代休?振替休日?
A:代休と振替休日って、なんか違うのですか? | ||
B:代休も振替休日も労働基準法上の用語ではないのですが、通達等で、一般的な考え方が示されています。 簡単に言うと、休日労働をした結果設定されるのが「代休」、あらかじめ休日を休日でなくした結果設定されるのが「振替休日」です。 |
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B:この代休か振替休日かは、割増賃金のことで問題となることが多いと思います。 | ||
A:どうしてですか。 | ||
B:代休と振替休日では、割増賃金の支払いに違いがあるからです。 | ||
A:えっ、同じように「休日」に働いているのに? | ||
B:まず、「休日」について考えてみましょう。 休日は、労働基準法では、毎週少なくとも1回または4週間に4回以上与えることとされています。 ほとんどの会社では、週に1日以上の休日を設けていますので、このうちの週に1日の休日が「法定休日」ということになります。 |
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A:でも、週休2日制の会社も増えていますよ。この場合、2日とも「法定休日」と考えるのですか? | ||
B:いいえ、会社の休日が週に2回ある場合には、どちらか1日を法定休日とすれば問題ありません。ちなみに、もう一方の休日は「所定休日」となります。 | ||
B:そこで、割増賃金ですが。 さきほど、休日労働をした結果設定されるのが代休と説明しました。つまり、代休の前提は「休日労働」ということなのです。 よって、その前提である休日が所定休日の場合には25%以上、法定休日の場合には35%以上の割増賃金を支払う必要があります。 |
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A:なるほど、では、さきほど、振替休日は休日を休日でなくした場合に設定されるという説明でしたので、割増賃金は支払わなくてもよい、ということなんですね。 | ||
A:でも、見た目は同じように休日に働いているのに、一方は割増賃金が支払われるのに、もう一方は支払われないというのは、なんか変な気がしますが…。 | ||
B:そうですね。 振替休日と「働いた日」の考え方ですが、「働いた日」は「休日」ではなく、「元は休日であった日」だということです。 つまり、「働いた日」は元は休日であったけど、その休日は振替休日のほうに振り替わってしまっているので、すでに「休日」ではなくなっている、ということです。 |
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A:振替休日とは、もともと休日であった日の休日という役割を取り去って、通常の労働日に休日という役割を割り振ったと考えればよいということなんですね。 |
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B:そうですね。 冒頭でも説明しましたが、振替休日は「あらかじめ」休日を休日でなくする制度なので、労働者の理解が得られるような「あらかじめ」の設定が望まれるところです。 |
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A:「あらかじめ」の基準はあるのですか。 |
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B:法律上の制度ではないので、何日前までに行わなければならないというような明確な基準はありません。 しかし、会社として設定している休日を変更しようとするわけですから、休日の予定がある従業員も多いと考えられますので、それなりの日数が必要であるとは考えられます。 また、就業規則などにも振替休日の規定を設けて、従業員にも説明しておく必要があります。 |
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B:振替休日には、もう一つ注意しなければならない点があります。 振替休日は、原則、同一週内に設定しなければ、割増賃金を支払わなければならなくなる、ということです。 もともと振替休日は法律上の決まりではないので、いつを振替休日に設定してもよいのですが、週をまたいで設定してしまうと、週40時間の法定労働時間を超えてしまうことがあり、この場合には、超えた時間に対して割増賃金を支払う必要が生じることになります。 |
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A:えっ。振替休日は、法律上の規定ではないのに、どうして割増賃金を支払わなければならないのですか? | ||
B:確かに、振替休日は法律上の規定ではありません。 しかし、振り替えられた休日が通常の労働日となることから、労働時間の適用を受けることになる、ということなのです。 |
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B:ある月の1日が日曜日だとします。そうすると、8日が日曜日ですね。 ここで、会社は土曜日も休みにして週の労働時間を40時間としていると仮定します。 |
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振替を行わない場合には、1日からの週も8日からの週も40時間であり割増賃金の支払い義務は発生しません。 ここで、1日の休日を2日の月曜日に振り替えた場合、1日から始まる週は、振り替える前と同様40時間なので、割増賃金の支払い義務は発生しません。 |
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ところが、9日の月曜日に振り替えたとしたらどうでしょう。 8日から始まる週は32時間となりますが、1日から始まる週は48時間となって、40時間を超えてしまっています。 法律では、週40時間を超える労働時間には25%の割増賃金を支払わなければならないと規定していますので、この超えてしまった8時間に割増賃金を支払う義務が生じる、というわけです。 |
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A:32時間となった週の賃金はどうなるのですか。 | ||
B:日給者の場合、4日分の賃金が支払われることとなります。 しかし、前の週で6日分の賃金及び割増賃金が支払われているため、支払額が少なくなる、ということはありません。 つまり、月で見ると、労働日数は変わらず、割増賃金が支払われている、ということになります。 |
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A:ちなみに、代休や振替休日に設定された日に年次有給休暇を取得すればその日には給料が支払われるのですか? |
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B:いいえ。 代休や振替休日に設定された日は労働日ではないので、労働日にだけ取得できる年次有給休暇は、当然ですが取得できません。 |
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B:代休を設定するためには休日労働が行えるように、就業規則等に休日労働を行わせることがあることについて規定する必要があり、36協定を結んでおく必要があります。 また、振替休日を設定する場合には、あらかじめ休日を振り返ることがあることについて、就業規則等に規定しておく必要があります。 |