第646回兵庫地方最低賃金審議会議事録

 
日時    令和3年7月16日(金)   9時30分~11時28分
場所  神戸地方合同庁舎3階 第6会議室
出席者 公益委員  梅野会長、岡崎委員、坂本委員、桜間委員
労働者委員  岩﨑委員、日下委員、重宮委員、藤岡委員、堀井委員
使用者委員  倉本委員、林委員、松岡委員、松下委員、𠮷川委員
事務局  荒木労働局長、岸労働基準部長、青柳賃金室長、泉賃金指導官、倉本賃金主任、田村給付調査官
議題
   (1)小委員会の報告について

   (2)兵庫特定最低賃金の改正の必要性の諮問について

   (3)兵庫県特定最低賃金の必要性の審議について

   (4)事業場からの意見聴取について

   (5)実地視察の報告について

   (6)その他
議事録 梅野会長 皆さんおはようございます。
定刻になりましたので、ただ今から、第646回の兵庫地方最低賃金審議会を開会いたします。
本日の会議について、事務局から報告をお願いします。
泉賃金指導官   本日は、山口委員が御欠席であり、JRの遅れで日下委員がまだみえていませんが、最低賃金審議会令第5条第2項の規定による定足数を充足しておりますことを御報告させていただきます。
なお、本日の審議会につきましては、傍聴希望の方の申出はございませんでした。
それでは、審議に入ります前に、兵庫労働局長の荒木より御挨拶を申し上げます。
荒木労働局長    皆さんおはようございます。
 本日は、大変お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 これまで労働者側から7業種の特定最賃についての申出がなされており、事務局において確認をいたしました。後ほど、特定最賃の改正の必要性の有無について諮問をさせていただきますので、どうか御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
 また、報道等で御案内のこととは存じますが、今週の14日に開催されました中央の目安小委員会におきまして、今年の最低賃金の目安がAランクからDランクまで全てのランクにおいて、全国一律28円という金額が示されたところでございます。伺っておりますところでは、本日の中央最低賃金審議会にて、答申がなされる予定と聞いております。
 なお、この小委員会の目安を示すことにつきましては、今回は採決という異例な形で決定が行われたものでございます。中央での審議も難航したように伺っております。
 これから、地域別の最低賃金、それから特定最賃について、御審議をいただくことになりますけれども、どうぞよろしくお願い申し上げます。
本日はこの後、特定最賃の3業種の事業場からの意見聴取、それと先週、委員の方々に事業場の実地視察をしていただきましたので、その点についても、御報告していただきたいと思っております。
以上でございます。よろしくお願い申し上げます。
梅野会長    ありがとうございました。
本日の議題は
 (1)小委員会の報告について
 (2)兵庫県特定最低賃金の改正の必要性の諮問について
 (3)兵庫県特定最低賃金の必要性の審議について
 (4)事業場からの意見聴取について
 (5)実地視察の報告について
 (6)その他
であります。
 それでは、議題(1)小委員会報告についてです。
 特定最低賃金の進め方については、小委員会で協議をするということであり、一昨日の14日に小委員会を開催いたしました。
 まず、その結果を報告していただくことにします。
 出席された公益委員の岡崎委員から報告をお願いしたいと思います。
岡崎委員    7月14日に特定最低賃金の改正の必要性の有無の審議の進め方につき、小委員会を開催して、公労使で協議をいたしましたので、その結果等を私から説明させていただきます。
 労使の主張、審議の推移、審議結果については、資料1の報告書にまとめていただいておりますので、それに沿って、説明をさせていただきます。
まず、特定最低賃金の必要性の審議について、今までどおり一括で本審での審議とするか、昨年のように個別に専門部会を設置して行うのかということについて、労使から御意見を伺いました。
 労使の意見につきましては、報告書に記載のとおりであり、労側としては、コロナ禍も出口が見えてきていることから、昨年とは状況が異なってきており、業界での状況の判断は金額審議の場で行い、必要性については、昨年のように審議が膠着することを避けるためにも、本審で一括審議に戻すのが良いのではないかという御意見でありました。
 使側からは、コロナ禍の出口が見えてきたといっても有効求人倍率は1倍を切っている状況であり、業界においては、非常に厳しいところもある。必要性について、一括で判断するのが良いとは言い切れず、特に今年のように各業界の状況が大きく異なれば、各業界の委員に参画していただき、意見を述べていただくことが実態に合うのではないかという御意見であり、労使の意見が分かれました。
 また、7業種を一括と個別に区分することについては、労使とも難しいのではということでありました。
 その後、公労使で議論を積み重ねまして、必要性の判断について、専門部会が膠着することを避け、必要性審議の日程などをスムーズに進めたいということは労使ともに考えを同じくするところであり、労側としても日程が効率的に進められるのであれば、個別での必要性審議を否定しているのではないというものでしたので、小委員会としての判断をまとめさせていただきました。
 結果としましては、記載のとおりであり、今年の特定最低賃金の必要性の有無の審議の進め方については、各業界において経営状態が大きく異なること等を考慮し、個別に専門部会を設置して審議する。併せて必要性の判断及び金額審議についての日程を速やかに行えるよう労使委員は効率的な審議に努力いただくということについて、確認したものでございます。
 そのほかとして、専門部会においては、金額審議も同じ部会で行うこと、決議について、第6条第5項を適用することも併せて確認いただいたものでございます。
以上御報告させていただきました。
梅野会長  ありがとうございます。
 そのほかこれに出席されておりました労使の委員で何か補足等はございますでしょうか。
各委員 (特になし)
梅野会長  では、この後、申出いただいた特定最低賃金について、改正の必要性の有無の諮問が予定されています。
 審議会として、この小委員会の報告を踏まえて、専門部会を設置しての調査審議を行うことを了解したいと思いますが、よろしいでしょうか。
各委員  異議なし
梅野会長  では、次の議題(2)「兵庫県特定最低賃金の改正の必要性の諮問について」に進めます。
 事務局は諮問の準備をお願いいたします。
  (諮問の準備)
泉賃金指導官  それでは、諮問文を局長から会長にお渡しします。

荒木労働局長

 よろしくお願いいたします。
  (局長から会長へ諮問文を手交)
梅野会長  ただ今、局長より7件の特定最低賃金の改正の必要性の有無に係る諮問を受けました。
 それでは、事務局の方で、諮問文の読み上げをお願いいたします。
泉賃金指導官
兵労発基0716第1号
令和3年7月16日
兵庫地方最低賃金審議会
会長 梅野 巨利  殿
兵庫労働局長
荒木 祥一
兵庫県塗料製造業最低賃金外6件の改正決定の必要性の有無について(諮問)
 
 最低賃金法(昭和34年法律第137号)第15条第1項の規定に基づき、別添のとおり、下記1から7の最低賃金の改正決定に関する申出があったので、同法第21条の規定により、その必要性の有無について、貴会の意見を求める。
 また、貴会における審議の結果、下記の最低賃金のうち、改正決定することを必要と認めるとの結論に達した最低賃金の改正決定について、法第15条第2項の規定に基づき、併せて貴会の調査審議をお願いする。
 記
 1 兵庫県塗料製造業最低賃金(平成20年兵庫労働局最低賃金公示第5号)
 2 兵庫県鉄鋼業最低賃金(平成20年兵庫労働局最低賃金公示第6号)
 3 兵庫県はん用機械器具製造業、生産用機械器具製造業、業務用機械器具製造業最低賃金(平成20年兵庫労働局最低賃金公示第7号)
 4 兵庫県電子部品・デバイス・電子回路製造業、電気機械器具製造業、情報通信機械器具製造業最低賃金(平成20年兵庫労働局最低賃金公示第10号)
 5 兵庫県輸送用機械器具製造業最低賃金(平成20年兵庫労働局最低賃金公示第4号)
 6 兵庫県計量器・測定器・分析機器・試験機・測量機械器具製造業最低賃金(平成20年兵庫労働局最低賃金公示第3号)
 7 兵庫県自動車小売業最低賃金(平成20年兵庫労働局最低賃金公示第2号)
 なお、諮問文記載の「別添」は、各個別の事業場の名称等が記載された特定最低賃金の申出書になりますが、委員の皆様にお配りしました諮問文写しには付けておりません。申出書の内容を要約したものは、本日お配りしております資料2と資料3に付けております。以上でございます。
梅野会長  はい、ありがとうございます。
 では、諮問に関して事務局から説明をお願いします。
青柳賃金室長  私の方から簡単に説明をさせていただきます。
 最低賃金決定要覧をお持ちの方は、その93ページから96ページを御覧いただきたいと思うのですけれども、今現在兵庫局におきましては、9件の特定最低賃金が設定されておりまして、今回7業種7件の最低賃金につきまして、改正の申出が行われたということでございます。
 次に、申出の要件ですけれども、要覧をお持ちでしたら、200ページ、201ページを御覧いただければと思います。新産別最低賃金の運用方針のポイントであり、200ページにありますのが57年の答申(運用方針)のポイントで、201ページの方に、61年の新運用方針のポイントというのがありますけれども、それについて、説明いたします。
 特定最低賃金の申出につきましては、まず書面の申出を行うということで、申出のケースとしましては、大きく労働協約ケースと公正競争ケースの2つという形にまとめています。
 労働協約ケースといいますのは、労使の基幹的労働者の相当数について、最低賃金に関する労働協約が適用されている場合、すなわちその労働組合がある場合にその労働者数、又は賃金協定が明確とされている場合に相当数の方がいるということで申出をいただくという場合でございます。
 それから、公正競争ケースといいますのは、必ずしも労働組合でなくても良いわけですけれども、事業の公正競争を確保するという理由から最低賃金の適用を受ける労働者の合意によって、行われる申出ということで、大きく2つのケースがあるということでございます。
 申出については、いずれでも可能ということではございますけれども、報告におきましては、できるだけ公正競争ケースから労働協約ケースによる申出に向けて、関係労使の努力に期待するとされております。
 また申出の要件とする労働者数につきましては、労働協約ケースも公正競争ケースも同じく、改正の場合については合意する労働者が適用労働者のおおむね3分の1以上ということが要件でございます。これはおおむねということですので、必ずしも厳格に33.3%ということではなく、おおむね3分の1以上という了解でございます。
 また、改正につきましては、申出いただいた賃金の最低額を定めた労働協約の最低金額を上回っての改正はできないということになっておりますので、現行の各業種の特定最低賃金額よりも協約の申出いただいた事業場内の最低賃金額が高いということが、要件になるということでございます。
 今回申出された協約ですけれども、資料2に一覧としてまとめさせていただいております。
 塗料製造等7件の特定最賃について、7月5日から7月12日の間で申出をいただいております。はん用機械のみが公正競争ケースでありまして、ほかの申出につきましては、労働協約ケースということでございます。また、合意労働者数につきましては、おおむね3分の1以上ということで確認をさせていただいております。
 また、最も低い金額例ですが、時間給、月給額の場合がありますけれども、それぞれを計算させていただき、小数点は切り捨てさせていただいた金額ということで記載しています。
それによりますと、特定最低賃金との差額につきましては、16円から77円までということで、十分特定最低賃金額を上回っているということでございます。
 資料3につきましては、個別の組合名を記号に置き換えさせていただきまして、申出内容の確認をさせていただいたものでございます。
そちらにおきましても、いずれも形式的な要件は具備されているということを確認させていただき、申出は受理させていただいたということでございます。
一覧表の方で抜けているところがありますので、また確認させていただきまして、後日、数字が入ったものをお渡しさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 続きまして、地域別最低賃金、特定最低賃金の改正決定に関しては最低賃金法によりますが、調査審議の場合におきましては、法第25条第2項により専門部会を置くということになっておりますが、今回、必要性から専門部会を置くということにいたしますと、この本審におきまして、専門部会設置の決議をいただくということが手続きとして必要ということになります。
 また、必要性が全会一致で有という場合につきましては、金額審議を行う専門部会を再度設けるということになりますけれども、本審で了解いただければ、同一の専門部会で調査審議を行うことが可能となっております。
 併せまして、専門部会で全会一致の場合に第6条第5項を適用するかどうかにつきましても、本審での決議事項となっておりますので、以上につきまして、3点ほど御確認をしていただければと思います。よろしくお願いいたします。
梅野会長  ありがとうございます。
 ただ今の説明で何か御質問はございますでしょうか。
各委員 (特になし)
梅野会長  それでは、議題の(3)「兵庫県特定最低賃金の必要性の審議について」です。
 本日、労側から7件の特定最低賃金の改正申出があり、これから各最低賃金の調査審議に入っていくことになります。
 先ほどの小委員会の報告にありましたとおりですが、今年度は必要性の審議から専門部会で行うことになります。
 まず、先に専門部会設置の手続きを済ませて、労使から特定最賃の改正に関して、全体としての基本的な考え方を伺いたいと思います。
まずは、申出いただいた7件の特定最低賃金の改正の必要性調査審議については、本審議会として、個別に法第25条第1項の専門部会を設置し、専門部会において調査審議を行うこととする、ということでよろしいでしょうか。
各委員  異議なし。
梅野会長  次に、法第25条第2項により、必要性の有の場合にも、専門部会を設置し、金額審議をすることになっていますが、必要性の審議と金額改正の審議については、同じ専門部会で行うということについて、認めてもよろしいでしょうか。
各委員  異議なし。
梅野会長  それでは、最後に専門部会の決議の取扱いです。
各専門部会において、全会一致で決議した場合は、第6条第5項を適用することにしたいと思いますが、これについても、適用を認めることでよろしいでしょうか。
各委員  異議なし
梅野会長  ありがとうございます。
 それでは以上で専門部会設置に係る手続きは終了いたしました。
 専門部会委員の推薦日程については、後ほど事務局から御案内があります。
 それでは、今回の申出について、労使から全体としての基本的な意見を伺いたいと思います。
 まずは、申出をされました労側から御意見をお聞かせていただきたいと思います。労側委員、お願いいたします。
堀井委員  今回の申出については、7件申出させていただいて、先日の小委員会の結果、個別に対応するということになりました。
 しかしながら、基本的には労側としては小委員会の中でも述べましたように昨年とは大きく状況が変わって、比較的ワクチン接種が進んできている中で、コロナ前の状態というか、過去行ってきた審議の進め方というのができるのではないか、ということを述べさせていただきました。
 また、申出に当たっては、先ほど事務局から説明があったとおり、要件に従って、適切にそれに則った形で申出させていただいたということでございます。
 提出させていただいた資料は労働協約ケースであったり、公正競争ケースであったりはありますけれども、提出した資料と実際の特定最賃の金額には一定の差があるということでございます。基本的には全ての業種において、必要性有という形で進められるのが、普通の判断かと思いますので、その形で進めていただきたい、と労側は思っております。
 以上です。
梅野会長    ありがとうございます。
 その他労側委員から何かございますか。よろしいですか。
 では、続きまして、使用者側委員から説明をお願いいたします。
松岡委員  兵庫県におきましても、産業の状況はなかなかコロナの影響を脱し切っておらず、ばらつきがあります。時間はかかると思いますけれども、去年同様、丁寧に審議をしていきたいということで、専門部会を設置して、ここで議論を重ねていきたいと考えております。
 よろしくお願いいたします。
梅野会長    ありがとうございます。
 その他使用者側から補足するところございますか。
 では、意見聴取の予定がございますので、本日の特定最賃についての審議はここまでとしたいと思います。
 議題の(4)事業場からの意見聴取に移ります。
 事務局は準備をお願いいたします。
     (会場準備)
梅野会長    それでは、事務局から意見聴取の説明をお願いします。
青柳賃金室長  特定最低賃金につきましては、本日、改正の必要性の有無について諮問をさせていただいたところですけれども、今後の御審議の参考としていただきたく、「塗料製造業」「輸送用機械器具製造業」「計量器等製造業」の3業種から、各1社おいでいただいております。
 意見聴取の順番は、「塗料製造業」「輸送用機械器具製造業」「計量器等製造業」としております。
 時間につきましては、1社当たりの説明時間10分程度説明いただきまして、質疑応答を10分程度としております。
予定の時刻といたしまして、1社目が10時、2社目が10時20分、3社目が10時40分とさせていただいております。よろしくお願いいたします。
  (意見聴取 1社目 塗料製造業による説明)
(質疑応答は、次のとおり)
堀井委員  昨年度賃金改定はなくて、今年も予定はないということですけれども、改定に至らない大きな理由について明確なものがあれば、お伺いします。
 あと、自社の現況のところで売上げが8.7%減の中で、営業利益が36.8%と大きく下がっていますが、これの主要要因が分かっていれば、伺いたいのですが、よろしくお願いします。
参考人  まず、賃金改定についてですが、ベアの改定はしていないのですけれども、定期昇給は毎年実施していまして、大体従業員平均5,000円ぐらいの改定を行っています。それが1点です。
 それから、もう一つはやはりコロナの影響でかなり見通しがつかないという状況がありまして、ベアというところには至らなかったということです。
 もう1点が令和元年から令和2年に実は2,000円上げているのですけれども、それまでにも高卒を採用するということで、高卒の初任給を17万円にしたいということを目指して、かなり上げてきています。
 ただ、ここ1~2年では留まっているというのが正直なところです。
 それから、次の売上げが8.7%減で営業利益が36.8%減になったということですが、2015年に工場の新設、2018年に工場の移転を行いましたので、この投資がかなり影響していまして、今、減価償却費をかなり負担しているというところであり、売上げの割には利益率の減少となっているということになります。
松下委員  全社の従業員が130名ということですけれども、工場にはどれぐらいの人数がおられるのですか。あと、労働者の方はパートとか契約社員とかではなくて、正社員の方ばかりということなのでしょうか。
参考人

 工場には現状51名の従業員が勤めております。当社には元々派遣社員等はいましたけれども、この5年ほどで正社員化できる方については、正社員にしておりますので、現状は派遣や契約社員の者もいないということです。

松下委員  もう1点お聞きいたします。コロナ禍で売上げを落とされても、自動車や化粧品で利益は確保されているということですけれども、販売先というのは製造業の企業ということになるのでしょうか。
 また、今回コロナが終ったとしても、新聞ではかなりいろんな原料が値上がりしているということであり、原料高で利益を出すための影響は通常に比べてどのぐらいありそうですか。
参考人  直接我々が売っているのはやはり商社になります。
 自動車といいましても、製品は自動車の部品というか、部材に当たるプラスチックの部分になりますので、直接自動車会社に行かずに、何社か通って最終的に自動車会社に行き当たるということなのです。化粧品も同じで、我々は中間体業者というイメージで良いと思うのです。
 それから原料高に関してですが、石化原料が上がって、石油が上がるとプラスチックの部品は限りなく上がってくるというところはあるので、その辺のところは懸念材料です。それをお客様に転嫁をすると今度下がったときにまた転嫁せざるを得ないということになるので、なんとか吸収しないといけないと感じています。
林委員  主な顧客は商社経由であるということですが、化粧品市場や自動車、建材となっています。そちらの売上シェアは大体どれぐらいとか、将来性、今後どういうふうな方向に向かっていくのかというようなことが分かれば、教えていただきたい。
 単純にこの営業利益率だけみるとものすごく低い状況になっているかと思います。これはおそらく固定費が相当圧迫して、売上げが下がった以上に利益が減少しているのだろうなと思うのですが、労務費の固定費に占める比率はどれぐらいを想定されているのか。その点につき差し支えがなければ、教えていただければと思います。
参考人  自動車とか化粧品とかの比率ですが、分散しているというのが当社の特徴でして、比率で言うと、それほど変わりはないというのが現状です。
 ただ、塗料、インキの部分の売上げの比率自体は、ここ数年上がってきています。
 利益の方は、先ほども工場の新設や移転という投資をしたということで、投資をする前の利益の水準というのは営業利益の段階でも5億ぐらいは実はありました。今でもおそらく償却費自体は3億5千万か、4億ぐらいあります。当面の利益は1億ぐらいで停滞していますが、先行投資をしたという認識をしていまして、機械の償却が終われば、この利益自体は戻ってくるとみており、この状態は想定内の範囲で推移していると考えています。
 それから、人件費の割合は、ここ数年は出していないのですけれども、2015年からの推移をみると、総人件費9億2000万から9億5000万円ぐらいで推移しており、ここはあまり変わっていません。売上げに対する割合としては20%ぐらいを総人件費の割合と見ているというような感じです。
 当社の今の悩みは、新卒で採用はするのですが、その分人が辞めていくということでして、人数は2015年末の132名から、今も130名と変わってないということが一つ悩みの種ではあります。
林委員  しばらくは大変な経営をしていかないといけないということになれば、総人件費は一定規模に抑えないといけない。それが経営の大事な命題というか、必ずやっていかないといけないということと考えてよろしいのでしょうか。
参考人  実は人件費を抑えようとは思ってなく、昨年は本当にこの時期7月、8月、9月には利益が出ないのではないかというところまで来たのですが、人件費以外のコストを見直して、経費を圧縮してきました。今後も人件費を圧縮するという考えはあまり持ってなく、できれば利益が出たらその分は従業員にやはり若干は還元していきたいと思っています。それが賞与になるのか定期昇給になるのか、その辺はまだ考えていません。
 

(意見聴取 2社目 計量器等製造業による説明)

(質疑応答は、次のとおり)

𠮷川委員  パートさんは男性3名、女性7名ということですけれども、作業というのは正社員の方と同じような作業ですか。
 また、勤務時間ですが、正社員は8時半から17時半ということですが、パートさんも同じなのですか。
参考人  作業内容は完全に異なっております。能力に応じた違いもあるのですけれども、パートさんに関しては、基本的には技術より、比較的流れ作業に近いことをしていただいているのが現状です。
 パートさんの時間ですけれども、希望を聞きまして、その範囲内でシフトしながらやってもらっているという現状です。基本的には、例えば若い女性の方ですと、3時に帰られる方と4時に帰られる方と5時に帰られる方とこの3つのシフトで勤務いただいています。
𠮷川委員  103万円とか130万円とかの縛りがあると思うのですけれども、最低賃金が上がりますから、その分時間が減るとか、短くしてほしいとかいうニーズはありますか。
参考人  2年ぐらい前ですが、3、4名の方が130万を超えるので、上限を超えた分で働きたいという希望がありました。会社も忙しくなってきたというところもありまして、良いですよということで、その条件で働いてもらいました。
 今は3名の方だけがその枠内でやっています。その方々はその範囲でやりたいという思いがありますので、今後、最低賃金が上がれば時間を減らすということも考えられます。賞与というか寸志を基本的にはパートさんにも技術料や貢献度に応じて、今回も3万とか、多い方で20万ぐらい出しているのですが、そういう額を減らさないといけない現状になることもあると思います。
林委員  オーダーメイドによる設備の設計ですと、結構ベテランの方の技術であるとか、ノウハウがいるのではないかなと思うのですが、正社員の方の平均年齢は何歳ぐらいでしょうか。それから、今後、高齢者の就業を確保しないといけないという流れがあると思いますが、そういったことに対しては、どうお考えなのでしょうか。
参考人  技術の会社でずっと36年やっていますが、1年2年では、技術は付きません。やはり、10年ぐらい経験をされた方がやっと1人前になっていくということです。
 高齢者の話ですが、年齢の高い方がおられまして、60歳以上の再雇用の方も4名おられます。高齢者の方は金額を下げて、働いていただいていまして、週も5日ではなくて、4日にしたいとか、3日にしたいとか、そういう希望を聞いて、長く続いています。高齢者の方のちょっとしたアドバイスであったり、勤めていただくだけで、かなり力になったりということもありますので、基本的には本人が辞めたいというまでは、働いてもらえる形にしています。
 最低賃金の議論をさせていただく中で、我々技術の会社としましては、やはりこの給料の差がないと人が育たないということであり、技術がなくても、ある程度の給料がもらえるということが保証されてしまうと、あんまり頑張らなくても良いという現状になってしまうのかなと思います。
藤岡委員  先ほど技術を要する仕事ということで、大体10年で一人前になるということでしたが、10年勤続して、一般的に一人前と認められた方の大体の年齢と金額、あとは年収ベースでどれぐらい差が出てくるのか教えていただきたいのですが。
参考人  10年経ちますと、弊社の場合は最低でも年収400万を超しています。これは技術のあるなしに関係なしにです。頑張っていただいて、長く残っていただきたい方に関しては、やはり400万、これを確保していくという形になっています。
 技術がある方ということでは、設計者とか、そういう現場で対応してもらっている方に関しては、実績ベースで500万から600万ぐらいの間ぐらいではないかと思います。
以前は10年経っても給料がなかなか上がらず、300万から400万しかいかないようなことがありましたが、今は構造を変えまして、その給与ベースを上げていくということで、やはり10年経つと、200万から300万ぐらいの差が出て、700万ぐらいもらっている人達もいます。
 

(意見聴取 3社目 輸送用機械器具製造業による説明)

(質疑応答は、次のとおり)

重宮委員  清掃の時間給904円の方は再雇用とかという形なのでしょうかというのが1点と、あとは募集とか採用、先ほど工場の場所が南にあるのでということで、少しプラスアルファされていますということですが、募集と実際に来られる人数とか、あとは今働いておられる65名の方の勤続年数等について、途中で辞められる方が多いとか、そういうような課題があれば、教えていただきたいと思います。
参考人  清掃・雑役で来ていただいている方は、以前別の大手企業にお勤めをしておりまして定年になられたということで、当社に7年前から来ていただいている方です。
我々技術職については、今日来てすぐ出来るというような仕事ではないので、一つのものを作るのに慣れるまでいろいろと時間がかかるということになります。
 最初の一つから丁寧に指導して仕事を続けてもらうということであります。パートさんは中途で来ていただきますけれども、大体高卒で来ていただいて、かなり定着率は良いという状況ではあります。
参考人  補足として、中小企業に対して厚生労働省が推奨しているユースエールという制度があるのですけれども、弊社はその認定を4~5年前ぐらいから受けています。残業時間が少なかったりだとか、あと有給休暇を積極的に取得させたりだとか、そういう若い方が就職しやすい環境作りを積極的に行っています。
 あと、自分がこうしたいということも聞き入れて、積極的にさせてあげ、自由度の高い環境も考えています。そういうところから今、定着率が高いという話がありましたが、具体的にいうと正社員の勤続年数は平均して14年ぐらいあります。
林委員  先ほどのお話に出たユースエールの件もそうですけれども、賃金だけではなくて、働きやすさだとか、そういったような働く環境をきちんと整備することによって、長く気持ちよく勤めていただくというところに力を入れておられると理解してよろしいわけですね。
 それともう一つ、私の方でお聞きしたいのは、売上げの15%が航空機・防衛関連ということですが、民需の方はないのですか。
参考人 防衛関係はわずかで、今15%のほとんどを占めているのは、民需です。
林委員  民需ということであれば、まだ回復していないのではないですか。
参考人  そうですね。去年につきましては本当に5%ぐらいの仕事量しかないというような状況でした。今期に入りまして、少しずつ回復しているという状況になっています。
林委員  最低賃金の引上げは全体の1割ぐらいなので、影響はないということですが、正社員の方の賃金の引上げには影響はしないのですか。
参考人  全員の給料が最低賃金のラインよりも上ですから、それに対して、上げないといけないというようなことにはなりません。
 しかし、今初任給を17万1千円出しているのですが、今後最低賃金がどれぐらい上がるかにもよるのですけれども、これに応じて、年間2,000円とかそのぐらいの上げ幅は考えないといけないな、というのはあります。
  (5分間休憩)
梅野会長  それでは、再開いたします。
 議題(4)の「実地視察の報告について」に移ります。
 最初は小売業の実地視察、桜間委員からの報告です。お願いいたします。
桜間委員  それでは、御報告いたします。
 視察を行ったのは、阪神地区にあるスーパーマーケットの会社です。
 労働者数は全体98名、そのうちパートが89名、大半がパートというところで、詳細は資料に記載したとおりでございます。
 このスーパーマーケットは設立から60年ほど経ったところでして、かつてはいくつか店舗があったようですが、現在は1店舗のみです。飲料や生鮮・加工食品の販売ということで、店舗は住宅地の中にございまして、駅からも少し離れていますが、少し高級なスーパーという言い方をして良いかと思います。
 2階建ての建物で、1階が店舗、2階が冷蔵庫・冷凍庫などの商品貯蔵施設、調理場などでございます。
 労働者は主婦のパートが大半ということで、中国人の労働者の方も1名いらっしゃいます。
 業界の状況について、申し上げますと、2020年3月期より、コロナによる巣ごもり需要の影響がありまして、スーパーマーケットは割と好調が続いているということです。今年4月のスーパーマーケット業界の売上高は前年同月比94%に留まり、3か月連続で前年同月を下回っていますが、コロナ禍以前の2019年度4月と比較すると、104%であり、引き続き、堅調であるということでございます。
 一方で、食用油や小麦粉の価格の値上がりによって、買い控えの傾向も一部にはあるということでございます。
 会社の状況について、申し上げますと、昨年4月から今期にかけて、売上げは前年対比100%を超えているということでございます。それに対して、人件費は昨年実績から横ばいということでございますが、今後も利益体質を維持すべく、人件費と営業経費の管理に努めるということでございました。
 雇用に関しては、主婦の方が非常に多いということで、短時間のパート労働者が多く、80人が時間給900円の最低賃金ということですが、賃金は、当然最低賃金の引上げにしたがって、引き上げていっているということでございます。一方で、新卒の採用はしばらく行っていないということでございました。
 パートは最低賃金と同額ということでございますけれども、扶養控除の関係等がございますので、高い賃金を望んでいる人はさほどいないということでございます。
住宅地で駅からも離れているということもあるのですが、近隣の主婦の方がパートに来ているというのが大半ということで、あまり人手不足ということはないということと、それからシフトの融通が割と利くということもありますので、そういう面で割と主婦のパートは確保できているということになっております。
 それから、ここ数年最低賃金の上げ幅が大きかったことや赤字の年もあったということで、賃金の引上げはなかなか難しいということです。
働いている方には説明した上で最低賃金の900円としているということで、大体パートの方は皆さん同じような賃金ですけれども、一部調理担当などの方については、能力に応じて差をつけているということでございます。
労働者の方のお話を伺ったわけですけれども、長く勤めているのはやはり職場環境、それから自宅から近い、休みがとりやすい、時間の融通が利きやすいというようなことがあるということでした。
 一方で、若い人の中には転職する人もいるということでございました。
働いている人からは、最低賃金が一律に上がっていくと、働く人と働かない人の差がなくなるのではないかという意見や、スーパー業界は非常に売上げが伸びているということで忙しいということもありますので、それに見合った賃金にして欲しい、という意見もありました。
 以上でございます。
梅野会長  ありがとうございます。
 御同行された委員の先生方ございますか。
 よろしいですか。
 今の視察報告につきまして、御質問等ございましたら、どうぞ。
各委員 (特になし)
梅野会長  続きまして、食品製造業の実地視察は、私の方から阪神地区の洋菓子店の視察報告をいたします。
 7月9日に視察をいたしました。
 参加委員は、ここに書いてあるとおり、重宮委員、林委員です。
 労働者数24名、パート労働者14名、企業全体で60名です。
 本社ビルの中に店舗、製造部門があって、1階が店舗、小さな店舗でしたけれども、2階にもケーキを作っているところがあります。
 業界の状況ですけれども、2020年のコロナ禍以降、進物向け商品の需要が大きく減ったのですが、巣ごもり化の影響で売上げが大きく伸びており、非常に忙しいとおっしゃっていました。
 業界の現況に加えて、地産地消の商品を作っているが、それが割と高価格で売れており、また生菓子の販売が予想を上回って、売上げが伸びているとおっしゃっていました。
 ただし、この洋菓子業界というのは材料費が高く、人件費もかかるので、利益率はあまり高くない。それを値上げして、商品に価格転嫁はしにくい。ショートケーキは大体500円が一つの壁であり、そこを超えるのはなかなか難しいということもおっしゃっていました。
 事業場からの事情聴取では、人材確保のために、最賃プラス30円のところで募集をかけているということでした。
採用時の賃金は最低でも930円、ベテランの社員さんでも900円台後半から1,050円台です。1,100円の社員は若干名しかいなくて、それは能力の高い人ということです。
 能力のある人は独立していくそうですけれども、そうでない人達は割と残る傾向にあるので、こういう人たちをどう活かしてしていくかが課題であるとおっしゃっていました。
 最低賃金の引上げについては、100円とか150円とかいきなり極端に上がるのは大変困るけれども、20円、30円とコンスタントに上げていってもらったほうがむしろ都合が良い。最賃の引上げが賃上げの契機になるということではそういう方が良いのではないかというのが、事業場の意見です。
続いて、労働者からの意見ですけれども、2名の方からお話を伺いました。
 1名は製造部門勤続17年の女性パートタイマーで、もう1名は販売部門勤続9年の女性パートタイマーです。
いずれの方も仕事には、やりがいがあって、現在の賃金額には特に不満はない。最低賃金についての関心は低いけれども、最低賃金が上がって賃金が上がれば、仕事が頑張れるだろうということです。
 また、販売部門の女性の方がおっしゃっていたのは、最低賃金にも朝早く早出する場合とか夜遅くまで残る場合、土日祝日に出る場合とか時間帯とか出勤日による差があっても良いのではないかというそういう多様化した最賃があった方が良いのではないかというユニークというか面白い意見が出ていました。以上です。
 何か補足することはございますか。
 今の視察報告につきまして、何か質問ございましたら、お願いいたします。
各委員 (特になし)
梅野会長  それでは、実地視察の報告はこれで終わらせていただきます。
 次に、議題(6)その他です。
 事務局から説明をお願いいたします。
青柳賃金室長  では、3点ほど説明をさせていただきます。
 1点目ですけれども、資料4と資料5の方に、目安の小委員会の7月1日中央の方で行いました第2回目安小委員会資料、それから7月7日の第3回の目安に関する小委員会の資料を添付しておりますので、御参照いただければと思います。
 先日報道にもありましたが、中央で行っております賃金改定状況調査の第4表なのですが、第2回目につけております資料1の賃金改定状況調査結果について、プログラムの集計の間違いがあったということで、第3回目の小委員会の時にその訂正の説明を行わせていただいているという状況でございます。
したがいまして、改定状況調査の結果につきましては、第2回目の小委員会の添付資料ではなく、第3回目の方に添付してある資料が正しい数字になっておりますので、御参照するときにそちらの方を確認していただければということでございます。よろしくお願いいたします。
 それから、2点目ですけれども、先ほど特定の調査審議につきまして、専門部会の設置の決議をいただきましたので、それに基づきまして各専門部会委員の推薦公示について、本日から8月2日の月曜日までの公示期間を設けたいと考えております。
 また、各業種の専門部会につきましては、任命後に日程調整等をさせていただきますけれども、皆さんがお集まりいただける機会というのが8月5日の地賃の本審になろうかと思います。できればその8月5日の本審が終わった後、少し時間が設けられれば、その時に各専門部会の第1回目の日程調整させていただければということを予定として考えているところでございます。
専門部会につきましては、8月上旬に任命をさせていただきまして、実際の専門部会の開催につきましては、8月16日以降で開催をさせていただくということで、日程につきましては、次回に案としてお示しさせていただきたいと考えております。
 3点目ですけれども、次回647回の審議会につきましては、予定どおり7月28日水曜日の午前9時30分からということで、同じくこちらの建物で、同じく3階の隣の会議場になるのですけれども、そちらの方で開催予定ということにさせていただいております。
 次回ですけれども、最低賃金についての意見聴取を先日公示しているところでございますが、労働団体の方からの意見陳述の希望が出ているところでございます。
 次回の本審について、公開非公開の判断をいただきまして、意見陳述の実施についての御確認をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
梅野会長  事務局から説明がありましたとおり、7月28日午前9時30分から本審の開催をいたします。意見陳述について、関係者から希望があるようでしたら、例年どおり認めることにしたいと思います。
 併せて、次回の会議の公開非公開についても、昨年同様公開とすることでよろしいですか。
各委員 異議なし
梅野会長  はい、ありがとうございました。
 それでは、7月28日の審議会は公開とさせていただきます。
 事務局からほかにございますでしょうか。
青柳賃金室長  地賃の専門部会につきましては、1回目を19日月曜日の午前10時から、クリスタルタワー16階で開催予定とさせていただいておりますが、できれば8月5日までの間の開催予定を、この後少し調整させていただきたいと考えています。専門部会委員の方は、少し御着席のままお残りいただければと思います。よろしくお願いいたします。
梅野会長  それでは、専門部会の日程については、関係者は残ってくださいということです。
 ほかになければ、今日の審議会はこれで終了します。
 ありがとうございました。
                                                            梅野 巨利
                                                          日下 修次
                                                          松岡 直哉

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