二次健康診断等給付について
平成13年4月1日から労災保険制度において、新しい保険給付が始まりました。
はじめに 近年、定期健康診断による有所見率が増加するなど、健康に問題を抱える労働者が増加傾向にあります。このような状況の中で、業務によるストレスや過重な負荷により、脳血管疾患及び心臓疾患等(以下「脳・心臓疾患」といいます。)を発症し、死亡又は障害状態に至ったとして労災認定される件数も増加傾向にあります。 このような脳・心臓疾患の発症は、本人やその家族はもちろん、企業にとっても重大な問題であり、社会的にも「過労死」等として大きな問題となっています。 一方で、脳・心臓疾患については、発症前の段階における予防が効果的であるとされています。 二次健康診断等給付は、直近の定期健康診断等の結果、脳・心臓疾患を発症する危険性が高いと判断された方々に対して、脳血管及び心臓の状態を把握するための二次健康診断及び脳・心臓疾患の予防を図るための医師等による特定保健指導を、受診者の負担なく受けることができる新しい制度です。 |
二次健康診断等給付の概要
二次健康診断等給付は、労働安全衛生法に基づく定期健康診断等のうち、直近のもの(以下「一次健康診断」といいます。)において、「過労死」等(業務上の事由による脳血管疾患及び心臓疾患の発症(以下「脳・心臓疾患」といいます。))に関連する血圧の測定等の項目について異常の所見が認められる場合に、労働者の請求に基づき、二次健康診断等給付として二次健康診断及び特定保健指導を給付します。
二次健康診断等給付の概要
二次健康診断等給付は、一次健康診断の結果において、- 血圧検査
- 血中脂質検査
- 血糖検査
- BMI(肥満度)の測定
二次健康診断等給付の内容
二次健康診断等給付では、二次健康診断と特定保健指導が給付されます。それぞれの内容は次のとおりです。
二次健康診断
二次健康診断として、以下の検査を受診者の負担なく受けることができます。
- 空腹時血中脂質検査
空腹時において血液を採取し、食事による影響を排除した血清総コレステロール、高比重リポ蛋白コレステロール(HDLコレステロール)及び血清トリグリセライド(中性脂肪)の量により血中脂質を測定する検査。 - 空腹時の血中グルコース量の検査(空腹時血糖値検査)
空腹時において血液を採取し、食事による影響を排除した血中グルコースの量(血糖値)を測定する検査 - ヘモグロビンA1c検査(一次健康診断において行った場合を除きます。)
食事による一時的な影響が少なく、過去1~2ヶ月における平均的な血糖値を表すとされているヘモグロビンA1cの割合を測定する検査。 - 負荷心電図検査又は胸部超音波検査(心エコー検査)
- 負荷心電図検査
階段を上り下りしたり、ベルトコンベアの上を歩くなどの運動により心臓に負荷を加えた状態で、心電図を計測する検査。 - 胸部超音波検査(心エコー検査)
超音波探触子を胸壁に当て、心臓の状態を調べる検査。
- 負荷心電図検査
- 頸部超音波検査(頸部エコー検査)
超音波探触子を頸部に当て、脳に入る動脈の状態を調べる検査。 - 微量アルブミン尿検査(一次健康診断において尿蛋白検査の所見が疑陽性(±)又は弱陽性(+)である方に限ります。)
尿中のアルブミン(血清中に含まれるタンパク質の一種)の量を精密に測定する検査。
特定保健指導
特定保健指導として、二次健康診断1回につき1回、以下の指導を医師から受診者の負担なく受けることができます。(二次健康診断の結果、脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有していると診断された場合は受けることができません。)
- 栄養指導
適切なカロリーの摂取等、食生活上の指針を示す指導。 - 運動指導
必要な運動の指針を示す指導。 - 生活指導
飲酒、喫煙、睡眠等の生活習慣に関する指導。
お問い合わせは、労災補償課 医療係までお願いします。(TEL:096-355-3183)
二次健康診断等給付金の仕組み
二次健康診断等給付の請求の方法
二次健康診断等給付を受けようとする労働者の方は、二次健康診断等給付請求書(様式第16号の10の2)に必要事項を記入し事業主の証明を受け、一次健康診断の結果を証明することができる書類(一次健康診断の結果の写しなど)を添付した上で、当該請求書を健診給付病院等を経由して所轄の都道府県労働局長に提出してください。
事業者の措置について
二次健康診断を受けた労働者から、二次健康診断を受けた日から3ヶ月以内に当該二次健康診断の結果を証明する書面が提出された場合には、当該事業者は労働安全衛生法に基づき、医師等の意見を聴取し、就業上の措置を講ずる義務があります。
二次健康診断等給付の請求に当たっての注意事項
誤って二次健康診断等給付の請求を行った場合には、二次健康診断等給付を受ける要件を満たしていても労災保険からの給付が行われないことがあります。この場合、検査に要した費用は全額受診者が負担することになりますので、二次健康診断等給付の請求を行う場合には、次の点に十分注意してください。
一次健康診断を受診した日から3ヶ月以内に請求する必要があります。
一次健康診断を受診した日から3ヶ月を過ぎた場合、二次健康診断等給付を受けることはできません。 ただし、次のようなやむを得ない事情がある場合を除きます。
- 天災地変により請求を行うことができない場合。
- 一次健康診断を行った医療機関の都合等により、一次健康診断の結果の通知が著しく遅れたために請求を行うことができない場合。
1年度に1回のみ受けることができます。
1年度内に2回定期健康診断を受診し、いずれの場合も二次健康診断等給付を受ける要件を満たしている場合でも、同一年度以内に二次健康診断等給付を受けることができません。
※ | 既に二次健康診断等給付を受けている場合には、その後の定期健康診断の結果において二次健康診断等給付を受ける要件を満たしている場合でも、同一年度内に二次健康診断等給付を受けることはできません。 |
※ | 既に二次健康診断等給付を受けている場合で、その後の定期健康診断の結果において二次健康診断等給付を受ける要件を満たしている場合、次の年度に二次健康診断等給付を受けることはできません。 |
健診給付病院等でのみ受けることができます。
二次健康診断等給付は、健診給付病院等で受けることができますので、ご確認の上、最寄りの健診給付病院等をご利用ください(健診給付病院等をクリックすると病院一覧が表示されます)。
※会社のご担当の方(受診者)は、事前に健康給付病院等と日程調整の上、二次健康診断等給付を受けるようお願いします。
二次健康診断等給付システムについて
平成15年4月1日から、二次健康診断等給付システムが稼働します。 健診給付病院等から提出された給付請求書、費用請求書及び費用請求内訳書(以下「レセプト」といいます。)について、形式的及び論理的なチェックをシステム化することにより、迅速・適正な支払いを行うことができます。
システム稼働にあたっての変更点
[請求書の提出先が変更されます]
システムの稼働に伴い、二次健診費に関する給付請求書、費用請求書及びレセプトの提出先が変更になります。これまで、給付請求書、費用請求書及びレセプトは、二次健康診断を受診する労働者が所属する事業場の所在地を管轄する都道府県労働局(以下「労働局」といいます。)に提出していましたが、システム稼働後は、健診給付病院等の所在地を管轄する労働局に提出することになります。