第2回兵庫県最低賃金専門部会議事録

日時  令和4年8月3日(水)    14時00分~16時00分
場所 兵庫労働局 16階第3共用会議室
出席者 公益委員  梅野会長、桜間委員、山口委員
労働者委員 岩﨑委員、小西委員、堀井委員
使用者委員 倉本委員、松岡委員、𠮷川委員
事務局 木下労働基準部長、田中賃金室長、泉賃金指導官、今村労働基準監督官、木多専門監督官
議題    (1)  地域別最低賃金の目安に係る中央最低賃金審議会の答申について 
   (2) 兵庫県最低賃金の改正審議について 
   (3) その他 
議事録 桜間部会長  ただ今から、第2回兵庫県最低賃金専門部会を開会いたします。
 まず、本日の会議について事務局から報告をお願いします。 
泉賃金指導官  本日は、山口委員が遅れるとの連絡を受けておりますが、審議会令第6条第6項の規定による定足数を充足しておりますことを、御報告させていただきます。
桜間部会長  それでは議事に入りますが、まずは事務局から配布された資料の説明をお願いします。
田中賃金室長  それでは資料の説明をさせていただきます。
(次の資料について、説明)
 資料No.2 一般職業紹介状況(令和4年6月分)抜粋
 資料No.3 管内金融経済概況(2022年7月7日 日本銀行神戸支店)
 資料No.4 毎月勤労統計調査地方調査月報(令和4年5月)抜粋(兵庫県企画部統計課)
 資料No.5 兵庫県の経済・雇用情勢 抜粋(産業労働部地域経済課 令和4年8月2日公表)
資料の説明については以上で終わらせていただきます。 
桜間部会長  ただ今の説明について、確認等は何かありますでしょうか。
各委員 (特になし)

桜間部会長

 それでは、「兵庫県最低賃金の改正審議について」に移ります。
 今年の中央での目安審議に関しましては、昨日8月2日、目安の答申が示されたところですが、その状況も参考としながら兵庫県の最低賃金について議論を進めていきたいと思います。
 まずは、事務局から目安について説明をお願いします。 
田中賃金室長  はい、説明をさせていただきます
  (次の資料について、説明)
 資料No.1 令和4年度地域別最低賃金額改定の目安について(中央最低賃金審議会答申)
桜間部会長  ただ今の説明について、意見、質問等はありませんか。 
各委員 (特になし) 
桜間部会長  それでは、前回7月29日の専門部会では、労使から基本的な考え方をお伺いいたしました。
 前回の労使のお考えを簡単にまとめますと、労働者側の皆さんは、雇用戦略対話の合意及び政府方針で全国加重平均1,000円を目指している。連合としてもリビングウエイジの金額に早期に達したい。
 コロナによる恒常的家計支出や物価上昇は、最賃近傍の労働者に大きな影響を与えている。
 今後、特例貸付けや雇用調整助成金の支援制度が終了すれば、減少傾向である生活保護申請の増加も想定される。
 お互いの立場や法の趣旨を理解しながら県最賃を決定したい。
 これに対して、使用者側の委員の方々からは、コロナは第7波、予断を許さない状況である。
 政策の効果もあり、飲食を除けば多くの業種で深刻な状況を脱しつつあるが、中国のゼロコロナ政策による物流の混乱、2月以降のロシアの軍事侵攻が加わり、世界的な資源価格、物価上昇、半導体不足、原材料費高騰により多くの企業が足元の業績が悪化している。
 わが国の今年6月の消費者物価指数は2.2%、企業物価指数は9.2%前年比上昇している。
 生活者も企業も苦境にある。
 一方、今年4月には全国の中小企業3団体が共同で「最低賃金に対する要望」を出した。
 そこでは、最賃法が定める3要素、生計費、賃金、支払能力に基づき、各種指標・データによる明確な根拠のもとで納得感ある水準を決定すべき、だとしている。
 最賃引上げがマクロ経済全体を活性化させる政策の一つだとしても、法の規定では、あくまで賃金が低廉な労働者に対するセーフティネットの一つに過ぎない。
 兵庫県においても、経営に苦しんでいる中小事業者は多く、今年度の最賃についても、事業継続可能なものとするべく、データに基づく納得感のある結論を望んでやまない、ということでした。
よろしいですか。 
各委員  (特になし)
桜間部会長  本日からは金額の審議に入りたいと思います。
 当然三者合意を目指したいと思います。
 先ほど、目安額について説明がありましたように、8月2日の中賃においてBランク31円という目安が示されたことについては、労使とも御承知いただいたとおりです。
 例年どおりですと、まずは労使から各々金額提示をしてもらい、続いて公益が労働側、使用者側それぞれからの意見をお聞きして、金額審議を進めていくということになります。
 今年もまずは労使から金額を提示できるかどうかも含めて、御意見をお聞きし、そこからスタートしていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。 
各委員 (異議なし) 
桜間部会長  まずは労使それぞれで、打合せをされますか。 
各委員  お願いします。 
桜間部会長  では10分程度でよろしいでしょうか。
 それでは、10分を目処に別室で打ち合わせをお願いします。 
  (労働者側・使用者側委員が別室で打ち合わせ)
桜間部会長  それでは再開します。
 これから双方の御意見をお伺いしますが、まずは労働者側委員から金額提示とその理由についてお願いします。 
小西委員

 小西と申します。よろしくお願いします。
 兵庫県最低賃金改正審議にあたって労働側からの主張をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、改正審議に向けたスタンスについて説明させていただきます。
 昨年度につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響が継続していたものの、ワクチン接種の普及や感染防止対策の拡大、海外・国内経済の回復など、一昨年度とは異なる環境変化を踏まえるとともに、これまでの「全国加重平均1,000円」を目指すとした基本的な考え方のもと臨んだ結果、プラス28円の928円で結審いたしました。
 今年度については、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響やウクライナ情勢、資源価格の高騰などの懸念はあるものの、各種政策の効果や、個人消費・設備投資・海外経済の動向等から総じて持ち直しの動きが続いております。
 また、2022年6月7日閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2022」では、「できる限り早期に最低賃金の全国加重平均が1,000 円以上となることを目指し、引上げに取り組む」としております。
 加えて、中央最低賃金審議会では、2022年度の最低賃金額改定の引上げ額の目安を兵庫県、Bランクでは31円が示されました。
 このような状況を受けまして、兵庫県におきましても、これまで同様に、「全国加重平均1,000円」を目指す基本スタンスに変わりがないことを表明させていただきたいと思います。
 その元で、具体的な改正額でございますが、2022年度の具体的な改正額としては、プラス35円、963円を提示したいと思います。
 この改正額の根拠について説明させていただきます。
 日本経済は、個人消費・設備投資等に持ち直しの動きがみられており、兵庫県下においても同様の景況感にあります。
 一方で、新型コロナウイルス感染症の状況は、今年度に入り和らいでいたものの、7月中旬以降、第7波での新規感染者数の拡大傾向がみられる中で、政府・地方自治体においては行動制限を行わず基本的な感染防止策の徹底が行われており、経済活動も含めたWithコロナでの対応が進められています。
 こうした状況のもと、経済回復とともに自律的な成長軌道に乗せるためには、経済・社会の源となる「人への投資」が必要であり、その重要な要素の1つが最低賃金の引上げにあります。
 また、消費者物価におきましては、資源高や円安の影響等により2021年度後半からの上昇局面に入り、2022年6月の消費者物価指数、持家の帰属家賃を除く総合では前年同月比2.8%と上昇傾向にあり家計に影響を与えております。
 ついては、実質賃金を維持しなければ最低賃金近傍の労働者の生活は苦しくなるばかりであり、生活水準の維持・向上の観点からも消費者物価を考慮した最低賃金の引上げが必要と考えます。
 さらに、兵庫県での2022年度の春闘結果では、昨年度と同程度の1.94%の賃上げ率となっており、労使の懸命な努力により実現した賃上げの流れを最低賃金につなげ、兵庫県下の労働者の生活水準の維持・向上と個人消費向上による経済回復にも波及させるべきと考えます。
 一方で、兵庫県の最低賃金額は、「全国加重平均930円」に届いていないことや、今年度も全国加重平均値が上昇する可能性もあり、人口減少に伴う労働人口の減少と労働力の流出が懸念される中、大阪や首都圏との地域間格差是正も必要と考えております。
 このような観点から兵庫県として最低賃金の改正は必要不可欠であるとともに、兵庫県の将来にわたる発展の礎を築くためにも、今年度も改正を図り、目安プラスαに到達させておく必要があると考えている。
 具体的には、今回の改正額については、現行928円に対し、必要な積み上げ額として一つは、2022年度の中央最低賃金審議会目安の31円、それともう一つは全国加重平均との乖離、地域間格差の是正ということでプラス4円ということで、現行928円+31円+4円で963円という改正を要求したいと思います。
 以上、今回のプラス35円の改正額について考え方を述べさせていただきました。
 今回の改正額に対し、様々な御意見をお持ちであることは推察されますが、我々に与えられた責務を今一度労使で再認識し、議論を深めて参りたいと考えており、使用者側のより一層の御理解・御協力をお願いしたいと思います。
 最後に、今年度の金額審議にあたりましては速やかな金額提示をお願いし、限られた時間の中で公労使三者合意での結審に向けて有効に議論を尽くしたいと考えておりますのでよろしくお願いします。
 以上でございます。

桜間部会長  続いて使用者側の委員から金額提示とその理由についてお願いします。
松岡委員  では、使用者側を代表いたしまして松岡から申し上げます。
 今回我々に示されました目安は、消費者物価指数を中心にマクロ経済の動向と「新しい資本主義のグランドデザインおよび実行計画」及び「新しい資本主義実行計画工程表」並びに「経済財政運営と改革の基本方針2022」に配意したものでした。
 地域別最低賃金は、法第9条2項で地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払い能力を考慮して定めなければならないとあります。
 円安とコロナや戦争による全世界的な物価の上昇等により消費者物価が上昇しており、実質賃金が減少している状況は理解しています。
 したがって、最低賃金の改定は必要だということは我々使用者側も認識しております。
 ただ、同時に企業物価指数が消費者物価指数以上に急激に上昇していることも配慮する必要があります。
 特に最低賃金に近い水準で働く多くの労働者を抱える中小零細製造業では資材費等の高騰に直面しており、経営を大きく圧迫しています。
 兵庫県は製造業が多い産業構造のため、こうした影響を他府県以上に受けております。
 これら中小零細製造業はコロナ禍以前より、安価な輸入品や大手企業の海外生産シフト等により経営状況は芳しいものではありませんでした。
 そんな中で毎年3パーセント前後の最低賃金の上昇もあり、雇用を維持するのがやっとの事業所も多くありました。
 コロナ禍では各種の補助・助成により事業を維持してきた形になっていますが、今後は雇用保険の財源が枯渇した雇用調整助成金の縮小・打ち切りが予想されます。
 また、無利子・無担保のコロナ対策、いわゆるゼロゼロ融資で運転資金を繋いできた企業もコロナの収束、事業環境の好転が訪れる前に元本返済が始まりました。ゼロゼロ融資の返済資金を有利子負債で賄うという事になれば、実質利上げという事になります。
 法の定めるところの賃金支払い能力に着目すれば、賃金改定状況調査が常用労働者30人未満の小規模事業所を対象にしており、この最低賃金で主に対象とすべき中小零細企業に近い実態を示すものと従来より考えられております。
 この賃金改定状況調査第4表①では、今年のBランクにおける賃金上昇率は1.3%です。1.3%が中小零細企業をはじめ多くの企業が対応できる支払い能力です。
 したがいまして、本年は県内すべての事業所に昨年より1.3%の最低賃金の上昇を求めることが適当と考え、我が県は現行の928円に1.3%上昇した940円つまり12円の引上げを使用者側の提案とさせていただきます。
 提案させていただいた金額は目安の額とは相当に乖離しており、それぞれの立場の異なる方々の期待に添えるものではないかもしれませんが、県内のすべての産業を持続可能なものとする前提に立った解である事を御理解いただきたいと思います。
 以上でございます。 
桜間部会長  ただいま、労働者側、使用者側双方より御意見をお伺いしました。
 これから審議を進めていきたいと思います。まずは、公益側と労働者側とでお話するという形でよいですか。
各委員 (異議なし) 
桜間部会長 それでは別室でお話を聞かせていただきます。 
  (公労・公使会議等)
(第2回全体会議)
桜間部会長  再開します。
 それでは、本日の審議はここまでにしたいと思います。
 本日、公益委員が労働側委員及び使用者側と審議いたしました内容等につきまして、簡単に説明をいたします。
 まず、労働者側からお聞きした内容を申し上げます。労働者側の主張といたしましてはプラス35円、改正額963円の提案をいただいております。
 県内のコロナ第7波が拡大している中で経済活動はWith コロナでの対応が進められており、このような状況下で「人への投資」が必要であり、その一つとして最低賃金の引上げがある。
 消費者物価指数が上昇傾向にありその中で実質賃金を維持しなければ労働者の生活は苦しくなるばかりである。
 生活水準の維持・向上の観点からも消費者物価を考慮した最低賃金の引上げが必要と考えられる。
 また、地域間格差の是正も必要であるということで、目安プラスαで928円プラス中賃の目安プラス全国加重平均との乖離を超えた金額ということを主張され、あくまでも三者合意を目指し、目安プラス全国との格差是正、大阪との格差、京都との格差を縮めて全会一致で決めていきたいというのが労働者側のスタンスでした。
 それに対して使用者側の皆さんは、実質賃金が目減りする中で最低賃金改定の必要性は認識している。
 物価が上がっている中で消費者物価指数だけでなく企業物価指数はそれ以上に上昇している。
 そのため中小零細企業は資材費等の高騰に直面し深刻な状況で雇用の維持がやっとである。
 改定調査での賃金の上昇率はBランクで1.3%というのが支払能力の限界である。
 経済状況を反映した中で928円の1.3%プラスしたプラス12円、940円を提案しました。
 目安の大切さは当然認識されておりますが、31円という目安であれば影響率は21.9%で非常に大きなもので、支払い能力を考えないといけない。
 そういうことも考えプラス12円を提案されました。
 目安プラスαというのは困難であるというのが経営者の考えでした。
 以上のような労使の意見でした。
 10月1日発効については、労使共それを目指すというところは一致しておりました。
 他に何か補足はございませんでしょうか。
各委員 (特になし)
桜間部会長  では、今後の専門部会開催日程案について、事務局から説明していただけますか。 
田中賃金室長  次回以降の日程の事務局案についてお話させていただきたいと思います。
 第3回専門部会は出来れば明日8月4日午前10時、こちらの場所になります。午後に審議が延長になった場合はこの部屋が使えないため、少し狭くなりますが別の会議室を用意しております。
 続いて、第4回専門部会は明後日8月5日金曜午前10時とか9時半でお願いできるかと思っております。
 この日は午後本審が予定されている関係で、三ノ宮の神戸地方合同庁舎を用意しております。
 以上です。 
桜間部会長  今、日程案を御説明いただきましたが明日午前10時から3回目を開催し、審議経過を見ましてその後どうしていくのか、明後日のことを考えたいと思います。
 明後日は午後2時から本審が予定されていますが、例えば専門部会が更に議論を重ねて行くことになれば本審の時間をずらすことも想定されるのかなと思います。
 報告書ということになりますと、附帯意見を検討する時間も必要になるのでそれも考慮しないといけないのかなと思います。
審議日程について御意見等ございますでしょうか。 
各委員 (特になし) 
桜間部会長  それでは、明日8月4日午前10時、ここ兵庫労働局で、明後日8月5日は午前9時半、三ノ宮の合同庁舎での開催となります。
 また、引き続き金額審議となりますので非公開とします。
 最後に事務局から何かありますか。
田中賃金室長  現時点でNHKと神戸新聞が本審の取材は可能ですかとの問い合わせがございます。
 昨年度は傍聴の段階から入っていただいておりましたが、本年度はどのようにさせていただくか確認をお願い出来ればと存じます。
 特に異論がなければ例年通りと考えております。 
桜間部会長  よろしいですよね。 
各委員 (特になし) 
田中賃金室長  それでは例年通りとさせていただきます。
 本審の段階から傍聴に入るという可能性があります。
 ただ、記者は必ず取材に来るとも聞いておりませんので、他の取材が入れば欠席の場合もあります。
 以上です。 
桜間部会長  それでは今日はお疲れ様でした。
各委員  お疲れ様でした。
桜間 裕章
堀井 説也
松岡 直哉

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