労働条件知ってる?

A:労働者を雇うとき、労働条件通知書というものを労働者に渡さなければならないって聞いたんですが。
B:労働基準法で定められたもので、労働条件を記載した通知書のこと ですね。
A:人を雇うときには、給料のことなどを話し合って雇うのですから、 紙に書いたものを渡さなくても良いような気もしますが。
B:では、次のような例を考えてみてください。
  C:面接の結果、あなたを採用することとしました。
  D:ありがとうございます。
  C:で、給料ですが、月給20万円でどうでしょうか。
  D:それでお願いします。
 ・・・・・給料日・・・・・
  C:はい、よく頑張ってくれてありがとう、お給料です。
  D:ありがとうございます。って、15万円しか入ってないじゃないですか。最初月給20万円っていいましたよね、話が違うと思うんですが・・・。
B:どうですか。この場合、あなたならCさん、Dさん、どちらが正しいと思いますか。
A:私は、経営者としてCさんの考え方が正しいと思います。
B:どうしてですか。20万円という金額を示されたDさんは当然20万円もらえると思っても不思議じゃないと思いますが。
A:いいえ、経営者としてのCさんには、ちゃんと20万円の支出があるのです。
 20万円の支出があるのに20万円に満たないのは、労働者が当然支払わなければならない税金や社会保険料などを、法律に基づいて会社が納めるために控除して支払っているからです。
B:でも、給料をもらう方としては、月給額に対しての税金や社会保険料の計算ができないことの方が多いので、会社がそれを計算してくれて、その控除後の金額を示してくれたと考えることは理解できませんか。
A:理解できないとはいいませんが、月給額は全て込み込みの額を示すのが普通だと思います。
B:というわけで、払う側ともらう側では考え方が異なる場合の方が多いので、紙に書いておいた方が良いとは思いませんか。
A:お互い納得していると思っても、納得している内容が異なることがある、ということですね。
B:そのとおりです。せっかく働いてもらうのですから、気持ちよく働き続けてほしいと思うのは、経営者として当然の気持ちであると思いますので、入り口、つまり雇入れの際の労働条件通知は、書面で通知しなければなりません。
 労働条件を変更したときも同様に書面で行った方が良いのです。
A:労働契約書は取り交わしているのですが、労働条件通知書と契約書は違うものなのでしょうか。
B:先ほどもお話ししたとおり、労働条件通知書は、労働基準法により定められた項目を労働者に通知するものなので、労働契約書に労働基準法で定められた項目が全て記載されていれば労働条件通知書と考えることができます。

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