香川県最低賃金の引き上げと、中小企業・小規模事業者への支援策としての業務改善助成金等について

1 香川県最低賃金(現行:1時間820円)の引き上げについて
 令和3年8月23日に、第5回香川地方最低賃金審議会が開催され、
① 香川県最低賃金を28円引き上げて1時間848円とすること、
② その適用は、令和3年10月1日からとすること
が最終確認されました(答申がされました)。
 香川労働局では、当該答申内容を踏まえ、香川県最低賃金を決定し、令和3年9月1日に官報公示を行って、令和3年10月1日から適用することとしています。

 
2 中小企業・小規模事業者への支援策としての「業務改善助成金」
 「業務改善助成金」は、設備投資により生産性を向上させ、「事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)」の引き上げを図る中小企業・小規模事業者を支援する助成金です。
 令和3年8月1日から、新型コロナウイルス感染症の影響を鑑み、業務改善助成金の内容を拡充しています。
 業務改善助成金の内容は、この後、ご覧いただきたいと思いますが、重要なポイントは、(上記1のとおり)香川県最低賃金が10月1日から引き上がることにあります。

 具体的には、
〇 令和3年9月末まで、香川県最低賃金は、1時間820円
 業務改善助成金の対象事業場の1つの要件が「事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内」ですので、事業場内最低賃金が1時間820円から850円の事業場が対象となります。
 香川県最低賃金が28円引き上げられることを踏まえ、時間額を28円引き上げた場合、それだけで業務改善助成金の20円コースが活用できます。また、最賃引上額の28円に2円加算して30円引き上げると、30円コースが活用できます。ただし、この場合には、9月末までに、①業務改善助成金の交付申請書を香川労働局に提出した後、②賃金の引き上げを行い、③引き上げ後の賃金の勤務実績が1日以上あることが必要となりますので、ご注意ください。最も遅いものが9月29日(水)に交付申請書を香川労働局に提出し、同日、賃金の引き上げをして、9月30日(木)、引き上げ後の賃金で働いてもらうということになります。


 
〇 令和3年10月1日以降、香川県最低賃金は、1時間848円
 業務改善助成金の対象事業場の1つの要件が「事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内」ですので、事業場内最低賃金が1時間848円から878円の事業場が対象となります。
 香川県最低賃金が848円となっていますので、ここから20円以上引き上げないと(=868円以上)、業務改善助成金の20コースを活用することはできません。
 また、交付申請時に事業場内最低賃金が香川県最低賃金(1時間848円)を下回っている事業場は助成対象となりませんので、ご注意ください。


  それでは、業務改善助成金の内容等について、説明します。
〇 業務改善助成金の概要・手続きについて、動画で説明しています。まず、こちらをご覧ください。

  【業務改善助成金のご案内その1 概要編】 [6分40秒]

  【業務改善助成金のご案内その2 手続き編】 [4分31秒]

 
〇 業務改善助成金のリーフレット
  
  画像をクリックするとリーフレットをダウンロードできます。


 
 
〇 対象者(事業場)

(1)あなたの企業は、中小企業ですか?
   <中小企業の定義>
業種 ①資本金の額又は
出資の総額
②常時使用する企業
全体の労働者数
一般産業(下記以外) 3 億円以下の法人 300 人以下
卸売業 1 億円以下の法人 100 人以下
サービス業 5,000 万円以下の法人 100 人以下
小売業 5,000 万円以下の法人 50 人以下

  ①の「資本金の額又は出資の総額」、②の「常時使用する企業全体の
 労働者数」のいずれかの要件を満たすことが必要です。
               
(2)事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)と香川県最低賃金の差
 額は30円以内ですか?
  令和3年9月末まで、香川県最低賃金は1時間820円です。事業場内最低
 賃金が1時間820円から850円までの事業場が対象になります。
  令和3年10月1日以降は、香川県最低賃金が1時間848円となります。事
 業場内最低賃金が1時間848円から878円までの事業場が対象になります。
  なお、令和3年度は、業務改善助成金について、年度内に2回の申請が可
 能となっています(申請期限は、令和4年1月31日)。
  事業場内最低賃金の計算方法は、こちら
               
(3)申請を考えている事業場は、労働者数が100人以下ですか?
  業務改善助成金は、事業場単位での申請になります。これは、就業規則
 や36協定届(時間外、休日労働に関する協定届)等を労働基準監督署に提
 出されていると思いますが、その単位となります。
               
       業務改善助成金を利用できる可能性があります。


 
〇 支給要件

(1)賃金引き上げ計画を策定し、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げ
 ること(新たな事業場内最低賃金について、就業規則等で規定することが
 必要です。)
(2)引き上げ後の賃金額を支払うこと
(3)生産性向上に役立つ機器・設備などを導入して業務改善を行い、その
 費用を支払うこと
(4)解雇、賃金引き下げ等の不交付事由がないこと

 
 ※  「10人以上の上限額区分」については、香川では「対象者(事業場)」の事業場
  内最低賃金が900円未満となるため、要件に合致し適用できます。
 

 
〇 助成率

 香川では、「対象者(事業場)」の事業場内最低賃金が900円未満となるため、通常が「4/5」、生産性要件ありの場合が「9/10」となります。
  ※ 「生産性」とは、企業の決算書類から算出した、労働者1人当たりの付加価値を
   指します。業務改善助成金の支給申請時の直近の決算書類に基づく生産性と、
   その3年度前の決算書類に基づく生産性を比較し、伸び率が一定水準を超えて
   いる場合等に、加算して支給されます。


 
〇 助成額

 上記支給要件の(3)で要した費用に上記助成率を乗じた額又は上記リーフレットに記載する引き上げる労働者数に応じて各コースに設けられた上限額のいずれか低い額を支給します。
<注意点 上記リーフレットに記載する引き上げる労働者数について>
 事業場内最低賃金を引き上げる際、すべての労働者を新しい事業場内最低賃金以上まで引き上げる必要があります。
 ここで、事例をご覧ください。これは、令和3年9月時点で、事業場内最低賃金が820円、30円コースを利用する場合です。
 Aが事業場内最低賃金となります。30円コースということは、Aを30円引き上げることを意味します。Aは、820円から850円となり、新たな事業場内最低賃金は850円となります。
 次に、BとCは840円で、新たな事業場内最低賃金である850円を下回る状態になります。この時、BとCは、新たな事業場内最低賃金である850円を上回るようにしないといけません。
 ここでは、Bが20円アップの860円、Cが30円アップの870円となり、850円以上となりました。
 これで、業務改善助成金の対象となりますが、「引き上げる労働者数」としては、AとCの2人のみとなります。Bは引き上げられた額が20円のため、引き上げる労働者数には含めることができません。また、Dは引き上げられた額は30円ですが、既に新たな事業場内最低賃金より高いので、30円以上引き上げても、引き上げる労働者数には含めることができません。


 
〇 助成対象

 設備投資(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練など)
 ※ PC、スマホ、タブレットの他、貨物自動車なども生産性向上の効果が
  認められる場合は対象(生産量要件
(注)に該当し、引き上げ額30円
  以上の場合に限られます。)

    (注)「生産量要件」とは、売上額や生産量などの事業活動を示す指標の直近
     3か月間の月平均値が前年または前々年の同じ月に比べて、30%以上減
     少している事業者をいいます。

 ※ また、次の経費は助成対象にならないので、ご注意ください。
  1) 単なる経費削減を目的とした経費(LED電球への交換等)
  2) 不快感の軽減や快適化を図ることを目的とした職場環境の改善経費
   (エアコンの設置、執務室の拡大、机・椅子の増設等)
  3) 通常の事業活動に伴う経費(事務所借料、光熱費等)
  4) 交付決定日以前に導入又は実施した経費 など


 
〇 業務改善助成金の事務手続き



 
〇 交付要綱・交付要領・申請様式等

 交付要綱、交付要領、申請マニュアル、各種様式等、Q&A等をダウンロードできます。
 1)交付要綱
 2)交付要領
 3)申請マニュアル
 4)各種様式等
 5)申請書等記入例
 6)交付申請書等の書き方と留意事項について
 7)Q&A


 
〇 業務改善助成金に係るお問い合わせ先
 「業務改善助成金コールセンター」に、お気軽にお問合せください。
 【電話番号】 03-6388-6155
 【受付時間】 平日8:30~17:15


  また、業務改善助成金の活用方法を含めて、「香川働き方改革推進支援センター」に相談することができます。
香川働き方改革推進支援センター
受付時間 平日9:00~17:00
〒760-0026
香川県高松市磨屋町5-9 プラタ59 2階203

フリーダイヤル  0120-000-849

 
 
最低賃金制度特設サイトで各種情報提供を行っています。

https://pc.saiteichingin.info/



3 中小企業・小規模事業者への支援策としての「雇用調整助成金」等
 「雇用調整助成金」、「緊急雇用安定助成金」について、業況特例等の対象となる中小企業が事業場内で最も低い時間給を一定以上引き上げる場合、令和3年10月から12月までの3か月間の休業については、休業規模要件(1/40以上)を問わず支給する特例が設けられました。
 「雇用調整助成金」、「緊急雇用安定助成金」についても、香川県最低賃金の改正前後において、香川県最低賃金が大きく影響します。令和3年10月1日以降においては、発効後の香川県最低賃金(848円)から30円以上引き上げる必要があります。
<対象となる条件>
 次の(1)及び(2)の条件を満たす場合は、小規模の休業(1/40未満)
も支給対象となります。
(1)
 令和3年10月から3か月間の休業について、業況特例又は地域特
  例の対象となる中小企業(令和3年1月8日以降解雇を行っていない
  場合に限る。)
であること。
(2) 事業場内最低賃金(当該事業場における雇入れ3月を経過した労
  働者の事業場内で最も低い時間当たりの賃金額。香川県最低賃金
  との差が
30円未満である場合に限る。)を、令和3年7月16日以降、
  同年12月までの間に、30円以上引き上げること。

例:10人規模の中小企業が20日の所定労働日数の月に、4人日分の
 休業を行った場合も支給対象
 4人日(休業)/200人日(10人×20日)=1/50 < 休業企業規模(1/40)


<申請手続等>
〇 雇用保険被保険者、被保険者以外ともに、緊急雇用安定助成金とし
 て申請
を行っていただきます。
〇 緊急雇用安定助成金は、
休業に対する助成となります。(教育訓練や
 出向は対象になりません。)
〇 助成率や上限額は業況特例や地域特例と同じになります。

〇 申請様式は、9月以降にホームページで公開する予定です。
 

  厚生労働省 ホームページ  
   https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/

   koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html
 


  画像をクリックするとリーフレットをダウンロードできます。

    


 
<お問い合わせ先>
 〇香川県最低賃金の改正関係
   香川労働局労働基準部賃金室          TEL 087-811-8919
 〇業務改善助成金関係
   香川労働局雇用環境・均等室          TEL 087-811-8924
   ・ 業務改善助成金コールセンター       TEL 03-6388-6155
   ・ 業務改善助成金の活用方法を含めて「香川働き方改革推進支援
    センター」に相談することができます。 
                   フリーダイヤル 0120-000-849 

 〇雇用調整助成金等関係
   香川労働局雇用調整助成金グループ       TEL 087-823-0505

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