、職業紹介事業者等に対して、その理由を書面や電子媒体により提示することが義務付けられています。
(高年齢者雇用安定法第18条の2第1項)
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◇ 事業主の皆様へ
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高年齢者安定法第18条の2第1項に基づく適切な理由の明示を行わない事業主は、高年齢者雇用安定法第18条の2第2項の規程に基づき、ハローワークから報告の徴収、助言、指導、勧告等の措置を受ける場合があります。
やむを得ない理由を提示しない求人の申込みなどについては、職業安定法5条の5ただし書に基づき、ハローワークや職業紹介事業者において求人の受理を拒否される場合があります。
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☆ ただし、以下の理由に限り、理由提示の方法に関する特例が設けられています。
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新聞や雑誌、広告等を活用して、労働者の募集及び採用を行う場合で、求人広告紙面の制約により、詳細な情報の提供が難しいなどの理由から、あらかじめ当該広告等にやむを得ない理由を提示することが困難な場合 |
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口頭により労働者の募集及び採用を行う場合など、労働者の募集及び採用の際に使用する書面又は電磁的記録がない場合 |
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事業主は、求職者の求めに応じて、遅滞なく、次のいずれかの方法により当該理由を示すことができます。 |
(1) |
書面の交付 |
(2) |
電子メールやFAXの送信、ホームページへの掲示等、求職者が記録された電磁的記録を出力することにより書面を作成することができるもの |
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☆ 改正雇用対策法施行規則(抜粋)
(募集及び採用における年齢にかかわりない均等な機会の確保) |
第1条の3 法第10条の厚生労働省令で定めるときは、次の各号に掲げる以外のときとする。 |
1 |
事業主が、その雇用する労働者の定年(以下単に「定年」という。)の定めをしている場合において当該定年の年齢を下回ることを条件として労働者の募集及び採用を行うとき(期間の定めのない労働契約を締結することを目的とする場合に限る。) |
2 |
事業主が、労働基準法(昭和22年法律第49号)その他の法令の規定により特定の年齢層に属する労働者の就業等が禁止又は制限されている業務について当該年齢層の労働者以外の労働者の募集及び採用を行うとき。 |
3 |
事業主の募集及び採用における年齢による制限を必要最小限のものとする観点から見て合理的な制限であるとして次のいずれかに該当するとき。
イ |
長期の継続勤務による職業能力の開発及び形成を図ることを目的として、青少年その他の特定の年齢を下回る労働者の募集及び採用を行うとき(期間の定めのない労働契約を締結することを目的とする場合に限り、かつ、当該労働者が職業に従事した経験があることを求人の条件としない場合であって学校(小学校及び幼稚園を除く。)、専修学校、職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)第15条の6第1項各号に掲げる施設又は職業能力開発総合大学校を新たに卒業しようとする者と同等の処遇で募集及び採用を行う場合に限る。) |
ロ |
当該事業主が雇用する特定の年齢層の特定の職種の労働者(以下この項において「特定労働者」という。)の数が相当程度少ないものとして厚生労働大臣が定める条件に適合する場合において、当該職種の業務の遂行に必要な技能及びこれに関する知識の継承を図ることを目的として、特定労働者の募集及び採用を行うとき(期間の定めのない労働契約を締結することを目的とする場合に限る。) |
ハ |
芸術又は芸能の分野における表現の真実性等を確保するために特定の年齢層の労働者の募集及び採用を行うとき。 |
ニ |
高年齢者の雇用の促進を目的として、特定の年齢以上の高年齢者(60歳以上の者に限る。)である労働者の募集及び採用を行うとき、又は特定の年齢層の労働者の雇用を促進するため、当該特定の年齢層の労働者の募集及び採用を行うとき(当該特定の年齢層に属する労働者の雇用の促進に係る国の施策を活用しようとする場合に限る。) |
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2 事業主は、法第10条に基づいて行う労働者の募集及び採用に当たっては、事業主が当該募集及び採用に係る職務に適合する労働者を雇い入れ、かつ、労働者がその年齢にかかわりなく、その有する能力を有効に発揮することができる職業を選択することを容易にするため、当該募集及び採用に係る職務の内容、当該職務を遂行するために必要とされる労働者の適性、能力、経験、技能の程度その他の労働者が応募するに当たり求められる事項をできる限り明示するものとする。 |
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雇用対策法施行規則第1条の3第1項第3号ロの規定に基づき厚生労働大臣が定める条件 |
雇用対策法施行規則第1条の3第1項第3号ロの規定に基づき厚生労働大臣が定める条件は、当該事業主が雇用する特定の職種に従事する労働者(当該事業主の人事管理制度に照らし必要と認められるときは、当該事業主がその一部の事業所において雇用する特定の職種に従事する労働者)の年齢について、30歳から49歳までの範囲内において、事業主が募集及び採用しようとする任意の労働者の年齢の範囲(当該範囲内のうち最も高いもの(以下「範囲内最高年齢」という。)と最も低いもの(以下「範囲内最低年齢」という。)との差(以下「特定数」という。)が4から9までの場合に限る。)に属する労働者数が、範囲内最高年齢に1を加えた年齢から当該年齢に特定数を加えた年齢までの範囲に属する労働者数の2分の1以下であり、かつ、範囲内最低年齢から1に特定数を加えた年齢を減じた年齢から範囲内最低年齢から1を減じた年齢までの範囲に属する労働者の2分の1以下であることとする。 |
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改正雇用対策法 第32条
第32条 厚生労働大臣は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、事業主に対して、助言、指導及び勧告をすることができる。
改正雇用対策法 第34条
第34条 厚生労働大臣は、この法律(第27条第1項及び第28条第1項を除く。)を施行するために必要があると認めるときは、事業主に対して、必要な資料の提出及び説明を求めることができる。
(募集及び採用についての理由の提示等)
第十八条の二 事業主は、労働者の募集及び採用をする場合において、やむを得ない理由により一定の年齢(六十五歳以下のものに限る。)を下回ることを条件とするときは、求職者に対し、厚生労働省令で定める方法により、当該理由を示さなければならない。
2 厚生労働大臣は、前項に規定する理由の提示の有無又は当該理由の内容に関して必要があると認めるときは、事業主に対して、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる。
改正雇用対策法 第7条及び第9条
第7条 事業主は、青少年が将来の産業及び社会を担う者であることにかんがみ、その有する能力を正当に評価するための募集及び採用の方法の改善その他の雇用管理の改善並びに実践的な職業能力の開発及び向上を図るために必要な措置を講ずることにより、その雇用機会の確保等が図られるように努めなければならない。
(指針)
第9条 厚生労働大臣は、前二条に定める事項に関し、事業主が適切に対処するために必要な指針を定め、これを公表するものとする。
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