就職差別につながるおそれがある14事項の考え方
家族に関すること
「家族」の職業(有無・職種・勤務先など)・続柄(家族構成を含む)・健康・病歴(遺伝性疾患の家系であるか等)・地位・学歴・収入・資産などを応募用紙や面接などで把握しようとする事例が見受けられますが、それらの事項は、本人の適性・能力に関係のないことです。
そもそも、両親のいる家庭であるかとか、親などの家族がどんな仕事についているか、会社の中でどんな役職か、どれほどお金持ちかなどによって、本人の就職が左右されてよいはずがありません。また、親などの家族の状況から本人の適性・能力などを推しはかろうとする考え方も、家柄を重んじるなどの前近代的な因習に基づく多くの予断と偏見が作用したものということができます。
「面接において家族についてたずねたのは、応募者をリラックスさせるために、答えやすい身近な話題として出しただけであり、何かを差別しようとするつもりはなかった」などという場合もあります。しかし、ひとたびたずねて把握してしまえば、それは知らないうちに予断や偏見を招き、本人に対する評価・見方にフィルターがかかります。はじめは差別するつもりはなかったということでも、結果として、把握したことが採否決定に影響を与え、就職差別につながるおそれがあるのです。
また、家族についてたずねるということは、例えば家族の離死別・失業など、本人に責任のないそれぞれの家族のさまざまな事情に立ち入ることにもなり、もし応募者がそれらの事情をたずねられたくないと思っていたならば、本人を傷つけたり、動揺させて面接時に実力を発揮できなくさせ、結果としてその人を排除してしまうことにもなりかねません。
家族に関することは、たずねる必要がないばかりか、本人自身の適性と能力を公平かつ客観的に評価するためにあえてたずねないようにする考え方が必要です。
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