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令和7年度ベストプラクティス企業(働き方に積極的に取組む企業)との意見交換を実施しました
取組内容をまとめたプレスリリースはこちら↓
https://jsite.mhlw.go.jp/shimane-roudoukyoku/newpage_01001.html
対象企業:高橋建設株式会社(島根県益田市、土木・建築・地域インフラサポート事業)

| 行政参加者: 岩見島根労働局長、越沼雇用環境・均等室長、河野労働基準部長 (オブザーバー) 女性活躍推進課 男女共同参画係 清水主事 島根県雇用政策課 いきいき職場づくり推進係 増田係長 島根県土木総務課 建設産業対策室 石倉主任 |
テーマ
―(岩見局長)高橋建設では、働き方改革につながる様々な取組がなされていますが、まず御社の経営において大切にしている考え方をお聞かせください。
高橋社長
昔から、人を幸せにする仕事がしたいと思っていました。先代から事業を引き継いだとき、高橋建設で働く人が安心して働くことができ、その家族も幸せになる、そして高橋建設に関わる周りの人たちも幸せになるような企業にしていきたいと思いました。そういう人たちの力で、新しい未来を作り上げていきたいと考えています。
―(岩見局長)周りの人を幸せにするという考え方が大前提にあり、それを軸に様々な取組がなされているのですね。
【年間休日について】
御社では、今年(令和7年)の年間休日は128日あるようですが、厚生労働省の令和6年就労条件総合調査では、建設業の平均年間休日数は111.4日だったそうです。これに比べると10日以上多いのですが、どのように実現したのでしょうか。
高橋社長
まず、人が集まらない、人材不足ということに大きな課題を感じていました。
建設業は、土曜日出社当たり前という業界だったのですが、それではだめだと思い、土曜日を全部休みにしたいと考えました。しっかり休める企業だったら、しっかり働いてくれるだろうと。でも、現場は天候に左右されるし、工期も守らなくてはなりません。
そこで、仕事のやり方や社員の意識を少しずつ変えて、徐々に年間休日を増やしていきました。
―(岩見局長)仕事のやり方や社員の意識はどのように変えていったのでしょうか。
田原管理部長
社長が、前年の会社カレンダーに新たに休日の印である赤い○をして、徐々に休日を増やしていきましたが、少ない稼働日の中で工事を計画どおりに進めなければならず、残業や休日出勤が多くなってしまうのではないか、経費が膨らむのではないかと、心配していました。
それでも、現場で作っていた書類は一部本社で作成し、クラウドで共有して現場支援を行える体制を整えたり、過去に評価が高かった工事の書類をデータベース化して、新しい工事に転用したり、現場管理を複数人で対応できるようにして、交代で休みをとれるようにすることで、残業も減らしつつ、休日日数を増やすことができました。
―(岩見局長)書類をクラウドで共有したり、データベース整備をして業務効率化を図ったということですね。柔軟に交代勤務をすることや、本社からの業務支援で、属人的にならず、助け合いの機運が高められそうですね。
【採用について】
採用については、どのようなことに取り組んでいますか。佐々木室長
採用担当者として、とにかく高橋建設を知ってもらわなければならないと思い、採用イベントには目に付く限り、行けるところは全部行きました。
また、テレビや新聞への広告、学生の見学受入、地域イベントへの参加など、地域での知名度アップをはかり、就活イベントでも「高橋建設知ってるよ」と言われ話を聞いてもらえるようになりました。イベントの主催者の方とも、会社のことを色々と話しているうちに仲良くなり、「高橋建設良い会社だよ」と就活生にすすめてくれるようにもなりました。
新卒で入社してくれた社員に、何で高橋建設を選んでくれたのか聞いてみると、ありがたいことに「会社の雰囲気がいい」という意見が多く、私もインターンシップで会社の雰囲気を感じてもらい、合うと思う人に入ってもらいたいと考えています。
そのため、就活イベントでは「とにかくインターンシップで会社に来てみて!」と伝えています。
そして入社が決まってからも、入社前研修や新入社員研修で同期同士のつながりができるような内容を考えています。
―(岩見局長)知名度をあげるというのは大切ですね。労働局も見習いたいところです。
【働きがいと給料の見直し】
入社してくれた社員の働きがいやモチベーションアップにつながることとしては何をされていますか?高橋社長
新卒の給料を見直したので、これに伴って継続勤務している社員の給料も見直すことになりました。やっぱり給料があがるというのは嬉しいし、モチベーションアップにつながっていると思います。どのくらい上げるか、という点では、地域の他の会社の給与を調べて、その会社の売り上げ規模なども考えて、どのくらいまで出せるかを検討しました。
利益が出たならそれは給与として社員に受け取ってもらいたいと思っています。そのまま払い続けられるかどうか、利益があがらなくなるときもあるかもしれませんが、そのときはまた何が問題になっているのかみて、解決していきたいと思っています。
そのためにも、何が問題になっているかちゃんと見えるような会社の雰囲気、組織でなければなりません。
―(岩見局長)働きやすい雰囲気が人材を集め、利益を生み、それを社員に還元してモチベーションアップにつながるというのは、本当に好循環でまわっているという感じがしますね。
他に、働きやすい職場づくりとして取り組まれていることはありますか?
佐々木室長
【女性も男性も働きやすい職場づくり】
女性も男性も働きやすい職場にするために、女性ミーティングを継続して開催しています。グループにわかれて、興味あるテーマについて話し合い、ヘルスケアやスキルアップの学びの場になっています。また、産休・育休・介護休暇の制度も充実させ、その後も働き続けられるようにバックアップしています。
【キャリアロスへの不安】
休暇後もキャリアをつないでいくというのは重要で、キャリアロスが不安で1年の育児休業を数か月で復帰し、従来の自分の仕事を他の人が担当しているのをみて、「自分は必要ないのではないか」と、焦りや不安がたまっていた社員がいました。そのときに、どのような言葉をかけるのが正解だったのか、いまだにわかりませんが、私から「今までやってきた仕事が他の人でもできるようになったら、自分はまた別の新しい仕事ができるじゃない。」と、仕事の幅や自分の可能性を広げていけるということを伝えました。私自身も悩みながらではありますが、早期に悩みが改善されるように相談できる体制づくりに努めています。
―(越沼雇用環境・均等室長)採用した人に安定して働いてもらうために、どのような取組をされていますか?
佐々木室長
【社員同士の交流】
普段から、何気ない声掛けを大切にして、とにかく話しやすい雰囲気をつくるようにしています。新入社員の場合は特に、個別面談を定期的にして、困りごとなども早期に把握できるように心がけています。それに、研修や地域イベントや社内イベントでも社員同士の交流が生まれて、話しやすい職場づくりにつながっています。―(島根県女性活躍推進課 清水主事)私も島根県に採用されて、まだ3年目ですが、同期とのつながりはとても大切だと感じています。仕事が始まってしまうと、バラバラの部署に配属されてしまうので、入社前研修で交流が図れるのはとてもうらやましいです。
研修を受けてみて、どうでしたか?
大谷社員
同期で入社する人はどんな人なんだろうと思っていたので、入社前研修で顔を合わせて、仲良くなれて、入社前の不安がなくなりました。3月くらいの実施でしたが、それがあってすごく良かったです。
佐々木室長
そう言ってもらえて良かった~。これからも続けます!
―(島根県用政策課 増田係長)仕事をしていて、やりがいがあるな、と実感する時は、どんな時ですか?
豊田社員
現場とか周りの人から頼られると、あぁ私がいて良かったんだなと思って、周りの人の役に立っている実感もありやりがいを感じます。自分が忙しいときに頼られて大変になるときもありますが、その時は私も後輩を頼って、手伝ってもらっています。
大谷社員
初めは、自分一人でできる仕事がほとんどなくて、現場の片付けとか、そんな感じの簡単な仕事しかさせてもらえていなかったのに、ある時「一人でやってみて」と仕事を任せてもらえたのが、とても嬉しかったです。
自分は益田で育って、益田の高校で土木の勉強をしたのですが、益田のインフラを支えたいと思っていたので、ここでの仕事は自分のやりたいことに直結していて、楽しいです。
―(土木総務課 石倉主任)外国人雇用については、どのように考えていますか?
高橋社長
今、ベトナム人の方3名に働いてもらっています。言葉の問題があるので、なかなか現場を任せるというには時間がかかりますが、自分が一つずつ学んでいったように、どんな仕事があるか、一つ一つ学んでもらっています。10年とか20年後でも、いつか彼ら、彼女らがベトナムに帰って、高橋建設に仕事を任せてもらったり、そんな交流ができればいいなと、とても長期的なつながりを考えています。
豊田社員
日本語に慣れてもらえるように、毎日仕事終わりに、その日困ったこととか、思ったことを、日記のような感じで書いてもらって、漢字も調べてもらって、読み方が分からないところは一緒に読んでみるとか、そういうことをして、コミュニケーションをとるようにしています。
―(岩見局長)今日色々とお話を伺って、たくさんの前向きな取組を知ることができました。本日はありがとうございました。
高橋社長
実際の現場では、今日お話しできていないようなところ、まだまだな部分もあると思います。それでも、そういうところが見えていれば、一つ一つ見直していけますし、それぞれの社員が「ここで働けて良かったな」と思ってもらえる場所にしたいと思っています。
そうであるために、社員同士で部下は先輩や上司を敬ったり、上司は部下を成長させるために努力したり、そういう関係が築いていけることが大切だと思っています。
本日は、ありがとうございました。
【担当課室部署】
島根労働局 監督課
TEL 0852‐31-1156
島根労働局 監督課
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