第649回兵庫地方最低賃金審議会議事録

 
日時    令和3年8月23日(月)   10時00分~10時56分
場所 神戸地方合同庁舎3階 第6会議室
出席者 公益委員  梅野会長、岡崎委員、坂本委員、桜間委員、山口委員
労働者委員  岩﨑委員、日下委員、重宮委員、藤岡委員、堀井委員
使用者委員  倉本委員、林委員、松岡委員、松下委員、𠮷川委員
事務局  荒木労働局長、岸労働基準部長、青柳賃金室長、泉賃金指導官、倉本賃金主任
議題
   (1)兵庫県最低賃金の改正決定に係る異議申出について

   (2)その他
議事録 梅野会長  皆さん、おはようございます。ただ今から、第649回の兵庫地方最低賃金審議会を開会いたします。
 本日の審議会について、事務局から報告をお願いいたします。
泉賃金指導官  本日は全委員が御出席であり、審議会令第5条第2項の規定による定足数を充足しておりますことを御報告します。
梅野会長 それでは、審議を始めます。
 本日の議題は
  • (1)兵庫県最低賃金の改正決定に係る異議申出について
  • (2)その他
となっています。
 それでは、議題(1)に入ります。異議申出について、事務局から説明をお願いいたします。
青柳賃金室長  賃金室長の青柳です。よろしくお願いいたします。
 兵庫県最低賃金の改正につきましては、8月5日に答申をいただき、同日から8月20日まで異議の申出に関する公示を行いました。
 公示期間中、3件の異議申出を受理しています。
 異議申出書につきましては、資料の1から3に添付しています。
 資料1は、8月12日に兵庫県タクシー協会から提出された異議申出書。
 資料2は8月20日にスイートガーデン労働組合神戸支部から提出された異議申出書。
 資料3は、8月20日に兵庫県労働組合総連合から提出された異議申出書です。
梅野会長  以上、3件の異議申出があったということを御報告させていただきます。
 3件の異議申出書が出ているようですので、局長より諮問をお願いいたします。
  (局長から会長に諮問文を手交。)
梅野会長  ただ今、局長から諮問を受けました。
 事務局の方で諮問文の読み上げをお願いいたします。
泉賃金指導官  皆様のお手元には諮問文の写しを配布しておりますので、読み上げます。
  兵労発基0823第1号令和3年8月23日
  兵庫地方最低賃金審議会
  会長 梅野 巨利 殿
  兵庫労働局長 荒木 祥一
 
  最低賃金審議会の意見に関する異議の申出について(諮問)
 
   標記について、令和3年8月12日付けで一般社団法人兵庫県タクシー協会会長吉川紀興から、令和3年8月20日付けで兵庫県労働組合総連合議長成山太志及び全国労働組合連絡協議会全国一般労働組合全国協議会自立労働組合連合スイートガーデン労働組合神戸支部支部長伊藤潔史から別添のとおり最低賃金法第12条による異議の申出がありましたので、貴審議会の意見を求めます。
 以上です。
梅野会長  ただ今、局長から諮問を受けましたので、事務局より説明をお願いいたします。
青柳賃金室長  今回、兵庫県最低賃金の改正決定に関する異議申出は3件の申し出がありましたが、兵庫県労働組合総連合から、口頭によります意見陳述の希望がありました。
 前回の審議会で口頭での意見陳述をご承認いただいていますので、本日ご説明いただくことにしています。
 意見陳述の時間は10分程度ということでお願いしております。
 それでは、準備が出来るまでお待ち下さい。
泉賃金指導官  お待たせしました。それではご紹介します。兵庫県労働組合総連合の成山様、中村様です。
梅野会長  兵庫地方最低賃金審議会の会長を務めております梅野です。早速ですが提出されました異議申出書に基づき10分以内で意見陳述をお願いします。
陳述者(成山)  兵庫県労働組合総連合、略称「兵庫労連」と申しますが、議長をしています成山です。
 私は28円の引き上げという今回の答申では引き上げ額が低すぎる、中央最低賃金審議会の28円の目安に対し、兵庫県としては上積みをして大幅に引き上げるべきだという立場で意見を申し上げます。
 第一に中央最低賃金審議会の28円という引き上げ額では大幅な生活改善には繋がりません。
 28円の引き上げで兵庫県最低賃金は928円となりますが、時給928円では週40時間フルタイムで働いても15万円程度、年間2,000時間働いても年収では185万円、いわゆる「ワーキングプア」といわれる年収200万円に満たない年収しか得られません。
 そしてこの年収から税金、年金の掛金、健康保険料等が引かれますから、独身者であっても自立して生活することは困難です。
 私達兵庫労連ではどのような形態・仕事であってもフルタイムで働けばまともに暮らせる社会を目指して運動をしています。
 一人の人間がフルタイムで働いているにも拘わらずワーキングプア状態を脱することができないという状況は今すぐにでも改善すべきであるし、今の日本社会にはその程度の経済力は十分にあると私は思います。
 政府も2020年までに最低賃金を時給1,000円にすると掲げていたわけであり、その上、昨年の引き上げは全国平均でも、兵庫県でも1円に留まったことから、今年は中央最低賃金審議会の目安28円に大きく上積みをすることが求められています。
 2番目に述べたいことは、Aランク都府県との格差解消の問題です。
 全国の答申の状況をみますと、東京は1,041円、神奈川は1,040円、近畿でも大阪は992円、兵庫と同じBランクである京都は937円への引き上げということになっています。
 兵庫県も28円の引き上げでは、東京と113円、大阪と64円、京都と9円という格差を縮めることはできません。
 今まで中央最低賃金審議会での目安がランク別にAランクが高く、B、C、Dと低くなる引き上げ額であったことが地域間の格差を広げる要因となっていましたが、今回は初めて全国一律28円引き上げとの目安が出されました。
 そのことは中央最低賃金審議会としても地域間格差の広がりに配慮したものだと私は理解しています。
 しかし、その目安を受けて特に全国平均を下回っている県では目安の28円に上乗せを行わなければ地域間格差を縮めることはできません。
 兵庫県の最賃は、以前は全国平均と同額でしたが、現在は全国平均を下回る金額となっていますので、中央の目安28円に上乗せをすべきです。
 3番目に、日本の最低賃金は他の先進諸国と比べて金額が低すぎるということは、7月28日の意見陳述でも述べましたが、今日は別の角度から指摘をしたいと思います。
 OECDの統計によるとフルタイムの労働者の中央値を100とした場合の最低賃金の割合は、日本は40パーセントと最低に近いランクとなっています。
 ちなみにフランスでは62パーセント、オーストラリア、ベルギー、イギリス、ドイツ、オランダ、韓国はいずれも50パーセント前後となっています。
 日本の最賃は金額が低すぎると同時に、国外の賃金の中央値と比べてもその比率が低いということです。その点からも早急な改善が求められていると思います。
 そして昨年から今年にかけての引き上げ率、つまり世界的なコロナ禍の中での各国の最賃の引き上げ状況をみますと、日本の最賃は昨年の引き上げ率が0.1パーセントであったのに対し、韓国1.5パーセント、イギリス2.2パーセント、フランス0.99パーセント、ドイツは2回に分けて計2.7パーセントで、各国とも大幅な引き上げではありませんが、日本の0.1パーセントと比べると桁違いの引き上げを行っています。
 また韓国は、来年の1月から5パーセントの引き上げ、ドイツでは22年1月に2.3パーセント、7月には6.4パーセントの引き上げを決めています。
 このままでは日本の最賃は世界の先進諸国の中ではますます低い金額となっていきます。
 昨年の金額で1円、引き上げ率0.1パーセントという、諸外国と比べても低すぎる引き上げに終わった分を今年取り戻すという意味でも28円に上乗せするべきだと思います。
 最後に日本の最低賃金が低いというのは、そもそもの出発点がアルバイト、パートは家計補助的な見なされ方があったと言われています。
 正社員の夫とパートタイマーとして家計を補助する妻といった想定で、非正規労働者の賃金は低額に固定されてきました。
 しかし、1995年に当時の日経連が出した新時代の日本的経営に基づいて大企業を中心に正社員を非正規労働者に置き換えてきました。
 今や働く人の4割、約2,200万人が非正規労働者となり、その内の半数1,100万人が年収200万円に満たないワーキングプアの状況に置かれています。
 先程私は時給928円では独身でも自立して普通の生活はできないと言いましたが、実際には夫婦とも非正規雇用で子供を育てている、また、シングルで、非正規雇用で、子供を育てているという人も多数いるというのが実情です。
 非正規雇用で得る収入が家計を支える主な収入となっている世帯が今増え続けています。
 社会的な問題となっている格差と貧困を解消するためにも、また長期に亘って停滞している日本経済の活性化のためにも不可欠なのが、働く人々の賃金の底上げであり、最低賃金の大幅な引き上げだと私は考えます。
 そのことなしに格差と貧困の解消、地域経済、日本経済の活性化もありえません。
28円に上乗せする答申を出していただきたいということを重ねてお願いして、私からの意見陳述とさせていただきます。
 どうもありがとうございました。
陳述者(中村)   すいません、少しだけ付け加えます。
 最低賃金の引き上げが必要だということは労使ともに一致していることは中央の答申でも出ていたと思います。
 中小企業の支払い能力が障害になっているという見方だと思います。
 毎年、中央でも兵庫でも、答申の中では中小企業支援をせよと答申を出し、それに対し、労働局、厚生労働省の答えが私達には見えません。
 それをまず答えて貰って、その答えに対してまた審議をすべきではないでしょうか。
 政府が最低賃金1,000円を目指している状態なので、それは是非お願いしたい。
 そうでないと何時になったら1,000円になるのか、全然見当がつきません。
 特に今年については全国一律28円という目安でしたので、差をつけず東京に追いついてこいという意味だと思っています。是非それを実現していただきたい。
 今、成山からの陳述にありましたように兵庫は全国平均を下回っています。
昨年は、私の記憶では、下回っているからといって、1円足したのだと思います。
 今年は足していない。
 その辺の事を再度検討いただいて審議していただきたいと思います。
 審議会としては労働局に、出した答申の答えを求めていただきたいと思います。以上です。
梅野会長 ただ今の意見陳述について、何かお尋ねしたいことはございますか。
各委員

(質疑等はなし。)

梅野会長  それでは意見陳述の方は終わらせていただきます。
 ただ今意見陳述をされた以外で、異議申出書の提出があったのは(一般社団法人兵庫県)タクシー協会とスイートガーデン(労働組合神戸支部)です。
 これらについて、事務局から説明をお願いします。
泉賃金指導官  兵庫県一般社団法人兵庫県タクシー協会からの異議申出書ということですが、まず異議の内容につきましては、
 今回の答申は、時間額を現行の900円から28円引き上げて928円にしようとするものであるが、これは、事業における賃金支払能力について、詳細な検討をすることもなく答申がなされたもので誠に遺憾であること。
 賃金の引上げが実現され、経済が発展するとともに県民生活がより豊かになることは、県民全員が均しく願うところであり、タクシー業界においても強く願望するものであるが、賃金の引上げは、生産性が向上して初めて可能となるものであり、決して先行するものではないと考えることから、最低賃金の改定に当たっては慎重に審議することを求めるということ。
 答申どおり最低賃金が改定される場合には、タクシー運転者の賃金が一人一人の水揚げ額によって決定されることから、最低賃金に満たない運転者に対しては、国による何らかの支援措置を望むこと。
ということです。
 異議の理由としましては、
 長期的な利用者の減少により、乗務員の労働条件が悪化したため、平成26年1月27日にタクシー関連の法律が施行され、同法律に基づき設置された地域の協議会において、タクシーの事業の適正化・活性化計画の策定等が行われることになっているものの、いまだ労働条件を改善するまでには至っておらず、タクシー業界を取巻く経営環境は、依然として厳しい状況が続いているということ。
 地域別最低賃金の原則を定めた最低賃金法第9条の趣旨を斟酌し、タクシー業界の実態に理解をいただいて、最低賃金の改定に当たっては慎重な審議を願いたいこと、
などが書かれてございます。
 これにつきまして、資料4に賃金構造基本統計調査に基づくタクシー運転者の賃金について、資料を添付しております。
 続きまして、資料2はスイートガーデン労働組合の異議申出となっておりますので概略を説明いたします。
 こちらの異議申出の内容としましては、
 8月5日に答申された賃金を928円とする兵庫地方最低賃金審議会の答申意見は、働いて受け取る賃金としては、あまりにも低すぎ、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もって、労働者の生活の安定、労働力の質的向上に資するものとは言い難いこと。
7月19日付けで提出した意見書で求めたように、兵庫県最低賃金を、「労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営む賃金」、「労働者の生活の安定、労働力の質の向上」に値する最低賃金に引き上げること。そのため、賃金額を1,500円以上にすることを求めるという内容であり、28円を超える引き上げ額にする必要があるということです。
 なお、意見書というのは、7月28日の本審で、スイートガーデン労働組合の意見陳述の際に、提出された資料のことでございます。
 異議の理由としましては、
  島根県が目安を4円上回る答申を行っていること
  大阪・京都との差を縮めることが課題であること
が述べられており
 加えて、生活保護水準との乖離の確認について比較対象者を「18~19歳・単身世帯としていることが」実態と乖離していることや労働時間数が法定労働時間と同等であることから、例えば月間150時間程度で計算すべきとの内容が述べられている申出でございます。
 以上が他二つの申出書の異議内容の概略でございます。
梅野会長 ただ今の説明に関して、質疑等はよろしいですか。
各委員

(質疑等はなし。)

梅野会長  質疑がないようでしたらただ今の3件の異議申出に関する審議を行いたいと思います。この異議申出の内容につきまして、提出者のご意見をお伺いしたところですが、今回の答申内容に対する異議申出については、労働団体からの2件は「答申された引き上げ額が低いので、もっと引き上げるべき」ということでした。
 他方使用者団体からの異議の内容は「経営環境が厳しい状況が続いていることから最低賃金の引き上げは慎重に審議いただきたい」という内容でした。
 審議会として結論を出す必要がございます。
 まず労使それぞれの立場から、異議申出内容についての意見をお伺いさせていただき、それを踏まえて公益としての意見を述べさせていただきたいと思います。
労使それぞれで打ち合わせの時間が必要でしょうか。
各委員

お願いします。

 

(労使それぞれ打ち合わせ後、審議再開)

梅野会長

それでは、再開します。労側の委員から異議申出についてのご意見を伺いたいと思います。

日下委員(労側)  (労側委員の)日下です。
 労働者側委員としてコメントを申し上げたいと思います。
 今年度の中央最低賃金審議会における目安に関する公益委員見解では、昨年に引き続き新型コロナウイルス感染症による感染状況については予断を許さないものの、今年度はワクチン接種が開始される等、少なくとも昨年とは審議の前提が異なること、並びに第4表、春季賃上げ妥結状況、地域間格差への配慮、非正規労働者の処遇改善が社会的に求められていることを特に重視する必要があるとされていました。
 今年度の兵庫県最低賃金専門部会では、兵庫最低賃金審議会で実施しました実地視察並びに意見陳述を参考として、先程触れました目安に関する公益委員見解も十分に考慮し、使用者、労働者のそれぞれの立場で審議してきたものと考えています。
 特に労使の受け止めにおいて、最後まで隔たりの大きかった新型コロナウイルスは、感染力が高いとされる変異株に置き換わる等、感染症拡大の終息はなかなか見えませんが、ワクチン接種も始まり、一回目接種を終えた県民は30パーセントを超えるまで進展しており、不安を抱えながらの生活を解消し、今後のアフターコロナ社会を見据え、社会適合性、地域間格差解消の流れを止めてはならないと労働者側委員は考えておりました。
 今回提出されました異議申出の主張内容は、新型コロナウイルス感染症拡大の中においても結果として十分ではないということと受け止めました。
 このことは審議における結果として、労働側委員の主張が認められなかったと受け止めています。
 新型コロナウイルス感染拡大による解雇、雇い止め等が兵庫県においても増加していること、また、今後この新型コロナウイルス感染症拡大により直接的な影響がなくても間接的に企業経営が困難と判断される企業が増加する懸念が拭えないこと、は結果として雇用が守れないことを意味します。
 そのためにも兵庫県最低賃金の改正決定について公益、使用者、労働者の三者の強い思いとして建議が行われています。
 勿論、公労使の三者それぞれが考える目指すべき金額の水準がある中で、三者が納得する三者合意の全会一致とはならなかったことは大変残念であり、かつ重いことと受け止めています。
 今回提出されました異議の申出につきましても審議の過程で考慮されてきたものと受け止めており、立場が異なる三者で現実的な審議を行い、中央最低賃金審議会公益委員見解を参酌し、また、最低賃金引き上げの流れを止めることなく近畿圏における地域間格差が拡大されなかった額で結審したことを考えると、改めて審議を諮ることは極めて難しいと思われます。
梅野会長  それでは使用者側委員お願いします。
松岡委員(使側)  松岡です。
 それでは私からお話させていただきます。
 今、労働側の日下委員から丁寧に審議の経緯等をご説明いただきました。
 使用者側といたしましては、今年度のコロナ禍における非常に厳しい状況について審議を重ねました結果、公益委員から提出いただきました公益案に対しまして、新型コロナウイルス感染症拡大は経営に非常な大きな影響が出ており、雇用を維持することが非常に厳しい状況にあることから残念ながら合意することができませんでした。
 本日いただいておりましたご意見の中に貴重なご意見が含まれていたと思いますし、また参考になるものがあったと思います。
特にご指摘のありました地方審議会の附帯意見は労働局にお願いしたと思っております。
ただ、今年の審議については、これ以上は難しいのではないかと認識しております。
 使用者側といたしましても、完全雇用を目標とした持続可能な雇用環境を維持してまいりたいと思っておりますのでご理解をお願いいたします。
 以上です。
梅野会長  ありがとうございます。では本日の経過を踏まえて結論を出したいと思いますが、その前に公益だけで纏める時間を必要としますので別室を用意してください。
  (公益委員が別室に移動。)
(公益委員が戻る。)
梅野会長  お待たせいたしました。労使双方の意見を聞き、また改めて公益でも話し合いました。今回労使双方から言われていましたとおり、昨年とはコロナの状況が大分変わっているけれども、依然先行き、見通しは不透明です。
 その中で非常に厳しい最低賃金の審議をしたわけです。
 労使双方の立場を踏まえ、それぞれの立場を踏まえ、相手側の立場も考慮しながら、この厳しい状況下でどこまで最賃を上げられるかという審議をし、双方歩み寄りながらここまできたわけです。
 我々は限られたスケジュールで、目一杯ぎりぎりのところまで、十分審議を尽くし、その結果、今回の答申が出たわけですから、審議は尽くされていると考えています。
 ただ、異議申出や我々の建議の中にあるように、最賃を引き上げていくことは必要ですから、そのために引き上げしやすい環境の整備、中小企業支援等を厚労省や政府に要求していきたいと思います。
 従いまして、8月5日付けの結論どおりで決定することが適当である、ということが我々の見解ですが、いかがでしょうか。
各委員  異議なし。
梅野会長  ありがとうございました。
 それでは、そのように答申したいと思います。事務局は、答申文案を作成して下さい。
 

(事務局より答申文案を提示)

梅野会長  では、事務局で答申文案の読み上げをお願いします。
泉賃金指導官  では、お手元の「案」をご覧ください。
   案
  令和3年8月23日
  兵庫労働局長
  荒木 祥一 殿
  兵庫地方最低賃金審議会
  会長 梅野 巨利
  当最低賃金審議会の意見に関する異議の申出について(答申)

  令和3年8月23日貴職から、8月5日付け兵庫県最低賃金の改正決定に係る当審議会の意見に対する一般社団法人兵庫県タクシー協会会長吉川紀興ほか2件の異議申出に関し意見を求められたので、当審議会において異議の内容及び理由について慎重に審議した結果、下記の結論に達したので答申する。
  記
  令和3年8月5日付け答申どおり決定することが適当である。
  以上です。
梅野会長  ありがとうございます。
 この答申文案でよろしいでしょうか。
各委員  はい。
梅野会長  それでは、事務局は答申の準備をお願いします。
 

(答申文作成後、会長から局長に答申文を手交。)

梅野会長

 ただ今、異議申出について、答申を行いました。局長から一言お願いできますでしょうか。

荒木労働局長  それでは、ひとこと御挨拶申し上げます。
 ただ今、8月5日付け答申どおり928円引き上げるとの改正決定の答申をいただきました。
 今年はコロナウイルスの影響、中央最低賃金審議会におきまして全国一律28円という目安金額が示されたことから、審議会、専門部会におきましても非常に難しい中、真摯に議論を重ねていただいたと理解しております。
 本当にありがとうございました。
兵庫県最低賃金につきましては今後10月1日の発効に向けて官報公示を行い、確実にその手続きを行ってまいりますとともに、今後効果的な周知に努めたいと思い ます。
 コロナ禍でなかなか先の見えない状況が続いております、業務改善助成金或いは雇用調整助成金の要件緩和も行われています。雇用への影響が出ないようにすることが、審議会で示されたことだと思っております。こうした助成金を活用しながら最低賃金の引き上げに向けた企業支援にもしっかり努めてまいります。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
梅野会長  ありがとうございました。それでは、発効までの手続きについて、事務局から説明してください。
青柳賃金室長  只今、異議申出に係る答申をいただきましたので、これから局長による改正決定を行います。
 改正決定につきましては、最低賃金法施行規則第9条により官報公示を行うということになります。
 本日中に本省に報告し、9月1日の官報掲載に向けて手続きを行うということになります。
 法定発効となりますので、官報公示30日後の10月1日が発効日ということになります。
 以上でございます。
梅野会長  ありがとうございます。特に質問等がなければ異議申出に関する審議は、ここまでにしたいと思います。
 次に議題の2番の「その他」について事務局から説明をお願いします。
青柳賃金室長  まず、実地視察の件です。
 予定していました自動車小売業については調整をしていたのですが、緊急事態宣言で実地視察自体が難しくなりましたので、大変申し訳ございませんが、今年度は中止をさせていただきたいと思います。
 また、次回の審議会の日程ですが、10月1日が特定最低賃金の12月1日発効のための答申期限ですので、10月1日金曜午後2時から開催をお願いしたいと思います。
 それまでに各専門部会において金額までの答申が出ている場合は、各部会からの報告をいただき、部会において必要性または金額改正が全会一致していなかった場合については、次回はその審議を行うことになります。
 次回の議題は「特定最低賃金の審議について」とさせていただきたいと思います。
 併せて次回の公開、非公開についてのご判断をお願いいたします。
 以上です。
梅野会長  ありがとうございます。
 次回の審議会は10月1日金曜午後2時からです。
 公開・非公開ですが、審議会は原則公開ですので公開で構わないと思いますが皆さんはいかがでしょうか。
各委員  異議なし
梅野会長  よろしいですか、それでは次回は10月1日金曜午後2時から、公開ということで審議会を行いたいと思います。
 では、本日の審議会はこれで終了いたします。
 ありがとうございました。
                                                                           梅野 巨利
                                                                         日下 修次
                                                                         松岡 直哉

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