36協定 特別な事情

A:会社で仕事をしていると、月に45時間を超えて残業、いや、時間外労働をしなければならないことがあると思うのですが、それは法律違反なのですか。
B:そうですね、法律違反ともいえるし、法律違反ではないともいえます。
A:はっきりしてください。
B:まず、会社で定めた労働時間を所定労働時間といいます。例外はありますが、これは、原則法定労働時間と同じかこれより短くする必要があります。法定労働時間は、1週間40時間、1日8時間と定められています。
A:それは聞いたことがあります。
B:法律では、原則、これらの時間を超えて労働してはならない、と定められているので、これを超えて労働させるには36協定を結んで、所轄の労働基準監督署長に届け出ることが必要になるのですが、先ほどお話ししたとおり、36協定では、原則、1か月45時間を超えることができないし1年360時間を超えることもできません。
 しかし、特別の事情がある場合には、年に6回までですが、月に45時間を超える時間外労働をさせることができます。
A:特別な事情がある場合には法律違反にならないということですか?
B:いいえ。特別な事情がある場合で、その特別な事情についても協定を結んで労働基準監督署長に届け出た場合、法律違反とはならないということです。
A:では、特別な事情について協定を届け出たら、何時間でも残業ができるということなのですか?
B:いいえ。特別な事情があっても伸ばせる時間には制限があります。
 1か月100時間未満とされています。つまり、100時間はだめということです。
 さらに、この100時間未満には休日労働の時間も含まれますので、いわゆる残業時間はこれよりは短くなると思います。
A:休日労働の時間を含んで100時間なのですね。
B:そのとおりです。理由については別に詳しくお話をすることとしていますが、長時間の時間外労働時間は心身に悪い影響を与えるとされているから、ということなんです。
A:100時間未満が年間6回でそれ以外の6回が45時間であれば、年に800時間以上時間外労働ができるということですか。
B:いいえ、そうではありません。
 特別の事情があったとしても、1年間720時間を超えてはいけないと定められています。
A:それで、どのようなことが特別な事情になるのでしょう。
B:36協定について、厚生労働省が「36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針」をいうものを策定していて、その解説の中で特別な事情について、「通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合を具体的に定めなければなりません」とされています。
 厚生労働省作成の「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」には、例として、「予算・決算業務、ボーナス商戦に伴う業務の繁忙、納期のひっ迫、大規模なクレームへの対応、・機械のトラブルへの対応」があげられています。
A:この協定届は、先ほどの36協定届とは別に届け出ることになるのでしょうか。
B:いいえ。36協定届の様式に特別な事情(=特別条項)を記載できる様式がありますので、それを利用することにより1回で届出をすることができます。

 

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