個別労働紛争解決事例(2)

                                                    新潟労働局雇用環境・均等室

企 業組織の再編や人事労務管理の個別化等に伴い、労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争が増加しています。そこで、新潟労働局の総合労働相談コーナーに寄せられた労働相談事例の中から、紛争調整委員会によるあっせんによって円滑に解決できた事例を紹介します。

▼申請の概要
  申請人(事業主)は他のパート社員より能力、適正の劣る被申請人(労働者)に解雇予告し、解雇日までに被申請人と充分話し合い、被申請人も解雇を受け入れた。
  しかし、その後申請人は被申請人から解雇撤回、精神的・経済的損害に対し補償金の支払を求められ、これを拒否するために、あっせん申請を行った。

▼紛争当事者の主張
【申請人=事業主】
 申請人は、新店舗出店に合わせ、被申請人をパート販売社員として採用し、鮮魚部門に配属した。パート社員全員同じ入社日であるが、被申請人は作業手順が覚えられず、動作も緩慢であり、他のパート社員とこなせる仕事量の差がだんだん開いていった。また被申請人は頻繁に器具にぶつかったり、つまずいたり、労働災害の危険があった。
 そのため申請人は、被申請人を、前の会社で経験があり、鮮魚部門に比べて運動量の少ない惣菜部門に配置転換し、個別教育を実施し、しばらく様子を見ることにした。しかし、被申請人には指示を受けた事、注意された事に対して努力しようとする姿勢がみられず、そのことで他のパート社員との連係がうまくいかず、作業が滞ることが度々あった。
 申請人は、お客様に出来るだけ速く、出来るだけ安く、商品を提供したいと考えており、パート社員のこなせる仕事量が大変重要であると考えていた。
 以上のことから、申請人は会議で、他のパート社員より能力、適正が劣る被申請人を解雇することに決定し、解雇予告を実施した。
 すると被申請人は、解雇に納得がいかないと総合労働相談コーナーに相談し、申請人との話し合いを求め助言指導を申し出た。
 申請人は総合労働相談コーナーの助言指導を受け、被申請人と解雇日までに数回、話し合いの場を持ち、解雇について充分説明し、被申請人の疑問に対しても丁寧に答えた結果、被申請人も解雇を受け入れた。
 よって、申請人は被申請人から出された解雇撤回要求、及び精神的・経済的損害に対する補償金の支払要求を受け入れずに和解したい。

【被申請人=労働者】
 被申請人は、以前、同様の仕事を経験していたこともあり、申請人の面接を受け、パート販売社員として採用された。解雇理由は、被申請人が他のパート社員に比べ仕事が出来ないという事であるが、被申請人は今まで、この様な事を言われたことはなく、他のパート社員より仕事が出来ないとも思っていない。また、これからも他のパート社員と同量の仕事が出来ると思っている。
 よって、解雇理由には納得がいかず、解雇撤回を求める。出来ない場合は精神的・経済的損害に対する補償金の支払を求める。 

▼あっせんの内容
 申請人及び被申請人に個別面談の上、あっせん委員が紛争の経過について尋ねたところ、紛争当事者双方とも、あっせん申請書に記載されている内容に大きな争いは無かった。
 ところが、被申請人が復職を強く求めてきたため、あっせん委員が申請人に復職の可能性を確認したところ、申請人は復職を認めない旨申し立てた。
 そこで、あっせん委員が双方の調整に入り、被申請人が復職を求めない旨の意思を示した為、申請人も合意の上、金銭による解決を図ることとなった。

▼結果
 申請人が被申請人に和解金として○万円を支払う事で合意し、紛争当事者双方で合意文書を取り交わした。


 

問い合わせ

この記事に関するお問い合わせ先

雇用環境・均等室

TEL
025-288-3501

その他関連情報

情報配信サービス

〒950-8625 新潟県新潟市中央区美咲町1-2-1 新潟美咲合同庁舎2号館

Copyright(c)2000-2011 Niigata Labour Bureau.All rights reserved.