第648回兵庫地方最低賃金審議会議事録

 
日時    令和3年8月5日(木)   13時59分~14時26分
場所  神戸地方合同庁舎3階 第6共用会議室
出席者 公益委員  梅野会長、岡崎委員、坂本委員、桜間委員、山口委員
労働者委員  岩﨑委員、日下委員、重宮委員、藤岡委員、堀井委員
使用者委員  倉本委員、林委員、松岡委員、松下委員、𠮷川委員
事務局  荒木労働局長、岸労働基準部長、青柳賃金室長、泉賃金指導官、倉本賃金主任、國廣専門監督官
議題
   (1)兵庫県最低賃金の改正に係る審議について
   (2)その他
議事録 梅野会長  定刻より1分早いですけれども、ただ今から、第648回兵庫地方最低賃金審議会を開催いたします。
 本日の会議について、事務局から報告をお願いします。
泉賃金指導官  本日は、坂本委員が御欠席ですが、審議会令第5条第2項の規定による定足数を充足しておりますので、御報告します。
梅野会長
 では、議事を始めます。
 本日の議題は、
  • (1)兵庫県最低賃金の改正に係る審議について
  • (2)その他
です。
 では、今日の議題、兵庫県最低賃金の改正にかかる審議について、です。
 専門部会が全会一致で決議した場合は、その審議経過の報告などを行い、全会一致で決議されなかった場合は、この本審において、改正審議を行っていただくということになっておりました。
 今年の地域別最賃の専門部会は、7月19日から5回にわたり慎重に審議していただき、本日も午前中から審議を行いましたが、残念ながら、全会一致での決議とはなりませんでした。
 したがって、本日の議題(1)については、地域別最低賃金の改正審議を行っていくことになります。
 まず、専門部会の報告について、事務局で読み上げてもらい、その審議経過、結果について、部会長である桜間委員から報告をお願いすることといたします。
 では、事務局から読み上げをお願いいたします。
泉賃金指導官
 御手元にございます報告書の資料を御覧ください。写しと書いてありますが、読み上げます。
                                   令和3年8月5日
   兵庫地方最低賃金審議会
     会長 梅野 巨利 殿
                            兵庫地方最低賃金審議会
                            兵庫県最低賃金専門部会
                            部会長 桜間 裕章
                  
              兵庫県最低賃金の改正決定に関する報告書
   当専門部会は、令和3年6月30日、兵庫地方最低賃金審議会において付託された兵庫県最低賃金の改正決定について、慎重に調査審議を重ねた結果、別紙1のとおりの結論に達したので報告する。
また、別紙2のとおり平成20年8月6日付け中央最低賃金審議会の「平成20年度地域別最低賃金額改定の目安について(答申)」の考え方に基づき最新のデータにより比較したところ、令和元年10月1日発効の兵庫県最低賃金(時間額899円)は令和元年度の兵庫県の生活保護水準を下回っていなかったことを申し添える。
  なお、今回の報告に当たっては、以下のことを強く要望する。
 1 新型コロナ禍において、雇用調整助成金の活用を促進し、適切な支給決定や申請期間の延長等、雇用の維持に取り組む企業への支援を充実させること、及び申請窓口の拡充等十分な配慮を行うこと。
 2 コロナ禍の影響を大きく受ける中小企業・小規模事業者が継続して事業を行い、雇用の維持確保ができるよう中小企業・小規模事業者に対する各種支援策を拡充し、要件の緩和等を図ること。
 3 以上の各支援策については、迅速な処理を行うとともに、中小企業・小規模事業者が活用できるよう周知・広報に最大限の努力を行うこと。
4 中央最低賃金審議会の目安について、①目安制度の在り方についての議論を行うこと②全会一致を目指すこと③目安の合理的な根拠を示すための努力など、目安への信頼感を確保するための取組みを行うこと。
 本件の審議に当たった専門部会の委員は下記のとおりである。
                      記
  公益代表委員
    梅野 巨利    
    桜間 裕章 
    山口 隆英 
  労働者代表委員
    岩﨑 和人
    重宮 秀人
    堀井 説也
  使用者代表委員
    倉本 信二
    松岡 直哉
    𠮷川 和宏
                                      別紙1
 兵庫県最低賃金
 1 適用する地域
   兵庫県の区域
 2 適用する使用者
   前号の地域内で事業を営む使用者
 3 適用する労働者
   前号の使用者に使用される労働者
 4 前号の労働者に係る最低賃金額
   1時間 928 円
 5 この最低賃金において賃金に算入しないもの
   精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
 6 効力発生の日
   法定どおり、これは令和3年10月1日ということです。
 
                                      別紙2
 兵庫県最低賃金と生活保護との比較について
 1 地域別最低賃金
   (1) 件   名 兵庫県最低賃金
   (2) 最低賃金額 時間額 899円
   (3) 発 効 日 令和元年10月1日
 2 生活保護水準
   (1) 比較対象者
     18~19歳・単身世帯者
   (2) 対象年度
     令和元年度
   (3) 生活保護水準(令和元年度)
     生活扶助基準(第1類費+第2類費+期末一時扶助費)の兵庫県内の人口加重平均に住宅扶助の実績値を加えた金額(107,992円)。
 3 生活保護に係る施策との整合性について
  上記1の(2)に掲げる金額の1箇月換算額(註)と上記2の(3)に掲げる金額とを比較すると兵庫県最低賃金が下回っているとは認められなかった。
  (註)最低賃金1箇月換算額
     899円(兵庫県最低賃金)×173.8(1箇月平均法定労働時間数)×0.817(可処分所得の総所得に対する比率)=127,653円
 
以上です。
梅野会長  ありがとうございます。
 では、専門部会長から報告をしていただけますか。桜間委員お願いします。
桜間委員  部会長の桜間でございます。
 先ほど会長から御説明がありましたように、7月19日から5回にわたり、慎重審議を重ねてまいりました。
 本日も午前中から議論を積み重ねてきたわけですが、残念ながら、全会一致とはならない結果となりました。
 それでは、専門部会での審議について、経過を御報告いたします。
 当初、労働者側の主張は、プラス30円の930円ということでございました。
 一方、使用者側の主張は、現状維持の引き上げなし、ということでありました。
 労働者側の主張としては、昨年はコロナの影響のため、先行き不透明ということから現状維持に終わったが、今年は生産活動も持ち直している。経済財政諮問会議の目標とされた全国加重平均時間額1,000円以上を目指していきたい。兵庫県の最低賃金は全国加重平均902円を下回っていることから、目安に2円をプラスしての930円を目指したいということでございました。
 使用者側としては、まず1点が、中賃で示された28円の根拠が明確ではないということです。製造業は上向きであるとしても、宿泊、飲食、運輸はコロナ禍の影響が大きく、今後の雇用が維持できるのか不安がある。今後コロナの影響がさらに長引く中において、28円の引上げとなると、県内の多くの労働者に影響があり、現状維持が妥当であるというような御主張でございました。
 ということで、最初は非常に大きな隔たりがあるという状況でございました。
 その後、公益が労働者側、使用者側と議論を積み重ねていったわけですが、労働者側は、中賃での目安が28円と出ている以上は28円をベースとしてそこから議論を進めるべきであるという御主張をされました。
 一方、使用者側は過去の地域別最低賃金の引上げについての影響率を超えない数値ということを踏まえ、ぎりぎりの線ということで、プラス20円の引上げという額を示され、少し歩み寄っていただくという形になったわけでございます。
 その後も公益が労使との審議を積み重ねてまいりましたが、昨日の段階において、労使とも三者合意の重要性は双方理解いただいているわけでございますが、現状からは一致する引上げ額というのが示せない状態で、本日朝からの再び審議に入ったということでございます。
 本日はまず直接に労使でお話合いをしていただいて、三者合意を目指すという形となったわけでございますが、残念ながら、一致には至らなかったということでございました。
 そういうことですので、公益見解を示すということになりまして、公益見解はプラス28円、928円という形になりました。
 少しその理由を説明いたしますが、すでに大前提となっておりました賃金格差の是正や、生活するのに必要な賃金水準であることを目指すということで、1,000円の目標というのが掲げられて、そこに近づいていくということは皆さんの目指すところであるわけですけれども、一方でコロナ禍の影響が非常に長引いているという状況がございます。
 そうした中で、中賃はプラス28円という金額が示されたわけでございます。
 労使双方の御主張は930円、920円ということで、まだまだ開きが非常に大きかったわけでございますけれども、公益といたしましては、金額でどういう見解を示すのかということでは、やはり目安の28円というのは非常に大きな額である。中賃の目安が示された経緯については疑問点も残るといわざるを得ないわけでありますけれども、示されたものとしての全国一律28円という数字はやはり大きい。
 そうした中で他地域でもプラス28円という額が示されており、さらに全国加重平均に比べて兵庫が2円低いという状況下で、さらに格差を広がるような形になって良いのかどうかというようなことなどを考慮して、公益としてはプラス28円というのがやはりぎりぎりの線ではないかということになりました。
 審議の経過で申し上げたように労使双方ともこれまでの審議の結果も踏まえて、三者合意を目指したいところは一致する点であったかと思います。来年からもこういう議論は続くわけですけれども、これまでの歴史を踏まえて、三者合意をこれからも目指していきたいという方向性は確認しておきたいというようなことでございます。
 さらに、報告文については、要望事項として、先ほど読み上げていただいた4点の項目を挙げさせていただきました。
 やはりコロナ禍の影響というのは非常に深刻で、こういう影響をまともに受けている事業者がたくさんいまして、最低賃金近傍の労働者がたくさんいらっしゃるという業種が特に影響が大きいということから、今回は例年に比べ、少し長い要望文をつけております。これを例年よりもさらに強く要請したいというところが専門部会の考えでございます。以上報告させていただきました。
梅野会長  ありがとうございます。
 ただ今の報告書文につきまして、専門部会の委員から、何か付け加えて御説明等はございますでしょうか。
各委員 (特になし)
梅野会長  よろしいですか。
 では、専門部会以外の委員の方から何か御意見、御質問等はございますでしょうか。
各委員 (特になし)
梅野会長 では、御意見等がないようですので、本審の審議に入ります。                    地域別最低賃金の金額審議については、長い時間をかけて、専門部会で審議を積み重ねてきました。                    ただ今の部会長報告にありましたように、労働者側、使用者側双方の主張は御理解いただけるかと思います                    ここで、労使からさらに付け加えて御意見ございましたら、それを伺いまして、本審の審議を続けますけれども、特にないようであれば、ただ今の報告文を元に答申文案を作成いただいて、採決に入りたいと思います 何か特別に付け加えることはよろしいでしょうか。
各委員 (特になし)
梅野会長 ありがとうございます。 では、採決に入りますので、事務局は部会報告に基づいて、答申文案の作成をお願いいたします (事務局が、「答申文」の案を作成する。)
梅野会長  では、事務局で答申文案の読み上げをお願いいたします。
泉賃金指導官
 写しという皆様の手元にあるものを御覧ください。読み上げます。
 
                    案
                                      令和3年8月5日
   兵庫労働局長
   荒木 祥一 殿
                          兵庫地方最低賃金審議会
                          会長 梅野 巨利
   兵庫県最低賃金の改正決定について(答申)
   
 当審議会は、令和3年6月30日付け、兵労発基0630第1号をもって、貴職から諮問のあった標記のことについて、慎重に調査審議を重ねた結果、別紙1のとおりの結論に達したので答申する。
 また、別紙2のとおり平成20年8月6日付け中央最低賃金審議会の「平成20年度地域別最低賃金額改定の目安について(答申)」の考え方に基づき最新のデータにより比較したところ、令和元年10月1日発効の兵庫県最低賃金(時間額899円)は令和元年度の兵庫県の生活保護水準を下回っていなかったことを申し添える。
なお、今回の報告に当たっては、以下のことを強く要望する。

  1 新型コロナ禍において、雇用調整助成金の活用を促進し、適切な支給決定や申請期間の延長等、雇用の維持に取り組む企業への支援を充実させること、及び申請窓口の拡充等十分な配慮を行うこと
  2 コロナ禍の影響を大きく受ける中小企業・小規模事業者が継続して事業を行い、雇用の維持確保ができるよう、中小企業・小規模事業者に対する各種支援策を拡充し、要件の緩和等を図ること
  3 以上の各支援策については、迅速な処理を行うとともに、中小企業・小規模事業者が活用できるよう周知・広報に最大限の努力を行うこと。
  4 中央最低賃金審議会の目安について、①目安制度の在り方についての議論を行うこと②全会一致を目指すこと③目安の合理的な根拠を示すための努力など、目安への信頼感を確保するための取組みを行うこと。 
                                   別紙1
 兵庫県最低賃金を次のとおり改正決定すること。

 1 適用する地域
     兵庫県の区域
 2 適用する使用者
       前号の地域内で事業を営む使用者
 3 適用する労働者
      前号の使用者に使用される労働者
 4 前号の労働者に係る最低賃金額
     1時間 928 円
 5 この最低賃金において賃金に算入しないもの
      精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
 6 効力発生の日
       法定どおり、これは令和3年10月1日ということです。
 
 別紙2については、省略させていただきます。

以上です。
梅野会長  では、採決を行います。
 まず、定足数の確認ですが、現在14名の委員が出席しております。採決の定足数は満たしていることを確認いたします。
 採決は挙手で行い、出席者の過半数で議決を行うことになります。
 賛成か、反対のいずれか一方に挙手をお願いいたします。
 では、答申文案に対して、賛成の方、挙手をお願いいたします。
  (賛成者挙手)
梅野会長  賛成8名。
 それでは、反対の方は挙手をお願いいたします。
  (反対者挙手)
梅野会長  反対5名。ありがとうございます。
 それでは、賛成8名、反対5名で、賛成多数と認めます。
 答申文案から案を消したものを答申文とし、局長に答申させていただきます。
 事務局は答申文の準備をお願いいたします。
  (答申文作成後、会長から局長に答申文を手交。)
荒木労働労働局長   ありがとうございました。
梅野会長  兵庫県最低賃金の改定に係る審議については、以上といたします。
 専門部会の方は時間をお取りいただきまして、本当にありがとうございました。
 それでは、局長から一言お願いいたします。
荒木労働局長  ただ今、審議会長から兵庫県最低賃金の改定について、答申をいただきました。
 兵庫県の最低賃金につきましては、6月30日に諮問させていただき、審議をお願いしたところでございます。
 その後、専門部会委員の方々におかれまして、7月19日から本日まで5回にわたって専門部会を開催していただき、更に、本審におきましても、審議・決議をしていただき、答申をいただいたところでございます。
 今後のコロナ禍の影響等の判断が難しい状況の中、公労使の委員の方がそれぞれの立場や考え方に違いはございましても、三者合意を目指して、真摯に御議論をいただき、各側の委員退席することなく、御答申をいただきました。
 改めて、各委員の皆様方にこの間の御苦労に感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。
梅野会長  ありがとうございます。
 では、議題(2)「その他」です。事務局から、連絡事項はございますでしょうか。
青柳賃金室長  それでは、私の方から、次回本審の日程と特定最賃の専門部会の状況について、連絡をさせていただきます。
 まず、本日御答申いただきました地域別最低賃金につきましては、本日異議申出の公示を行います。申出期間は15日間となりますので、申出の締切りが8月20日金曜日ということになります。
 よって、次の本審は異議審になりますけれども、こちらにつきましては、翌開庁日となります8月23日月曜日の午前中に開催が必要ですので、午前10時から、場所はこちらの3階の会場で開催をさせていただきたいと思っております。
 議題につきましては、異議の申出がありましたら、異議申出に係る諮問をさせていただきます。
 それを受けての審議をお願いするということとなります。
 つきましては、公開・非公開の確認と異議申出のあった場合の意見陳述を昨年と同じように認めるかどうかの御確認をいただければと思っております。
 それと、特定最賃の専門部会につきまして、8月2日までに推薦をいただきまして、現在任命を行っているところです。
部会の開催日程につきまして、少し調整をさせていただきたいと思いますので、この後審議会終了後、そのまま御着席いただければと思います。以上でございます。
梅野会長  では、次回は、8月23日の月曜日午前10時からといたします。
 意見陳述については、関係者から希望があるようでしたら、昨年と同様に認めるということにしたいと思います。
併せて、次回の審議会の公開・非公開についても、昨年と同様に公開でよろしいかと思いますが、いかがでしょうか。
各委員  異議なし。
梅野会長  ありがとうございます。
 次回8月23日の審議会は公開とさせていただきます。
 本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。
                                                                                                  梅野 巨利
                                                                                                日下 修次
                                                                                                松岡 直哉

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